おへそが鳴った日
しばらく前は、寒い日、寒い日、寒い日、暖かい日、暖かい日、暖かい日、暖かい日、寒い日、寒い日、寒い日‥‥って感じの「三寒四温」だったのが、他の地域は分からないけど、少なくとも東京は、寒い日、寒い日、暖かい日、暖かい日、暖かい日、寒い日、寒い日‥‥って感じの「二寒三温」になってきて、さらには、寒い日、暖かい日、暖かい日、寒い日‥‥っていう「一寒二温」みたいになってきて、ジョジョに奇妙に短い間隔で寒暖が繰り返されるようになってきた。オトトイは、気温が20度近くもあって、ポカポカで上着もいらないほど暖かかったのに、昨日は一気に5度くらいまで落ちた上に、冷たい雨まで降り出した。そして、今日は、お仕事で山中湖まで行ったら、道路の脇の土のある部分にはチラホラと雪が残ってた上に、午後からはパラパラと雪が降り出すし、気温は0度くらいの雰囲気で、コートを着てないと外は歩けないほど寒かった。もちろん、これは標高が違う場所の話だけど、それでも、東京に帰ってきても似たようなもんで、雨のセイもあってか、完全に冬の寒さだった。
だけど、明日は、またお日様が顔を出して、今日よりはずっと暖かくなるらしい。つまり、このまま行くと、寒い日、暖かい日、寒い日、暖かい日‥‥って繰り返されるようになり、さらに進むと、1日の前半が寒くて後半が暖かくなり、もっと進むと、1時間おきに寒くなったり暖かくなったりしちゃうワケで、こりゃあオチオチ昼寝もしてらんない。ま、そんなことはアリエナイサーだけど、それでも、1日から2日おきに寒くなったり暖かくなったりされると、何よりも着るものが困っちゃう。しばらく前みたいに、3~4日おきに寒暖が繰り返されてれば、寒い日のお洋服は何パターンかをローテーションしといて、暖かくなったら春物のお洋服を何パターンか出して、寒い日のものと入れ替えればいい。そうすれば、お部屋はそんなに大変なことにはならない。だけど、今は、1日か2日おきに寒くなったり暖かくなったりしてるから、いちいち仕舞ったり出したりしてられなくて、ソファーの上もベッドの上もお洋服が何着が出してあるまんまだし、マッサージチェアの上なんか、小ぶりのマウンテンができつつある今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、あたしは、電気代を節約するために、何年間も、夏でも冬でもエアコンをつけずに生活してる。サスガに、夏は扇風機だけは使うことがあるけど、冬の暖房は電気毛布と湯たんぽだけだ。だから、知らず知らずのうちに、平均的な東京人よりは、暑さや寒さに強くなってるかもしれないと思う。だけど、それは、室温が50度を超えてる熱帯夜の寝室で普通に眠るとか、吐く息が真っ白になる冷凍倉庫みたいな室内で普通にテレビを観るとかの話で、真夏の暑い日も、真冬の寒い日も、どっちも何週間も続く。それも、ある日、突然、ものすごく暑くなったり寒くなったりするんじゃなくて、たいていの場合はフェードインやフェードアウトだから、体が気温に少しずつ慣れてくんだと思う。
で、今の東京の気温の変化は、真夏の暑さにはホド遠い「ポカポカと暖かい日」と、真冬ほどは寒くはない「電気毛布を使わなくてもガマンできるレベルの寒さの日」が繰り返されてるだけなんだから、「暖かい日」は気持ちいいんだから何も問題ないとしても、「寒い日」にしたって、あたしにとっては眼中にないハズだ。真冬には、室内に干してるタオルがバリバリに凍っちゃうようなお部屋で何年間も暮らしてきたあたしにとって、いくら「冬みたいな寒さ」とは言え、昨日や今日の寒さなんて、まだまだブレックファースト前で子供騙しのハズだ。
それなのに、実際の気温とはウラハラに、今日は激しく辛かったし、前回の冷え込んだ日の時も辛かった。それで、久しぶりに、頭脳は子供でもベッドでは大人、迷探偵キッコナンに登場してもらって推理してもらったら、サスガ、これまでに数々の難事件を解決してきたキッコナンだけあって、アッと言う間に謎を解いてくれた。
「それは、寒暖の周期が短いから、寒さに体が適応できないのだと思うわ」
なーるほど!‥‥ってワケで、今日とおんなじ寒さでも、何日も何週間も続いてるんなら体がちゃんと適応するんだけど、1日か2日おきに暖かい日に戻るもんだから、まるで猫の目のようにクルクルと変わる気温の変化に、あたしのこのダイナマイトバディが適応できなくて、それで辛く感じちゃったってことなのね。だから、普天間飛行場の移設問題にしても、選挙中には「最低でも県外、できれば国外」って沖縄の人たちに何度も何度も公約してたハトポッポが、政権交代を実現したトタンに、まるで猫の目のようにクルクルと変わる発言に、沖縄の人たちを始めとした「平和を愛する国民」が適応できなくて、ハトポッポ内閣の支持率は急降下しちゃってるのね。
なーるへそ!‥‥ってワケで、これで、もしも、ハトポッポが「県内」なんてことにでも決めたら、参院選での民主党と国民新党の惨敗は決定ってワケだから、そんな分かりきったことは置いといて、何よりもあたしが気になってるのが、さっきは「なーるほど!」って言って、今度は「なーるへそ!」って言ったのに、意味がまったくおんなじだってことだ。雰囲気的には、「なるほど」のほうがベーシックで、この「なるほど」を少しオチャラケた感じに変形させたのが「なるへそ」なんじゃないかと思うんだけど、一応、インターネットの「日本語俗語辞書」で「なるへそ」を引いてみたら、こんなふうに解説してあった。
「なるへそ」
なるへそとは、納得や理解をしたときに使う言葉。
【年代】 - 【種類】 若者言葉
なるへそとは納得や理解、同意をした際に使う言葉「なるほど」が崩れたものである。『ヘソ』とは体の腹部にあるくぼんだ部分以外に物の中央にある高い部分やくぼんだ部分を意味する。『ほど』は漢字で『火床』と書くと、いろりの中心のくぼんだ部分を意味する。つまり、『ほど(火床)』は『ヘソ』であるため、「なるほど」をなるへそと言い換えたとされている。なるへそは「なるほど」と意味は同じだが、ふざけた言い回しであるため、目上への使用は避けたい。
http://zokugo-dict.com/21na/naruheso.htm
「なるほど」のほうがベーシックで、「なるほど」がライト感覚に変化したのが「なるへそ」ってのは、あたしが想像してた通りだったけど、この解説を読んで、あたしが「あれっ?」って思ったのが、もとになってる「なるほど」のほうだった。あたしは、「なるほど」って、漢字で「成る程」って書くもんだと思ってて、たとえば、「コップに水がいっぱいになる程の~」とか「猫が虎になる程の~」とかの「なるほど」なんだと思ってた。
ふだんのアイサツでも、「ただいま」ってのは、「ただ今、帰りました」の「帰りました」を略したものだし、「さようなら」ってのは、「左様ならば」を略したものだ。だから、この「なるほど」ってのも、文章に使われてる「成る程」の部分だけをピックアップして生まれたものだと思ってた。だけど、この「なるほど」が「なる火床」って書くんだとすると、意味は大きく変わって来る‥‥つーか、「なる火床」なんて、ぜんぜん意味が分かんない。
「ちょっとまって!」
「何よ?キッコナン」
「きっこ、さっきの解説をよく読んでごらんなさいよ。『ほど』は漢字で『火床』と書くので‥‥とか、『ほど』は漢字で『火床』と書くから‥‥とかじゃなくて、『ほど』は漢字で『火床』と書くと‥‥って書いてあるでしょ?」
「うん」
「つ~ま~り~、本来は『程』と書くのだが、それを『火床』と書き換えると‥‥って意味なのよ」
「なーるへそ!サスガ、キッコナン!」
‥‥そんなワケで、あたしの早トチリは、傷が深くなる前に、優秀なるキッコナンに助けられたってワケだけど、この解説文、言っちゃ悪いけど、ちょっと分かりにくいよね? 分かりやすく言えば、まず「なるほど」って言葉があって、この「なるほど」の「ほど」の部分をいろりの中心のくぼんだ部分を意味する「火床(ほど)」に置き換えて、それをさらにおんなじような意味を持つ「へそ」って言葉に置き換えたものが「なるへそ」ってワケだ。
でも、疑い深いあたしは、「ホントにそうなの?」って思った。だって、この解説文、年代は書かれてないし、「~言い換えたとされている」っていう出典不明の書き方しかしてないからだ。それで、あたしは、他もいろいろと調べてみたら、複数のブログやサイトに、「なるへそ」の語源として、「妖怪なるへそ」のことが紹介されてたのだ。ザクッとかいつまんで書くと、1600年代の終わりから1700年代の頭までの元禄期に編集された「日本妖怪大全」ていう全18巻もある全集の中に、「鳴臍(なるへそ)」っていう妖怪のことが書かれてるそうだ。
「鳴臍の茶沸かし」
そのへそ、中秋の満月の夜、供物に饅頭のあるを知るや、突如声をあげるものなり。
その声、秋の虫の声にも似て、声音あくまでも低し。
家人、饅頭の在処を隠せば、それを探し、暴れ、食せば止まることを知らず。
すべて食せば、自力にて茶を沸かし、これを飲むものなり。
家人、これを見て、大いに笑う。
ようするに、「妖怪なるへそ」は、渡辺文雄よりも、竜崎勝よりも、友竹正則よりも、宍戸錠よりも、川津祐介よりも、梅宮辰夫よりも、村野武憲よりも、辰巳琢郎よりも、山下真司よりも、宍戸開よりも食いしん坊で、松岡修造よりも暑苦しい妖怪だったってことだ。そして、お腹がペコペコになった時に、お腹がグーグー鳴ることを現代のあたしたちは「お腹が鳴った」って言うけど、当時は「おへそが鳴った」って言ってたことが推測できる。だから、いつもお腹を減らしてる食いしん坊の妖怪の名前が「鳴臍」になったんだろう。当然、この解説に書かれてる「その声、秋の虫の声にも似て、声音あくまでも低し」ってのは、お腹の鳴る音をイメージしてるんだと思う。
「どう?キッコナン!あたしの推理もマンザラじゃないでしょ?」
「きっこ、まだまだね」
「何で?」
「まあ、そこまでの推理は正しいけど、まだ見落としてる部分があるのよ」
「えっ?どこ?」
「最後の2行よ。おまんじゅうをぜんぶ食べちゃった鳴臍は、『自分で茶を沸かし』じゃなくて、『自力にて茶を沸かし』って書いてあるでしょ?」
「うん」
「『自分で茶を沸かし』なら、いろりとか土間とかで火を使ってお茶を沸かしたことになるけど、『自力にて』ってとこがポイントなのよ。一番最初に「そのへそ」って書いてあることからも分かるように、この妖怪はおへその形をしてるの。そして、お腹がいっぱいなった鳴臍は、自分の上に鉄瓶を乗せて、自分の力でお茶を沸かしたのよ」
「あっそうか!つまり、『へそが茶を沸かす』ってことなのね!」
「そう、だからこそ、それを見た家人は大笑いしてるのよ」
「なーるへそ!それで、大笑いするほどおかしいことを『へそが茶を沸かす』って言うようになったのね!」
「その通り!」
‥‥そんなワケで、300年以上も前の書物に、こんな妖怪が登場してるんだから、最初に読んだ「日本語俗語辞書」の「なるほど」の「ほど」が「へそ」に変化した‥‥って解説は、ナニゲに怪しくなって来た。妖怪だけに(笑)‥‥なんてのも織り込みつつ、キッコナンから刺激を受け続けて来たあたしは、リトル頭の回転が良くなったのか、頭の上で100ワットの電球がピカッと点灯しちゃった。この妖怪が「なるへそ」の語源だとしたら、もともとは漢字で「鳴臍」って書いてたことになるけど、この「臍」ってのは、「臍(ほぞ)を噛む」なんて言葉があるように、「へそ」の他に「ほぞ」とも読む。そう、この読みなら、「鳴臍」は「なるほぞ」って読むワケで、限りなく「なるほど」に近くなる。その上、「臍」のことを「ほぞ」って読んだのは、ずっと昔のことなのだ。つまり、元禄期の「日本妖怪大全」に書かれてる妖怪の「鳴臍」は、もともとは「なるほぞ」って読むものだったのに、それを現代の人にも分かりやすくするために「なるへそ」って読ませるようになったんじゃないのか?ねえ、キッコナン?‥‥って、おいおいおいおいおーーーーい!もう帰っちゃったのか!‥‥って感じの今日この頃なのだ(笑)
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