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2010.06.18

続・言論を弾圧したTBS報道局

昨日の続きになっちゃうけど、TBSの「サンデーモーニング」の江川紹子さんと張本勲さんの問題で、「三流軽薄新聞」、略して「サンケイ新聞」が、お得意の「誤報→コッソリ修正」っていうお家芸を炸裂させた。「サンケイ新聞」が18日の18時9分に配信した最初の記事では、紹子さんが番組を休まされることになった経緯について、次のように書いてた。


「番組では激しい口論にはならなかったが、2人の関係がこじれたため、TBS側は両者らを交えて何度か話し合いの場を設けた。しかし関係修復には至らず、江川さんに20日の出演について見合わせるよう、依頼したという。」
http://bit.ly/bUOdOY


ここには、「TBS側は両者らを交えて何度か話し合いの場を設けた」って書いてある。だけど、紹子さんは、「話し合いの場」どころか、張本さんとは一度も会わせてもらってないし、電話でも話してない。それどころか、昨日の日記でも紹介したけど、紹子さんは「念のため申し添えると、私は張本氏と喧嘩をしているわけではないです。TBSには、私の言い方がよくないということであれば、張本氏に謝りに行きますよ、とも言いました。」ってつぶやいてて、この紹子さんからの提案に対して、TBSからは何の回答もなく「なしのつぶて」だと言う。

そして、紹子さんは、この「サンケイ新聞」の記事を読んだ人たちからの質問に対しても、ツイッター上でハッキリと「(放送後は張本氏と)一度もお会いしていません」て明言した。それで、それからしばらくしたら、知らないうちに「サンケイ新聞」の記事が、以下のようにコッソリと修正されたのだ。


「番組では激しい口論にはならなかったが、2人の関係がこじれたため、TBS側は両者と何度か話し合ったが、関係修復には至らず、江川さんに20日の出演について見合わせるよう、依頼したという。」
http://bit.ly/bNjR8L


ま、「サンケイ新聞」の「誤報→コッソリ修正」は、別に今に始まったことじゃないし、場合によっては、わざと誤報を流してるとしか思えないようなケースもたくさんあるから、いちいちツッコミを入れるのもメンドクサイヤ人になっちゃう今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、あまりにもお粗末な「サンケイ新聞」のデタラメ記事だけど、今回の記事にしても、まだ修正されてない「誤報」の部分がある。それは、以下の部分だ。


「同番組内「御意見番スポーツ」コーナーで、張本さんがプロ野球の楽天、岩隈久志投手の途中降板について「喝ッ!」と一喝した後に「最後までマウンドを守るのがエース」などと精神論を説いた。これに対し、江川さんが「えーっ」「途中降板もありなのでは?」などと反論、意見の食い違いがあったという。」


昨日の日記に、問題になったコーナーのすべてのやりとりを文字に起こしてるから、読んだ人は分かると思うけど、紹子さんが「え~!」って言ったのは、コーナーの頭で張本さんが「岩隈、楽天の岩隈!」って言ったあとだ。だけど、この記事では、張本さんが説いた自論に対して、紹子さんが「え~!」って言ったように書かれてる。さらには、紹子さんがヒトコトも言ってない「途中降板もありなのでは?」なんてセリフまで捏造して、「などと反論」なんて書き方をしてる。

確かに、紹子さんは「長いペナントレースの中で無理して出られなくなっても困るし」って発言してるから、主旨としては変わらないけど、発言の順序や言葉を変えて編集するなんて、とてもマトモな報道姿勢とは言いがたい。それにしても、いくら購読者数が最低の三流新聞とは言え、仮にも天下の全国紙の記者が、ツイッターのつぶやきを見て記事を書き、ツイッターのつぶやきを見て内容をコッソリと修正するなんて、あまりにもナサケナイザーだと思う。そして、こんな恥も外聞もないことをやってるから、「新聞はインターネットに淘汰される」なんて言われちゃうんだと思う。

‥‥そんなワケで、今回の問題は、「ピッチャーは腕がちぎれるまで投げろ」的な時代遅れの精神論を説いた張本さんと、ごく一般的な常識論の紹子さんとの意見が対立したことが原因だけど、「プロ野球的に見たらどうなのか?」ってことになると、完全に紹子さんに軍配があがる。昨日の日記を読めば分かるように、張本さんが楽天の岩隈投手に「喝!」をつけた理由は、「まだ投げられるのに7回で降りた」って点だ。そして、この降板を「監督の指示ではなく岩隈が自分から降板を申し出た」として、岩隈投手を「精神面の弱いピッチャー」と断じた張本さんと、それに異議を唱えた紹子さんが対立したワケだ。昨日の日記を読み直すのも大変だろうから、ここに再掲するけど、全体としては次のやりとりだ。


ジングル 「喝!」

関口宏 「(今日は)誰に喝ですか?」

張本勲 「岩隈、楽天の岩隈!」

江川紹子 「え~!」

関口 「ほら、(岩隈ファンの)江川さんがいらっしゃるのに」

張本 「7回で降りちゃだめよ。3対3、同点ですよ?まだ100球も投げてないんだから」

関口 「(江川さんのほうを向きながら)でも調子悪そうだったよね?」

張本 「調子悪いんだったらね、もう発表してるはずですよ。次出て来ますよ、また。必ずこの人はね。精神力弱いと思いますよ。俺のゲームだ、俺に任せろと、最後までね、一番苦しいんですよ、8回9回は。それを避けることが非常に多い。私もファンですよ、彼の。素晴らしいピッチングしますよ。男前だしね。でも精神面で弱いとこがあるのよ。そうするとね、チームがね、非常に士気がガクッと落ちる」

江川 「でもそれは聞いてみないと分からないじゃないですか。だってねえ、長いペナントレースの中で無理して出られなくなっても困るし、そんなに無責任な人じゃないと思う」

張本 「無理するとこは無理してもらわないと」

関口 「長いこと話してましたね、監督と、マウンドの上で」

張本 「ですからね、代われということは絶対監督は言いませんよ。エースだから。そのあとね、岩隈よりいいピッチャーが出て来るんなら代えてもいいですよ」

江川 「でも、前の回から監督といろいろ話してましたよ」

張本 「それは、あの、別に、肩が張るだの痛いだのいう話じゃないんですよ!」

江川 「分からないじゃない」

張本 「そりゃもう(あなたのような)シロートの人には分からないからね!」

関口 「これは親分に任せないと」

大沢親分 「そりゃいいんだけど、そのあとの片山、盗塁を殺したあとのフォアボールがいかんわな‥‥」


‥‥そんなワケで、双方の主張をマトメると、張本さんは、「岩隈投手は、いいピッチャーだが、精神面が弱く、8回9回を避けることが多い」「今回も監督の指示ではなく自分からマウンドを降りた」って言ってるワケで、紹子さんは、「監督と岩隈投手の会話を聞いてないのだから、そんなことは断定できない」「ペナントレースは長いのだから調子が悪い時に無理をするべきではない」って言ってるワケだ。で、実際にはどうだったのかと言うと、試合の翌日、まさにこの番組の放送日である5月23日の各スポーツ紙が伝えてる。たとえば、「日刊スポーツ」には、次のように書かれてる。


「「前回登板の張りが残っていた。コントロールも甘くなっていった」とブラウン監督の降板指示に一定の理解を示した。だが指示がなければ「8回までは投げていたと思います」とも言った。」
http://www.nikkansports.com/baseball/news/p-bb-tp0-20100523-632905.html


この記事を読めば分かるように、岩隈投手自身は8回まで投げるつもりだったけど、監督の指示に従って7回で降板したって言ってる。他のスポーツ紙の記事も、すべて同様で、「自分では、まだがんばるつもりだったけど、前回の肩の張りが残ってて、コントロールも甘くなってたし、変化球も甘くなってたので、監督から7回での降板を指示されたことに納得した」って内容が書かれてる。つまり、張本さんの分析や主張は、シロート以下のまったく的ハズレなものだったことになるし、逆に、紹子さんのほうがプロ並みに正しく判断してたってことになる。

さらには、岩隈投手とおんなじ現役のピッチャー、日本ハムのダルビッシュ有投手が、たまたま5月23日の「サンデーモーニング」を見てて、リアルタイムでこんなことをツイッターでつぶやき、一般のプロ野球ファンの人と、こんなやりとりをしてるのだ。


「ダルビッシュ有さんのつぶやき」
http://twitter.com/faridyu/status/14523476594
朝から張本さんが女性コメンテーターと言い合ってた(笑)


「柴川友次さんの返信」
http://twitter.com/shibakawa/status/14523648492
岩隈ファンの江川さんですね。張さんの喝は納得いかないなァ。岩隈投手も納得して「前回の張りも残っていた。ちょっと苦しかったし、交代のタイミングは間違いないです」とコメント出しているし。


「ダルビッシュ有さんの返信」
http://twitter.com/faridyu/status/14523744270
僕も間違いないと思います。


‥‥そんなワケで、今回の騒動の内容を「試合での事実」から分析してみても、トンチンカンなことを言ってたのは張本さんのほうで、紹子さんの主張には何ひとつおかしな点がないことが分かる。ものすごくフランク・ザッパに言っちゃえば、ナンでもカンでも「最近の若いもんは!」でイッショクタにして怒鳴り散らす頑固親父が、ロクに事実も確かめないで自分の思い込みだけで岩隈投手のことを批判したのに対して、紹子さんは一ファンとしての立場から、事実に基づいた一般論を言っただけだ。だから、どちらかを降板させなかったら番組が成り立たないって言うのなら、プロのクセにトンチンカンな分析でオカド違いな批判をした張本さんのほうを降板させるのが筋だろう。

あたしは、今から1年か2年くらい前だったと思うけど、NHKで深夜に放送してた「わたしが子どもだったころ」って番組で、張本さんの回を観た。もともとは、この番組に、サンプラザ中野くんが出るってことをご本人から聞いて、それで観たのが最初だったんだけど、子供のころの再現映像と現在の映像を織り交ぜて作られてて、とっても面白かった。それで、他の人の回も観るようになった。で、何回目かの放送が張本さんだったんだけど、広島県の貧しい在日韓国人一家に生まれた張本さんは、幼いころ、右手に大ヤケドを負い、5才の時には原爆投下によって被爆する。そして、韓国人ということで差別を受けながらも、体の大きかった張本さんは、美味しいご飯をお腹いっぱい食べたいって理由で、プロ野球選手を目指すことになる。

あくまでも、この番組での描写からだけの印象だけど、張本さんのお母さまは、とっても素晴らしい人で、張本さんに対して「常に正直であれ」って教育をした。だから、張本さんは、どんなにつらくても、来る日も来る日も何千回も素振りをして、人の何倍も努力をした。そして、プロ野球選手になって、お母さまに立派なお家をプレゼントした。張本さんの持つ「3085本」っていう「最多安打記録」にしても、どんなにクタクタに疲れた試合後でも絶対に素振りを欠かさなかった「見えない努力」の積み重ねによるものだと思う。

こうした張本さんの背景を知ると、時代遅れの精神論やスパルタ体質も理解できる。いくつものハンデを背負いながら、血を吐くような努力をして成功を掴んだ人なんだから、「中5日」や「中6日」で登板してる今のピッチャーを見れば、「甘ったれてんじゃねえよ!」って気持ちになるのかもしれない。だけど、野球はチームプレーのスポーツなんだし、監督やコーチの指示は絶対だ。いくらピッチャーが「投げたい」って言っても、それを決めるのは監督だ。「中5日」や「途中降板」に異議があるなら、指示した監督を批判するのが筋ってもんで、途中降板させられたピッチャーを批判するのは筋違いだ。それも、自分の憶測だけで「ピッチャーがワガママで降板した」みたいな物言いをするのは、あまりにも酷すぎると思う。その上、そんなトンチンカンな自論をゴリ押しして、意見の違った紹子さんを番組に出させないように立ち回るなんて、とてもスポーツマンとは思えない。

‥‥そんなワケで、いろんな面で優遇されてる今の選手たちとは違って、ものすごく苦労して来た張本さんなんだから、ピッチャーをローテーションさせて大切に使うことを「甘やかしてる」って思う時代遅れの感覚を持ってても仕方ないとは思う。そして、こうした融通の利かない頑固親父ってのも、今やレッドアニマルなんだから、何人かは存在してても、それなりに意義のあることだとは思う。だけど、どこまでも自分の我を通す頑固親父で行くのなら、番組の中で正々堂々と紹子さんと言い合えばいいワケで、気に入らない相手を裏から手を回して出演できないようにするなんて、スポーツマンの風上にも、頑固親父の風上にも置けない卑劣な行為だ。だから、あたしは、張本さんに1ピコグラムでもスポーツマンとしての精神が残ってるのなら、こんなに大人気なくて、こんなにみっともないことは、すぐにやめるべきだと思う。何しろ、「ミットもない」と野球ができなくなっちゃうから‥‥なんていう時代遅れの親父ギャグでシメてみた今日この頃なのだ(笑)


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