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2010.04.04

「テレビブロス」は生き残る

コンビニの雑誌コーナーに行くと、テレビ番組の雑誌が何種類も並んでるけど、どの雑誌の表紙もおんなじジャニタレだったりするから、パッと見ただけじゃ区別がつかない。もちろん、内容も似たり寄ったりなので、あたしは手に取る気持ちすら起こらない。でも、そんな中に、実物大のアントニオ猪木の顔面を表紙にした「テレビブロス」だけが異彩を放ち、あたしを睨みつけていた‥‥なんて始まり方をしちゃったけど、皆さん、ご存知のように、「テレビブロス」は、あたしが唯一お金を払って買い続けてる愛読誌で、毎号必ず隅から隅まで読んでる。

そして、これも、皆さん、ご存知だと思うけど、あたしは「テレビブロス」を買って来たら、おトイレの本棚に置いて、おトイレに入るたびにチョコチョコと楽しんでる。まずは清水ミチコさんの「私のテレビ日記」を読んで、次に龍ヶ崎あきらさんの「若者たちの神々」を読んで、それから最初のページに戻って、松尾スズキさんの「お婆ちゃん!それ、偶然だろうけどリーゼントになってるよ!!」から順番に読んでく。だから、巻末の読者投稿欄の「ピピピクラブ」を読むのは、いつも最後のほうになるんだけど、今日、ちょうど「ピピピクラブ」を読み始めたら、「人のせいにはいたしません」っていう裸の男の土下座のイラストとともに、久しぶりに「お詫び」が載ってたので、あたしは食らいついた!


「本当にごめんなさい」
3/20号P33のコミックページに掲載した「リミット」の紹介文に誤りがありました。いじめられっ子から一変、狂気の女帝と化すキャラの名前が「盛盛」という非常にポップなネーミングになってますが、正しくは「盛重」です!当初、間違えて「重盛」と書いていた文章に、さらに誤った校正を入れてしまい、結果「夢がMORI×2」みたいになってしまいました。作者のすえのぶけいこ先生、関係者の皆様に深くお詫び申し上げます。ちなみに、サバイバルマンガ「リミット」は「別冊フレンド」(講談社)で連載中。めちゃくちゃ面白いので必読です!(綿)


なんてワンダホーなお詫び文なんだろう!「綿」ってことは、黛 木綿子さんだな。木綿子さん、グッジョブ!‥‥って感じの今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、このお詫び文を読んだあたしは、すぐに前号(クッキングアイドルのまいんちゃんが表紙)の該当記事をチェキしてみた。「テレビブロス」のバックナンバーは、ある程度のぶんをおトイレの本棚に並べてあるから、こういう時にパッと調べられるのだ。そしたら、1ヶ所だけじゃなくて、文中に何度も「盛盛」が登場してた。あたしは、このマンガを知らなかったので、この記事を読んだ時には、まったく気にせずに、たぶん「せいせい」とかって読んでたんだと思うけど、正直、この記事を読んだ時点では、「ふ~ん、こんなマンガがあるんだ」って思っただけで、別に読んでみようとは思わなかった。

だけど、今回の木綿子さんのシャレの効いたお詫び文を読み、こんなお詫び文を許容してくれる作者のすえのぶけいこ先生のノリも嬉しくて、ぜひ読んでみたくなった。「テレビブロス」の愛読者の中で、「別冊フレンド」も愛読してる人は極めて少ないと思うから、今回のお詫び文を読んで、あたしみたいに「リミット」を読んでみようと思った人は多いと思う。

つまり、結論から言えば、今回の原稿が正しく校正されて「盛重」って書かれてたら、ここまで宣伝力はなかったことになる。そして、校正されずに最初の間違いのまま「重盛」って書かれてたとしても、単に訂正するだけのつまらないお詫び文になってたハズだ。ようするに、木綿子さんが思わず校正のクダリを説明したくなっちゃうほど、この「盛盛」ってミスがツボだったワケで、それが功を奏したってことになる。

もちろん、いくら「テレビブロス」だからって、いつもこんな調子なワケじゃなくて、キチンと謝罪する時にはエリを正した謝罪文を掲載してる。たとえば、ずいぶん前のことだけど、日テレの「エンタの神様」の裏話として、オーディションを受けた若手芸人が担当ディレクターの傲慢なやり方を暴露しちゃった時なんか、番組サイドからソートー厳しい抗議が来たみたいで、平身低頭な謝罪文が掲載された。だから、死語を使えば「TPO」をわきまえてるってことで、そりゃあ当然だろう。

でも、他の多くの雑誌の場合は、どんなケースでもマニュアル通りの謝罪文しか掲載しないことが多い。だから、キチンと謝らなくちゃならないケースの時はいいんだけど、今回みたいな面白い校正ミスの場合でも、単に訂正してお詫びしてるだけの、つまらない謝罪文しか掲載しない。今回の「盛盛」なんて、それこそ「おいしいミス」なんだから、これを生かさない手はないだろう。そして、これをミゴトに生かしたのが、「テレビブロス」の編集部の黛 木綿子さんなワケで、結果、あたしは「リミット」を読んでみたくなったし、他にも多くの人が読んでみたくなっただろうし、こうして「きっこの日記」に書いたことで、さらに読んでみたくなった人も増えたと思う。

ニポン人は、とかく形式にコダワル人が多いみたいで、こないだの高校野球の島根県の開星高校の野々村監督が、自分の不適切発言の謝罪会見の時にチンピラみたいなスーツ、シャツ、ネクタイだったことも、ワイドショーの自称文化人たちから、ずいぶん批判されてた。ま、あたしも、こうした自称文化人たちとおんなじで、キチンと謝罪する時には、それなりの服装をすべきだと思ってる。だけど、何から何までマニュアル通りに四角四面に考えるんじゃなくて、状況によって柔軟に対応することこそがマイナスをプラスに変えることにつながると思う。

‥‥そんなワケで、最近、毎日チョコチョコとツイッターでつぶやいてるあたしだけど、しばらく前に、品川の「天王洲アイル」でお仕事してた時に、「天王寺アイルな宇。」って書いちゃったことがある。ちなみに、「な宇」ってのは、松尾貴史さんの「なぜ宇宙人は地球に来ない?」(PHP研究所)の略で、ツイッターで文末につける「なう(NOW)」にカケてるものだ。たとえば、「下北沢なう」ってつぶやけば「今、下北沢にいます」、「カツ丼なう」ってつぶやけば「今、カツ丼を食べてます」って意味なんだけど、ツイッターでは、この「なう」は、すでに廃れてる。それで、松尾貴史さんを中心とした一部の人たちが、「な宇」に変えて遊んでるってワケだ。

で、「天王洲」を「天王寺」に打ち間違えちゃったあたしだけど、すぐにたくさんの人たちから、「きっこさん、大阪にいるんですか?」とか、いろんな返信があった。それで、すぐに訂正しなきゃって思ったあたしは、こんなふうにつぶやいた。


「天王寺→天王洲、でした。どうも洲みません。」


そしたら、「座布団三枚!」とか、「ギャグでわざと天王寺って書いたのかと思ってました(笑)」とかって返信の中に、「お気になさら洲に。」って返信もあった。あたしが間違えずに、ちゃんと「天王洲アイルな宇。」ってつぶやいてたら、ほとんど返信もなかっただろうし、単なる「どうでもいいつぶやき」で終わってたのに、あたしが間違えて、それを訂正してシャレで謝ったことで、ちょっとした楽しいやりとりが生まれたのだ。これは、今回の「テレビブロス」のケースとおんなじだと思う。本来はマイナスでしかない「文字の打ち間違い」なのに、シャレを効かせて訂正したことで、何倍ものプラスの結果につながったからだ。

‥‥そんなワケで、「テレビブロス」の面白さは、こうしたお詫び文が書けるシャレの効いた編集部員がたくさんいるからで、「ピピピクラブ」では、読者からの投稿も面白いけど、それに対する編集部員のレスも面白い。だからこそ、あたしは、毎号隅から隅まで読んでるんだけど、タマに残念だと思うのは、誌面の都合で編集部からのレスがない投稿があることだ。特に、それが、あたしのツボにストライクな投稿だったりすると、「うう、もったいない」って思っちゃう。

たとえば、「リミット」の記事が「盛盛」になってた前号でも、あたしが今世紀最高のパフォーマンスだと確信してる「藤岡弘、のドリップコーヒー」の様子が「ピピピクラブ」に投稿されて掲載されてたのに、編集部からのレスはなかった。あたしは、1年前にNHKの「食彩浪漫」の再放送で目撃して、深夜に笑いが止まらなくなっちゃったことを当時の日記に書いてるけど、この「食彩浪漫」のことも、確か当時の「ピピピクラブ」に投稿されてて、その時は簡単なレスがあったと記憶してる。

だけど、今回は、TBSの「ひるおび!」での様子を報告してて、それが細部に渡るまで描写してある長めの投稿だったことと、藤岡弘、さんの顔写真を入れたイラストを掲載するために、編集部からのレスは割愛したみたいだった。あれほど笑えるパフォーマンスは他にないんだから、「綿」の黛 木綿子さんはもちろんのこと、「倉」の小田倉 智さん、「桜」の櫻木愛子さん、「木」の木下拓海さん、「浅」の浅井加枝子さん、「土」の土館弘英さん、「山」の山本ヒロユキさんたちが、いったいどんなふうにツッコミを入れてくれるか、ホントに読みたかった。さらに言えば、実際に藤岡弘、さんを取材して、ドリップコーヒーの一部始終を特集して欲しいくらいに思ってる。

‥‥そんなワケで、隅から隅まで面白い「テレビブロス」だけど、最近はツイッターで松尾スズキさんや川勝正幸さん、町山智浩さんや掟ポルシェさんをフォローしてるから、より立体的に楽しむことができるようになった。「テレビブロス」に連載してるコラムの裏話的なことが、ツイッターで分かったりするからだ。それから、あたしは、大根仁監督もフォローしてるんだけど、こないだ「ゆらゆら帝国」が解散を発表した時に、大根監督が「モバイルブロス」に書いてた「ゆらゆら帝国」に関する記事も紹介してくれて、とっても役に立った。だから、「テレビブロス」が、読者投稿のお礼にしてる「iTunes Store 3曲無料カード」には、「地デジになったらテレビ雑誌はどうなっちゃうの!?」って書かれてるけど、地デジになっても、他のテレビ雑誌とは一線を画してる「テレビブロス」だけは、絶対に生き残ると思ってる今日この頃なのだ。


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