サンシャイン牧場から学ぶこと
今、あたしの「サンシャイン牧場」は、畑がレベル34で、畜産広場がレベル32なので、畜産広場のほうは、レベル33にならないと飼えないイノシシ以外は、どんな動物も飼うことができる。それで、経験値が稼げるジャージー牛を16頭飼ってたんだけど、とにかく成長するのに時間が掛かるから、だんだん飽きてきちゃった。それで、もっと早く成長する動物に切り替えようと思って、ショップを見てみたら、知らないうちにカピバラが並んでた。変な顔だったんだけど、面白そうだから飼ってみることにした。
そしたら、最初は、丸い胴体に丸い顔で、お団子みたいで可愛かったし、第2段階になっても、ムーミンみたいな顔になるだけで、まあまあ可愛かった。そして、第3段階になっても、その顔が少し細長くなっただけで、色も薄い茶色のままだし、そんなに違和感もなく世話できたんだけど、最後の第4段階になったら、突如、不気味な姿になっちゃった。顔は妖怪みたいだし、胴体にはアバラが浮き出たみたいなスジが入ってるし、色も濃くなって、なんか、オジサンが何十年も使ってて変なツヤが出ちゃった安物の革のお財布みたいで、とにかく不気味な姿になっちゃった。
あたしは、現在のキャパが16匹なので、「端午の節句」のプレゼントでもらった武者人形を5人と、カピバラを11匹飼ってたんだけど、成長したカピバラのあまりにも不気味な姿に、16匹ぜんぶカピバラだったら、きっと大変なことになってたと思った。それにしても、「サンシャイン牧場」って、4月の「桜祭り」の時には酔っ払いのオヤジだのお姉さんだのをプレゼントで配ってたし、なんだかメチャクチャになって来た。一升瓶をぶらさげたサラリーマンのオジサンが、何人も牧場の中をウロウロしてて、どう見てもオジサンなのに、成長に合わせて「1時間後に青年になります」なんて表示されたりして、挙句の果てには、最後にヘベレケになって倒れたとこから、落としたお財布をかっぱらうと、それが売り上げになる。果たして、これが「畜産」と呼べるだろうか?‥‥なんて思ってる人が何百万人もいると思う今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、あたしは、「サンシャイン牧場」の他に、「アニマルパラダイス」「サンシャイン深海」「みんなの農園」「みんなの牧場」「みんなのイケス」「ハッピーアクアリウム」「ハッピータワー」‥‥ってやってるんだけど、正直、とっくに飽きてるし、世話をするのがメンドクサイヤ人になってる。だから、自分のとこは1日に1回くらい巡回してるけど、マイミクさんのとこはほとんど回ってない。「ハッピーアクアリウム」にしても、最初は癒されてたんだけど、今はレベル43になっちゃって、4つの水槽で40匹ずつもお魚を飼ってるから、エサをやるだけでも大変だ。お腹がペコペコの状態だと、1匹のお魚にエサを2振りしなきゃなんないから、160匹のお魚には320回も左クリックしなきゃなんない。その上、汚れた水槽のガラスまで掃除しなきゃなんないから、もう、ウンザリしてる。
さらには、成長したお魚を売るのも、新しいお魚を飼うのも、「1匹ずつ」しかできないのだ。だから、1つの水槽の中のお魚をぜんぶ売って、新しいお魚を40匹買うためには、気が遠くなるほどの手間が掛かる。だけど、これをしないと、お金は儲からない。ようするに、1匹1500円で稚魚を買って、大人になるまで世話して売ると1700円‥‥ていうシステムなんだけど、この作業を40匹やるのは大変だし、その水槽が4つもあるんだから気が遠くなる。それなのに、さっきエサやりに行った時に気づいたんだけど、「今度は水槽を8個まで持てるようになります!」っていう告知があった。おいおいおいおい‥‥それなら、せめて、水槽の中のお魚をマトメて売れるようにしたり、マトメて買えるようにしてくれよ‥‥。
こんな感じだから、ほとんどのアプリに飽きて来た‥‥って言うか、疲れて来たあたしなんだけど、唯一、少しだけやる気があるのが、「サンシャイン牧場」の姉妹アプリの「サンシャイン深海」だ。何でかって言うと、これは、海の深さが3段階になってて、最初は浅いエリアでしかお魚を飼うことができなくて、次が中層のエリアまで使えるようになって、最後に深海のエリアを使えるようになるんだけど、あたしは、今、レベル19で中層のエリアなのだ。そして、次のレベル20になると、いよいよ最後の深海のエリアに行けるようになって、そこには、人魚姫が助けを求めてるのだ。
今は、まだ、深海のエリアは真っ暗で、ぼんやりとしか見えない人魚姫をクリックすると、「助けて‥‥」とか言ってるだけだから、早く全貌を見たいし、早く人魚姫を助けたい。だけど、これが、「サンシャイン牧場」や「アニマルパラダイス」と同じく、レベルアップに激しく時間が掛かる。今は15匹のキャパなんだけど、浅場と中層とで飼えるそれぞれのお魚の中で、一番経験値の高いものをめいっぱい飼って出荷しても、レベルのバーが3センチだとすると、2ミリくらいしかアップしない。成長に時間の掛かるお魚は、何十時間も掛かるのに、やっと成魚になって、ぜんぶマトメて出荷しても、レベルのバーが2ミリくらいしか進まないから、ものすごく忍耐力が必要だ。
それで、あたしは、毎日コツコツと何ヶ月も続けて来て、やっとのことで、レベル19の3分の2くらいのとこまで来たってワケだ。だから、あと一歩で念願の人魚姫に会えることが楽しみで、ちょっとだけワクワクしてる。何の楽しみもなくなった他のアプリと違って、こうした「目標」があると、なんとかやる気を維持できる‥‥ってことで、この「サンシャイン深海」でも、「母の日」に絡めたプレゼントがあって、「母の日」の前後にアクセスすると、クジラの親子がもらえた。それで、あたしは、クジラの親子を3組もらってたので、さっそく育ててみることにしたんだけど、これが、「サンシャイン牧場」のカピバラにも負けず劣らずの不気味さだった。
それも、親だけじゃなくて、子供も不気味なのだ‥‥って言うか、親をそのまま何分の1かに縮小しただけの子供だから、不気味なのは当たり前なんだけど、とにかく、どうしたらこんなに気持ち悪いクジラの絵が描けるのか?って聞きたくなるくらい気持ち悪い。たぶん、シロナガスクジラのつもりなんだと思うけど、死んだような目つきといい、背中の変なコブといい、中途半端なリアルさもたまんないし、何よりも不気味なのが、異様に長い胸ビレを幽霊の手みたいにダラ~ンと垂らして泳いでることだ。
‥‥そんなワケで、あたしは、小学生の時に、お友達のお兄さんから借りた「ゲゲゲの鬼太郎」の単行本を読んでたら、巨大なクジラの妖怪の血を注射された鬼太郎が、そのクジラの妖怪の姿になっちゃうって話があって、すごく恐くて夢にも見たことを思い出した。もう30年近くも忘れてたのに、「サンシャイン深海」の不気味なクジラを見たら、一瞬で思い出しちゃった。それほどのインパクトがあったってことだ。だけど、「サンシャイン深海」のクジラは、最初から不気味で、それがそのまま成長してくから、「今まで可愛かった動物が、突然、不気味になる」っていうカピバラみたいな意外性はない。
この「意外性」で言えば、何ヶ月か前に、「サンシャイン牧場」の畜産広場と「アニマルパラダイス」にいたサルだろう。もともと、中途半端にリアルで、そんなに可愛くなかったけど、まあまあ普通に見られる程度の外見だった。それが、寿命を迎えたトタンに、全身がボロボロに風化しちゃって、少ない髪の毛が逆立ったオジサンみたいなっちゃって、地面に両手をついてガックリして、「もう働けません」なんてつぶやいてる。それを屠殺場に送るトラックに乗せてドナドナすると、ものすごい罪悪感に打ちひしがれるってスンポーだった。
これは、今でも飼うことができるオウムにも言えることで、元気なうちはカラフルなオウムが、寿命を迎えたトタンに、全身の色が薄汚れたみたいになっちゃって、地面にグッタリしちゃうのだ。そして、あたしにできることは、やっぱり、屠殺場に送るトラックに乗せてドナドナするだけだ。ついでに言うと、酔っ払いのオジサンやお姉さんの場合も、最後には屠殺場に送るトラックに乗せてドナドナするしかないワケで、こうしたシビアなシーンを見るたびに、中国との文化の違い、中国の人たちとの感覚の違いを感じちゃう。
ニポンの場合は、自分たちの食べる動物を自分で殺して食べるケースはマレで、ほとんどの人は「すでにスライスされてパックに入ってる肉」を買って来るだけだから、自分がその動物を殺してるって意識がない。「命を食べてる」って意識が希薄なんだと思う。だけど、中国の場合は、目の前でその動物を殺し、解体し、調理して食べることが多いから、たとえスライスされてる牛肉や豚肉を買って来て食べる場合でも、その前にある「屠殺」って行為も視野に入ってるんだと思う。「命を食べてる」って意識が強いんだと思う。だから、こうしたホノボノとした育成ケームにも、ニポン人なら「見ないふり」や「知らないふり」をする「屠殺」を思わせる描写が、当たり前のように組み込まれてるんだと思う。
‥‥そんなワケで、すでに490万人が登録してる「サンシャイン牧場」を筆頭に、135万人が登録してる「アニマルパラダイス」、80万人が登録してる「サンシャイン深海」は、どれも中国の会社が開発、運営してるアプリだから、ニポン語がおかしいのは日常チャーハンだ。「桜祭り」の時の酔っ払いにしても、オジサンは「ヨッパライ親父」なのに、女性のほうは「ヨッパラウ彼女」になってた。「アニマルパラダイス」では、ちょっと前に、「桜まつりイベント第三期」「新しいはじり、新しいお友達」って書いてあった、あたしは、「新しいはじり」って何だろう?って思ってたら、しばらくして「新しい始まり」に直されてた。文字通り、「ま」抜けなミスだ。だけど、こうした言葉の間違いを笑うよりも、あたしは、「動物の肉を食べるなら屠殺も視野に入れて食べろ」っていう無言のメッセージこそが、こうしたアプリを通じて、中国から学ぶべきことだと思った今日この頃なのだ。
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