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2010.05.08

記憶の引き出し

ここんとこ、「鋼の錬金術師」が佳境を迎えて、毎回毎回サイコーに面白い。1ヶ月くらい前には、プライドやキンブリーと戦うアル、大量の人形兵と戦うエドやスカーたち、スロウスと戦うオリヴィエ・アームストロング少将、エンヴィーに追われるメイ・チャンと小パンダのシャオメイ‥‥って、どれも目が離せないバトルが同時進行で繰り広げられてて、まるで、あたしのリスペクトしてるウォン・カーウァイ監督の作品みたいな感じだった。そして、それぞれが手に汗握る展開で進み、エンヴィーはマスタング大佐にやられちゃう。あんなに生意気でムカついてたエンヴィーだったのに、最後にちっちゃいトカゲの姿に戻って自決するシーンでは、かわいそうで涙が出ちゃった。

あたしの大好きなオリヴィエは、圧倒的な強さのスロウスだけでなく、人形兵たちにも襲われるんだけど、そこに弟のアレックス・アームストロング少佐が助けに現われる。そして、錬金術と筋肉のダブル攻撃で攻め続けるも、なかなかトドメを刺すことができない‥‥って思ってたら、先週、「通りがかりの主婦」のイズミ・カーティスが、ダンナのシグと一緒に助けに来た。アームストロング少佐とシグとの筋肉の競演、おかしかったけどカッコ良かった。

一方、とうとう「お父様」との再会を果したホーエンハイムは、地下でものすごい戦いを繰り広げちゃうし、キング・ブラッドレイが戻って来た中央司令部では、バッカニア大尉がキング・ブラッドレイにやられたとこに、リンの姿のグリードが登場する。そして、ブラッドレイに押され気味のグリードの元に、フーじいさんが助太刀に現われる。もちろん、こうしたアチコチでのバトルと平行して、ストーリーの本筋はシッカリと「約束の日」へ向かってるワケで、最終的には、すべての枝葉がひとつになるんだと思う‥‥ってワケで、「鋼の錬金術師」は、テレビでは日曜日の夕方に放送してるけど、GyaOでも1週間遅れで配信してるから、テレビを見逃したり録画し忘れても大丈夫な今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、あたしが一番楽しみにしてた「犬夜叉」は終わっちゃったし、大好きだった「プリキュア」はシリーズ最低の駄作になっちゃったし、今シーズンはロクなアニメがない。昔から観てる「ちびまる子ちゃん」とかは別だけど、この春から始まったアニメだと、あたしは、「RAINBOW 二舎六房の七人」だけしか観てない。ちなみに、「RAINBOW 二舎六房の七人」も、GyaOで1週間遅れで配信してるから、見逃しても大丈夫だ‥‥ってワケで、アニメ不作の今シーズンだから、佳境を迎えて面白くなって来た「鋼の錬金術師」は、とっても貴重な存在だ。

昔、「ドラゴンボールZ」を観てた時って、べジータとの戦いも、フリーザとの戦いも、セルとの戦いも、こうしたボス戦の間にあったギニュー特戦隊とかの戦いも、すべてがとにかく引き延ばされまくってたから、ホントにイライラした。大好きだから観てたのに、たった1人との戦いに何週間も掛かるから、「今週も決着つかないのかよ!」って毎回思ってた。それも、「ドラゴンボールZ」の場合は、ひとつの戦いだけを延々と引っ張りまくって、その戦いの勝負がつくまでストーリーも止まったままだから、ヨケイに長く感じちゃうのだ。

だけど、「鋼の錬金術師」の場合は、たとえば、スロウス戦なんかは、4週か5週に渡って続いてたけど、ぜんぜん長く感じなかった。それは、他の複数の戦いと同時進行してた上に、メインのストーリーがどんどん進んでたからだ。さらには、最初はオリヴィエと戦ってて、そこに中央軍の兵士がやって来たり、人形兵が襲って来たり、弟のアームストロング少佐が助けに来たり、最後にはイズミ・カーティスとダンナのシグが助けに来たりって、次々と展開してったからだ。

あたしは、原作のマンガは読んだことがないし、最初は「鋼」を「銅」と見間違えて、「銅の錬金術師」だと思い込んでたほどのシロートなので、今、テレビで放送してるアニメが、原作に忠実に作られてるのか、テレビ用のストーリーなのかは分からない。だけど、どっちにしても、ものすごく良く練られて脚本が作られてることは確かだし、何よりも、場面転換のタイミングが計算し尽くされてると思う。同時進行してる複数の戦いが、AからB、BからC、CからD‥‥って変わってくタイミングが絶妙で、それぞれの長さも重要度によって比重が振り分けられてる。そして、AやBやCの合流が素晴らしい。

たとえば、エドやスカーたちが、次から次へと沸き出して来る大量の人形兵に手を焼いてるとこに、マスタング大佐とホークアイがやって来る。そして、マスタング大佐が焔の錬金術で人形兵たちを一気に焼き払った‥‥と思ったら、メイ・チャンと、メイ・チャンを追ってたエンヴィーが頭上に開いた穴から落ちて来る。で、エドやスカーやマスタング大佐たちとエンヴィーとが対峙することになるんだけど、ここでマスタング大佐は、親友フューズの仇であるエンヴィーを自分ひとりでやっつけるからって言って、エドやスカーたちを先へ行かせる。

つまり、人形兵と戦ってたエドやスカーたちをA、マスタング大佐とホークアイをB、メイ・チャンを追うエンヴィーをCとすれば、まず、AとBが合流して、そこにCも合流して、そのあとにAが離脱して、BとCが残ってバトルを繰り広げるってワケだ。そして、これと同時進行で‥‥っていうか、数週間ぶんをマトメて書いてるから多少は前後しちゃうけど、東方の演習場でキング・ブラッドレイの乗った列車の爆破の報を受けてニヤリとするグラマン中将、スロウスと死闘を繰り広げてるアームストロング姉弟、中央軍を戦車で攻撃するブリッグズ軍、ブラッドレイ夫人を保護してラジオ局に立てこもってるマスタング大佐の部下たち、戦車の砲撃の音に隠れて中央司令部本部まで錬金術で穴を掘って進んで来たイズミ・カーティスやバッカニア大尉たち、キンブリーを倒してプライドの魔の手から逃げて来たアルたち、そして、「お父様」とホーエンハイム‥‥っていう複数のシーンが織り込まれてくんだから、ものすごい脚本だと思う。そして、これだけでもワンダホーなのに、さらには、真ん中のCM入りと明けのアイキャッチが、毎回、その回のストーリーに関連したキャラに変わるとこなんかも素晴らしいサービス精神&コダワリだと思う。

‥‥そんなワケで、映画によくあるパターンで、まったく関係ない別々のストーリーが同時進行で切り替わってって、それが最後の30分くらいで合流してラストへ向かう‥‥ってのがある。もっと凝ったのになると、別々のストーリーが途中で何らかの接点を持ったりして、ビミョ~に交差しながら進んでくってのもある。小説でも、マンガでも、このパターンは多用されてるけど、巧くできてるのはホントに面白い。ひとつのストーリーだけが一直線に進んでく映画だと、最後まで1枚の絵を観るような平面的な視点で観ちゃうけど、複数のストーリーが同時進行してく映画の場合は、それぞれのストーリーは平面的な視点で観てても、それが合流した時に、立体的な視点で観ることになる。だから、バラバラだったピースが組み合わさってパズルが完成したみたいな気分になれる。

もちろん、「鋼の錬金術師」の場合は、こうしたパターンとは別で、もともと接点のあるキャラたちが別々に行動してるワケだ。だから、この「パズルが完成したみたいな気分」は味わえないけど、それでも、複数の戦いやシーンが同時進行してって、それらが複雑に絡み合ってくから、全体像として立体的に観ることができる。ここが、「ドラゴンボールZ」とは違うとこで、べジータやフリーザとの戦いが何週間にも及ぶとイライラしてきちゃうのは、それが1枚の絵を観てるような平面的な視点になっちゃうからだと思った。

でも、人間て、ものすごい記憶力って言うか、ものすごい能力を持ってると思うのが、「少年ジャンプ」とかの週刊マンガ雑誌に関してだ。あたしは、もう20年以上、マンガ雑誌は読んでないけど、子供のころは読んでた。たいていのマンガ雑誌には、十数作品が連載されてて、そのうち、いくつかは毎週読み切りの1話完結だけど、残りはぜんぶストーリーがつながってて、多くの人は続きを読みたいから次の週も買うワケだ。だから、おんなじマンガ雑誌を毎週買い続けてる人たちは、一冊に何作品も掲載されてるいろんなマンガのストーリーをぜんぶ暗記してることになる。もしも、何冊ものマンガ雑誌を愛読してる人がいたら、その人は、何十作品ものストーリーをぜんぶ暗記してることになる。

これは、ものすごいことで、その人の頭の中では、同時に何十ものストーリーが同時進行してることになる。それも、次の号が発売になるまでの1週間、毎日、学校に通ったり会社に行ったりしてるワケで、いろんなことを考えたりしてるワケで、それなのに、次の号が発売になれば、一瞬のうちに先週号からのストーリーが今週号へとつながるのだ。たとえば、愛読してるマンガ雑誌の他に、毎週観てるテレビのアニメやドラマが何本かあれば、そのストーリーも同時進行してるワケだし、新聞の日曜版や週刊誌の連載小説とかも愛読してたら、そのストーリーまで加わっちゃう。そして、これらの作品の中には、「鋼の錬金術師」みたいに、複数のストーリーが同時進行してく作品もいくつかあるだろうから、そしたら、毎週楽しみにしてるマンガ、アニメ、ドラマ、小説の数だけじゃなくて、それぞれの作品の中にある複数のストーリーも把握してなきゃなんないワケだ。これは、想像しただけでも脳内パニックだ。

だけど、ほとんどの人は、脳内パニックにならずに、こうしたことを普通にやってるだろう。それは、それぞれのストーリーが、脳内の小さな引き出しに仕舞われてて、続きを読んだり観たりする時に、その引き出しが開くからだ。今週号を読み終わったら、すべてのマンガのストーリーは、それぞれ別の引き出しに仕舞われる。そして、それから1週間、そのマンガのことを一度も思い出さなくても、次の号が発売になって読み始める瞬間に、そのマンガの引き出しが開いて、先週までのストーリーを思い出す‥‥ってシステムだ。

だから、「鋼の錬金術師」の場合でも、別行動してるキャラたちのストーリーは、それぞれ別の引き出しに振り分けられてる。大量の人形兵と戦うエドやスカーたちのシーンから、スロウスと戦うアームストロング姉弟のシーンに切り替われば、脳内の引き出しもパッと切り替わる。そして、前回のスロウスとの戦いのことを思い出し、無理なく今のシーンへとつながるってワケだ。さらには、AとBが合流したり、BとCが別行動を取ったりすれば、脳内では、Aの引き出しとBの引き出しが合体したり、合体してたBの引き出しとCの引き出しが2つに分かれたりしてるワケだ。それも、すべて自動的に。すごいぞ!脳内の引き出しって!

‥‥そんなワケで、あたしは、脳科学者でもないし、それどころか、単なる高卒のヘアメークだから、科学的なことなんてぜんぜん分からないし、脳みそのことなんてもっと分からない。だから、この「脳内の引き出し」ってのは、自分の感覚で言ってることで、何の裏づけもない。ただ、多くの人たちが、いくつもの複雑なストーリーをすべて暗記してるって事実や、1週間、ずっと忘れてても、次の号を読み始めた瞬間に先週号までのストーリーを自動的に思い出すっていう不思議な事実から、あたしなりに考えてみたことだ。だから、人間の脳みそに、ホントに記憶の引き出しに該当する器官があるかどうかは分からないけど、もしも、あるんだとしたら、少なくともあたしは、その引き出しのオカゲで、「鋼の錬金術師」を楽しむことができてるワケだから、タマには引き出しの整理整頓でもして、感謝したいと思う今日この頃なのだ。


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