続・夢遊病の女
寝てる時に見る夢って、鳥のように空を飛んでみたり、お姫様になってみたりって、現実にはアリエナイザーなことが多いけど、あたしは、最近、妙にリアリティーのある夢、具体的な夢を見ることが多くなった。ようするに、現実に起こってもおかしくない感じの夢だ。ゆうべなんて、四谷のビルの地下のライブハウスに、中村有志さんのパントマイムのひとり芝居を観に行く夢で、少し早く着いたあたしがカウンターで飲んでると、漫画家の蛭子さんとか、ホンジャマカの石塚さんとか、斉木しげるさんとかが次々と来店する。皆さん、中村有志さんのライブを観に来た人たちだ。
もちろん、一般のお客さんもどんどん詰め掛けて、客席は満席になる。あたしは、一番前の真ん中の最高の座席で、両側を見ると、さっき顔を見た芸能人が並んでた。そして、会場の照明が落ちて真っ暗になり、ピンスポットの当たってる幕が開くと、ステージの真ん中にシンプルなパイプベッドがひとつだけポツンと置かれてて、中村有志さんが寝てた。他には何もなし。静かな音楽に合わせるかのように、少し大きめのパジャマ姿の中村有志さんがムクッと起き上がり、ベッドの前に立つ。頭には、パジャマとお揃いの柄のサンタクロースの帽子みたいなのを被ってる。そして、目をつぶったままパントマイムを始める。
そう、今回のお芝居は、寝ている男が夢遊病で、いろいろとおかしなことをしちゃう様子をパントマイムで表現するっていう内容なのだ。そして、この夢は、素晴らしいお芝居をタップリと楽しんだあと、みんなで盛り上がって打ち上げをするとこまで続くんだけど、あたしは、中村有志さんのライブを観に行ったことがない。中村有志さんのパントマイムは、テレビやインターネットで観たことがあるだけなのに、どうしてこんな夢を見たのか、まったく思い当たるフシがない。でも、唯一、「夢遊病」っていうお芝居のテーマに関しては、1月30日の日記、「夢遊病の女」で取り上げたばかりの今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、最近、あたしが見る夢は、妙に具体的で夢っぽくない。あたしは何にも変身してなくて、ふだんのあたしのままだし、着てるものまで自分の持ってるお洋服だ。ゆうべの中村有志さんのライブを観に行った夢でも、せめて、お洋服くらい、ふだんは着られないような高級ブランドのドレスとかでオシャレさせてくれてもいいのに、自分のクローゼットにある自分のお洋服を着てたし、靴もバッグもお財布も、ぜんぶふだんのままだった。だから、ヨケイに、夢にリアリティーがあるんだけど。
でも、この夢の場合は、あたしの脳みそが作り出した空想とは言え、素晴らしいステージを観ることができたんだから、それはそれで楽しかった。たまらないのは、ふだんの生活と何ひとつ変わらない夢だ。たとえば、猫たちにご飯をあげにいって、1匹ずつ順番にブラッシングしてる夢とか、お風呂のタイルの目地を古い歯ブラシで掃除してる夢とか、こんなの見てもぜんぜん楽しくない。だから、あたしは、得意技の「夢コントロール」を使って、途中からストーリーを変えちゃうんだけど、そのまま何もしないで見てたら、起きてる時とおんなじことを夢の中でも繰り返してるだけになっちゃう。
で、あたしが不安になったのは、こうした「妙にリアリティーのある夢」を見るようになったのが、こないだの「夢遊病の女」で書いた「枕カバー事件」のあたりからだってことだ。この流れを総合的に判断してみると、具体的な夢を見てる時って、もしかしたら、あたしは夢遊病になってて、夢の中とおんなじことを実際にもしてるんじゃないか?‥‥って思ったのだ。サスガに、夢遊病で四谷までライブを観に行ったりはしないだろうけど、猫のご飯を持って駐車場へ降りてったり、お風呂のタイルの目地を古い歯ブラシで擦ったり、このくらいなら、無意識でやっててもおかしくない。
そして、そう考えると、例の「枕カバー事件」にしても、あたしは夢を見たことを忘れちゃってるだけで、実際には、洗濯物を取り込んで畳んでる夢を見てたのかもしれない。乾いた洗濯物を取り込んで畳み、それぞれの定位置に仕舞う過程で、靴下をタンスの引き出しに仕舞うシーンもあって、そこであたしはベッドの上に起き上がり、自分の履いてた靴下を枕カバーの中に仕舞ったのかもしれない‥‥ってワケで、こないだの「夢遊病の女」で、海外の夢遊病の例をいくつか取り上げたら、数人の人から「自分も似たような経験がある」っていうメールをいただいた。それで、今回は、その中でも「マジですか~?」ってレベルのものを2つ、紹介させていただこうと思う。
件名:夢遊病
お名前:kakko
コメント:きっこさん、初めてメールを差し上げます。本日の日記を興味深く拝見しました。こういうこと、私も経験したからです。そして、友人も。私は夜中にPCを立ち上げ、当時参加していた「しりとり俳句」の掲示板に書き込みをしたようなのです。翌朝、友人からあなたの俳句はしりとりになっていない、とメールが届いて仰天した次第です。確かに電源を落としたPCを立ち上げ、お気に入りからしりとり俳句のサイトに行って書き込んであり、電源もちゃんと落として、一連の操作をしたようです。俳句は書き込んであって、ちゃんと五七五、季語も入ったものですが、前の方の俳句の下五を使ってしりとりにしてはありませんでした。また、友人は朝起きたら、即席ラーメンを作って食べた痕跡があり、そのお鍋の始末や食器の置き方などからご自分がされたことに間違いはないと言うのです。私の場合もハンドルネームやパスワードは私しか知らず、家族の仕業とも思えません。うっすらと覚えていることは、真夜中、階段を上がって寝室へ向かう場面だけ。(中略)当時は睡眠薬の「マイスリー」を飲んでいたので、病院で医師に話したら、実はそういう報告が他にもあって、箪笥を夜中に開けて整理したらしい、とか、主婦はどうもむっくり起きて家事をすることがあるらしいのです。永年この薬を飲んでいる友人は初めてのことで、薬の作用かどうか半信半疑でしたが、私はそれ以来、マイスリーをやめました。夜中に側で寝ている夫の首でも絞めたら困りますから(笑) 以来、そういうことは経験しておりません。もし、きっこさんがそういうお薬を飲んでお休みになったとしたら、その影響もあるのでは、と思い、メールを差し上げました。ちなみにこのしりとり俳句に書き込んだ一句はなかなかに良い出来で、夢の中でも俳句を詠むなんて、と大いに笑われたことでした。俳句も日記も注目しています。益々のご健吟をお祈りしています。kakko
kakkoさん、どうもありがとうございました♪‥‥ってワケで、「夢遊病の女」で紹介したのは、自分のパソコンを立ち上げて、意味不明なメールを送信しちゃった女性の例だったけど、このkakkoさんの場合は、自分のパソコンを立ち上げて、お気に入りのブックマークから俳句のサイトへ飛んで、「しりとり俳句」の掲示板に、ハンドルネームやパスワードを使って、季語の入った俳句を書き込んだってんだから、ものすごいことだと思う。さらには、その俳句が「なかなかに良い出来」だったなんて、シャレにならないほどシャレてる話だ(笑)
そして、このkakkoさんの報告で注目したいのは、kakkoさん自身が、書き込みを終えてから、ちゃんとパソコンの電源を切ってるって点だ。お友達の場合も、インスタントラーメンを作って食べてから、お鍋をいつもの位置に片づけてる。こうした報告を聞くと、夢遊病ってのは、何かひとつのことをする時に、部分的じゃなくて、最初から最後までの一連の動作を無意識のうちに行なってるってことが分かる。だから、あたしの場合も、枕カバーの中に靴下を押し込んだだけじゃなくて、そのあとに枕カバーのジッパーをちゃんと閉めて、ベッドの定位置に枕を戻して、また眠りについたんだと思う‥‥ってワケで、もう1人、紹介したいのは、これまた「マジですか~?」ってレベルの夢遊病を炸裂させた、みわいどさん(女性)からの報告だ。みわいどさん、どうもありがとうございました♪
みわいどさんの場合は、1年間に渡って何度も夢遊病を繰り返し、それを目撃してた弟さんの証言をもとに報告してるので、すごく詳しく書かれてる。ザクッとマトメると、みわいどさんは、深夜の3時ころになると、全裸になって体にシーツを巻きつけて、2階の自分の部屋から1階のダイニングキッチンへ降りていき、テーブルの両側を行ったり来たりしながら、「いくぞ!日向君!」「こい!翼!」と、1人で何役もこなして、その日に観たアニメの「キャプテン翼」を演じたそうだ。そして、ひと通り演じ終わると、エンディング曲を歌いながら2階の部屋へ戻っていく。
これは、みわいどさんが30年近くも前の中学生の時の話だそうだけど、毎週、「キャプテン翼」の放送日の深夜になると、その日のアニメの内容を演じ続けて、それを面白がった弟さんは、みわいどさんにも家族にも教えずに、コッソリと1年間、姉の奇行を楽しみ続けたそうだ‥‥ってワケで、なんでメールを紹介しないで、あたしがザクッとマトメたのかって言うと、この話は、みわいどさんのホームページに、「キャプテン翼とエビとカニ」として詳しく書いてあるので、ぜひ、そちらを読んでもらいたいからだ。
面白おかしく書いてあるけど、状況だけを冷静に見ると、ちょっとシャレにならないレベルだと思う。実際、みわいどさんは、40歳を過ぎた現在でも、目が覚めるとテーブルの上に記憶にないお菓子が並んでたりするそうで、これは、夜中に無意識でコンビニに買いに行ってるみたいなのだ。つまり、パジャマのまま深夜に外出しちゃってるワケで、これはあまりにも恐ろしい。だけど、病院に行ってお医者様に症状を話しても、コレと言った治療もなくて、安定剤を出されただけだったそうだ。
‥‥そんなワケで、夢遊病ってのは、一般的には、子供のころに起こることが多い。子供を寝かせたあとに、お父さんとお母さんがお酒を飲んでたりすると、そこに子供が寝ぼけてやってくる‥‥なんてパターンは、多くの人が経験してると思うけど、簡単に「寝ぼけ」で片づけてるこうしたケースでも、実際には、ほとんどが夢遊病なんだそうだ。そして、子供のころにヒンパンに起こっても、ある年齢を過ぎるとピタッと起こらなくなるってケースが多いそうだ。つまり、一般的には、小さな子供のころだけに起こる一過性の症状ってワケで、それが大人になっても続いてると、本格的に心配になってくるってワケだ。
今回、最初にメールを紹介したkakkoさんの場合は、寝つきが悪いために睡眠導入剤の「マイスリー」を飲んでて、その薬の服用をやめたら夢遊病が出なくなったってワケで、原因がハッキリしてる。お医者様の話でも、他にも「マイスリー」を飲んでの夢遊病の例が報告されてるとのことなんだから、この薬が原因だって考えて間違いないだろう。こうした薬は、眠れない状態の体を無理やり眠らせるものなんだから、脳みそが眠りについても、体のほうは起きてて、それで夢遊病になっちゃうって考えられる。
だけど、みわいどさんの場合は、「キャプテン翼」を演じてたのも、中学3年生の時だったワケで、一般的には、もう夢遊病の治ってる年齢だ。それなのに、毎週毎週1年間も続いてたってことは、ちょっと珍しいケースだと思う。そして、その後も続いてるんだし、睡眠導入剤とかを飲んでるワケでもないんだから、こんな言い方をしたらミもフタもないけど、完全に「慢性」なんだと思う。
で、あたしは、「子供のころにヒンパンに起こっても、ある年齢を過ぎるとピタッと起こらなくなる」ってことから、もしかしたら、夢遊病って「おねしょ」と似た構造なんじゃないかと思った。「おねしょ」の場合も、一般的には、ある年齢を過ぎるとピタッと起こらなくなるけど、中には、大人になっても治らない人もマレにいるからだ。「おねしょ」は、正式には「夜尿症」って言うけど、子供のころの「おねしょ」だけに限定して言えば、あたしは病気じゃないと思う。だって、たいていは、小学校に上がるまでには自然に治るからだ。ま、病気じゃないんだから「治る」って表現は適切じゃないけど、ようするに、尿意をもよおしたら目が覚めて自分でおトイレに行けるようになるのが、だいたい小学校に上がる前ってワケだ。
だけど、コレにしたって、すべての子供が小学校に上がる前に「おねしょ」が治るワケじゃない。子供だって個人差があるから、小学校に上がってからも「おねしょ」をしちゃう子だって多いし、のび太みたいに5年生になってもやっちゃう子もいる。でも、これらは、たいていはジョジョに奇妙に治ってくから、普通はそれほど心配はしない。ようするに、中学に上がるまでの「おねしょ」は、個人差の枠の中のことだって考えてるからだ。
でも、これが、高校生になっても、大学生になっても、社会人になっても治らなければ、やっぱり病気ってことになってくる。で、大人の「夜尿症」の場合は、人よりも膀胱が小さいとか、人よりも夜間の利尿が多いとかっていう物理的な原因の他に、メンタルな原因もあるそうだ。ふだんは「おねしょ」なんかしない人でも、精神的なストレスが溜まると、それが引き金になって「おねしょ」をしちゃうケースもあるそうだ。人間の体は、ストレスが溜まると、自律神経が乱れちゃう。そして、自律神経が乱れると、自律神経の中枢の「視床下部」ってとこが「何とかしなくちゃ!」ってことで対策に乗り出す。
「視床下部」ってのは、脳みその脳下垂体のすぐ上にある器官で、体温やホルモンの調節から、食欲、性欲、睡眠欲などの人間の本能行動の調節をしてる上に、怒りや悲しみや喜びなんかの感情もコントロールしてる器官だ。ひとつの器官で、こんなにたくさんの仕事をしてるんだから、寝てる間だってセッセと働いてる。だから、常に人手が足りないほど忙しいんだけど、ストレスが原因で自律神経が乱れたりすると、この「視床下部」は、他の仕事を後回しにして、自律神経を正常に戻すための対応に乗り出しちゃう。
自律神経の病気になった人の症状はいろいろあるけど、手のひらだけに大量の汗をかいたり、食べても食べても食欲が止まらなくなったり、逆に何も食べられなくなったり、夜、眠れなくなったり、女性なら生理が来なくなったり、精神的にイライラしたり不安になったりって、こうした症状のほとんどは、この「視床下部」が、これらのコントロールを後回しにしてることから起こる副産物的な症状なのだ。だから、根本的な原因であるストレスを解消すれば、「視床下部」は本来の仕事に戻り、こうした症状も治まるってワケだ。
そして、大人の夜尿症も、この「視床下部」が、ストレスによる自律神経の乱れに対応するために、本来の仕事を後回しにしてることが原因のひとつだって言われてる。つまり、一番の解決策は、根本的な原因であるストレスを解消することで、どんな薬を飲むよりも効果があると思う‥‥ってワケで、話はクルリンパと戻るけど、あたしが推測したように、もしも、「夢遊病」と「おねしょ」が似たような原因で起こるものだとしたら、まだ脳みそが成長段階の子供のうちは、ストレスとは関係なく起こり、脳みそが完成された時点で自然に治るってことになる。そして、脳みそが完成されたあとも症状が起こる場合には、それは成長段階に起こる一過性のものとは違って、精神的なストレスが原因のものだってことになる。
‥‥そんなワケで、医学の知識なんてゼロで、「ケガしたらマキロン」「お腹が痛くなったら正露丸」ってレベルのあたしだから、すべては何の根拠もないシロートの想像でしかない。だけど、あたし的にはそこそこ自信があるから、今度、夢遊病が起こったような感じがした時には、何か精神的なストレスが発生してないか確認してみようと思う。でも、あたしの場合、いつまで経っても右手が完治しないことが最大の不安だし、それによって起こってる日々の病院代や生活費の不安なんかが、最大のストレスになってることは分かってる。だから、もしもコレが原因だとしたら、競馬で大穴を当てない限り、ストレスを解消できないことも最初から分かってる今日この頃なのだ(笑)
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