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2010.07.30

小さな抵抗

「ブラジャー」や「ブラジル」を始めとして、「ブラ」で始まる言葉っていっぱいある。それで、何日か前に、ツイッターで「ブラで始まる言葉で真っ先に思い浮かんだのは?」ってつぶやいてみたら、とってもたくさんの返信があった。やっぱり、「ブラジャー」や「ブラジル」が多かったけど、他にも、「ブラボー」「ブランコ」「ブランデー」「ブランド」「ブラインド」「ブラウス」「ブランニュー」「ブラウザ」「ブランク」「ブライダル」「ブラスバンド」「ブランケット」「ブラット・ピット」「ブラームス」「ブラジリアン柔術」‥‥って、まだまだ他にもたくさんあった。

 

たとえば、「ブラック」だけの人もいたけど、「ブラック」に何かをプラスした形のものも多くて、「ブラックコーヒー」「ブラックバス」「ブラック企業」「ブラック魔王」「ブラックデビル」「ブラックレイン」「ブラックエンペラー」‥‥ってふうに、懐かしいアニメやテレビ番組のキャラから、映画のタイトルや暴走族に至るまで、「ブラック」ひとつを見ても人生いろいろだ。あたしは、「ブラック」からは「ブラックサバス」が思い浮かんだけど、バンドやミュージシャンで言えば、「ブラー」や「ブライアン・アダムス」や「ブライアン・イーノ」って答えた人もいた。でも、残念ながら、「ブランキー・ジェット・シティ」って答えたツワモノはいなかった。ちなみに、レッド・ツェッペリンに「ブラックドッグ」って名曲があるけど、イギリスには「ブラックドッグ」っていうテクノバンドがある。

 

あとは、今どきって感じだけど、「ブラクラ」って答えた人が何人かいた。これは「ブラウザ・クラッシャー」の略で、ネット上に仕掛けられてるタチの悪い罠のことだ。うっかりクリックしちゃうと、大変なことになる。他には、明らかにF1ファンだと思われる人の「ブラウンGP」なんてのもあったし、明らかに阪神ファンだと思われる人の「ブラゼル」ってのもあった。あ、それなら、「ブランコ」って答えた人の中にも、中日ファンの人がいたかもしれない。あと、変わったとこでは、日本語で「ぶらり途中下車の旅」なんてのもあった。それなら、「ぶらり信兵衛~道場破り~」ってのもあるし、漢字で「無頼漢」なんてのもあると思う今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?

 

 

‥‥そんなワケで、これだけたくさんの「ブラ」で始まる言葉があると、「真っ先にどんな言葉が思い浮かんだ?」によって、心理テストっぽいことができると思う。ま、心理テストって言うよりも、「ブラゼルが思い浮かんだ人は阪神ファン」てレベルのことだけど、少なくとも、プロ野球に興味のない人なら、阪神の「ブラゼル」や中日の「ブランコ」を知らないハズだから、回答から、その人の興味のあるジャンルが分かる。バンドやミュージシャンの名前にしても、興味のない人なら知らないハズだし、たとえ名前を聞いたことがあったとしても、真っ先には思い浮かばないハズだからだ。

 

それから、「ブラック魔王」や「ブラックデビル」にしても、「チキチキマシン猛レース」や「オレたちひょうきん族」を見てた世代の人たちってことになるから、だいたいの年齢層が分かる。暴走族の「ブラックエンペラー」にしても、こんな名前がパッと出て来るのは、最低でも40代以上の人だと思う。そして、「ブラックバス」が真っ先に思い浮かんだのは、やっぱり釣りが好きな人だと思うし、「ブラックレイン」が思い浮かんだのは、松田優作のファンかもしれない。だから、心理テストって言うよりも、その人の趣味や興味の傾向を調べるテストってことになる。

 

ただ、こういうのって、本人と対面して質問して、その場で反射的に答えてもらわないとダメな部分もある。ツイッターとかで質問すると、人間て「誰もが言いそうな言葉は答えたくない」「人とは違った言葉を答えたい」っていう意識が顔を出しちゃうからだ。これは、「集団の中に身をおいて、みんなとおんなじ制服を着てることによって安心感を得てるのに、その制服をちょっとだけ改造して『オレはみんなとは違うんだぜ』ってとこを見せたくなる意識」とでも呼ぶべきもので、ちゃんとした心理学を学んでる人なら、きっと適切な呼び名を知ってるかもしれないけど、あたしには分からないから、こんなに長い名前をつけてみた。

 

で、この意識が顔を出すと、ホントは真っ先に「ブラジャー」が思い浮かんだのに、それをそのまま答えることが「ダサイ」って感じちゃって、セッセと他の言葉を探し始めちゃう。「ブラ、ブラ、ブラ、ブラ、ブランデー!これは普通すぎる‥‥。ブラット・ピット!これも他のやつが答えそうだ‥‥。ブラ、ブラ、ブラ、ブラ‥‥」ってことになっちゃって、5分か10分くらいしてから「ブラックサバス」って答えたりする。きっと「どや顔」で書き込んでるんだと思うけど、面白いかどうかは別として、その人の趣味や興味の傾向を調べるテストとしては、これじゃあ意味がない。

 

ホントは真っ先に「ブラジャー」が思い浮かんだ「大多数の中の1人」であり「極めて平凡な人間」なのに、深層心理的にそれを認識してるからなのか、他人との差別化を図ろうとして、無理やりに「ブラックサバス」をしぼり出す。この手の人って、運転免許の更新の時に受けるドライバーの適正テストとかでも、ホントのことを答えない場合が多い。たとえば、「前にノロノロ走っている車がいたのでクラクションを鳴らした」って設問に対して、ホントは「はい」なのに、「いいえ」に丸をつける。ようするに、中途半端に頭の回転が速いから、「どう答えたらどう思われるか」ってとこまでを瞬時に予想して回答しちゃうのだ。でも、こうした適正テストって、いい点をとることが目的じゃなくて、自分の欠点を客観的に確認することが目的だから、こんな回答の仕方だと意味がないってワケだ。

 

‥‥そんなワケで、人間の心理って面白いもので、常に相反する2つの意識に挟まれてる。1つは「みんなとおんなじじゃないと安心してられない」って意識で、もう1つは「みんなとおんなじなのは嫌だ」って意識だ。大衆の中の1人でいることで安心感を得てるのに、大衆の中に埋没したくないって思ってる。目立ちたいって思ってる。これは、特に若いうちに強い意識で、年齢とともに希薄になって来る。だから、ヤンキーや暴走族は青春時代の一過性のもので、いい年こいてやってる人はメッタにいない。

 

ヤマンバみたいなのにしても、ギャル男みたいなのにしても、その流れで派生したジャンルの子たちにしても、みんな普通とは違った特異なファッションやヘアメークでものすごく目立ってるけど、必ず数人から十数人のグループで行動してる。グループに属さないで単独行動してる子はいない。ようするに、「みんなとおんなじなのは嫌だ」って意識と「みんなとおんなじじゃないと安心してられない」って意識とを同時に満足させてるってワケだ。そして、こうした意識が希薄になる年齢を迎えれば、自然と卒業してく。

 

「制服を着る」「組織に属する」ってことの中には、みんなとおんなじだっていう安心感がある一方で、なんとも言えない不安や不満もある。これは、制服に支配されてる不信感、長いものに巻かれてる敗北感からの感覚で、ある年齢を超えれば、それほどは気にならなくなってくる感覚だけど、それでも、多くの人の心の奥にくすぶり続けてる。だけど、人間は、社会の中で生きてくしかないから、多くの人は自分の生活や家庭を優先して、この「くすぶってる火種」にフタをして、考えないようにしてる。

 

‥‥そんなワケで、制服を着て生きてても、組織に属して生きてても、大衆の中に埋没して生きてても、「俺はみんなとは違うんだ!」「今の俺は仮の姿なんだ!」っていう心の奥の火種が、つい顔を出しちゃうことがある。それが、真っ先に「ブラジャー」が思い浮かんだのに、無理して「ブラックサバス」って答えてみたり、ドライバーの適正テストで嘘を答えちゃったりする「小さな抵抗」なのだ。50才を過ぎてもモヒカンにしてパンクバンドで食ってくほどの根性はないけど、これくらいの自己主張なら俺でもできるぜ!‥‥ってワケで、ある意味、「三丁目の夕日」的な哀愁を感じちゃう。ま、「死んでもテレビになんか出るか!」って毒づいてた泉谷しげるでさえ、今じゃホームドラマで「人のいいおじいちゃん」を演じてることを思えば、こうした「小さな抵抗」だって、あたしはカッコイイと思う。だから、いい年こいた少年の皆さん、これからも、大衆の中に埋没しつつも、自己満足のために「小さな抵抗」を続けてって欲しいと思う今日この頃なのだ。

 

 

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