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2011.03.06

リハビリ・フィッシング

いったんは良くなりかけてた右手の指が、また動かなくなってきて、今は「三寒四温」みたいな状況だ。特に、朝、目が覚めた時が最悪で、5本の指がほとんど動かない。手をにぎろうとしても、指先が1センチくらいしか動かない。だけど、左手でマッサージして、にぎった指をギュッギュッてやってると、少しずつ動くようになってくる。何よりも効果があるのが、洗面器にお湯を入れて、その中に右手を浸けてマッサージするといいんだけど、最近は、濡らしたタオルを電子レンジでチンして、それで温めるようにしてる。

とにかく、温めながらマッサージをすると、ほとんど動かなかった5本の指が、ちゃんと動くようになる。だけど、ただ動くようになるだけで、力を入れることができない。どんな感じかって言うと、空のコップを持ち上げることはできるけど、お水を入れたコップは持ち上げられない。歯ブラシを持つことはできるけど、歯を磨くことはできない。ペンを持つことはできるけど、文字を書くことはできない‥‥って感じだ。

だけど、目が覚めてから、いろいろとやってるうちに、ジョジョに奇妙に力が入るようになってきて、1時間くらいすると、普通の状態の8割くらいの力が出せるようになる。しばらく使ってなくて硬くなってるマスカラのブラシが付いたキャップとかも、右手の指で回してスポッと抜くことができるようになる。だから、100%は思い通りに動かないので、イライラしちゃうこともあるけど、日常生活は何とかなる。ただ、包丁を使う時だけは恐いから、ものすごく慎重にやってる。たとえば、お豆腐を切る時って、普通は左手の手のひらの上に乗せて、右手に持った包丁で切るけど、今は右手の感覚とか力の加減とかがビミョ~だから、まな板の上に置いて切るようにしてる今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなにワケで、なかなか完全復帰できなくて困ってるあたしだけど、1日も早く治るようにと、毎日、できるだけリハビリを続けてる。メインでやってるのは、シザーの練習で、最低でも1日1回、時間のある日は、午前と午後と寝る前の1日3回、500回くらいずつチョキチョキしてる。だけど、これは、野球で言うとこのバットの素振りとおんなじで、実際にボールを打つのとは違う。わずか数本の髪の毛でも、カットする時には、シザーを持つ右手の指にその感覚が伝わってくるワケで、ただチョキチョキしてるだけだと、指を動かすリハビリにはなっても、実際に髪をカットする感覚を取り戻すためのリハビリにはならない。

で、日曜日の朝、「スイートプリキュア」を観終わって、次の「題名のない音楽会」を観ながらシザーをチョキチョキしてたんだけど、だんだん虚しくなってきたあたしは、突然、思い立った。「そうだ!京都へ行こう!」‥‥じゃなくて、「そうだ!魚釣りに行こう!」って。何でかって言うと、前にも書いたけど、あたしの愛用の釣竿は、ものすごく軽いから、リハビリ向きだと思ったからだ。3年前に、釣り具の「上州屋」で買ったカーボン製の振り出し竿で、35cmくらいのが、スルスルと4段階に伸びて、1m20cmになる。ようするに、ヘラブナ用の振り出し竿をちっちゃくしたみたいやつで、バーゲンの時に680円だった。

ものすごく穂先が柔らかい先調子なので、あたしは、この釣り竿をクチボソ釣りに使ってる。これで釣ると、5cmくらいのクチボソでも、なかなかの引きを楽しめるからだ‥‥ってなワケで、あたしは、久しぶりにクチボソ釣りに行って、右手のリハビリをしようって考えた。小さな釣り針にエサをつけたり、釣り竿を振ってポイントに仕掛けを投入したり、ウキの動きを見てクイッと合わせたり、クチボソの引きを楽しんだりすることが、ぜんぶ右手のリハビリになると思ったからだ。

仕掛けは、道糸が0.4号、ハリスが0.2号で、針は4号の袖のカエシを砥石で削ってバーブレスにしてある。ウキは、最初はちっちゃい中通しウキの色違いを5つ並べたシモリ仕掛けにしてたんだけど、感度が悪くて合わせが間に合わないから、今は小型のトウガラシウキにしてる。オモリは、一番ちっちゃいのから2番目のガン玉だ。で、この仕掛けが、釣り竿に結んだままになってて、仕掛け自体は四角く切ったダンボールにクルクルと巻いてあるから、いつでも釣りに行ける状態だった。

だけど、傘がない‥‥のは井上陽水で、あたしにはエサがない。クチボソを釣る時は、いつもアカムシを使ってるんだけど、環八の「上州屋」まで買いに行かなきゃなんない。それで、あたしは、家で飼ってるクチボソと黒メダカのエサにしてるマルキューの練り餌を使うことにした。ただ、クチボソ釣りの仕掛けは針がちっちゃいから、練り餌は厳しいんだよね。練り餌をクチボソの口の大きさに合うようにすると、ちっちゃすぎて、水に入れたらすぐに落ちちゃう。だけど、ある程度の大きさにすると、クチボソはひとくちでパクリと食べられなくて、複数のクチボソが突っついてるうちに、これまた崩れて針から落ちちゃう。

ペットボトルで作った罠の場合は、中に練り餌のお団子を入れといてて、そのまま川底に沈めとくと、何時間かして見に行けば、クチボソ、ダボハゼ、コイの赤ちゃん、手長エビなんかがいっぱい獲れてる。だけど、釣りの場合には、クチボソの口のサイズに合ってる上に、何度か突っつかれても針から落ちないアカムシのほうが理想的なのだ。

でも、今回は、釣りが目的じゃなくて、あくまでも右手のリハビリが目的だ。だから、わざわざ車を出して「上州屋」までアカムシを買いに行くのもアレだし‥‥ってことで、あたしは、釣れなくてもかまわないから、マルキューの練り餌を使うことにした。それで、ピンポン玉くらいの大きさの練り餌を作って、ラップで包んで、釣り用のポシェットの中に入れた。そして、愛用の釣り竿を持って出発した。

‥‥そんなワケで、あたしは、愛車のフェラーリF2004(ママチャリ)に乗って、多摩川の土手の上のサイクリングロード走って、10分ほど上流にある秘密のポイントに到着した。ここは、まだ護岸工事をしてなくて、流れの侵食を防ぐためにテトラポッドが積んであるんだけど、四角い枠みたいな形のテトラポッドだから、足場もいいし、釣り堀みたいな感じで釣ることができる。もうちょっと暖かくなると、クチボソの群れがワラワラと泳いでるのが見えるから、見ながら釣る「サイトフィッシング」が楽しめるポイントだ。

だけど、この日はまだ水温が低くて、泳いでるクチボソは見えなかった。よく見ると、1cmくらいの何かの稚魚が群れてるだけで、釣れそうな魚はいなかった。だけど、テトラポッドの隙間に隠れてるかもしれないし、あたしは、少し大きめの練り餌を針につけて、第一投を振り込んだ。練り餌が大きめだから、ウキは頭まで沈んだけど、練り餌が溶けるに従って、ウキの頭が少しずつ上昇してきたから、あたしは勢いよく釣り竿を上げた。こうすると、溶け始めた練り餌が水中に落ちて、それが魚を集めるコマセの役目になる。これは、テレビ東京の「釣りロマンを求めて」のヘラブナの回を観てて覚えた技だ。

で、これを3回ほど繰り返してから、今度は、針先を隠すように、できるだけちっちゃく練り餌をつけて、おんなじ場所へ振り込んだ。そして、ドキドキしながらウキを見つめた。ウキが消えた瞬間に合わせられるように、ウキから穂先までの道糸はできるだけ直線になるように釣り竿を持つ。ここが弛んでると、合わせが遅れちゃうからだ。

だけど、いつまで待ってもウキは動かない。ほとんど重さのない釣り竿なのに、ずっと腕を伸ばして持ってるから、だんだん右手が痺れて感覚がなくなってきた。それで、しばらくして、ゆっくりと仕掛けを上げると、釣り針の先には仁丹ほどの練り餌が残ってた。つまり、やっぱり魚は来てなかったってことだ。でも、これとおんなじことを2投、3投、4投って続けてたら、5投目か6投目くらいに、ウキがチョンチョンチョンチョンって動いた。仕掛けを上げてみると、練り餌はキレイになくなってた。これは、たぶん、釣り針に掛からないほどちっちゃな魚が、何匹かで突っついたんだと思う。

でも、釣り針に掛からないほどちっちゃな魚でも、集まって来てくれたってことは、遠くからその様子を見たワンサイズ大きな魚が、「あそこにエサがあるみたいだな」って思って、来てくれる可能性がある。いや、実際には、目で見るんじゃなくて、側線で感じるんだと思うけど、どっちにしても、ちっちゃな魚が練り餌を突っついてくれてれば、釣り針に掛かるサイズのクチボソも集まってくる可能性がある。

それで、あたしは、また最初みたいに大きめの練り餌をつけて、おんなじ場所へ振り込んでみた。このほうが、ちっちゃな魚が突っついてくれると思ったからだ。だけど、10秒、20秒、30秒‥‥って、ウキはピクリともしない。そして、「もう、ちっちゃい魚たちはいなくなっちゃったのかな?」って思った瞬間、ウキが一気に消し込んだ! あたしは驚いて合わせたんだけど、それまでずっとアタリらしいアタリがなかったもんだから、完全に気が緩んでて、仕掛けは空中へとスッポ抜けちゃった。

‥‥そんなワケで、小指の先ほどの大きさに丸めた練り餌だったのに、それをくわえてウキを一気に消し込むなんて、それなりの大きさの魚だろう‥‥って思ったあたしは、心臓がドキドキしてきて、トタンにやる気マンマンになった。それで、すぐに練り餌をつけ直して、おんなじ場所へ振り込んだ。だけど、今度は、ウキはピクリともしない。少し右のほうとか、少し左のほうとか、少し沖のほうとか、いろいろと振り込んでみたんだけど、ウキはぜんぜん動かない。だけど、そのたびに練り餌はなくなるから、ピンポン玉くらい持って来た練り餌は、もう3回ぶんくらいしか残ってない。

そこで、あたしは、いったんテトラポッドの上から陸地に戻って、落ちてた木の枝で、草むらの土を掘ってみた。ミミズがいると思ったからだ。そしたら、あたしの勘はピッタンコカンカンで、すぐにちっちゃなミミズが見つかった。ちっちゃな種類のミミズなのか、大きなミミズの子供なのかは分かんないけど、とにかく、4cmくらいのちっちゃなミミズが見つかったので、サスガに指で持つのは恐かったから、枝で押さえて、釣り針の根本を持って、真ん中あたりに引っ掛けた。あたしは、ゴカイとかイソメとかの海のやつなら持てるんだけど、ミミズは苦手なのだ。だって、海のやつなら潮の香りがするけど、ミミズは生臭くて、指で持つと指がずっとミミズの匂いになっちゃうからだ。

で、ミミズの真ん中に釣り針を引っ掛けたから、マニアックな言い方をすると、村上晴彦さんの「ネコリグ」みたいになった。これは、ブラックバスのリグ(仕掛け)のひとつで、ワームの真ん中をフックにチョン掛けする方法だ。ちなみに、「ネコリグ」の「ネコ」は、「猫」じゃなくて、「根こそぎ釣る」の「ネコ」だ‥‥ってのも織り込みつつ、あたしは、釣り針の先でニョロニョロ動くミミズに「申し訳ない」と思いつつ、さっきのポイントに振り込んだ。そしたら、ゆっくりと立ち上がったウキが、チョーン、チョーンと動いて、あたしが「うっ!」と息を止めた瞬間、スッと消し込んだ。

今度は、ちゃんと構えてたから、あたしは、菊元俊文さん譲りの「電撃鬼合わせ」を炸裂させることができた!‥‥って言うか、正確には、菊元俊文さんの「電撃鬼合わせ」のモノマネをしてる、くじらさん譲りの「電撃鬼合わせ」を炸裂させることができた!

ブルブルブルブル!

クチボソ用の釣り竿は根本から曲がり、ものすごい引きが伝わってくる!穂先が水の中に引き込まれる!まさに「満月」だ!あたしは、無意識のうちにテトラポッドの一番前まで行き、隙間に逃げ込まれないように、広い場所でやり取りした!そして、何とか釣り上げてみたら、すごく大きいマブナだった!あとから測ってみたら、18cmもあった!

多摩川にはヘラブナとコイはいっぱいいるけど、マブナは減少してるみたいで、なかなか姿を見ることがない。あたしは、何度か釣ったことはあるけど、だいたい10cm前後で、こんなに大きなのは初めてだった。それで、コーフンしちゃって、すぐに写メを撮ろうと思ったのもトコノマ、ケータイを持って来なかった。チョコっと釣りをするだけのつもりで出掛けて来たから、釣り道具だけしか持って来なくて、ケータイやお財布の入ったバッグは置いてきちゃった。だけど、せっかく大物が釣れたんだから、写メは撮っときたい。

‥‥そんなワケで、あたしは、このマブナを持って帰ることにした。釣り用のポシェットには、何枚かビニール袋を入れてあるから、それに川の水を入れて、マブナを入れた。ビニール越しに見たマブナは、さらに大きく見えて、ブロンズ色に近い色だったから、ギンブナじゃなくてキンブナなんじゃないかと思った。そして、ビニール袋に空気を吹き込んで、パンパンにしてから口を結んだ。こうしておけば、10分くらいなら大丈夫だからだ。お家に戻ったあたしは、バケツにマブナを入れて、さっそく写メを撮った。それで、この際だから、1週間くらい飼って、ジックリと観察して、それから元の場所に逃がしに行くことにした‥‥ってなワケで、今、あたしのお部屋には、黒メダカとクチボソの他に、仮設の水槽に大きなマブナがいる。そして、名前は、暫定的に「フナキカズオ」にしてみた今日この頃なのだ。


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