« キッコゲリオン、復活!(笑) | トップページ | 普天間問題を理解していない平野官房長官 »

2010.03.30

雨のカーテン

あたしのお仕事用のメークブラシは、一部改造してあるんだけど、後輩のヘアメークが欲しがってた。それで、その子から新品を預かってて、もうトックに改造は終わってたのに、会う機会がなくて、なかなか渡せないでいた。で、今日(月曜日)、その子がワリと近くまで来るお仕事があるって言うので、あたしも時間が取れたから、そこまで届けてあげることにした。

5キロくらいの距離だったし、大きな荷物じゃなかったから、あたしは原チャリで行くことにした。それで、余裕を見て11時半すぎに出発することにしたんだけど、出る前にベランダから外を見たら、雲の間に青空が見えたから、チョコっと行ってくるだけだしと思って、フルフェイスじゃなくて半キャップのヘルメットを持って玄関を出た。フルフェイスだと髪もお化粧も乱れちゃうから、近場の場合は半キャップにしてるからだ。

だけど、駐輪場まで降りてったら、ベランダから見える東の空は青空が見えてるのに、反対の西の空は雨雲が覆っててドンヨリしてる。それで、一瞬考えたんだけど、また2階まで戻るのもメンドクサイし、チャチャッと行ってくるだけだから大丈夫だろうと思い、そのまま出発した。そして、無事に待ち合わせのカフェに到着して、あたしは「いいよ」って言ったんだけど、お礼にってランチのパスタをご馳走になったりして、しばらくおしゃべりして、その子のお仕事の時間になり、お店を出たとこで別れた。

そして、原チャリに乗って走り出したトタン、‥‥ポツ‥‥ポツ‥‥ポツ‥‥ポツ‥‥ザザーーーッ!‥‥って、おいおいおいおいおーーーーい!東の空は、まだ雲の間に青空が見えてるのに、何であたしの走ってる場所だけ土砂降りなんだよ!それも、フルフェイスじゃなくて半キャップのヘルメットだから、雨が顔面直撃じゃん!‥‥って感じの今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、あたしは、ワリと大きな道路をそれなりのスピードで車の流れに乗って走ってたから、今さら原チャリを停めてどこかで雨宿りするよりも、距離も短いし、このまま気合いで走って帰っちゃったほうがいいって判断した。だけど、雨粒のひとつひとつが大きくて、マトモに目を開けてられないほどだったので、ちょうどバスが走ってから、バスの後ろにピッタリとくっついて、テール・ツゥ・ノーズで走ることにした。こうすれば、雨を避けることができそうだからだ。

でも、もともとブレーキの効きが悪いポンコツの原チャリに、人間的にブレーキの効かないあたしが乗ってるんだから、それだけでも十分すぎるほど危険だ。その上、さらに路面が濡れてるんだから、こんな状態で前のバスのすぐ後ろを走って、バスのブレーキランプが点灯してからブレーキを掛けたら、どんなに反射神経が良かったとしても、たぶん突っ込むことになる。だから、あたしは、クチじゃテール・ツゥ・ノーズとか言いつつも、ソコハカとなく車間距離をとって走ることにしたんだけど、そしたら、結局、ほとんど意味がなかった。それどころか、停留所にバスが停まるたびに、後ろでジッと待ってなきゃなんないから、ヨケイに濡れちゃった。

細かいことを言うと、原チャリで走ってる時には、雨だから自然と上体をかがめてるし、両足はそろえてカウルの内側に入れてるから、濡れるのは肩から上が中心だ。だけど、原チャリで停止してる時には、足を出してるし、雨は上から降ってくるから、背中とか足とかいろんなとこが濡れちゃうのだ。だけど、これから誰かに会うってことなら別だけど、あたしは自宅に帰るとこだったから、とにかく、もう、アジのヒラキナオリで走るしかなかった。そして、あたしのマンションまで、あと100メートルくらいのとこまで戻って来たら、ザザーーーッ!‥‥ポツ‥‥ポツ‥‥ポツ‥‥ポツ‥‥ピタッ!‥‥って、おいおいおいおいおーーーーい!マンションに着いたトタンに雨がやんじゃったよ!

‥‥そんなワケで、雨はこのまま完全にあがり、この日、二度と降っては来なかった。だから、結果的に言えば、雨が降り出した時点で、すぐにどこかで雨宿りして、やんでから帰ってくれば良かったってことになる。でも、F1を愛するあたしとしては、雨が降って来たからって雨宿りするワケには行かない。雨用のインターミディエイトタイヤでガンガン攻めなきゃなんないし、1ポイントでも上を目指すのが真の原チャリライダーってもんだからだ。

昨日のオーストラリアGPは、雨でクラッシュやコースアウトが連発して、24台中10台がリタイアするっていうサバイバルレースだった。特に悲惨だったのが、オープニングラップで、突然、フロントウイングが取れちゃって、落ちた自分のフロントウイングに乗り上げて大クラッシュしちゃったザウバーの小林可夢偉だろう。他にも、メルセデスGPのシューマッハもフロントウイングを壊してた。だから、あたしは、放送を観終わった直後に、こんなことをツイッターにつぶやいた。


「メルセデスGPは100人乗っても大丈夫なイナバ物置の素材でフロントウイングを作れ!ザウバーは象が踏んでも壊れないアーム筆入れの素材でフロントウイングを作れ!他のチームが迷惑だ!」


そしたら、今日のスポーツニュースに、小林可夢偉のコメントがあった。


「納得いかない。なぜ(フロントウイングが)落ちたのか謎。強化したフロントウイングを頼まないとヤバい」


そうか!本人もあたしとおんなじことを思ってたんだな(笑)‥‥ってワケで、幸運なことに、あたしの原チャリにはフロントウイングもリアウイングもついてないから、落とすことも壊すこともない。だから、リタイアせずに、無事にゴールのマンションまで帰って来ることができたワケだけど、ゴールしたトタンに雨がやんじゃったんだから、ホントに幸運なのかはハナハダ疑問だ。

だけど、熱いシャワーでサッパリして、着替えも終わり、ベランダ側の窓から、出かける前よりも雲がひらけて広くなった青空を眺めながら、「最初から空一面を雨雲が覆ってたなら、たぶん車で出かけたと思うし、原チャリで出かけるとしても、せめてフルフェイスのヘルメットをかぶってったのにな‥‥」って考えてたら、あたしは、あることに気づいた。それは、後輩と別れて原チャリで走り出すまでは、確かに雨は降ってなかったけど、雨が降り出したあとも、このマンションの辺りは雨が降ってなかったんじゃないか?‥‥ってことだ。

だって、東の空には青空が広がってて、西の空には雨雲がドンヨリしてる状況で、あたしは、西へ5キロほど移動したら、雨に降られたからだ。そして、雨に濡れながら東へと戻って来たら、マンションまであと少しのとこで雨がやんだ。ようするに、これは、雨があがったんじゃなくて、雨の降ってるエリアをあたしが抜け出したってことなんじゃないのか?すぐにUターンしたら、また雨のエリアに戻ったんじゃないのか?それで、あたしは、ベランダに出て、下の駐車場の様子を見てみたら、さっきはビショ濡れになってたからそれどころじゃなくて気づかなかったけど、やっぱり、駐車場は雨が降ったような形跡はなかった。どの車も地面も濡れてなくて、いつもの状態だった。

つまり、雨雲は雨を降らせながら西から東へと移動して来てて、あたしは、その雨雲の下をおんなじ方向に向かって走ってて、マンションの西側の200メートルくらいの場所で雨雲を追い抜いたってことになる。そして、この時に東から吹く風に押し戻されて、雨雲はこれ以上は東へ来なかったってことになる。そう考えると、すべてのツジツマが合う。だから、出先で雨に降られたことは「おいおいおいおいおーーーーい!」だけど、マンションに到着する寸前に雨があがったことは「おいおいおいおいおーーーーい!」じゃなかったのだ。

‥‥そんなワケで、あたしは、小学校の時に、雨の降ってるとこと晴れてるとこの境目に遭遇したことを思い出した。夏休み、父さんに連れられて千葉県の館山に行った時のこと、泊まった民宿の裏山でカブトムシやクワガタムシを捕るために、夕方、父さんと一緒にエサを仕掛けに行った。お酒と何かを混ぜた液を湿らせた布を木の幹に巻きつけといて、次の日の朝早くに見に行くと、そこにカブトムシやクワガタムシが集まってるって感じのものだった。あたしは、全般的に虫は苦手だったんだけど、父さんがノリノリで、民宿のおじさんから道具を借りてセッセと準備をしてたので、仕方なく着いてった。

母さんと父さんは離婚の前の別居状態が続いてて、あたしは母さんとおばあちゃんと3人で暮らしてたから、ふだんは会えない父さんと一緒にいられる夏休みの3日間は、あたしにとっては夢のような時間だった。だから、たとえ苦手な虫捕りでも、ずっと父さんと一緒にいたかった。それで、あたしは、ガマンして裏山へ着いてったんだけど、何本かの木の幹や枝にエサを仕掛け終わり、雑木林から出て、父さんと手をつないで広い空き地みたいなとこを歩いてたら、突然、パラパラと大粒の雨が降って来た。

だけど、空は明るかった。普通の夕立だと、それまで明るかった空が急に薄暗くなって、一気にザザーッ!って降って来るけど、この時は、空の3割くらいは薄いグレーの雨雲が覆ってたけど、それよりも日が差してる青空のほうが広かった。だから、お天気雨みたいな感じだったし、夕立みたいな土砂降りじゃなくて、雨の粒は大きいのに密度が粗い感じで、雨のひと粒ひと粒がビー玉みたいにキラキラと輝いてて、スローモーションで降って来るみたいに感じられて、とっても不思議な雨だった。

あたしは、ずぶ濡れになりながら、大喜びで雨の中をピョンピョン走りまわってたら、「おーーーい!」っていう父さんの呼ぶ声が聞こえた。その声に振り返ると、知らないうちに離れたとこまで来ちゃったみたいで、遠くで父さんが両手を振ってた。あたしのいる場所よりも、父さんのいる場所のほうが明るくて、スローモーションで降る大粒の雨のスクリーンのずっと向こうに、大好きな父さんがいた。

当時のあたしは、お家で、夜遅くに寝たふりをして、母さんとおばあちゃんの会話を何度も聞いてたから、このまま母さんと父さんが離婚しちゃうことをウスウスと感じてた。だから、この時、雨のスクリーンの向こうの光の中にいる父さんが、どんどん光に融けてって、そのうち消えちゃうような気持ちがして来て、とっても不安になった。そして、「お父さ~ん!」って叫びながら、必死に駆けてった。だけど、あたしの不安をヨソに、父さんは胸に飛び込んだずぶ濡れのあたしを高く持ち上げてくれて、笑いながらこう言った。


「きみこ、見てごらん。こっちは晴れてるだろう」


「えっ?」って思って空を見ると、ここは雨が降ってなかったし、父さんが「ほら」って言って指差した地面を見てみたら、地面の砂利も乾いてた。そして、さっきまであたしが走り回ってた場所と、父さんが立ってたこっちとの間に、左の雑木林から右の雑木林まで、空き地を横断するように雨のカーテンが広がってた。あたしは、生まれて始めた見た不思議な光景にコーフンして、それまでの不安な気持ちなんか忘れちゃって、父さんの手を引っぱって、雨のカーテンに近づいてった。

雨は土砂降りじゃなかったけど、ひと粒ひと粒が大きかったから、雨のカーテンから向こう側の地面の砂利は真っ黒に濡れてて、こっち側は白く乾いてて、ハッキリと線ができてた。だけど、雨のカーテンに手を入れてみようと思って近づいたら、サスガに境目の降り方は不安定に揺れてて、手だけじゃなくて頭にも雨がパラパラと掛かった。それで、あたしは、雨のカーテンの中へ突入して、また出て来て、また突入して‥‥って、出たり入ったりしてみた。これがホントに楽しくて、あたしが大喜びしてたら、そのうち父さんもやり始めて、最後にはあたしを肩車してくれて、2人で「雨ーーー!」「晴れーーー!」「雨ーーー!」「晴れーーー!」って言いながら、出たり入ったりして遊んだ。とっても楽しくて、とっても不思議な体験だった。

‥‥そんなワケで、次の日の朝早く、雑木林に仕掛けたエサを見に行ったら、カンジンのカブトムシはオスが1匹だけで、あとはメスばかり、クワガタも小さいメスしか捕れなかった。だけど、カナブンをひとまわり大きくしたみたいな形で、ベージュみたいな薄茶色みたいな色で、白いブツブツの斑点があって、ヤタラとヒゲがワサワサしてる気持ち悪い虫がたくさん集まってた。もう、気持ち悪いのなんのって、あたしは失神しそうになった。だって、この虫、見ただけでも気持ち悪いのに、シューシュー鳴くからたまんない。それで、父さんも名前を知らなかったから、その時は「ヒゲ虫」って呼んでたんだけど、今、インターネットの昆虫図鑑で調べてみたら、「ヒゲコガネ」っていう虫だった。そして、久しぶりに「ヒゲ虫」を写真で見たら、30年近くも前の悪夢が蘇ってきちゃって、せっかくの父さんとの大切な思い出が、「ヒゲ虫」の大群に埋め尽くされちゃった今日この頃なのだ(笑)


★ 今日も最後まで読んでくれてありがとう!
★ よかったら応援のクリックをポチッとお願いしま~す♪
  ↓


|

« キッコゲリオン、復活!(笑) | トップページ | 普天間問題を理解していない平野官房長官 »