セックスとピストルと
あたしは、車を運転してる時って、たいていはラジオのパーソナリティーのおしゃべりや音楽を聴いてるんだけど、それと平行して、お仕事のアイデアを考えたり、俳句を考えたり、ダジャレを考えたり、謎カケを考えたりしてる。だけど、最初から「よし!今日はお仕事のアイデアを考えるぞ!」って決めてるワケじゃなくて、ナニゲないことを考えてるうちに、そこからジョジョに奇妙にダッフンしながら発展してく。だから、何を考えるようになるかは、あたしにも分からない。
ラジオのパーソナリティーのおしゃべりの中に出て来た単語だったり、目に入った看板の絵や文字だったり、前の車のナンバーの数字だったり、普通の人なら素通りしちゃうようなナニゲないことに引っかかっちゃって、そこから変な思考回路が活躍し始めちゃう。たとえば、前の車のナンバーが「41-88」だったりすると、あたしは、「おっ!良い母だ!」って思い、それから「でも、良いパパとも読めるな」って思う。そして、「88」は「母」と「パパ」のどっちにも読めるってことから、「ハハ」と「パパ」っていうカタカナが気になって来る。実際とは逆で、「ハハ」がお父さんのことで、「パパ」がお母さんのことなら、「ハハ」に丸を2つ付ける、つまり、オッパイを2つ付けると「パパ」になる‥‥っていうネタになるんだけどな~なんて考えちゃう。
それから、「パパ」には丸が2つあるけど、「88」になると丸が4つに増える‥‥とか、「パパ」の4本の棒の上の部分が伸びてくっつくと「ペペ」になる‥‥とか、意味のないことを考える。そして、「ペペ」と言えば、一般的には「保積ペペ」だろうけど、あたし的には猫の「ペペロンチーノ」のことだ‥‥って流れから、イタリアンのお店でペペロンチーノを食べてる保積ペペさんのことを想像しつつ、「目黒警察の裏手の変な場所にあった保積ペペさんのお店、『ペペちゃん餃子』って美味しくて評判だったのに、潰れちゃったのかな? それとも、どっかに移転したのかな?」なんて現実的なことも考えたりする今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、あまりにもトンチンカンなあたしの思考回路だけど、逆ギレして政権を丸投げしちゃったフクダちゃんを見習って、あたしは、自分のことを客観的に検証してみようと思う。そのために、今日、車の運転をしながら考えてたことを書いてみたいと思う。ちなみに、これは、運転しながらラジオを聴いてたら、パーソナリティーが映画「セックス・アンド・ザ・シティ 2」のことを話してて、そこからスタートしちゃった脳内革命の一部始終だ。
「運転中のきっこの脳内/前編」
そう言えば、最近、女子の間で、映画「セックス・アンド・ザ・シティ 2」が話題だから、電車の中でもエレベーターの中でも、女の子同士の会話の中に「セックス・アンド・ザ・シティ」って単語が出て来ることが多いよな。公共の場で、周りに聞こえるような声で「セックス」って言うのは恥ずかしいけど、これに「アンド・ザ・シティ」がプラスされると、トタンに恥ずかしくなくなるんだから面白い。だけど、いくらドラマや映画のタイトルとは言え、若くて可愛い女の子たちが、あっちでも「セックス」、こっちでも「セックス」って連発してると、やっぱり、耳にするたびにドキッとしちゃう。
こないだも、渋谷のあるビルのエレベーターに乗ったら、何人かの人が乗ってたんだけど、エレベーターの扉が閉まって動き出してしばらくしたら、シーンとした中で、突然、1人の20代前半の女の子が「昨日さあ、ヨースケとセックス‥‥」って言い出したもんだから、あたしも隣りのおじさんも、一瞬、ドキッとした。結局、「昨日さあ、ヨースケとセックス・アンド・ザ・シティを観に行ったんだけど、ヨースケったらずっと寝てるんだよ」「男の子にはつまらない映画かもね」っていう女の子同士の会話だったんだけど、やっぱり、耳にするたびにドキッとしちゃう。
テレビでも、若いアイドルや女優が「セックス・アンド・ザ・シティを観に行って来ました」とか「セックス・アンド・ザ・シティを観に行きたいです」なんて言ってるのを何度か目にしたけど、そのアイドルや女優のファンの男子の中には、その番組を録画してた人もいるだろうし、その中には、トークから「セックス」の部分だけを編集して、自分の好きなアイドルが「セックス、セックス、セックス、セックス、セックス‥‥」って言ってる音源を作って、それを聞きながら萌え萌えしたり、挙句の果てにはケータイの着信音にしてるようなマニアもいるんじゃないか?
映画会社としては「SEX AND THE CITY」のイニシャルの「S・A・T・C」って呼び方を流行らせたかったみたいだけど、現実には、テレビでもラジオでも「セックス・アンド・ザ・シティ」って言ってる人のほうが圧倒的に多い。これって、文字で書くぶんには大幅に省略できるけど、言葉でしゃべるぶんには、「セックス・アンド・ザ・シティ」が11音なのに対して、「エス・エー・ティー・シー」は8音だから、そんなに変わらないことが原因だと思う。
さらには、電車の中などの公共の場所で、他の人に聞こえるように「セックス」って言うことがカッコイイと思ってる女の子もいるのかもしれない。実際、ドラマや映画の「セックス・アンド・ザ・シティ」の中には、他にもお客さんがいっぱいいる普通のレストランとかで、周りなど気にしないで「セックス」に関する話題を話すシーンが何度も出て来る。だから、このドラマの登場人物を「カッコ良くてオシャレな都会のキャリアウーマン」だと思い込んでるオーバーサーティーは、ファッションだけじゃなく、オーバーな手振り身振りや言葉遣いまでマネしようとする。
だけど、サスガに、「セックス・アンド・ザ・シティ」の登場人物のように、公共の場で自分のカレシやダンナとのセックスについて大きな声で話したりはできない。だから、せめて、「セックス・アンド・ザ・シティ」っていう映画のタイトルを口にすることで、公衆の面前で「セックス」っていう単語を口にする「あたしもキャリーみたい」っていう自己満足と、「こんなにイケてる映画のことを話題にしてる私もイケてるのよ」っていう周囲への無意味なアピールとを同時に得てるんじゃないのか?
とにかく、最近は、完全に「セックス・アンド・ザ・シティ」を意識してる「カン違いキャリー」や「思い込みサマンサ」が増殖してるよな。ファッションだけならいいんだけど、たいていはオーバーな手振り身振りまでマネしてるから、あたしは「欧米か!」っていう懐かしいツッコミを入れたくなっちゃう。ま、手振り身振りまではガマンできるけど、初対面なのに、あたしのプライベートにまで土足でズカズカと上がり込んで来る神経にはヘキエキとしてる。キャリーやサマンサになりたかったら、青山や六本木じゃなくて、ニューヨークに行ってやってくれ。
‥‥そんなワケで、文章にすると長くなっちゃったけど、あたしは、ラジオから「セックス・アンド・ザ・シティ」って言葉が流れて来ただけで、こんな感じのことをしばらく頭の中で考えた。そして、この先は、こんなふうに変化してった。
「運転中のきっこの脳内/後編」
そう言えば、こないだ、ツイッターで「セックス・アンド・ザ・してえ!」ってつぶやいたら、ヤタラとウケちゃったな。このシリーズ、「セックス・ピストルズ」でも作れないかな? 「ピストルズ」はニポン語っぽくないから無理か。それにしても、「ピストル」って英語っぽくない英語だよな。雰囲気はポルトガル語みたいな感じがするけど、ホントに英語なのかな? そう言えば、英語なら「ガン」とか「ハンドガン」とか言うから、やっぱり「ピストル」は英語じゃないのかな?
だいたいからして、「ピストル」って言葉、ぜんぜん強そうじゃない。「ガン」とか「拳銃」とか言えば強そうなのに、「ピストル」って言うと、なんかオナラが漏れてるみたいな感じで、弱っちく感じる。あと、暴力団が「ハジキ」とか「チャカ」とか言うけど、これも強そうじゃない。なんか、子供のオモチャみたいな感じだ。逆に、一番強そうなのは、「オレのマグナムが火を噴くぜ!」とか「オレのワルサーを甘く見るなよ!」とかって、ピストルの名前を言うパターンだと思う。これなら、ちっちゃくて足首とかに隠してるデリンジャーでさえも、「オレのデリンジャーが火を噴くぜ!」って言われれば、言葉から受けるイメージとしては強そうに感じる。
これは、「ヨーロッパのほうへ旅行に行く」って言われてもピンと来ないけど、「フランスとイタリアへ旅行に行く」って言われるとハッキリとイメージできるのとおんなじで、「具体性によるイメージのリアリティー」だ。だから、デリンジャーの2倍の口径のマグナム44を構えたダーティーハリーでも、「俺のピストルが火を噴くぜ!」って言ったら、言葉としては具体性が消えて弱っちく感じちゃう。あとは、「俺のリボルバーが火を噴くぜ!」とか「俺のセミオートを甘く見るなよ!」とかって、ピストルのタイプを言うパターンも強そうに感じる。
だけど、総称としては、一番強そうなのが「拳銃」で、次が「ガン」で、このあとが「ハジキ」や「チャカ」で、やっぱり「ピストル」が一番弱っちい。だから、ここはひとつ、「ニホン」と「ニッポン」を合体ロボさせて「ニポン」て呼び名を作ったように、ピストルの新しい呼び名を考えてみよう。今のとこ、呼び名は「ピストル」「ガン」「拳銃」「ハジキ」「チャカ」しかないから、この中の2つを組み合わせて、もっと強そうな名前を作ってみよう!
ピストルとガンで「ピスン」、ピストルと拳銃で「ピスジュウ」、ピストルとハジキで「ピスジキ」、ピストルとチャカで「ピャカ」‥‥って、「ピストル」って名前が弱っちく感じるのは「ピス」って部分がマヌケだからで、ここを使ったら何と組み合わせても情けない名前になっちゃう。だから、「ピストル」は後半を使うほうがいいだろう。だけど、ガンとピストルで「ガストル」にすると、なんかファミレスの名前みたいだし、拳銃とピストルで「ケンストル」にすると、なんか「ケンタウロス」とか「ケミストリー」みたいだし、ハジキとピストルで「ハジストル」にすると、なんか電車に乗った時にハジッコのイスを取りたがる人のことみたいだし、チャカとピストルで「チャストル」にすると、なんかイギリスの伯爵みたいだし、どれもパッとしない。
‥‥そんなワケで、あたしは、「ピストル」は前半も後半もカッコ悪いってことが分かったので、ここから先は、「ピストル」以外の組み合わせを順番に考えてった。だけど、ガンとハジキで「ガジキ」にすると、なんか根性の悪いカジキのことみたいだし、チャカとハジキで「チャジキ」にすると、なんか寺山修司さんの「天井桟敷」みたいだし、どの組み合わせもピストルのイメージから離れてくだけだった。そして、それ以前に、もともとは「セックス・アンド・ザ・シティ」のことを考えてたのに、いつの間にか「ピストルの新しい呼び名を考える」ってことになっちゃってて、結局、答えが見つからないまま、目的地に到着しちゃった。車を運転してる時のあたしって、ほとんどがこんな感じで、あまりにも意味のないことばかり考えてるんだけど、これでも「下手なピストルも数撃ちゃ当たる」ってワケで、タマにはお仕事のアイデアや面白いギャグも思いつく今日この頃なのだ。
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