克服手袋
東京は、ここんとこ、すごく寒い日が続いてる。それも、北風が吹いて体感温度が低くなるってタイプの寒さじゃなくて、この時期特有の足元からシンシンと冷えて来るタイプの寒さだから、毎日のように降ったりやんだりしてる霧雨が、みんな雪になってる。パッと見た感じだと細かい雨みたいに見えるんだけど、黒い手袋の上に降って来たのをよく見ると、ちっちゃな氷の粒になってる。だから、ずっと降り続いたとこで、地面に積もるような雪じゃないんだけど、昼間の数時間だけチョコっと降ったり、夜だけ降って朝にはやんだりってパターンが何日も続いてるから、とにかく、車が汚れる。
で、単なる通勤車なら、別に汚れててもいいんだけど、あたしの場合、週に1~2回は、ブライダルのお仕事で、新婦さんのお宅に行って、そこで打ち合わせやヘアメークのリハをすることがある。そんな時、あまりにも汚れてる車を見られちゃったりすると、職業的に、イメージ的に、雰囲気的に、立場的に、あたし的に、ヒジョ~にマズイことになる。だから、洗車してワックスかけてピカピカにするのはムリだとしても、せめて、5メートルくらいの距離から見られた時には、そこそこキレイに見えるようにしときたい。だから、ふたしは、毎朝、「フクピカ」をつけたヘルメットをかぶって、ボンネットの上で逆立ちして、頭で回転してる‥‥ってのはウソだけど、雑巾で拭いたりしてる。
だけど、汚れてる車のボディーを硬く絞った雑巾で拭いたりすると、ヨケイに汚れが広がっちゃったりする。だから、まずは、ビチャビチャに濡らした雑巾で「洗う感覚」で拭いて、それから、硬く絞った雑巾で拭かなきゃなんないんだけど、この一連の作業が、もう泣きたくなるほど手が冷たいのだ。こんなに寒いと、スーパー冷え性のあたしは、何にもしてなくても、手足の先の感覚がなくなるほど冷たくなって辛いのに、バケツの冷たいお水に両手を入れて、雑巾を何度もすすいだり絞ったりするのって、ホントに辛い今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、「それならバケツにお湯を入れて洗えばいいじゃん」ってツッコミを入れられそうだけど、お湯を使うと、手が荒れちゃうんだよね。あたしのお仕事は、手や指が荒れてたらダメなので、ものすごく気を使ってる。だから、食器を洗う時にも、湯沸かし器は使わずに、必ずお水で洗うようにしてる。で、ここ数日の冷え込みは、偏差値の低い高校のガキ風味で言うと「ハンパねえ」って感じだし、オリンピックの銀メダリスト風味で言うと「すっげぇ~ムカついてたんスよねぇ~」をリトル改造して「すっげぇ~凍てついてたんスよねぇ~」って感じだから、別に車を洗わなくても手足が冷たくて辛くなっちゃう。
毎度のことながら、あたしのお部屋はフリーザー状態だから、深夜の0時を過ぎて、ミクシーのアプリの「サンシャイン牧場」とか「みんなの農園」とか「ハッピーアクアリウム」とかを巡回して、害虫を退治したり、お魚にエサをあげたりしてると、ぜんぶマウスだけの操作だから、室温の低さとマウスの冷たさとで、右手の指の感覚がなくなって来る。人間の体の温度が色で分かるサーモナントカってカメラで、激辛料理を食べた人を映すと、体はオレンジや黄色やブルーなのに、顔の部分だけが真っ赤になってたりするけど、あのカメラであたしを映すと、絶対に、手の先と足の先だけが、限りなく透明に近いブルーになってるって、村上龍さんも太鼓判を押してくれると思う。
とにかく、あたしの冷え性は尋常じゃなくて、手足の先だけが氷のように冷たくなる。お風呂が沸いた時って、上のほうだけが熱かったりするから、最初は「かきまぜ棒」でかきまぜて、お湯の温度を均一にするけど、その次にやることは、手を入れて温度を見ることだ。で、あたしの場合は、沸かし過ぎないように、ちゃんとタイマーを使ってるのに、ここで手を入れると、手が氷みたいに冷たくなってるから、まるで熱湯のように熱い。でも、バスルームは、マグロの冷凍倉庫みたいに寒いから、全裸のあたしは、一刻も早く湯舟に入りたくて、水道のお水を出しながら「かきまぜ棒」でかきまぜる。そして、チョコチョコと手を入れて温度を見て、「このくらいなら大丈夫だろう」って思ったとこで右足を入れてみた瞬間、「ヤバイ!」って感じて反射的にお湯から足を出したあとに、足がジ~~~ンと熱くなって来るのをジッと耐える‥‥ってのが、いつものパターンだった。
それで、もっとお水を入れて、ようやく入れるくらいの温度になった時には、「このまま入ったらお湯がたくさん溢れちゃう状態」になっちゃって、そんなことしたらもったいないから、もう寒さで歯がカスタネットになるほど震えてるのに、バケツでお湯を汲んで、バスルームの外にある洗濯機に入れたリする。そして、ようやく湯舟に浸かってホッとするんだけど、この時点では、体の温かさはちょうどいいのに、手足の先は熱くてジンジンしてるのだ。だけど、5分くらいすると、手足のジンジンする熱さがなくなって来るとともに、今度は体のほうがぬるくなって来る。それで、お風呂を追い炊きして、湯舟の中の穴から熱いお湯がボコボコと出て来るのをオヤニラミみたいに両手でパタパタと混ぜながら、ちょうどよくなるまで浸かってるってワケだ。
もったいないことが大嫌いなあたしなのに、手足の先だけが極端に冷たくなるセイで、冬場のお風呂に関しては、お水もガスもずいぶんムダに使ってたワケだ。だから、今は、「ぬるめに沸かす」って作戦にしてる。最初は、手足の冷たさに対応した低めの温度に沸かしといて、湯舟に浸かってから追い炊きしてく。この方式なら、お水もガスも必要最低限しか使わないから、何も問題はない‥‥って思ったのもトコノマ、ここ数日の冷え込みは、偏差値の低い高校のガキ風味で言うと「ハンパねえ」って感じだし、オリンピックの銀メダリスト風味で言うと‥‥って、これはさっきやったか(笑)
とにかく、あまりにも手足の先が冷たくなってるから、ぬるめに沸かしたお風呂でも、熱くて手足を入れることができない。だけど、体はそこまで冷えてないから、手足に合わせた温度のお湯にすると、今度は体のほうがぬるすぎちゃって、追い炊きしても、温かくなるまでに時間が掛かって、風邪をひいちゃいそうになる。エヴァンゲリオン的に言えば、「ヤマアラシのジレンマ」ってワケで、お風呂が大好きなあたしとしては、ホントに困ってる。もちろん、手足が温まってからは、どんどんお湯の温度を上げてって、最低でも1時間くらいは温まってるんだけど、天国のようなお風呂から出たあたしを待ってるのが、マグロの冷凍倉庫みたいなお部屋だから、ここでまた「ヤマアラシのジレンマ」に遭遇しちゃうってワケだ。
‥‥そんなワケで、話はクルリンパと戻るけど、手足の先が氷のように冷たくなるあたしとしては、「深夜のマウス」とおんなじくらいに辛いものが、「早朝のハンドル」だ。朝、車に乗ると、とにかくハンドルが冷たくて、マトモに握ることができない。何でかって言うと、知ってる人は知ってると思うけど、あたしのパンダは、ウッドのステアリングに交換してあるからだ。パンダを買った時には、30パイのレザーのステアリングがついてたんだけど、小さすぎて運転しにくかったのと、レザーがザラザラに痛んでるとこがあって汚なかったから、33パイのウッドのステアリングをもらったので、ボスを加工して交換してもらった。
そしたら、これが、冬場になると、冷たいの冷たくないの、どっちなんだい!‥‥ってくらい冷たくて、アイドリングが終わっても、まだ冷たくて握れない。だからって、ハンドルカバーなんていうダサいものは絶対につけたくない。あたしが、車に関してダサいと思ってるのは、ハンドルカバーとシートカバーなんだけど、さらに詳しく言うと、ハンドルカバーとオソロのシフトノブカバーなんかがついてたら、もう完全にアウトだ。サスガに、こんなダサい車はメッタに見かけないけど、ハンドルカバーとシフトノブカバーのオソロって、なんか、おトイレの便座カバーと足元のマットとドアノブのカバーをオソロにしてるのを連想しちゃう。
シートカバーにしても、あたしが何よりもダメなのが、レースのやつだ。運転席も助手席も後ろの席も、ぜんぶ白いレースのカバーがつけてある車って、田舎のタクシーじゃあるまいし、いったいぜんたい、どんなセンスをしてるのか、あたしには1ピコグラムも理解できない。それから、他にもダサいと思うのが、自分の車を「土足厳禁」にしてるのとか、灰皿を小物入れにしてるのとかだ。車に乗るのに靴を脱がなきゃなんないなんて、家の中でも靴を履いてるアメリカ人とおんなじくらい理解できない感覚だ。でも、これまた、人の感性は人それぞれだから、ハンドルカバーとシフトノブカバーをオソロでつけて、ぜんぶのシートにレースのシートカバーをつけて、「土足厳禁」の上に灰皿を小物入れにしてる人がいても、それはその人の感性ってワケで、あたしは別に批判はしない。ただ、あたしからは、死ぬほどダサく見えるってだけの話だ。
で、ウッドのステアリングは冷たいし、でも、ハンドルカバーはつけたくないし‥‥ってことだから、唯一の解決策は、「手袋をして運転する」って道しかないワケだ。それで、あたしは、毛糸の手袋をしてみたんだけど、ウッドのステアリングは、ツルツルすべっちゃって運転ができない。あたしが持ってる手袋は、毛糸のものがほとんどで、あとは、パーティー用のサテンのロングの手袋くらいだから、サスガに運転には使えない。それで、こないだ、カー用品店で探してみたら、ドライバー用の白い薄手の手袋がいろいろあって、どれも手のひらのほうにゴムのイボイボみたいなのがついてて、すべらないようになってた。だけど、一番安いのでも350円もしたから、買わずにお店を出て、その足で大きな100円ショップに行ってみた。そしたら、あたしの予想通りで、さっき見た350円のとソックリなやつが100円だった。
‥‥そんなワケで、あたしは、ついに、「早朝のハンドル」っていう苦手なものを克服することができたんだけど、ここで、あたしの頭の上で、100ワットの電球がパッと点いたのだ。そう、「早朝のハンドル」が克服できたってことは、この手袋を使えば、「深夜のマウス」も克服できるんじゃないか?‥‥ってことに気づいたのだ。それで、すぐに車に手袋を取りに行って、これをしてマウスを握ってみたら、ぜんぜん冷たくない上に、生地が薄手だから違和感もないし、手のひらや指の内側にすべり止めがついてるから、クリックするのも問題なかった。それで、あたしは、「こりゃあワンダホーなことを発見しちゃった!」って思って、次の日に、おんなじ手袋をもうひとつ買って来た。ひとつは車用、ひとつはパソコン用ってワケで、こうすれば、車、お部屋、車、お部屋、車、お部屋‥‥って、手袋を移動し続けなくても済む。そして、今も、この手袋をして、この日記を書き終えた今日この頃なのだ。
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