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2010.12.15

レギュラーガソリンブルース

日曜日の「阪神ジュベナイルフィリーズ」で芦毛3頭の3連複が的中して、翌日の月曜日は雨になったのに、火曜日には雨がやんで「ふたご座流星群」を観ることができて、「あたしってラッキー!」って思いながら、水曜日の朝は気分よく病院へ行ったのもトコノマ、上がったり下がったりとジェットコースターみたいなあたしの人生だから、上がったあとには下がるのがお約束なのか?‥‥ってなワケで、この日はちょっと遠いとこにある病院だったので、自転車だとヘビーすぎるけど、車で行くと駐車場代がもったいないので、その中間の原チャリで行くことにした。

公共の交通機関で行くと、電車とバスを乗り継がなきゃならなくて、時間も掛かる上に、往復で1000円弱も交通費が掛かっちゃう。車で行けばラクチンだし、ガソリンも1~2リッターくらいしか使わない距離なんだけど、病院の駐車場は数台しか停められなくて、空いてたタメシがない。それで、すぐ近くのコインパーキングを使うと、これまた1000円くらい掛かっちゃう。だけど、原チャリで行けば、ガソリンも1リッター以下で済む上に、病院の自転車置き場に停められるから、ほとんどお金が掛からない。つまり、ベストの選択ってワケだ。

で、久しぶりに原チャリゲリオン初号機を発進させたあたしは、快調に裏道を飛ばして渋滞ポイントの先へ出て、空いてるストレートでは前輪を節約するためにウイリーで走り、十字路の中央では後輪のグリップを高めるためにマックスターンを決め、T字路の突き当たりではジャックナイフで登校中の小学生ギャラリーを沸かせ、対向車線にパトカーを見つければステップのとこに小さくしゃがんで顔を隠す「湘南爆走族」の「江口っちゃん乗り」でスルーして‥‥ってのはぜんぶ嘘で、実際には右手がまだ完全には動かないので、静かにアクセルを開けるのが精一杯で、おとなしく走って病院へ向かった今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、あたしは、午前9時に予約してたので、8時半に到着した。この病院は、いくらちゃんと予約してても、30分くらい前に行って受付を済ませとかないと、絶対に予約した時間に診察してもらえないからだ。普通の感覚だと、予約した時間の5分か10分くらい前に行けばよさそうに思うんだけど、この病院は違う。最初に行った時のこと、電話で問い合わせたら、病院のほうから「来週の火曜日の午前10時なら予約が取れます」って言われたので、その時間に予約して、あたしは10分くらい前に到着した。それで、受付を済ませて待ってたのに、予約した10時になっても名前を呼ばれず、10分過ぎても、20分過ぎても、30分過ぎても名前を呼ばれず、何かの手違いで忘れられてるのかと思って受付に聞きに行ったら、「もう少しで呼ばれますから」って言われて、結局、呼ばれたのは10時45分だった。

で、何度か通院するうちに、この病院のシステムが分かってきた。この病院では、9時に5人、9時半に5人、10時に5人‥‥ってふうに予約を取って、おんなじ時間帯に予約した人の中で、当日、早くきた人から順番に診察するっていう方式だったのだ。たとえば、10時の予約が4人入ってて、あたしが最後の5人目だったとしても、当日、誰よりも早く行って受付を済ませれば、10時からの診察は、あたしが一番になるってワケだ。

そして、10時に予約したあたしよりも、10時半に予約した人のほうが先に来て受付を済ませちゃえば、逆に、その人のほうがあたしより先に呼ばれるみたいなのだ。10時に予約したあたしが、10時ギリギリに到着したりすると、あたしの次の診察時間、10時半からの人が、すでに1人か2人くらい受付を済ませちゃってることがある。そうすると、場合によっては、あたしはその人たちのあとになっちゃうのだ。「これじゃあ予約なんて意味ないじゃん!」てワケで、何度か理不尽な思いをしたあたしは、予約した時間の30分くらい前に受付を済ませれば、どんなに遅くても予約した時間の15分オーバーくらいまでに診察してもらえるってことを学習した。

だから、ちょうど30分前の8時半に到着して受付を済ませたあたしは、余裕マンマンだった。何でかって言うと、病院が開くのが8時半、最初の診察が9時からなので、あたしより前の診察時間の人がいないからだ。10時や10時半の予約だと、いくら30分前に受付を済ませても、9時半の予約の人の診察時間が延びたりして、少しずつ時間が押されてくることがある。でも、一番早い9時の診察なら、あたしより前の時間に予約した人はいないから、30分前に受付を済ませとけば、たいていは1人目か2人目に呼ばれる。そして、この日は、待合室には誰もいなくて、あたしが一番乗りだったから、たぶん9時ジャストに呼んでもらえる。診察や治療の内容によって、あとから受付をした人が先に呼ばれることもあるけど、それでもあたしは2人目には呼ばれるだろうから、余裕マンマンだったってワケだ。

‥‥そんなワケで、あたしは、予想通リに最初に呼ばれて、5分ほどの診察のあと、隣りの検査室へ行き、看護婦さんに血圧を測ってもらったり、検査用の血液を採られたりしてから、ベッドに寝てエコー検査の準備をした。しばらくするとお医者様がきて、エコー検査が始まる。つまり、看護婦さんがあたしの血圧を測ったりしてる間に、お医者様は2人目の患者さんを診察してるワケで、そのあとにあたしのエコー検査をするっていうシステムだ。あたしは、冷たくてヌルヌルする例のアレをお腹に塗られて、エコーで内臓の様子を見られ、いろいろと説明を受けて、この日は終わり。あとは、受付でお会計をして、隣りの薬局でお薬を買うだけだけど、これも朝イチだからそんなに待たされない。

最初の時は、診察で1時間近くも待たされた上に、薬局でも30分以上も待たされちゃって、帰りにコインパーキングの料金を見て泣きたくなった。だから、自民党議員や民主党議員と違って学習能力のあるあたしは、今は車を使うのはやめたし、待ち時間を最小限にするように通院してるってワケだ。そして、この日は、すべてが完璧な形で流れて、9時40分には薬局を出ることができた。これなら、10時には自宅に戻れるから、午後に右手のリハビリの病院に行くまで、ゆっくりと体を休めることができる。

病院の自転車置き場から原チャリを出す時に、あとから停められた傍若無人な自転車を何台もどかすのが大変だった他は、何の問題もなく時間は流れ、久しぶりに乗った原チャリもずっと快調に走ってた。この日はそんなに寒くなかったから、ニットを重ね着した上にブルゾンを着て、ヘルメットもフルフェイスにしてたあたしは完璧で、少しも寒くないから、原チャリで走ってるのが楽しいくらいだった。それで、知らず知らずのうちに「走れ~走れ~マキバオ~本命穴馬かき分けて~♪」って歌いながら走ってたら、バス通りを左折したとこで、何故だか原チャリのエンジンが「モーーー」って言いながら止まっちゃった。

あたしは、すぐに原チャリを道路の左に寄せて、セルを回したんだけど、エンジンは掛からない。キックしても掛からない。こんなこと初めてなので、まずは気持ちを落ち着かせてから、いったんキーをオフにして、またオンにして、それでセルを回してみたんだけど、やっぱりエンジンは掛からない。それも、掛かりかけるんだけど掛からないとか、掛かる気配はあるけど掛からないとかじゃなくて、ぜんぜん掛かる気配もないから、あたしは、あたしのもっとも苦手とする「電装系」の三文字が頭に浮かんだ。

もしも電装系の故障だったら、あたしにはお手上げだ。ヒューズが飛んでるくらいなら何とかなるけど、原チャリはメンテナンスが最悪で、配線1本点検するためにもカバーをぜんぶ外さなきゃならなかったりするから、あたしにはトーテー直せない。ま、どっちにしても、いつもお世話になってるバイク屋さんに持ってくしかないんだけど、まだ自宅まで1km以上もある場所で止まっちゃった上に、バイク屋さんはさらに先にある。それで、あたしは、祈るような気持ちで「故障じゃなくてガス欠」「故障じゃなくてガス欠」「故障じゃなくてガス欠」‥‥って繰り返しながら、ガソリンキャップを開けてみた。実は、この日、自宅を出発した時から、ガソリンのフューエル計がゼロになってたからだ。

だけど、あたしの原チャリは、もともとフューエル計の調子が悪くて、ガソリンスタンドで満タンにしてもゼロのままだったり、さっきまでゼロだったのに、走ってるうちに針が上がってきたりする。そして、最期に乗った時もゼロを指してたから、あたしは、この日も「ガソリンは入ってるのに針はゼロを指してるんだろう」って思って乗ってた。だから、確率は五分五分だけど、ガソリンキャップを開けてみた。そしたら、目で見える範囲の底のほうに、ガソリンがチャプチャプしてた。すごく残量が少ないことは分かるんだけど、チャプチャプしてるんだからゼロってワケじゃない。だけど、タンクの中に少量のガソリンが残ってても、もう吸い上がらない量ってこともあるし、この原チャリで一度もガス欠したことのないあたしには、見ただけじゃ判断できなかった。

それで、あたしは、ガソリンキャップを閉めてから、原チャリを前後左右にゆすってから、もう一度、セルを回してみた。もしもガス欠だったとしたら、原チャリをゆすれば少しだけ残ってるガソリンがキャブへ回るかも?‥‥って思ったからだ。だけど、どんなにゆすっても、エンジンはまったく掛かる気配もない。一瞬でも「ブルル‥‥」とかって言ってくれれば、ガス欠に対して確信が持てるんだけど、この状況だと何とも言えない。そして、50%は「何とかしなくちゃ!」って思いつつ、残りの50%は途方に暮れてるうちに、お日様も出てきて、ジョジョに奇妙に暖かくなってきたので、あたしは、とにかくお家に向かって進むことにした。

‥‥そんなワケで、あたしは、フルフェイスをシートの中にしまって、原チャリを押して歩き出したんだけど、ここからお家までの道のりを考えると気が遠くなった。「たかが1km、されど1km」ってワケで、原チャリに乗ってれば5分も掛からない距離なのに、原チャリを押してると、いつ到着するか分からない。その上、この先には、ナニゲにビミョ~な上り坂があったりする。とにかく、ここからお家までの間にガソリンスタンドはないから、もしもガス欠だったとしても、ガソリンを入れることはできない。

環八まで出ればガソリンスタンドはあるけど、長い坂をずっと押してって、やっとのことでガソリンスタンドに到着しても、ガス欠じゃなかったら努力は無駄になる。それなら、とにかくお家へ向かったほうが賢明だ。そう思って、あたしは原チャリを押し続けた。車だったら、たとえガス欠になっても、ギアをセカンドに入れて、クラッチを踏まずにセルを回すって方式で、ちょっとずつ前に進むことができる。ガソリンがなくてもバッテリーの力で前進する「きっこ流ハイブリッドカー」だ(笑)‥‥なんてことも考えつつ、車がビュンビュンと追い越してく道路の左端をあたしはトボトボと進んだ。

途中で暑くなったので、ブルゾンを脱いで腰に巻いて、また原チャリを押し続けた。結局、お家に着いたのは、出発してから小1時間後の11時を回ったとこだった。だから、1kmってのは、あたしのフランク・ザッパな感覚で、実際には2km近くあったみたいで、あたしはエネルギーを使い果たして動けなくなった。こんな時こそ「自分へのベホイミ」が必要なんだけど、そんなことよりも、原チャリを何とかしなきゃなんない。それで、あたしは、お水を1杯飲んでから、ソファーに寝転がって、どうすべきかを考えた。

まず、ここからいつものガソリンスタンドまで原チャリを押してくのは厳しいし、原因がガス欠じゃなかったら無駄になる。それなら、いつものバイク屋さんまで押してって、診てもらったほうが確実だけど、それで原因がガス欠だったら、バイク屋さんにも申し訳ないし、これまた押してった努力が無駄になる。だから、まずは、ここでガソリンを入れて、ガス欠かどうかを確認すればいいんだ!‥‥ってことに落ち着いた。

で、次は、どうやってガソリンを入れるかだ。もっとも確実なのは、車でガソリンスタンドに行って、車にガソリンを入れたついでに、ペットボトルか何かにチョコッと入れてくるって方式だ。だけど、これは、やっちゃいけないことで、ホントはちゃんとしたガソリン用の携行缶に入れなきゃなんない。だから、ガソリンスタンドのお兄さんに頼んで、携行缶を貸してもらうしかない。だけど、これだと、また携行缶を返しに行かなきゃなんないし、行ったり来たりで大変だ‥‥ってワケで、あたしが思いついたのは、車のガソリンを抜いて原チャリに入れるって方式だった。

あたしは、水槽のお水を入れ替える時のために、100円ショップで買った石油用のペコペコポンプを2つ持ってるので、古いほうのやつにホースをつなげて、それを車のガソリンタンクに入れて、ペコペコとガソリンを抜き出す。そして、ガソリンタンクにうまいことホースが入らなかった場合には、車の後ろをジャッキアップして、ガソリンタンクの下に洗面器を置いて、タンクの底のドレンボルトを開けて下から抜く。これなら、あたしの能力でも何とかできるギリギリのラインだ。

‥‥そんなワケで、あたしは、汚れてもいい服装に着替えてから、軍手、ペコペコポンプ、1mちょいに切ってあるホース、洗面器‥‥って必要な道具を準備して、お部屋を出ようとした瞬間、玄関の靴箱のとこでハッ!と思い出した。そうだ!ガソリンがあったんだ!‥‥ってワケで、あたしは、コールマンのツーバーナーの燃料として、4リッターの缶にレギュラーガソリンを入れたのを靴箱の下の段の奥に置いてたことを思い出した!

昔から「きっこの日記」を読んでる人にはオナジミだと思うけど、あたしのコールマンのツーバーナーは、ノズルを改造してレギュラーガソリンを使えるようにしてある。専用の燃料のホワイトガソリンは、バカみたいに高い上に専門店に行かないと買えないけど、ガソリンなら安いしどこでも買えるからだ。それで、あたしは、電気とガスを同時に止められた時には、キッチンのテーブルの上にツーバーナーを出して、タンクにレギュラーガソリン入れて、必死になってポンピングして、一酸化炭素中毒にならないように換気扇を回して、窓を全開にしてから、これでお料理をしてる。

でも、ここ2~3年、電気とガスを同時に止められたことはなかったから、電気を止められたらガスで、ガスを止められたら電気で、何とかお料理を作ってきた。だから、あたしは、コールマンのツーバーナーのことを忘れてたし、靴箱の奥のガソリンのことも忘れてた。だけど、ついに、このガソリンが生かされる時がきたってワケだ。さっきは「4リッター」て書いたけど、正確には「3.7リッター」で、コールマンの赤い缶だ。ツーバーナーのタンクにダイレクトに入れられるように、便利なノズルもついてるから、このまま原チャリのガソリンタンクにも入れられる。

唯一、心配なのは、3年以上も経ってるガソリンが果たして大丈夫なのか?‥‥ってことだけど、缶を持ったあたしは、大丈夫だって確信した。何でかって言うと、缶はほとんど満タンで重たかったからだ。缶に入れたまま長い時間が経った灯油やガソリンを使うと故障の原因になるってのは、灯油やガソリンの底に水が溜まるからで、これは缶の内側の空気中の水分が内壁に付着したものだ。そして、その水分に空気中の目に見えないゴミとかがくっつくから、燃料を噴射するノズルが詰まったりする。

つまり、おんなじ期間、おんなじ条件下に置いといても、4リッターの缶に4リッターのガソリンを入れてたものと、4リッターの缶に2リッターのガソリンを入れてたものとでは、ガソリンの劣化に差が出るってことだ。4リッターの缶に4リッターのガソリンを入れてたものは、ほとんど空気が入ってないから、ガソリンの底に水もほとんど溜まってない。だけど、4リッターの缶に2リッターのガソリンを入れてたものは、缶の上半分は空気だから、そこに含まれる水分がガソリンの底に溜まってて、目に見えないゴミも溜まってる。車でも、ガソリンスタンドに行くたびに満タンにする人は、タンクの底に水が溜まりにくいけど、お金がなくて、いつも1000円ぶんとか10リッターとかしか入れない人は、タンクの中に空気がいっぱい入ってるから、水も溜まりやすくて、それがエンジン自体の劣化にもつながってる。

‥‥そんなワケで、あたしは、コールマンの缶を持って駐車場へ行き、車の横に停めといた原チャリのガソリンタンクに、2007年モノの熟成したレギュラーガソリンを入れてみた。でも、偉そうにウンチクを傾けたワリには、変なことになっちゃったら困るって気持ちもあったから、とりあえず、ちょっとだけ入れてみた。たぶん、500ccくらいだ。そして、キャップを閉めてから、原チャリを前後左右にゆすって、セルを回してみた。ミミミミミミミミ‥‥ミミミミミミミミ‥‥、やっぱりエンジンは掛からない。だけど、キャブにガソリンが回ってないだけかもしれないので、アクセルを何度か開けてから、もう一度、セルを回してみた。ミミミミミミミミ‥‥ミミミミミミミミ‥‥ブルル‥‥、おおっ! エンジンが掛かる気配が来た! よし!もう一度だ! ミミミミミミミミ‥‥ブルル‥‥ブルルッブルルッブルルルル~! やったー!‥‥ってなワケで、あたしの原チャリは無事に動いたので、ガソリンスタンドに行って満タンにして、ついでにキレイに磨いてあげた今日この頃なのだ♪


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