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2010.08.02

1日で1mm

数日前、皆さんからのお見舞いメールを読んでたら、その中の1通に、「日経ビジネス」にあたしとおんなじような症状の人の記事が掲載されてたと言って、その記事をコピーして送ってくださった人がいた。日本人の女性ギタリストのインタビュー記事だったんだけど、コンサート先のホテルに泊まって、朝、目が覚めたら、右手がまったく動かなくなってたというのだ。前日の夜まで普通だったのに、ある朝、目が覚めたら、突然、右手がぜんぜん動かなくなってたなんて、あたしとおんなじ症状だ。そして、その人が、「夢なら覚めてほしい」と思いながら病院へ行ったら、そこで告げられた病名が、まさに、あたしとおんなじ病名だったのだ。

あたしは、その記事を読んで、愕然とした。だって、その人は、ある年の10月に発症して、翌年の1月に完治して、ギタリストとして復帰したんだけど、担当のお医者さまは、「私の知る限り最短記録だ」って言ってるのだ。そのお医者さまは、最初の診察の段階でも、「何年も掛かるかもしれないし、3ヶ月で治るかもしれない」って言ってる。つまり、「3ヶ月で治ったらスーパーラッキー」ってことで、ヘタしたら「何年も掛かる」ってことなのだ。

マジですかーーー!! あたしゃそんな話ぜんぜん聞いてないよーーー!! あたしは、最初に病院に行った時に、ひと通りの検査が終わって病名を告げられてから、真っ先に聞いたのが、「1週間か2週間で治りますか?それとも1ヶ月くらい掛かっちゃいますか?」ってことだった。だって、働けなくなったら死活問題だからだ。そしたら、お医者さまは、「どれくらいで治るということは、まだハッキリとは言えないけど、絶対に治るから安心しなさい」って言ってくれた。あたしは、「どれくらいで治るか」ってこと以前に、「このままずっと右手が動かなくなったらどうしよう」とか、「右手だけが動かなくなったってことは、もしかしたら脳腫瘍かもしれない」とかって心配してたから、こうした病気でもない上に「絶対に治る」って言われたことが嬉しくて、自分で勝手に「最悪でも1ヶ月くらいで治る」って思い込んじゃってた今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、あたしは、お仕事ができないことも困るけど、右手が使えないのは日常的にも不便だから、1日おきに治療に通いつつ、処方していただいたお薬を飲みつづけてる。だけど、あたしにとっては、50%の確率で手術をすることになるかもしれない婦人科の病気のほうが、どっちかって言ったらオオゴトに感じてた。何でかって言うと、お医者さまの説明の感じから、右手のほうは、このまま通院とお薬を続けてれば、そろそろ治るもんだと思ってたからだ。実際、治療を開始してから3週間が経過した今は、最初は1mmも動かなかった指が半分くらいまで曲がるようになったし、ほとんど感覚のなかった指や手のひらも、少しずつ感覚が戻って来てるからだ。

まだ、ペンを握って文字を書いたりはできないけど、それでも、左手だけで苦労してやってた日常のことが、右手のフォローでずいぶんラクになった。着替えやお料理など、左手だけだと果てしなく時間が掛かってイライラしてたけど、少しだけ指が動くようになった右手を添えると、遥かにスムーズにできる。だから、あたしの中では、「あと少しで治る」って気持ちになってた。3週間で半分くらい治った感じだったから、あと2~3週間でほとんど治ると思ってたし、どんなに長く掛かったとしても、あと1ヶ月もあれば完治するって思ってた。そして、右手が完治すれば、あたしは、お仕事にも復帰できる上に、「カンチ~! セックスしよ!」ってワケで、「東京ラブストーリー」にも復帰できるってワケだ。

だから、あたしとしては、今の治療を続けてれば、あと少しで完治すると思い込んでた右手のことよりも、経過を見ながら手術の必要があるかどうかを判断してる最中の婦人科の病気のほうが、ずっとヘビーな状況だった。だけど、「日経ビジネス」の記事を読むと、あたしの右手が完治するのは、最高にラッキーだったとしても3ヶ月、ヘタしたら何年も掛かっちゃうワケで、正直、最高にラッキーだったとしても、3ヶ月も働けなかったら生活できなくなっちゃう。そして、1年だの2年だのなんてことにでもなったら、カンチとセックスしてるどころの騒ぎじゃなくなる。

それで、心配になったあたしは、ネットでいろいろと調べてみたら、あたしとおんなじ病気になった人たちの体験談がいくつか見つかった。そして、サスガに何年も掛かった人はいなかったけど、中には、半年から1年くらい掛かった人も何人かいた。ある人の体験談では、担当のお医者さまから受けた説明として、「麻痺してる神経が再生(回復)するスピードは非常に遅くて、1日で1mm」ってことが書かれてた。つまり、麻痺してる神経の長さが、30cmなら300日、40cmなら400日も掛かるってワケだ。1日で1mmで30cmだなんて、1円ずつ貯金して10万円を貯めようとしてるみたいで、考えただけでも気が遠くなっちゃう。

もちろん、長さ30cmの神経が、左の端から毎日1mmずつ回復してって、300日目に右の端まで回復したとこで、右手が普通に動くようになる‥‥ってことじゃなくて、これは、あくまでも、治癒に掛かる時間の目安みたいなものだと思う。長さ30cmの神経が麻痺してたら、全体的に少しずつ回復してって、300日くらいで元の状態に戻る‥‥ってことなんだと思う。だけど、あたしにしてみれば、左の端から毎日1mmずつ回復してこうが、全体的に少しずつ回復してこうが、完治するまでに300日も掛かるならおんなじワケで、完全に生活できなくなっちゃう。

‥‥そんなワケで、あたしは、婦人科の病気のことで精神的にまいってるのに、さらに、右手の病気のことで追い打ちを食らっちゃった。とりあえず、1日おきに治療には通ってるけど、これは病院で紹介された鍼灸院で、病院に行って診察を受けるのは、今のお薬がなくなる1週間後だ。だから、1週間後に病院に行った時に、お医者さまに詳しいことを聞いてみるつもりだけど、これで「最低でも半年くらいは掛かります」なんて断言されちゃった日にゃあ、あたしは完全に「バンザイ」だ。もちろん、この「バンザイ」は、喜んでるんじゃなくて、「もうお手上げ」って意味だ。だから、あたしは、「もうお手上げ」の状況だけは避けるために、これからの1週間は、無理しても、毎日、鍼灸院に通おうと思った今日この頃なのだ。


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