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2010.04.29

パジャマで外出する人たち

世の中には、「これはこうするもの」って決まってるものが多い。たとえば、Tシャツとジーパンがあれば、Tシャツは上半身に着るもので、ジーパンは下半身に穿くものって決まってる。Tシャツを下半身に穿いても、別に法律には触れないけど、そんな人はいない。ふざけて穿いてみることはあるかもしれないけど、それは「Tシャツは上半身に着るもの」っていう常識があっての「ふざけて」であって、最初からシャツにもズボンにもなる「上下兼用服」ってものがあったとしたら、それなら下半身に穿いても「ふざけて」にはならないし面白くもない。

そして、上半身と下半身にちゃんとそれぞれのものを着てても、それがパジャマの場合には、普通は自宅の中だけで着るもので、パジャマのまま外へ出ることはない。立派な一戸建てに住んでる人なら、パジャマのまま庭に出たり、新聞を取りに行ったりするかもしれないけど、これは自宅の敷地の中の話で、そのまま玄関を出てお散歩に行ったりはしない。だけど、中国では、パジャマのまま外を歩いてる人がいるそうだ。もちろん、会社に行く時とか電車やバスに乗ってどこかに行く時には着替えるだろうけど、近所の商店街くらいまでなら、パジャマのまま出掛けちゃう人もいるみたいだ。で、中国政府は、5月1日からの上海万博に間に合わせるように、去年の7月下旬から、万博会場の周辺の住民に、パジャマのまま外を歩くことを禁止した。このニュースをテレビで見た人は、人がたくさんいる場所をホントにパジャマで歩いてる人が何人か混じってて、ケッコー驚いたと思う。そして、「ニポン人はこんなことしない」って思っただろう。

だけど、これにしても、よく考えてみると、ニポンにも似たような場所がある。それは、大きな総合病院だ。病院なら、入院してる患者さんたちは、みんなパジャマで歩き回ってるし、中庭をお散歩したり、屋上でタバコを吸ったりしてる。ま、ここまでは「病院内」だけど、病院を出たすぐのとこにコンビニがある場合なんかは、そこまでパジャマのままお買い物に行っちゃう人もいると思う。そして、あたしたちがコンビニでお買い物をしてて、そこにパジャマの人が入って来たとしても、そこが大きな病院の隣りで、その上、その人が足にギプスをして松葉杖をついてたりしたら、パジャマを着てることに違和感を覚えないと思う今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、人の服装って、その服装自体はおかしくなくても、場違いなとこを歩くとおかしくなる。たとえば、夏の海岸やプールなら水着でいるのが普通だけど、水着で山手線に乗ったり銀座を歩いたりしたら頭のおかしい人だと思われちゃう。海の家なら水着のまま食事をしても違和感ないけど、六本木のレストランに水着で入ったら追い出されちゃう。駅前のラーメン屋さんに入るのにぜんぜんおかしくないTシャツとジーパンでも、そのカッコで結婚式やお葬式に出たら浮きまくりだ。逆に、ウエディングドレスや文金高島田で駅前のラーメン屋さんに入ったら、店員さんやお客さんはみんな驚くだろう。

こうした例から考えれば、中国の人たちの中に、自宅の近所をパジャマでウロウロする人たちがいるのって、それほど驚くべきことでもないように思えて来る。裸が透けて見えるようなネグリジェや下着姿で外を歩くのは問題アリだけど、パジャマならギリギリセーフな感じがして来る。もちろん、あたしは絶対にできないけど、着るものに無頓着になったオジサンやオバサンがパジャマで歩いてても、そんなに気にならないと思う。で、上海の人たちもそう思ってるみたいで、「上海社会科学院社会発展研究所」ってとこが2006年に行なった世論調査では、「パジャマでよく外出する」と答えた人が16.5%、「パジャマで時々外出する」と答えた人が25%、合計で41.5%もの人たちがパジャマのまま外出することを何とも思ってなかったのだ。

だから、去年の7月に、政府が「パジャマ外出禁止令」を発令した時には、万博会場の周辺の人たちから激しい反発が相次いだ。この時に、上海のポータルサイトの「上海熱線」が「パジャマで外出する習慣について」のアンケートを実施したら、「非文化的な習慣だと思う」っていう否定的な人たちが42%だったのに対して、「便利なので良いと思っている」が34%もいた上に、「見たくないなら見るな!」っていうマイウェイな人たちも24%もいて、肯定派のほうが上回ったのだ。

そして、7月下旬から実際に「パジャマ外出禁止令」が施行されても、最初はなかなか従う人はいなかった。一応、各地の住民管理委員会に依頼されたボランティアで組織した「服装指導隊」ってのが、周辺の居住区の出入り口に立ってて、パジャマのまま外出した人に厳しく指導してるそうなんだけど、なかなか言うことを聞かなかったそうだ。そして、「パジャマ外出禁止令」が施行されてから3ヶ月後の10月下旬には、「レコードチャイナ」が、中国大手ポータルサイト「捜狐(Sohu)」のあるブログから、市民の不満の声を掲載した。一部、抜粋すると、こんなことが書かれてる。


「世界のどこの国が「パジャマ外出禁止令」を制定しているというのか?近くまでちょっと買い物に出かける時にパジャマで出かけるなど当たり前のこと。国家のイメージを損なうものではない。超ミニスカにヘソ出しルック、スーパーローライズといった服もあるではないか。政府は市民の自由に干渉するべきではない。」


もちろん、これが中国人全員の認識じゃないけど、先ほどの世論調査やアンケートの結果と照らし合わせてみると、少なくとも中国人の2人に1人か、3人に1人くらいは、「近くまでちょっと買い物に出かける時にパジャマで出かけるなど当たり前のこと」って思ってるんだと思う。そして、この人の書いた内容から分かるように、パジャマで外出することを「当たり前」と思ってる人たちの感覚としては、肌を見せることこそが恥ずかしい、はしたない、みっともない‥‥ってことみたいだ。だから、超ミニスカ、ヘソ出しルック、スーパーローライズよりも、ちゃんと肌を隠してるパジャマのほうが国家のイメージを損なわない‥‥って思ってるのだ。

つまり、服装に関する「恥ずかしい」とか「はしたない」とか「みっともない」ってことの基準が、あたしたちとは根本的に違うワケだ。だから、別に、脚もおヘソもお尻も出してないパジャマで歩いてるのに、何で政府から文句を言われなきゃいけないんだ!見たくないなら見なきゃいいだろ!‥‥ってことなんだろう。パジャマで外出できる感覚は理解できないけど、この「見たくないなら見なきゃいいだろ!」って感覚はよく分かる。だけど、当初は反発した市民たちも、住民管理委員会による根気強い指導で、少しずつ順応させられてった。そして、パジャマで出歩く人たちは、ジョジョに奇妙に減り始めて、今じゃまったく見かけなくなったそうだ。

‥‥そんなワケで、中国政府は、10ヶ月もかけて、何とか万博開催までにパジャマのまま外出する人たちをいなくさせたワケだけど、これは、市民の習慣を直したワケじゃないと思う。今までパジャマで出かけてた人たちは、「便利なので良いと思っている」とか「近くまでちょっと買い物に出かける時にパジャマで出かけるなど当たり前」とか思ってた人たちなんだし、何よりも長年の習慣だったんだから、「パジャマで外出することは国際的な感覚だと恥ずかしいこと」だなんて理解したワケじゃないだろう。監視の目が厳しいからガマンしてるだけで、万博が終わるまでの辛抱だと思ってるに違いない。

だけど、万博は、5月1日から半年間も続く。つまり、期間が長いだけじゃなくて、これから暑い夏が待ってるワケだ。そんな時期に、今まではパジャマのまま気楽にお買い物に行ってたオバサンたちが、メンドクサイ思いをしていちいち着替えなくちゃならない。去年の夏は、「パジャマ外出禁止令」が施行されたばかりで、まだそんなに厳しくなかっただろうから、守らない人たちもいた。だけど、今年の夏は、万博の本番なのだ。もしもパジャマで外出したとこを「服装指導隊」に見つかったら大変なことになる。だから、どんなに厚くても、どんなにメンドクサクても、いちいち着替えてからお買い物に行かなきゃなんない。これは、ソートーのストレスだろう。

その上、中国政府は、万博の開催期間中だけじゃなくて、万博が終わっても、中国が国際社会の仲間入りをするための一環として、この「パジャマ外出禁止令」を続けてく可能性だってある。そしたら、今までずっとパジャマで外出してた人たちにとっては、地獄のような日々が永遠に続くことになる。これは、「見たくないなら見なきゃいいだろ!」って感覚の人たちにとっては、ものすごい重荷になると思う。

そこで、あたしが考えたのが、近所の商店街どころか、電車に乗って渋谷に行ってセンター街を歩いても違和感のないようなデザインのパジャマを開発することだ。フォーマルな服装じゃないと入れないレストランとかは無理としても、Tシャツとジーパンで行けるようなとこなら、どこにでも行けるパジャマ。誰からも変な目で見られなくて、誰もがパジャマだと気づかないパジャマ。だけど、トレーナーやジャージの上下とは違うタイプ。だって、そうしなかったら、「それならトレーナーやジャージの上下をパジャマ代わりに着て寝ればいいじゃん」てことになっちゃうからだ。

パジャマと、トレーナーやジャージの上下との共通点は、上下がオソロになってる点だ。ほとんどのパジャマが、上も下もおんなじ色でおんなじ柄なのと同様に、トレーナーやジャージも上下がおんなじ色だ。そして、中学や高校の時のジャージの上下を着て、渋谷のセンター街を歩くのは恥ずかしいけど、下がジーパンで上だけがジャージなら、その恥ずかしさも半減する。何でかって言うと、これならファッションとして狙ってることになるからだ。つまり、パジャマの場合もこの方式を取り入れて、「上下がオソロ」っていうパジャマの概念を打ち破れば、パジャマっぽくなくなるってワケだ。

‥‥そんなワケで、あたしが考えたのは、上が無地の白で下がボルドーの細いストライプとか、上がブルーの濃淡のグラデーションで下が黒とか、とにかく、「いかにもパジャマ」っていう色や柄はぜんぶナシにして、普通のシャツやブラウスにある色や柄にすることと、上と下との組み合わせを普段の外出着のコーディネイトを参考にしたセットにすること。そして、エリやソデグチやスソやボタンのデザインもオシャレにすれば、マサカ、パジャマだとは思われないだろう。だけど、肌触りのいい素材と、ゆったりしたサイズはパジャマのままだから、着ててラクチンなのは従来通り。そして、何より最大の利点は、いくら外をウロウロしてても、「服装指導隊」に捕まらないってことだ。だから、中国の衣料品メーカーは、いつまでも海外ブランドのパクリばかりしてないで、こうしたオリジナル商品を売り出して欲しい。だって、これこそが、ホントの意味で、中国が国際社会の仲間入りをするための第一歩だと思う今日この頃だからだ。


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