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2010.03.10

東京野良猫サバイバル

今日の昼間のこと、雨の中、マンションに帰って来て、入り口のとこで傘をひと振りしてから畳み、エントランス‥‥ってほど立派じゃないけど、入り口の通路みたいなとこの集合郵便受けで郵便物をチェキしてたら、外からマックスがトコトコとやって来て、あたしの足にスリスリしながら、「な~う、な~う」って甘えた声で鳴いた。あたしは、今日は白いセーターを着てたので、抱っこするのはマズイと思い、その場にしゃがんで、頭を撫でたりノドをゴロゴロしたりして、しばしのスキンシップを楽しんだ。ほとんどの猫とおんなじで、マックスもシッポの付け根の部分を掻いてやると喜ぶので、あたしは、ノドのゴロゴロとシッポの付け根のカキカキをしてから、バッグから携帯用の「ノミ取りコーム」を取り出して、背中から首にかけて梳かしてあげた。

人の感性が人それぞれなように、猫の感性も猫それぞれで、ブラッシングの仕方ひとつにしても、猫によって好みがある。生まれた時から野良猫で、人間に一度もブラッシングしてもらったことのない子は、最初はビビリまくったりする。一方、心無い人に捨てられた猫の場合は、ブラッシングしてやると、人間に飼われてた時のことを思い出すのか、気持ち良さそうな中にも、何とも言えない切ない表情をする。そして、どんな猫でも苦手なのが、毛並みとは反対方向にブラッシングする「恐怖の逆毛ブラシッシング」だけど、特に春から夏にかけての毛が抜ける時期は、これをやってやらないと、自分で体を舐める時に大量の毛を飲み込んじゃって、お腹の中に毛玉ができる原因になる。

もちろん、毛玉ができるのも自然の摂理だし、そうなれば猫たちはそこらの雑草を食べて、ゲゲーッて吐き出すからいいんだけど、猫によっては、上手に毛玉を吐くことができない子もいる。だから、あたしは、猫たちに順番に「恐怖の逆毛ブラシッシング」をやってるんだけど、これがなかなかコツのいることで、1センチでも逆毛を立てたら嫌がって手に噛みつくペペロンチーノみたいな子もいれば、シッポの付け根から首のとこまで、大きなブラシでザクザクと逆毛を立てても、気持ち良さそうに喜んでるマイケルみたいな子もいて、教師生活25年の町田先生‥‥じゃなくて、ヘアメーク生活17年のあたしでも、なかなか苦労してる今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、あたしは、今日、マックスの背中を「ノミ取りコーム」で梳かしてて思ったんだけど、どうして猫って、傘もさしてないのに、雨の日に濡れないんだろう? これは、前にも書いたけど、雨の日の猫って、足の裏の肉球だけはドロドロに汚れてるから、白いスカートの時にヒザに乗られたりした日にゃあ大変だけど、不思議と背中や頭は濡れてないのだ。もちろん、多少は濡れてるけど、あたしたち人間が傘をささずに歩いた時の濡れ方と比べたら、考えられないほど濡れてない。

それも、猫の場合は、雨にあたる面積が違う。立ってる人間の場合は、前から見たシルエットと、横から見たシルエットと、上から見たシルエットを比べてみると、上から見たシルエットの面積が極端に小さい。だから、風とか、自分が歩行して前進してることとかを計算に入れずに、真上から垂直に雨が降ってくる中に直立不動で立ってたとしたら、濡れる面積は極端に小さい。頭と肩が濡れるだけだ。一方、猫の場合は、前から見たシルエットが一番小さくて、上から見たシルエットが一番大きい。おんなじ条件で雨の中にいたら、頭も背中もシッポも、ほぼ全身がびしょ濡れになる‥‥ハズだ。

それなのに、外から帰って来たあたしが、傘をさしてたのにも関わらず、肩やヒザなどアチコチが濡れてるのに対して、体の最大の面積を空へ向けて歩いてる猫が、傘も差してないのに、ほとんど濡れてない。これは、ホントに不思議なことだ。たとえば、水鳥のように、撥水加工されたみたいな羽毛を持ってれば、あたしが傘をひと振りさせてから畳んだように、ブルブルと体を震わせれば、ほとんどの水分を飛ばすことができるだろう。だけど、猫の毛は、特に撥水加工はされてない。池に落ちればびしょ濡れになるし、お風呂で洗えばバスタオルで拭いてからドライヤーで乾かさなきゃなんない。

たぶん、体から出る脂とかの効果で、人間の髪よりはリトル撥水性があるとは思うけど、それでも、池に落ちればびしょ濡れになるんだから、水を弾くように進化してきた体毛とは言えない。つまり、雨の日でも猫が濡れてないのは、猫が「雨に濡れずに移動するテクニック」を体得してるからで、事実、すべての猫が濡れてないワケじゃない。ずっと昔にあたしが拾って飼ってた猫は、東京が大雪の日に、びしょ濡れになって死にかけてた。まだ生まれたばかりの子猫だったから、心無い人に捨てられたあとに、「雨に濡れずに移動するテクニック」を始めとして、野良猫として生きてくためのテクニックを何ひとつ身につけてない状態で、運悪く大雪に見舞われたんだと思う。

‥‥そんなワケで、何のテクニックも身につけてない子猫でも、雨が降ってくれば、どこか雨に濡れない場所を探して、そこで雨宿りするくらいのことはできると思う。だけど、すぐに雨が上がらずに、1日、2日と続いたりすると、雨の中、どこかへ食べ物を探しに行かなきゃならなくなる。ここで、「雨に濡れずに移動するテクニック」を体得してるがどうかが生き残りのためのポイントになってくる。野良猫は、病気になっても病院に行くことができないから、風邪をひいただけでも命取りになる場合があるからだ。だけど、何日も何も食べなければ、それも命取りになっちゃうワケで、中華屋さんの裏口のゴミ置き場とか、住宅街のゴミ捨て場とか、決まった時間に食べ物をくれるおばあちゃんのお家とか、それぞれの猫が、それぞれの餌場としてる場所へ、雨の中、出かけてくってワケだ。

普通、猫たちは、自分のテリトリーの中に、何ヶ所も身を隠す場所を持ってる。テリトリーのバッティングしてる猫とケンカになった時とか、他のエリアから強い猫が縄張り荒らしに来た時とか、自分の身に危険が迫った時なんかに隠れる場所だ。そして、そうした場所は、たいていは屋根がある。だから、病気やケガをした時に、動けるようになるまで休んでる場所としても使うだろうし、雨が降った時の雨宿りにも使ってるんだと思う。ずっと雨が降り続いてる日は、そうした安心できる場所で雨宿りしてて、ご飯の時間になったら、それぞれの餌場へ出かけるんだと思う。だから、あたしのマンションに来る猫たちも、雨の日はそれぞれの隠れ家にいて、ご飯の時間になったら、あたしのマンションまで来るんだと思う。

だから、あたしのマンションに集まってくる子たちが、みんな、どこに隠れ家を持ってるのかは分からないけど、雨の日なら、それぞれの隠れ家で雨宿りしてるんだと思う。そして、朝と夜の決まった時間に、「あそこへ行けばご飯がもらえる」って思って、あたしのマンションの駐車場にやってくるんだろう。それなのに、どの子も濡れてないから不思議なのだ。そりゃあ、バケツをひっくり返したみたいな土砂降りの日には、猫たちもそれなりに濡れてるけど、それでも、もしもあたしが傘をささずに外へ出たら、わずか5秒で全身が美女濡れ‥‥じゃなくて、びしょ濡れになっちゃうような雨なのに、猫たちは毛の表面だけが濡れてる程度で、毛の奥までグッショリとは濡れてない。ようするに、撥水加工されてるレインコートに雨つぶがついてるような濡れ方なのだ。

で、雨の日にどうして猫が濡れないのか不思議に思ったあたしは、前に、猫たちがあたしのマンションの駐車場までやってくる「猫の道」を調べたことがある。だけど、調べたのが晴れてる日だったからなのか、マックスが消えてったマンションの脇の隙間にも、ジジが消えてった塀の上にも、もんじゃが消えてった隣りのお家とのスペースにも、どこにも屋根はなかった。雨の日におんなじ「猫の道」を通って来たら、どんなに必死に走っても、全身がびしょ濡れになることウケアイだ。だけど、ここは、駅前のアーケード街じゃなくて住宅街なんだから、マンションも一軒家もすべての建物が一定の距離で離れてるワケだし、その間には屋根がない。

だから、猫のいた場所からあたしのマンションまで、できる限り濡れないように、すべてのお家の軒先や床下なんかのベストのルートを通って来たとしても、建物から建物へ移る間には濡れちゃうハズなのだ。それも、すぐ隣りのお家から来るのなら、この「濡れちゃうポイント」は1ヶ所だけだけど、みんな半径200メートルくらいの広いエリアに分布してると思うから、少なくとも「濡れちゃうポイント」は何ヶ所もあると思う。それなのに、ほとんど濡れずにあたしのマンションのまでやって来る猫たち。もしかしたら、どこかで人間の姿に化けて、タクシーにでも乗って来て、マンションの前で猫の姿に戻って、それであたしの前に現われるんじゃないかと思うくらい、ほとんど濡れてない猫たち。ホントに不思議だ。

だけど、こんな問題で、忙しい迷探偵キッコナンを呼び出すのも気が引けちゃうから、あたしなりに自力で考えてみたんだけど、まず、最初に不思議に思った面積の問題については、簡単に解明できた。上から見た面積の大小ってのは、あくまでも無風状態で直立不動ってことが前提なんだから、現実的じゃないってことだ。あたしが、傘をさしててもアチコチが濡れたりしちゃうのは、前進してるために前からも雨が来るからで、猫の場合なら、雨の中をのんびりと歩くハズはなく、最低でも「小走り」をする。つまり、猫の場合は、上から雨が来るんじゃなくて、一番面積の小さい「前面」から雨が来ることになる。

そして、猫の場合は、三角の耳が前を向いてるから、そのまま雨の中を走ったら、耳の中に雨が入っちゃう。だから、敵に向かってシッポを太くして「シャーッ!」って威嚇する時みたいに、耳はコンコルドの翼みたいに後ろへ平たくすると思う。そうすれば、耳の中に雨が入らなくなるだけじゃなくて、空気抵抗も少なくなる上に、路面への肉球のグリップ力も増すから、そのぶん、スピードもアップする。これは、F1的に言えば、天才デザイナーのベン・ウッドが考案した「ダブルデッカーディフューザー」にも匹敵する空力パーツってワケで、東京で生き抜いてく猫たちには、必要不可欠なのだ。たぶん。

‥‥そんなワケで、あたしが出した結論は、「雨の日の猫は耳を平たくしてダッシュで走って来るからほとんど濡れてない」ってもので、イマイチ怪しげだけど、それなりに説得力もありそうだし、総合的には中途半端なものだ。だけど、猫じゃないあたしには、ここまでの推理が精一杯で、あとは猫に聞いてみないと分からない。でも、こんなことを猫に聞けるくらいなら、もっと他にも聞いてみたいことがマウンテンだ。たとえば、「雨が降りそうになるとホントにヒゲがムズムズするの?」とか、「シッポがあるってどんな気分?」とか、「毎日おんなじカリカリで飽きないの?」とか、聞きたいことはいっぱいあるけど、何よりもあたしが聞いてみたいのは、「猫の生活って楽しい?」ってことだ。だって、あたしは、次は絶対に野良猫に生まれて来たいと思ってる今日この頃だからだ。


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