崖っぷちのギャンブラー
東京サバイバル中のあたしは、今月、電気代やガス代は払えたんだけど、電話代までは余裕がなくて、あと回しにしてた。そしたら、1週間くらい前に、ケータイが止まっちゃった。だけど、インターネットが使えてるから、ケータイが止まってもそんなに困らない。それで、そのままにしてたんだけど、今度は固定電話も止まることになった。正確に言うと、「このままお支払いがないと21日に利用できなくなります」的な通知がきた。それで、昨日の日記の「きっこさんのつぶやき」でも分かるように、20日の「フェブラリーステークス」で勝てば電話代が払える、負けたら電話が止まってインターネットも使えなくなる‥‥って状態だった。
だけど、これは、今だから言うけど、あえて自分自身に課してた試練だったのだ。あたしの未納ぶんの電話代は、約7500円、いくらお金がないとは言え、簡単に作れる金額だ。たとえば、そこらのコンビニのATMにクレジットカードを入れて、1万円キャッシングして、それで支払えば済む話だ。あたしは、メッタなことじゃキャッシングなんてしないから、100万円のキャッシング枠は丸々残ってる。クレジットカードは2枚あるんだけど、両方ともキャッシング枠はぜんぜん使ってない。だから、カードでお金を借りて電話代を支払うことは簡単だった。
他にも、毎月の電話代をクレジット払いに切り替えちゃうって方法もあったし、ハチロク銀行(質屋)にブランド物を持ち込むって方法もあった。さらに言えば、周りのお友達に1万円借りるって方法もあったし、このピンチを回避する方法は何パターンもあった。だけど、あたしが、今回、そうした方法を選択しなかったのは、なんでもかんでも安易に解決しちゃうことに違和感を覚えたからだ。「お金が足りなくなったら借金すればいい」ってんじゃ、自民党や民主党の無能な政治家と変わらないし、何よりも、その問題の根本的な解決にはつながらない。足りないお金を借金するって方法は、単に問題を先送りしただけで、これこそが自転車操業のスタートになっちゃう今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、あたしは、どっちかって言ったら「S」だと思うけど、今回は「ドM」になって、とことん自分を困らせてみようって考えた。だって、この7500円の電話代ってのは、間違いなく、あたし自身が使ったものだからだ。自分が使ったものの料金は自分が支払うのが当たり前で、本来、それは、自分が労働して得たお金で支払うべきものだ。もちろん、クレジットカードでキャッシングして支払っても、あとから働いて得たお金で清算すればおんなじことだけど、何て言うか、この安易な「問題の先送り感」があたしの性分に合わないのと、あとは、金利が掛かることがガマンできないのだ。
そして、もうひとつの理由は、ギャンブルの直感を研ぎ澄ますためだった。最近、アプリの麻雀や花札をやっても、パチ友とパチンコに行っても、競馬の予想をしても、どうも裏目裏目を引いちゃうことが多くて、ナニゲにギャンブルの直感が鈍くなってきたような気がしてた。たとえば、麻雀のテンパイで、4、6、7って持ってて、7を切ってカンチャンに受ければ三色、4を切ってリャンメンに受ければタンピンて時に、ホーに5が2枚出てたら、普通は三色を諦めて、和了を優先して、リャンメンでリーチだろう。で、そうすると、一発で5をツモっちゃうのだ。
「それならラッキーじゃん!」って思う人もいるかもだけど、表も裏もドラはゼロで、メンタンピン一発ツモでマンガン、南場のラスだったからこれで終わり、あたしは僅差の2位になった。だけど、これが、もしもカンチャンに受けてたら、メンタン三色一発ツモで、ドラがゼロでもハネマン、あたしはトップになってたのだ。麻雀にはウマがつくから、1位と2位じゃ雲泥の差で、レンホーみたいに「2位じゃダメなんですか?」ってワケには行かない。それこそ、テンホーやチーホーは役マンだけど、レンホーはマンガンてワケだ。
今までのあたしなら、確率なんて関係なしに、ほとんど直感だけで選択してて、十中八九は「いい方」を引き当ててた。花札の「こいこい」にしても、「押す」か「引く」かの判断が裏目裏目で、欲を出して「こいこい」をすると裏目に出る。パチンコでも、パチ友と2人で朝イチから潜確台を拾いに行った時に、偶然に2台並んでたことがあって、パチ友は、あたしに選ばせてくれた。それで、あたしは左側の台を選んで打ち始めたんだけど、あたしは1セットだったのに、パチ友は5連チャンしてから時短で引き戻してた。そして、ドル箱を積みながら、「あたしのことは『残り物には福ガール』って呼んでね!」なんて言って笑ってた。
‥‥そんなワケで、あたしのギャンブルの直感が鈍くなって来たのは、きっと、「勝てば嬉しいけど負けても困らない」っていう安全圏にいながらの勝負、ぬるま湯に浸かっての勝負を続けて来たからだと思った。特に、競馬に関しては、2000円ていう予算を決めて、その中だけで楽しんできた。これはこれで、正しいギャンブルの楽しみ方だとは思ってるけど、負けても困らない枠の中だけで遊んでるから、ジョジョに奇妙に「勝負勘」みたいなものが鈍くなって来たんじゃないかって思った。
それで、あたしは、落ちて来たギャンブルの直感を取り戻すためには、自分を極限状態に置いての勝負、一歩も後がない崖っぷちでの勝負、今の菅さんのような状況に自分を追い込んで勝負をすれば、また、「世田谷のジャックナイフ」と呼ばれたあたしの「勝負勘」が戻ってくるんじゃないかと思った。「菅さん」だけに‥‥ってなワケで、いつもながら前置きが長くなっちゃったけど、今回、安易な方法で電話代を払わなかったのは、「フェブラリーステークスで勝てなかったら電話が止まってインターネットができなくなる」っていう「プチ極限状態」に自分を追い込むためだった。
そして、結果は、皆さんご存知の通り、あたしが選んだダイシンオレンジは、ずっといい位置につけてたのに、最後の直線で力尽きて後方へと沈んで行き、あたしが2番目に選んだトランセンドが1着になった。今回は、「勝負勘」を取り戻すために、複勝やワイド、馬連や枠連みたいな「弱気の馬券」はいっさい買わず、3連単、3連複、馬単だけで勝負したから、あたしの2000円はキレイサッパリと散った。そして、あたしは、全財産が、お財布の中の370円と、レースの前にゲームソフトを5本売りに行って得た850円と、銀行口座に残ってる小銭だけになった。あたしの脳裏には、「江戸っ子は宵越しの銭は持たねえ」って言葉と「明日は明日の風が吹く」って言葉が同時に浮かんだ。
‥‥そんなワケで、これが競馬場や場外馬券売場なら、有名な「オケラ街道」を歩いて帰るとこなんだけど、あたしは自宅からインターネットで馬券を買ってるから、あとは黙って月曜日に電話が止まるのを待つだけになった。だけど、頭の切り替えが早いあたしは、競馬が終われば終わったで、さっそく、電話代を作ることを考え始めた。このままだと、月末に数万円のギャラが振り込まれるまで、1220円で生活しなきゃなんない。あたしのいつもの節約生活は、主食のお米を始め、ある程度の食料を確保した上で成り立ってるんだけど、この時点では、お米も食べ尽くし、お正月の残りのお餅も食べ尽くし、買い置きしてたパスタも、乾麺も、インスタントラーメンも食べ尽くし、残ってるのは、小麦粉が200グラムほどと、去年の夏の素麺の残りが2束だけだった。だから、電話代も必要だったけど、それ以上に、食料を買うお金が必要になった。
でも、これにしても、電話代とおんなじで、スーパーでお買い物をしてクレジットカードで支払うっていう方法がある。スーパーによっては、クレジットカードが使えないとこもあるけど、あたしが行くスーパーなら、三本杉のサミットを始め、ほとんどのお店でクレジットカードが使える。それに、高島屋の地下の食料品売場もクレジットカードが使える。だけど、あたしは、これまた電話代とおんなじで、問題の先送りは性分に合わないのだ。たとえば、お財布の中や銀行口座にお金があるのに、カードの割引ポイントを貯めるために、あえてクレジットカードで支払う‥‥ってのは問題ない。あたし自身、このパターンはよくやってるし、お仕事で使うコスメ関係は、すべてクレジットカード決済にしてるし、ガソリン代も、すべてクレジットカード決済にしてる。
だけど、これは、あくまでもそのほうが得だからであって、電話が止まろうとも、電気やガスが止まろうとも、何よりも優先してクレジットカードの引き落とし口座にお金を入れてる。だからこそ、あたしは、いつも電気やガスが止まりそうになってるワケだ。だから、あたしの感覚だと、お金がないから電話代をクレジットカードで支払うなんてのは本末転倒だし、ましてや、お金がないから食料品をクレジットカードで買うなんてのはモッテノホカなのだ。
で、「勝負勘」が戻らずに、ホントに崖っぷちに追い込まれちゃったあたしは、中国電力による上関原発の強行工事の様子をUstreamの生中継で見ながら、月曜日の朝を迎えた。前回、電話が止まった時は、「お金を持ってたのに支払いを忘れてた」っていう完全にあたしのウッカリミスだったんだけど、朝の7時40分ころにパソコンを立ち上げたら、インターネットにつながらなくなってた。それで、どこを見てもおかしくなくて、「もしや?」と思って受話器を耳にあててみたら、プープープーって鳴ってて、電話が止まってることに気づいたってワケだ。
だから、今回も、それくらいの時間に電話が止まることを予想して、ブログを書いたり、サンシャイン牧場に水やりしたりしつつ、止まる時を待った。そしたら、やっぱり、朝の7時半すぎに止まったみたいで、8時に受話器を耳にあてたら、プープープーって鳴ってた。それで、あたしは、まずはタンスの一番上の引き出しの中の「宝箱」から、使える金券をぜんぶ出して、その中から、換金できる商品券を選んだ。そして、10時に原チャリで出発して、金券ショップに売りに行ったら、2200円になった。これで、手持ちのお金とで「タネ銭」ができたので、朝から何も食べてなくてお腹がペコペコだったから、コンビニで100円のメロンパンと120円の缶コーヒーを買って、変な動物の遊具がある児童公園のベンチで食べた。
そして、腹ごしらえが終わったので、気合いを入れて、ちょっと遠くの小田急線沿線の某駅にある寂れたパチンコ屋さんに向かった。何でかって言うと、このホールは、平日なら午後から行っても潜確台が拾える確率が高いからだ。ただ、あたしは、今、右手の具合が最悪で、食事も左手でしてる。原チャリのアクセル操作もつらくて、ものすごく苦労してる。だから、右手でパチンコを打つ自身はなかったけど、ホニャララをホニャララするホニャララを使って、何とか乗り切ることにした。
結局、すぐに潜確台を拾えたんだけど、右手が使えないからストロークを決めるまでに無駄玉を使っちゃって、最初の当たりを引くまでに1500円も使っちゃった。でも、この台で1セット出して、2500玉を換金して、それから得意の海物語のコーナーに行って、3連チャンと2連チャンで7000玉出すことができた。途中で1回換金してるから、最終的にはお財布の中のプラマイになるけど、最初は3000円ちょいだったお金が、帰りには2万8000円になった。それで、帰り道にあったコンビニで電話代を払ってから、地元に戻ってきて、いつものスーパーで、5キロのお米の中で一番安い1680円のと、12匹で100円のメザシを3パックと、120円の葉つきダイコンを1本買って帰ってきた。
‥‥そんなワケで、今夜は、久しぶりにご飯を炊いて、1人で「お米祭り」を開催した。ダイコンの葉っぱも入れたお味噌汁を作って、メザシ、おかか梅干し、しそ昆布の佃煮をおかずにして、お茶碗2杯もご飯を食べた。やっぱり、炊き立てのご飯は無敵だな~って思って、ジンワリと感激した。左手だと、うまく食べられなくてイライラしちゃうけど、少しお金に余裕ができたから、明日は、お金がなくてしばらくお休みしてた病院に行こうと思う。リハビリさえ続けてれば、またすぐに指が動くようになると思うし、そうすれば、また本職のお仕事もできるから、今よりは遥かに状況が良くなる。そして、状況が良くなれば、きっと、鈍くなってたギャンブルの直感も蘇ってくると思う今日この頃なのだ。
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