ダイヤモンドはただの石?
先週、あるジュエリーメーカーのカタログとポスターの撮影をしたんだけど、その中のメインの撮影が、ネックレスとイヤリングと指輪とブレスレットで合計数千万円ていうダイヤモンドのジュエリーを身につけたモデルさんの撮影だった。指輪とブレスレットを左手につけて、その手を頬のあたりにそえて、自然なポーズで4種類のジュエリーが映り込むようにする‥‥ってもので、モデルさんが、あたしの大好物の美女だったから、とっても楽しかった。
モデルさん自身がメインの被写体の場合は、そのモデルさんを美しくすることがあたしのお仕事だ。タレントでも、グラビアアイドルでも、その人自身がメインの被写体だから、テーマや衣装に合わせて、その人の魅力を最大限に引き出すようにヘアメークを施す。でも、あたしの場合は、商業広告のスチールが専門なので、今回みたいに、モデルさんが何かの商品を身につけてたり、手に持ってたりするパターンが多い。だから、メインの被写体はその商品てワケで、今回の場合なら、モデルさんが身につけてるジュエリーが、より美しく見えるように、より映えるように、モデルさんのヘアメークを決める。
これは、スタイリストもおんなじで、ものすごく分かりやすい例をあげれば、赤い色の家庭用消火器のポスターを撮影する時に、その消火器を手にしてるモデルさんに赤い服は着せないってことだ。もちろん、これは、あまりにもザックリした例で、今回みたいにジュエリーの場合、特にダイヤモンドの場合は、スタイリストやヘアメークの腕の見せどころになる。モデルさんの特性を生かした上で、クライアントを十分に満足させられる「最低でも100点、できれば120点」の作品を作り上げなきゃなんない。あたしたちはプロだから、「最低でも100点て言うのは、あくまでも努力目標だった」なんて子供みたいなイイワケは通用しない今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、あたしは、自分じゃ生涯、絶対に手にすることのできない数千万円ていうダイヤモンドのジュエリーの撮影をしたワケだけど、もしもロト6で2億円が当たったとしても、アラブの石油王が10億円くれたとしても、あたしは、ダイヤモンドを買うつもりはない。何でかって言うと、ダイヤモンドには興味がないからだ‥‥って言うか、宝石全般に興味がないからだ。どんな宝石も、見れば美しいとは思うけど、所詮は「石」なのに、そんなものに何十万円も何百万円もの価値があるとは思えないのだ。
だけど、あたしは、真珠だけは大好きだ。もちろん、本物なんて持ってないけど、パールのネックレスは大好きだから、競馬で何百万円なんてチョー大穴が当たったら、本物のパールのネックレスを買いたいと思う。シンプルな一連も欲しいし、淡水パールのロングも欲しいし、バロックパールのロングにも憧れる。パールのネックレスは、何よりも見た目の美しさが素晴らしいけど、あたしの場合、それだけじゃなくて、できるまでの過程も好きなのだ。真珠は、皆さんご存知の通り、アコヤ貝を始めとした貝の中にちっちゃな核を入れて、それにカルシウムやタンパク質がまつわりついてできる「貝のウンコ」みたいなものだ。だから、貝の中で真珠ができてく過程を想像すると、気が遠くなるほどの長い年月をかけて鍾乳石ができてく過程の短縮版みたいに思えて、すごくワクワクしてきちゃうのだ。
だから、あたしは、パールのネックレスだけは、いつかは本物が欲しいと思ってるけど、他の宝石には興味がない。誰かがプレゼントしてくれるなら、ダイヤモンドよりも鉱物標本セットのほうが遥かに嬉しいし、5センチくらいのリチア電気石なんてプレゼントされたら、嬉しすぎてオシッコ漏らしちゃうかもしれない(笑)‥‥ってワケで、この辺のことは、2008年6月19日の日記、「地球はミネラル」と、2008年12月22日の日記、「あたしの欲しい物♪」に詳しく書いてある。
だけど、いくら「ダイヤモンドよりもリチア電気石のほうが欲しい」って言っても、電気石ってのはトルマリンのことで、10月の誕生石だ。つまり、宝石の原石ってワケで、宝石には興味のないあたしだけど、原石は大好きってことになる。これは、熱帯魚を飼うよりも、黒メダカやクチボソを飼うほうが好きって感覚とおんなじで、あたしの場合、人間が手を加えたものよりも、自然のままの姿のものを美しいと思うからだ。こんなこと言うと、ヘアメークの存在意義を否定してるみたいになっちゃうけど、それはそれ、これはこれで、プロのヘアメークには「その人の内面の美しさを引き出す」っていう技があるから、ある意味、メークすることで「自然の姿」「本来の姿」になるってワケだ。
‥‥そんなワケで、話はクルリンパと戻るけど、あたしの大好きな原石から、あたしの興味のない宝石を作り出すと、当然のことながら、大きさは小さくなる。たとえば、530.2カラットもある世界最大のダイヤモンド、「カリナンダイヤモンド」も、1905年に南アフリカのプレミア鉱山で発見された時には、ナナナナナント! 3106カラット、重さは620グラム以上もあったのだ。だけど、この巨大な原石が、そのままの大きさの宝石になるワケもなく、当時の技術で最高のカットをしたけど、何とか作れたのが元の大きさの6分の1の大きさのダイヤモンドだったってワケだ。
もちろん、他の部分を無駄にしたワケじゃなくて、残りから世界第2位の大きさのダイヤモンドも作られたし小さなダイヤモンドもたくさん作られた。こうした鉱物には「目」があって、「目」に逆らってカットしようとするとコッパミジンになっちゃうそうだから、いくら3106カラットもある巨大な原石でも、「目」を読んでカットするとこんなもんなんだろう。ま、この「カリナンダイヤモンド」の場合は、原石の状態で政府が買い取り、原石の状態でイギリスの王様、エドワード7世へ献上されて、エドワード7世が専門の会社にカットさせたから、それ以来、ずっと、王様の持つ杖、「王笏(おうしゃく)」に飾られたまま、ロンドン塔に収められてる。つまり、誰の手にも渡ってないのだ。
これが、どういうことなのかって言うと、巨大なダイヤモンドが複数の人の手を渡ったりすると、その途中で、いくつかに割られちゃうことがあるからだ。特に、途中にドロボーが入ってると、必ずと言っていいほど、盗品だってことを隠すためにカットしちゃう。価値が下がっても、盗品だってことがバレるよりはマシだからだ。映画「イージーライダー」で、ピーター・フォンダとデニス・ホッパーが乗ってるみたいなバイクのことを「チョッパー」って呼ぶけど、これは、もともとは盗んで来たバイクの部品を外したり分解したりして、盗品だってことが分からないように組み立て直したことから、「切り落とす」って意味の「チョップ」が語源だって言われてる。
だから、たとえば、あるドロボーが、1カラットのダイヤモンドが何十粒も使われてる高価なネックレスを盗んだとしたら、そのままの状態でどこかに売りに行くことはしないだろう。必ず、バラバラに分解してから、何ヶ所かに売ると思う。有名なとこだと、フランス革命の原因のひとつだと言われてる「首飾り事件」がある。1774年のこと、ルイ15世が、何人もいた愛人のうちのひとりのデュ・バリー夫人にプレゼントするために、540個ものダイヤモンドを使った首飾りを宝石商に作らせたのだ。お値段は、本日2度目のナナナナナント! 190億円だ。だけど、納品の寸前に、ルイ15世は天然痘で亡くなっちゃった。それで、宝石商は困っちゃって、ルイ16世の王妃となったマリー・アントワネットに買ってもらおうとしたんだけど、マリー・アントワネット的には、自分と確執のあったデュ・バリー夫人のために作らせた首飾りなんて買いたくない。それに、値段だってメチャクチャ高かったから、マリー・アントワネットは買わなかった。
で、それから10年後の1785年のこと、この首飾りの話を耳にしたラ・モット伯爵夫人のジャンヌは、ニヤッと笑って「チャ~ンス!」って思った。ナゼなら、ジャンヌは、普段から自分のことを「マリー・アントワネットと仲がいい」って嘘をついて、あちこちから金品を騙し取ってたペテン師だったからだ。そして、ジャンヌは、マリー・アントワネットに嫌われてるのに宰相の座を狙ってたローアン大司教に近づいて、ワナにかけることにした。「自分はマリー・アントワネットと仲がいい」「マリー・アントワネットが例の首飾りを代理購入して欲しいって言ってる」「この要望を聞けば、あなたをきっと宰相にしてくれる」って嘘をついたのだ。まんまと騙されたローアン大司教は、首飾りの代金を支払い、ジャンヌは、その首飾りを持って逃げちゃった。
ま、この辺の流れは、池田理代子さんの代表作の「ベルサイユのばら」を読んだことのある人ならオナジミだと思うけど、この首飾りがどうなったのかって言うと、もちろん、540個のダイヤモンドはバラバラにされて、いろんなとこに流れちゃった。だから、首飾りは現存してないし、この540個の中のひとつのダイヤモンドが、あなたの持ってる指輪で輝いてるって可能性もあるのだ。そして、ペテン師のジャンヌがどうなったのかって言うと、もちろん、逮捕されて、鞭打ちの刑を受けたあとに、両肩に「Voleuse(泥棒)」の頭文字の「V」の焼印を捺されて、投獄されたんだけど、脱走してイギリスへ逃げちゃう。だけど、1791年のこと、隠れ住んでたロンドンのアパートで、頭がおかしくなって、窓から転落して、35才の若さで死んじゃった。
そして、マリー・アントワネットは、ジャンヌとは一度も面識がなかったのに、勝手に名前を使われたことから共犯者扱いされちゃって、国民から言われのない批判を受けた。ま、もともとマリー・アントワネットの浪費グセは国民から批判されてたから、何かあるたびに批判の対象になってて、これが、フランス革命の原因のひとつだって言われてるユエンだ‥‥ってワケで、こんなにすごい大事件、あたしたち庶民から見ると雲の上の話みたいだけど、フランスの王族ともなると、日常チャーハンとまでは言わないけど、似たようなことが連発してるのだ。この首飾り事件は、もともとはルイ15世が発端だけど、その前のルイ14世の時にも、おんなじような事件が起こってる。それが、「呪いのダイヤモンド」として世界一有名な「ホープダイヤモンド」だ。
文献によって、1642年とか、1660年とか、1666年とか、いくつかの説があるんだけど、このくらい時期に、インドのヒンズー教の寺院にあったシータの女神の像から、片方の目玉が盗まれた。この象は、両目に巨大なブルーダイヤモンドをはめてたのだ。で、最初の持ち主は、フランスの貿易商のジャン・バティスト・タべルニエって人なんだけど、これも、盗んだヤツからタベルニエが買ったって説もあれば、タベルニエ自身が像から盗んだって説もあって、真実は定かじゃない。だけど、タベルニエがインドで112.5カラットもある巨大なブルーダイヤモンドを手に入れて、これをフランスに持ち帰ったことだけは間違いない事実で、1668年、タベルニエは、このダイヤモンドをルイ14世に買い取らせた。
そして、ルイ14世は、このダイヤモンドを職人にカットさせて、67.5カラットのハート型の宝石なった。つまり、この時点で、すでに半分くらいの大きさになっちゃったワケだ。で、ルイ14世が病死して、わずか5才で即位したルイ15世は、子供のころからやりたい放題のワガママで、大人になっても政治なんてホッタラカシで、何人もの愛人を作って遊び呆けてた。だから、ルイ14世から受け継いだ、このハート型のダイヤモンドも、お気に入りの愛人、デュ・バリー夫人にホイホイとプレゼントしちゃった。その上、例の190億円の首飾りまでプレゼントしようとしたんだから、ものすごい入れ込みようだったことがうかがえる。
だけど、さっきも書いたように、ルイ15世は天然痘で亡くなっちゃって、愛人であるデュ・バリー夫人の居場所は無くなり、このダイヤモンドは、ルイ16世が即位したことによって王妃になったマリー・アントワネットのものになった‥‥のもトコノマ、そう、フランス革命だ。そして、マリー・アントワネットは、1793年10月16日、コンコルド広場で、ギロチン台の露と消えた。享年37、あたしの今の年だ。
一方、例のダイヤモンドはと言えば、マリー・アントワネットが処刑される1年ほど前に、フランス革命のドサクサの中で、6人組の窃盗団が王室の宝物庫に侵入して、他の宝石類とともに盗み出していた。そして、それから30年、複数の宝石商などの手を経た1820年代に、オランダの宝石商が、45.5カラットに研磨しちゃった。112.5カラット→67.5カラット→45.5カラットってことだから、ずいぶんと小さくなっちゃった。そして、小さくなったダイヤモンドは、こともあろうに、この宝石商の息子が盗んじゃったんだけど、この宝石商と息子は、2人とも自殺したそうだ。
それから、どんな流れなのかオークションに出品されて、宝石のコレクターとして有名だった銀行家のヘンリー・フィリップ・ホープが、1万8000ポンドで競り落とした。つまり、これが、「ホープダイヤモンド」って名前の由来なんだけど、この時点では、まだ「ホープダイヤモンド」とは呼ばれてない。そして、このダイヤモンドは、ヘンリーの甥っ子、その孫へと受け継がれるんだけど、その過程で「ホープダイヤモンド」って名づけられた。でも、この孫が、1896年に破産しちゃって、せっかく名づけた「ホープダイヤモンド」を手放すことになる。そして、裁判所の売却許可が下りた1901年から10年間、何人もの宝石ブローカーの手を渡ってくうちに、値段がどんどん釣り上がって行き、1910年、「カルティエ」の創始者のひとり、ピエール・カルティエが買い取った。
そして、カルティエは、このダイヤモンドを装飾し直して、ワシントンポスト紙の社主の内妻だったエヴェリン・ウォルシュ・マクリーンに売却した。マクリーンは、1947年に61才で病死したんだけど、債務があったので、相続人が弁済のために、このダイヤモンドを宝石商のハリー・ウィンストンに売却した。そして、最後の持ち主だったハリー・ウィンストンは、1958年に、このダイヤモンドをワシントンのスミソニアン博物館へ寄贈して、今日に至る‥‥ってワケだ。
‥‥そんなワケで、確かに、病死したルイ14世や15世、ギロチンで処刑されたマリー・アントワネット、自殺した宝石商の親子、病死したマクレーンなど、不幸な最期を迎えた人たちも多いし、ホープ家からカルティエの手に渡る間にも、何人ものブローカーが不幸な死に方をしてるっていう話も残ってる。また、一番最初の持ち主のフランスの貿易商、タべルニエにしても、船から落ちて溺死したとか、野犬の群に食い殺されたとかって話が残ってるけど、これは、あとから「呪いのダイヤモンド」の伝説をそれらしくするために作られた話で、実際にはタべルニエは長生きしたとも言われてる。それに、この「ホープダイヤモンド」にホントに呪いの力があるのなら、展示してるスミソニアン博物館でも不幸な事件や事故が起こるハズだ。それなのに、50年も何も起こってない。
だから、呪いなんてのはプラスアルファの価値をつけるための創作なんだろうけど、そんな創作なんかしなくたって、45.5カラットもあるダイヤモンドなんだから、天文学的な値段だと思う。ちょうど1年くらい前に、ジュネーブでのオークションに7カラットのブルーダイヤモンドが出品されて、1050万スイスフラン(約9億円)で落札されたってニュースがあった。これは、ものすごくコンディションが良かったために、1カラットあたりの落札額としては世界最高だそうだ。そして、2年前には、ロンドンのオークションで、35.5カラットの巨大なダイヤモンドが、2430万ドル(約23億円)で落札された。これは、コンディションはイマイチなんだけど、ひとつのダイヤモンドの落札額としては世界一だそうだ。
これらの例から考えれば、45.5カラットもある上に、ルイ14世だのマリー・アントワネットだのの手を経て来たブルーダイヤモンドともなれば、どう転んだって、ものすごい金額になることウケアイだ。競馬でチョー大穴を当てて、その配当金をすべてロト6やジャンボ宝クジにつぎ込んで、1等賞が何十本も当たらないと買えない値段だと思う。だから、あたしは、こんな時、ダイヤモンドに興味がなくて、ホントに良かったと思う。こんなことを考えてても、ぜんぜん虚しくならないからだ。
そして、限りなく自分に都合よく考えちゃうあたしの場合は、こんな時、「金色夜叉」を思い出すことにしてる。「金色夜叉」は、あまりにも有名だから、尾崎紅葉の原作を読んだことがない人でも、夜の熱海の海岸で、貫一がお宮に向かって「ダイヤモンドに目がくらんだのか~!」って言って、ライダーキックを炸裂させて、「来年の~今月今夜のこの月を~僕の涙で曇らせてやる~!」とかってセリフくらいは、昔の歌謡曲とか、お芝居とか、映画とかで知ってると思う。
ザックリと言えば、貧乏な書生の貫一は、お宮のことが好きで、ナニゲに結婚の約束っぽいことをしてたんだけど、資産家の御曹司の富山唯継(とみやまただつぐ)っていうキザな男に、お宮を奪われちゃう。それで、その辺のことをハッキリさせようと海岸に呼び出すんだけど、最低最悪の性格の貫一は、「僕を捨てるのか?」とか「僕をかわいそうだと思わないのか?」とか、最初はウジウジと女々しいことを長々としゃべり続けて、それでもお宮が言葉を濁してると、突然、ブチ切れちゃって、今度はお宮に罵声を浴びせ続ける。それも、「お前はハラワタの腐った女だ!」とか「姦婦(かんぷ)!」とか、挙句の果てには「僕は生きながら悪魔になって貴様のやうな畜生の肉を食らってやる!」とか、もうメチャクチャ。そして思いっきりライダーキック(笑)
で、もともとコンプレックスの塊だった貫一をここまで発狂させちゃった富山唯継が、物語の冒頭、みんなが集まってるお正月のカルタ大会の席に登場する時に、指にしてたのがダイヤモンドの指輪だった。原作では、「金剛石」って書いて「ダイアモンド」ってルビが振ってあるんだけど、ダイヤモンドなのにルビーとは、これいかに?‥‥なんてのも織り込みつつ、これで分かるように、「金色夜叉」の「金色」とは、ダイヤモンドの色なのだ。そして、富山唯継の指のダイヤモンドを見た若者たちは、みんないっせいに驚いて、「金剛石(ダイアモンド)!」「うむ、金剛石だ」「金剛石」「なるほど金剛石!」「まあ金剛石よ」「あれが金剛石?」「見たまへ金剛石」「あらまあ金剛石」「すばらしい金剛石」「おそろしく光るのね、金剛石」「三百円の金剛石」って口々に感想を述べる。
そう、みんなが驚いたダイヤモンドは、300円だったのだ。もちろん、これは、この小説が新聞に連載されてた時期、明治30年の300円だ。明治30年ころは、1円が現在の1万2000円くらいだったから、300円は現在の360万円くらいになる。そんなに高価なものを自分たちとおんなじくらいの若い男が身につけてたんだから、みんなが騒ぐのもうなづける。だけど、そんなこと考えずに読んでれば、「300円なら、あたしでも買えちゃう!」って思える。これこそが、時空を無視した自分勝手なきっこ方式だ(笑)
‥‥そんなワケで、あたしの場合、できるだけ、人間が生きて行く上で必要最低限のモノしか買わずに暮らしてるから、あたしが買ってるモノの対極にあるのが、ダイヤモンドだと言っても過言じゃない。つまり、あたしにとっては、興味がないだけじゃなくて、もっとも不要なモノってことになる。もちろん、こんなことを言い出したら、世の中には不要なモノが溢れてるけど、その中でもダントツに不要なモノがダイヤモンドであり、人間の欲望と愚かさの象徴がダイヤモンドなのだ。ようするに、愚の骨頂ってワケで、時には、こんなモノのために、人と人とが憎しみ合ったり、奪い合ったり、殺し合ったりもする。だけど、これは、マイノリティーであるあたしの感性であって、世の中の大多数の人たちは、この単なる「石」で夢を見たり、喜びや幸せを感じたり、生活の糧にしたり、中には巨万の富を築いた人もいる‥‥ってワケで、ナンダカンダ言ってるあたしも、よくよく考えてみれば、ダイヤモンドのオカゲでジュエリーメーカーのお仕事にありつけたワケだから、結局は、それなりに恩恵にあずかってたと思う今日この頃なのだ(笑)
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