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2010.03.05

たかがカエルされどカエル

古くは、松尾芭蕉が「古池や蛙とびこむ水の音」って詠んだ「ツチガエル」から、近年では、「ど根性ガエル」の歌で「トノサマガエル~アマガエル~♪」って歌ってるように、カエルにゃいろいろあるけれど、この世で1匹、「平面ガエル」のビョン吉にしたって、ヒロシのTシャツに貼りつくまでは、一般的な種類のカエルだったワケだ。で、「古池や蛙とびこむ水の音」のカエルが、どうして「ツチガエル」なのかってことに関しては、5年前の日記、「古池に飛び込んだカエル」で、あたしが解明してるので、知りたい人は過去ログを読んでもらうとして、そんなカエルたちが、ここ十数年、世界中で激減してる。

そして、カエルの減少が報告され始めた当初は、「環境汚染のセイだろう」なんていう漠然とした見方をしてたワケだけど、米科学アカデミー紀要(Proceedings of the NatioAcademy of Sciences)が、3月1日付で、ホームページ上に、ビックル一気飲みのレポートを発表した。これは、カリフォルニア大学バークレー校のタイロン・ヘイズ教授の研究チームによる報告で、アメリカを中心にして世界各国でもっとも多く使用されてる除草剤の1つ、「アトラジン」が、カエルを始めとした両生類の減少の原因になってる可能性が高い‥‥ってものだった。

で、この「アトラジン」ていう除草剤が、ただ単に「カエルを殺してる」っていうのなら、まあ、普通の話なんだけど、これが、そうじゃないのだ。微量の「アトラジン」を長期間に渡って摂取したカエルは、約10%のオスがメスに性転換しちゃって、オスなのに卵を産むようになっちゃうそうなのだ。だけど、「それならカエルは増えるじゃん」ってことにはならない。ナゼなら、メスに性転換しなかったオスのほとんどは、オスとしての生殖機能を失っちゃうからだ。つまり、100匹のオスがいたら、そのうちの10匹がメスに性転換して、残りの90匹は去勢されちゃうみたいなもんで、その結果、子孫を残すことができなくなっちゃう今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、除草剤の影響でオスのカエルがメスになっちゃうってことは、この除草剤は「女装剤」だったのか?‥‥なんてダジャレを織り込みつつも、「性転換と女装は似て非なるものよ!」って重箱の隅をつかれちゃいそうだから、あんまりダッフンしないように進めてこうと思う。で、今回のレポートは、ヘイズ教授の研究チームが、カエルが減少してて「アトラジン」が検出された土地を1年間に渡って調べて、年間の「アトラジン」の平均濃度を算出した。そして、「アトラジン」の影響を受けてない健康なオスのカエルを80匹用意してて、半分の40匹を普通に育てて、残りの40匹を平均濃度の「アトラジン」の中で育ててて、それを比較した結果が掲載されてる。

これによると、当たり前のことだけど、普通に育てたカエルが普通に成長したのに対して、「アトラジン」の中で育てたほうのカエルは、ナナナナナント! 90%にあたる36匹に、男性ホルモンの「テストステロン」の減少、オスの生殖腺の縮小、咽頭部のメス化などが見られて、このうちの80%にあたる29匹は、完全に精子を作る能力がなくなっちゃったそうだ。そして、精子を作る能力が残ってた7匹の固体も、通常の固体よりも精子の生産量が激減したそうだ。

で、残りの4匹は「アトラジン」の影響を受けなかったのかっていうと、その反対で、影響を受け過ぎちゃって、完全にメスになっちゃったのだ。そして、メスになっちゃった4匹を健康なオスと交尾させたら、ちゃんと卵を産んだそうだ。だけど、ここで、またまた問題が発生しちゃった。この「ど根性ガエル」ならぬ「性転換ガエル」が生んだ卵から孵化したたくさんのオタマジャクシたちは、ぜんぶオスだったのだ。この「オスしか生まれない」って現象が、「アトラジン」の影響によるものなのか、それとも、「アトラジン」の影響でオスがメス化しちゃってるから、それをフォローするためにオスばかり生まれるようになったのかについては、何も書かれてない。

前にも書いたことがあるけど、お魚の世界では、こうした性転換はよくあることで、たとえば、大きな水槽にハゼのオスだけを50匹入れとくと、そのうちの半分は自然にメスに性転換しちゃって、残りのオスとの間に子供を作るようになる。もちろん、すべての種類のお魚が性転換するワケじゃないけど、「ファインディング・ニモ」で有名になったカクレクマノミを始め、自然に性転換するお魚はいろいろいる。これは、すべて、オスとメスの個体数のバランスをとるための現象だから、性転換する種類のお魚でも、オスとメスのバランスがとれてれば性転換しない。

ま、これは、いくら性転換しようとも、メスが産んだ卵にオスが精子をかけて受精させるっていう一連の流れは変わらないワケで、そのメスが「もともとはオスだった」って部分に自然界の神秘があるワケだ。だけど、さらに驚く自然界の神秘として、「マングローブキリーフィッシュ」っていうちっちゃなお魚がいる。メダカの仲間に「カダヤシ」ってお魚がいて、漢字だと「蚊絶し」って書くことからも分かるように、蚊の幼虫のボーフラをパクパクと食べてくれる。で、その「カダヤシ」の親戚みたいなのが「マングローブキリーフィッシュ」なんだけど、このお魚は、1匹の体の中に卵巣と精巣の両方がある上に、それを使って自分だけで受精しちゃうのだ。

たとえば、ミミズなんかも、1匹の体の中に卵巣と精巣があるけど、自分だけで受精することはできない。他のミミズとくっついて、自分のメスの部分と相手のオスの部分、自分のオスの部分と相手のメスの部分で、それぞれ受精する。だけど、この「マングローブキリーフィッシュ」の場合は、自分だけで全工程を済ませちゃうんだから、種族保存的にはスバラシーことだけど、セックス的にはムナシーことだと思う。ま、お魚の場合は、メスが産んだ卵にオスが精子をかけるだけだから、セックス的には、もともとムナシーと思うけど(笑)

とにかく、どんなにちっちゃくても、「マングローブキリーフィッシュ」は脊椎動物だから、動物の中じゃそれなりに複雑な体の構造をしてるワケで、こうして単体で子孫を作るのはとっても珍しい。オスとメスの固体が分かれてるのに、メスだけで子供を産む「単為生殖」ってのは、植物や昆虫みたいに体の構造が単純な生き物には多いけど、脊椎動物には珍しいのだ。でも、自然界の生き物たちは、人間による環境破壊を人間の何倍も危惧してるみたいで、今まではオスとメスがカップルにならないと子供を作ることができなかった生き物たちが、ジョジョに奇妙に「単為生殖」するように突然変異を始めちゃった。

2006年12月21日の日記、「陸人間と海人間」で取り上げたけど、イギリスのロンドン動物園とチェスター動物園の2ヶ所で、オスと交尾してないコモドオオトカゲのメスが、自分だけで正常な卵を産んで、その卵から正常な子供が生まれたのだ。ちなみに、コモドオオトカゲってのは、オスの固体数がすごく少なくて、1匹のオスが何匹ものメスと交尾する「一夫多妻」的な動物なので、動物園で飼われてるのも、ほとんどがメスだそうだ。それで、イギリスの2ヶ所の動物園でも、メスしか飼ってなくて、何年間もオスとの接触がなかったそうだ。

でも、こうした動物園だの人間だのの事情が分からないコモドオオトカゲのメスとしては、いつまで待ってもオスが現われないもんだから、このままじゃ自分たちは絶滅しちゃうと思って、潜在的な種族保存の本能によって、メスだけでも産卵できるように突然変異しちゃったんじゃないかと思う。これは、あたしの推測に過ぎないけど、生き物が自発的に突然変異するのって、つまりは「大急ぎで進化した」ってことなワケで、そこには、突然変異しないと困る状況があるんだと思う。そして、人間以外のすべての動植物の場合は、何よりも大切なことが「種族保存」だから、子孫を作れなくなる情況がもっとも困ることだと思う。

そのため、ハゼのオスだけを水槽に入れといたら、半分がメスに性転換するんだし、何年間もオスと接触してないコモドオオトカゲは、自分だけで卵を産むようになっちゃったんだと思う。ようするに、これは、必然的な変化ってワケで、あたしたち人間から見たらとっても不思議なことだけど、ハゼ的にも、コモドオオトカゲ的にも、当たり前っちゃ当たり前のことなのだ。

だけど、今回のカエルの性転換は、オスばかりが異常に増えたから、その一部がメスに性転換したとかって話じゃない。もともとは、ちゃんとオスとメスとがおんなじくらいいたのに、人間が撒き散らしてる除草剤の「アトラジン」の影響で、オスの90%が生殖機能を失ったり低下したりして、残りの10%がメスに性転換しちゃったっていう、あまりにも酷い話なのだ。そして、その結果、世界各地でカエルが激減してるんだから、これは大変な問題だ。

カエルが激減すれば、カエルが捕食してた昆虫は増殖するし、カエルを捕食してた鳥やお魚や哺乳類は他の動物ばかりを食べるようになるし、次々と連鎖が始まり、生態系のバランスが崩れ、最後には、必ずそのツケが人間に返って来る。それも、これは、アメリカだけの話じゃなくて、このニポンも含めて、世界各国で起こり始めてるってワケで、これじゃあ春になっても、青空球児好児は安心して「ゲロゲーロ!」って鳴くことができなくなっちゃう‥‥つーか、このレポートで、ヘイズ教授は、こんなに恐ろしいことも言ってる。


「アメリカだけでも年間に約3600万キロものアトラジンが農業用の除草剤として使用されており、そのうちの約23万キロは雨になって地上に降りそそいでいるのです。大気中の成分が雨となって地上に降るまでには、1000キロ以上も移動する場合がありますので、アトラジンも、それを使用したエリアだけでなく、そこから1000キロ以上も離れた場所にまで雨になって運ばれ、貴重な原始の生態系が残るエリアにも悪影響を与えている可能性があります。」


ちなみに、この「アトラジン」てのは、スイスの「チバ社」と「ガイギー社」が合併した「チバガイギー社」が開発したトリアジン系の非ホルモン型、移行性除草剤で、ニポンでは「日本チバガイギー社」が販売してるんだけど、「ネコソギ(エース)粒剤」「ゲザプリム」「Gesaprim」「A Atrex,」「Primatol A」「Atratol」って、たくさんの商品がある。それにしても、「ネコソギ」って、除草剤なんだから分からなくもないけど、あまりにもストレートなネーミングだよね。こんな名前を見ると、自民党とナンミョ~党の本部に撒きたくなっちゃうよ(笑)

‥‥そんなワケで、世界各国でもっとも多く使用されてる除草剤の1つ、「アトラジン」だけど、最近の研究では、人体への影響として「乳ガンの発症率を引き上げる」っていうデータもあって、ヨーロッパ連合では、2004年に使用を全面禁止にした。だけど、「アトラジン」は、すごく強力な上に、穀物や野菜や果実の栽培に効果があるのは当然として、特にトウモロコシやサトウキビみたいに短期間で大きく成長する作物に効果があるそうで、アメリカじゃ大量に使われ続けてる。そして、値段も安いことから、途上国でも大量に使われてるし、当然、ニポンでも大量に使われてる。だから、こうした話を聞いて、「たかがカエル」って思う人も、「されどカエル」って思う人も、「無事にカエル」って思う人も、このまま「アトラジン」を使い続けてたら、いつかは自分が「ひっくりカエル」ってことになっちゃうかもしれないので、そろそろ、6年も前に「アトラジン」の使用を全面禁止にしたヨーロッパ連合を見習うべきなんじゃないかと思う今日この頃なのだ。


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