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2010.10.24

ペガサスの記憶

負けたどぉ~~~!‥‥ってセリフでスタートするのも恒例行事みたいになってきちゃったけど、今日の「菊花賞」で、あたしの選んだレーヴドリアンは、がんばってくれたんだけど一歩及ばず、4着だった。そして、ほとんどの馬券をレーヴドリアンから買ってたあたしは、とうとうG1の4連敗っていう悲しい金字塔を打ち立てちゃった。その上、今回も、前回とおんなじで、最初に自分の予想に基づいて3連複だのワイドだの枠連だのと2000円ぶん買ったのに、発走間際になって、あと200円、買い足しちゃったのだ。だから、今回も2200円の負けってワケで、これで、G2やG3でチョコチョコと買ってた配当金がほとんどなくなり、トントンに戻っちゃったワケだ。

今日は、お昼すぎに馬券を買ったので、レースが始まるまでに時間があった。それで、読みかけの本でも読もうかなって思ったんだけど、木曜日の深夜に放送した毎日放送の「ロケみつ」をまだ観てなかったことを思い出して、それを観始めた。前回、早希ちゃんは「1」を2回続けて出しちゃって、フルカードを使ってサイコロを振り直す‥‥ってとこで終わってたから、ドキドキの発進だった。で、何とか「4」を出してスタート地点に戻らなくても済んだ早希ちゃんは、手に入れた資金で通貨ポイントの秋吉台の鍾乳洞に入るんだけど、暑い外から涼しい鍾乳洞に入った時に、その涼しさを「クーラーの18度や!」って何度も表現してた。

それで、このサイコロの目とセリフが気になったあたしは、すでに2000円ぶんの馬券を買ってたのにも関わらず、「ロケみつ」を観終わってから、また「即 PAT」にアクセスして、4番のネオヴァンドームと18番のサンディエゴシチーの複勝を100円ずつ買い足しちゃったのだ。ずっと「競馬は2000円まで」っていうマイルールを厳守してきたのに、前回、つい、あとから200円ぶん買い足しちゃってから、どうもあたしの自制心のゴムがゆるくなっちゃったみたいだ。こんなことじゃダメ人間に輪をかけちゃうから、次回からは絶対に2000円までにしようと、雨雲に覆われてドンヨリした夜空に誓った今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、レースが終わってから振り返ってみると、早希ちゃんの出したサイコロの「4」は、あたしの選んだレーヴドリアンが「4着になる」っていう暗示だったんじゃないかと思いつつ、ホントの意味での最終決戦、「秋の天皇賞」に向けて、これまでの4連敗を検証してみた。そしたら、なかなか嬉しいことが分かったのだ。それは、あたしが「エヴァンゲリオン予想」からイチオシに選んだ馬の着順だ。「宝塚記念」で選んだアクシオンは17頭中15着、「スプリンターズステークス」で選んだアイルラヴァゲインは16頭中8着、そして、前回の「秋華賞」で選んだサンテミリオンは18頭中18着のビリ。つまり、「惜しい!」とか「イマイチ!」とかってレベルじゃなくて、完全に沈黙した活動限界ってワケだ。

だけど、今回の「菊花賞」は、別名「きっこ賞」の異名があったからなのか、あたしの選んだレーヴドリアンは、4着に入賞した。それも、ずっと内側の好位置をキープしてたのに、最終コーナーで前を塞がれちゃって、仕掛けるタイミングが遅くなっちゃっての4着だ。だから、展開次第では、十分に3着以内に入ってたと思う。これは、ハズレはハズレでも、これまでの3戦のハズレとは大きく違って、「限りなく勝利に近いハズレ」 by 村上龍ってことになる。

そして、今回の「菊花賞」の「菊」と、次の「天皇賞」の「天皇」とが深く関わってるように、「エヴァンゲリオン予想」のほうも、第伍話の「レイ、心のむこうに」と第六話の「決戦、第3新東京市」は2話でひとつのストーリーだから、2話を通してのテーマである綾波レイが、ホントの意味で主役になるのは、次の「天皇賞」ってことになる。

‥‥そんなワケで、2008年3月29日の日記、「ペガサスが飛んだ日」に詳しく書いてるけど、今から30年以上も前のこと、物心ついたころのあたしは、父さんに連れられて行った競馬場のパドックで、白くて可愛い馬を見て、「あのお馬さんに乗りたい!」って言った。あたしの言葉を聞いた父さんは、その馬の単勝を特券で買った。スタートからトップに躍り出た白い馬は、他の馬たちを大きく引き離したまま、空を飛ぶようにゴールした。幼かったあたしの目には、まるで背中に翼の生えたペガサスのように見えた。

父さんの買った単勝の馬券は、7万円以上になった。帰りに、どこかのレストランで、大きなチョコレートパフェを食べた。あたしは、白くて可愛いお馬さんが見られたことも、大きなチョコレートパフェを食べたことも嬉しかったけど、父さんと一緒にいられたことが、何よりも嬉しかった。

これが、あたしの、父さんとの一番古い記憶だ。ぼんやりと覚えてるものなら、どこかの海に海水浴に行った記憶とか、ビニールプールで遊んだ記憶とか、色水遊びをした記憶とか、いくつかの夏の記憶があるんだけど、どれもパズルのピースみたいに断片的で、前後関係とかも分からない。1日の出来事を流れとして記憶してるのは、この競馬場の思い出が一番古い。

だけど、いくらちゃんと記憶してたつもりでも、所詮は物心ついたころの記憶なので、長い年月のうちに、少しずつ美化されてったり変化してったりする。大きくなってから、この競馬場が「府中競馬場」で、このレースが1976年の「AJC杯」で、この白い馬が「ホワイトフォンテン」だってことを知り、大人になってから当時のレースのVを探して観てみたら、当時は真っ白に見えたペガサスのように美しかった馬が、実際には灰色のマダラの汚らしい馬だった。あたしは、父さんと過ごした1日が嬉しくて、無意識のうちに思い出を美化してたのかもしれない。

‥‥そんなワケで、幼かったあたしが、父さんに手を引かれて府中競馬場に行き、ホワイトフォンテンがゴールを駆け抜けるの瞬間を見てた時に、おんなじ競馬場のどこかで、石川喬司先生も、競馬仲間の寺山修司さんや虫明亜呂無さんと一緒に、あたしとおんなじシーンを見てたのだ‥‥ってワケで、こないだの「スプリンターズステークス」が終わったあとに、石川先生からいただいたメールを紹介する。


Date: Mon, 4 Oct 2010 11:19:18
From: "石川喬司"
To: "kikko"
Subject: これからが本番!
スプリンターズS、残念でした。ぼくもハズレでした。
いま発売中の『AERA別冊・ニッボンの名馬』巻末に<競馬と言葉ーだから競馬はやめられない>というページがあり、そこにこんな言葉が並んでいます。
「みんな金を持って、金を捨てにゆく群集が、どうしてあんなに愉快そうな顔を揃えてゆくのだろうか。‥‥競馬は、人間のひとつの強い欲望を、済度する不可思議な力を持っている」(吉川英治)
「他人の行状とその咎について日頃から酷評する私が、この競馬という友人にだけは甘かったのだ。この友人ときたら限りなく虚偽に満ち、美しく、躍動的で、邪悪で、ときに利益をもたらしてくれるが故に絶縁し難かったのだが」(ヘミングウェイ)
「われわれはクズ馬券のゴミ溜めの中で終わるようになっている。それを死と言おうが、誤った人生と言おうが、かまいはしない」(ブコウスキー)
「競馬ファンは馬券を買わない。財布の底をはたいて<自分>を買っているのである」(寺山修司)
さらに幸田文、菊池寛、阿佐田哲也、虫明亜呂無、そして私の言葉が収録されていますが、私のはこうです。
「《新しい恋は馬とするー》 日本最北の北見競馬場でみつけた素敵なポスターに、そんな名文句が書いてあった。ぼくは<競馬は恋愛小説である>と喝破した友人の顔を思い浮かべて、楽しくなった。逢うたびに魅力が増えて行く恋人‥‥。ぼくにとって競馬はそのような存在だ」
きっこさんのエヴァンゲリオン予想も、回を重ねるにつれて、さまざまな貌を魅せてくれます。ヨソウはウソヨ、もうヨソウ、なんて俗物のタワゴトからは無縁の次元にあり、GⅠシリーズたけなわのシーズンを迎えて、ますます楽しみです。


石川先生、いつもディープでインパクトなメールをありがとうございます♪‥‥ってワケで、このメールの中で石川先生が紹介してくださってる寺山修司さんの言葉、「競馬ファンは馬券を買わない。財布の底をはたいて<自分>を買っているのである」っていう名言を読んで、あたしは、あたしが白い馬、芦毛の馬にコダワリ続けてる理由が分かったような気がした。あたしは、父さんとの一番古い思い出を色褪せさせたくなくて、ペガサスのようにゴールを駆け抜けてった白い馬の記憶を鮮明にしたくて、それで、芦毛の馬の馬券を買い続けてるのかもしれないと思った。

‥‥そんなワケで、G1では4連敗中のあたしだけど、あたしの大好きな芦毛の馬がどうだったかって言うと、「宝塚記念」ではメイショウベルーガが6着、「スプリンターズステークス」には芦毛は出走せず、「秋華賞」ではベストクルーズが12着、つまり、一度も5着までには入賞してなかった。だけど、今回の「菊花賞」で、レーヴドリアンが4着に入賞した。これは、大きな飛躍だ。この流れで行けば、次の「天皇賞」では、唯一の芦毛のキャプテントゥーレが、ペガサスのようにゴールを駆け抜けてくれるかもしれない。そして、レイみたいな性格だった幼いころのあたしの大切な思い出を美しく焼き直してくれるかもしれない‥‥なんて思ってる今日この頃なのだ。


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