滑る人たち
ここんとこ、寒くなったり暖かくなったりの繰り返しが続いてるけど、15日の木曜日には、真冬みたいに寒くなった上に雨まで降った。そして、この雨がなかなかやまなくて、次の日まで降り続いた。寒い上に雨なんだから、普通なら車で出掛けるとこだけど、金曜日は、ほんの数キロ先まで行くだけだったのと、大きな荷物もなかったので、できれば節約と環境のために原チャリで行きたいと思ってた。そしたら、出掛ける時間の午前10時に、パッと雨が上がって、雲の間から少しだけ青空が顔を出した。空の感じも、風の感じも、完全に晴れに向かってるって雰囲気で、また雨が降り出すような感じじゃなかった。それで、あたしは、盗んだバイクで天城越え‥‥じゃなくて、自分のバイクで多摩川を越えて行くことにした。
だけど、とにかく寒かったから、冬物の厚手のブルゾン、デニムパンツ、スニーカー、手袋、マフラーっていう完全防備にした上に、しばらく前に原チャリで出かけた時に、半キャップのヘルメットだったのに出先で土砂降りになって大変な目に遭ったから、今回は、ヘルメットもフルフェイスにした。そして、あたしは、元気よく出発して、ガソリンスタンドに寄ってから目的地へ向かおうと思ったワケだけど、5分も走らないうちに、大変なことになっちゃった。路地の交差点に停止線と「止マレ」の表示があったので、ブレーキをかけたら、原チャリがまっすぐな状態で軽くブレーキをかけただけなのに、突然、タイヤが左にツルッと滑って、あたしは、ワケが分からないまま、倒れた原チャリと一緒にザザーッて滑っちゃった。
雨がやんだばかりで路面が濡れてたから、「止マレ」のペイントでタイヤが滑っちゃったみたいで、あたしは、「盗んだバイクで天城越え」でもなく、「自分のバイクで多摩川越え」でもなく、「倒れたバイクで停止線越え」をしちゃったワケだ。そして、不思議なことに、原チャリは右に倒れたのに、原チャリと路面の間に挟まって打撲したのは左足の足首だったし、デニムパンツの右足のヒザは破けてないのに、中のヒザは擦りむけて流血してた。だけど、完全防備とフルフェイスのオカゲで、お仕事に使う両手も、小学生並みの脳みそも、美しすぎる顔も無事だった今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、原チャリでコケたって聞くと、それなりに危ない状態を想像するかも知れないけど、今回は、路地だから20キロくらいしか出してなかったし、そこからブレーキをかけたから、コケた時には10キロくらいだったと思う。だから、猛スピードからキキーッて急ブレーキをかけてドカーン!ってぶつかったような事故じゃなくて、ほとんど止まってるような状態でツルッと滑ってコケたって感じで、ぜんぜん大したことはない。だから、原チャリは、右のミラーがアサッテの方向を向いちゃっただけで、どこも壊れなかったし、あたしも軽傷で済んだ。だけど、これは、単に完全防備をしてたからとか、ほとんどスピードが出てなかったからとかってだけじゃなくて、実は、ものすごい秘密があったのだ。
知ってる人は知ってるだろうけど、あたしの原チャリは、ホンダの「DIO」、そして、これは誰も知らないことだけど、あたしのフルフェイスの名前は「石仮面」‥‥ってワケで、これで多くの人がピンと来たように、あたしは、原チャリのタイヤがツルッと滑った瞬間に、「世界(ザ・ワールド)」を使って時間を止めたのだ。だけど、まだ修行が足りないあたしは、1~2秒しか時間を止めることができないから、完全に逃げることができなかった。左足のスニーカーが原チャリの後ろのキャリアに引っかかっちゃって、そのまま倒れ始めた。そして、その瞬間、本物のDIOが現われて、こう叫んだ。
「もうおそい!脱出不可能よッ!無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァーーーーッ!!」
それで、あたしは、左の足首を打撲して、右のヒザを擦りむいたってワケだ。そして、これは、あたしの思い上がった心が招いたケガでもあった。ナゼなら、あたしは、しばらく前に、信号でホンダのモンキーに乗ったお兄さんと並んだ時に、ついついライバル心を燃やしちゃって、青信号に変わると同時に一気に加速して、ミラーの中で小さくなってくモンキーのお兄さんを見ながら、こんなセリフを叫んだからだ。
「猿(モンキー)が人間に追いつけるかーッ!お前はこのディオにとってのモンキーなんだよジョジョォォォォーーッ!!」
こんなセリフを言っちゃうほど思い上がってたあたしは、自分の力を過信してて、ガソリンスタンドに着く前にスタンドを使うハメになっちゃった。そして、トッサに発動したスタンドのザ・ワールドも、あたしの能力不足から、完璧に操ることができなくて、結果、軽傷を負っちゃったってワケだ‥‥って、「何をアホなことを言ってるの?」って思われるかもしれないけど、ジョジョの14巻の第5話で、海の中から正体不明のスタンドに襲われた承太郎と家出少女が、船の上の花京院のスタンドに助けられたあと、この少女を謎のスタンドの使い手かも?って疑うシーンがある。そこで、アヴドゥルが、少女に向かって、「おい DIOの野郎は元気か?」ってカマをかける。すると、護身用のナイフをちらつかせながら、少女が叫ぶ。
「この田吾作どもッ!おれと話がしてーのか、それとも刺されてーのか、どっちだッ!ァアー?DIO?バイクの名かそれはァッ!」
ジョジョの宿敵、DIOの名前は、「ブラックサバス」のロニー・ジェイムス・ディオの名前と、彼のバンド「DIO」からの命名で、ホンダの原チャリとは関係ない。だけど、この少女のセリフが証明してるように、ジョジョの作者の偉大なる荒木飛呂彦先生が、自ら「DIO」はバイクの名前だって認識してるんだから、その「DIO」に乗ってるあたしが、「石仮面」と名づけたフルフェイスのヘルメットまでかぶれば、DIOのスタンド、ザ・ワールドの能力を使えるようになることは火を見るよりも明らかだろう。だけど、あたしのザ・ワールドは、本家のDIOみたいに、5秒以上も時間を止めることはできない。いいとこ1~2秒だから、今回、ケガしちゃったってワケだ。
‥‥そんなワケで、くだらない妄想はこれくらいにしといて、マジメなことを書くけど、あたしは、どうしてコケたのか、今でも分からない。あたしは、原チャリには15年以上も乗ってるし、自慢じゃないけどウイリーで走れるほど運転には自信がある。その上、ツルツルだったタイヤも、ちょっと前に新品に交換したばかりで、前後ともにバッチリだ。もちろん、新品のタイヤでも、雨の日は滑ることくらい分かってるから、コーナーでは原チャリをなるべく寝かさないように曲がってるし、特に路面のペイントやマンホールのフタが滑りやすいってことも分かってる。だから、今回も、路面に大きな文字で「止マレ」って書いてあったから、原チャリをまっすぐにしたままブレーキを軽めにかけた。それなのに、そのままの状態で減速しながらペイントの上まで来たら、急に真横にツルッと滑ったのだ。
たとえば、ペイントの上でタイヤをロックさせたとか、ペイントの上で原チャリを寝かせたとかなら、雨で路面が濡れてれば、そのまま滑ってコケる可能性は高い。だけど、ペイントの手前からブレーキをかけて減速してって、原チャリがまっすぐな状態でペイントの上に乗ったのに、どうしてツルッと真横に滑ってコケたのか、あたしには理解できない。だけど、どんなに理解できなくても、実際に滑ってコケたことは事実なんだから、これから似たような路面の状況に遭遇した場合には、DIOのザ・ワールドには頼らずに、自分の運転技術で回避しなくちゃいけない。だって、今回は他に車や人がいない路地だったから良かったけど、これが交通量の多い交差点だったりしたら、大事故につながってたかも知れないからだ。
あたしが路面のペイントで滑ってコケたことをツイッターでつぶやいたら、たくさんの人が心配してくださったんだけど、バイクに乗ってる人たちからは、自分も雨の日に路面のペイントで滑って転倒したことがある、とか、コーナーの真ん中にマンホールのフタがあるから危ない、とか、いろんな体験のコメントをいただいた。あたしは、雨の日はほとんど車で、原チャリに乗るのは晴れの日ばかりだから、今までそんなに意識したことはなかったけど、いつもバイクに乗ってる人たちにとっては、雨の日のペイントやマンホールのフタは、まるで事故誘発のワナみたいなもんだってことが分かった。
ニポン全国の道路がおんなじ状態じゃないと思うし、雨の日にもタイヤが滑らないペイントとかも開発されてるとは思うけど、実際、どこにでもある普通のペイントであたしがコケたのは事実だし、他にもコケたり危ない目に遭った人はたくさんいるハズだ。中には、路面のペイントが原因で、大きな事故を起こした人もいるだろう。そして、そうした人たちのほとんど‥‥って言うか、全員が、あたしみたいにザ・ワールドを使って時間を止めることはできない。スタンドが使えなくても、せめて波紋が使えれば何とかなると思うけど、今のニポンには、リサリサ先生から波紋の指導を受けたのは、あたししかいない‥‥って、また、妄想モードに逆戻りしちゃったけど、とにかく、行政は、不必要な道路を造る予算があるのなら、その前に、全国のツルツル滑るペイントや、コーナーの真ん中にあるマンホールのフタを何とかして欲しい。
たとえば、ガソリン1リットルあたり約25円も課税されてる暫定税率にしても、自民党政権時代には、いくら30年以上も続いて来たとは言え、あくまでも「暫定税率」だったから、法的には、いつでも廃止にすることができた。そして、この暫定税率を廃止にするって公約を掲げたのが、今の政権与党の民主党だった。だけど、民主党は、政権交代したトタンに、次々と公約を反故にし始めて、このガソリン税の暫定税率にしても、廃止にするどころか、他の名目に書き換えちゃったのだ。つまり、もう「暫定」じゃないんだから、あたしたちドライバーは、この意味不明な税金を永久に巻き上げられ続けることになっちゃったのだ。
正直、こんなことになるくらいなら、今まで通りに「暫定税率」のままにしといてくれたほうがずっと良かった。結局は、あれほど「廃止します!」って連呼しちゃった手前、引くに引けなくなって、タテマエとして「暫定税率」って言う名前だけを廃止にしたってのがホントのとこなんだから、百歩ゆずっても詐欺かペテンとしか言いようがない。その上、ガソリン本体の価格に消費税が課税されるんじゃなくて、数々の税金が課税された価格に消費税が課税されてるっていう「税金の二重取り」に関しても、まったくノータッチ。これだけでも改善してくれたら、あたしたちドライバーの負担は軽くなるのに、こんな国家ぐるみの詐欺行為までバトンタッチするなら、政権交代した意味がない。
民主党の嘘つき議員たちは、苦し紛れに「ガソリンの価格が150円を超えたら課税をストップする」なんて、その場しのぎのイイワケをノタマッたけど、全面的に無料化するって公約してた高速料金にしたって、「社会実験」とかっていう意味不明な理屈で値上げをするそうだ。高速料金を無料化した場合の渋滞状況だの排ガスだのを調査するのなら、まずは段階的に安くしてくとか、部分的に無料にしてくのが普通なのに、今よりも値上げして、どうして無料化した場合の状況が分かるのか、あたしの高卒の脳みそじゃ理解不能だ。タバコ税の引き上げしかり、あたしから見ると、結局は「取りやすいとこから取る」っていう自民党方式とおんなじにしか見えない。挙句の果てに、まだ政権交代してから半年しか経ってないのにも関わらず、早くも消費税の引き上げの議論まで始める始末。次から次へと公約を破っておきながら、いったいぜんたい、どのツラを下げて「消費税の引き上げ」なんてセリフを口にできるんだろう?
あたしは、自民党政権時代から言い続けて来たように、頭ごなしに増税に反対してるワケじゃない。税金が引き上げられても、それがちゃんとあたしたち国民のために使われるのなら、ホントに困ってる人たちのために使われるのなら、何も文句はない。だけど、実際には、自民党と官僚と企業とが癒着して、あたしたちの血税を自分たちで山分けしてたから、国民の怒りは頂点に達して、政権交代へとつながったワケだ。それなのに、政権交代してみたら、民主党の掲げたマニフェストは「絵に描いたモチ」ばかりで、やってることと言えば、何の意味もない「事業仕分けパフォーマンス」だってんだから呆れ返る。公約を破ったどころか、公約と正反対のことをして、今まで「暫定」だった税率を恒久的なものにしちゃったんだから、せめて、その税金で、ニポン中の滑りやすい路面のペイントやマンホールのフタを何とかして欲しい。
‥‥そんなワケで、あたしは、いくら民主党が公約を破り続けても、自民党政権に逆戻りしたり、先物取引会社から巨額の迂回献金を受け取ってた渡辺善美が代表をつとめる「みんなの党」なんかが勢力を拡大するよりは、現政権のほうが遥かにマシだと思ってる。だから、子ども手当ても高校無償化も無関係で、ガソリン暫定税率の据え置きや高速料金の値上げやタバコ税の引き上げなど、あたしにとってはマイナスばかりの民主党だけど、それでも何とかガマンして見守ってるワケだ。だけど、これは、5月の末までの話で、ハトポッポが沖縄の人たちに対して「最低でも県外、できれば国外」って自分の口で何度も繰り返して約束したことを守らなかった場合には、あたしは民主党をバッサリと見捨てる。そして、徹底的に攻撃して、参院選でボロボロにしてやる。でも、これは、すべて民主党自身の責任だ。自分たちの掲げた公約の上で滑り続けてる民主党にしても、自分の言った言葉の上で滑り続けてるハトポッポにしても、こんなに滑りやすいペイントをしたのは自分たちなんだから、今になってペイントを塗り替えるなんてことは絶対に許されないと思う今日この頃なのだ。
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