不謹慎な予想
あたしと母さんが最初にお世話になってた山の中腹の農家は、あたしたちが到着した時点では2組の家族が疎開に来てて、あたしたちは3組目だった。だけど、それから2組が増えて、合計で5組、総勢17人になった。それで、あたしと母さんは、山のふもとの農家のほうにいることが多くなり、今や「きっこさんはパソコンがないと不便だろうから、この部屋を使っていいよ」って、居間の隣りのパソコンのある部屋に寝泊りさせてもらってる。
だから、今はいつでもインターネットができる環境になったけど、それまでは大変だった。何しろ、山の中腹の農家は、ケータイの電波もブツ切れになるからだ。アンテナのマークが、1本、2本、1本、圏外‥‥って感じに動くから、インターネットはもちろんのこと、電話をしてても途中で何度も切れちゃう。だから、用事はすべてメールで済ませてたんだけど、1週間もすると、ある程度、精神的に落ち着いてきたので、東京を出発してから連絡をとってなかった人たちにメールを送ってみた。そんな中で、石川喬司先生にもメールで近況報告をして、それから何度かメールのやりとりをしたんだけど、数日前にいただいたメールの中に、こんなクダリがあった。
『小生、「今年のダービーの新聞広告を<ダービーは文学だ>」というコンセプトで作成したいから出演してほしい」という広告代理店からの打診を受け、もう老人の出る幕ではあるまい、それに自粛の風潮だから、と考えていたら、コンペで電通に負けました、と連絡が届きました。本心はやっぱり少しガッカリ。』
おおっ!あたしが生まれた翌年の昭和48年に、石川先生の競馬仲間だった寺山修司さんが日本中央競馬会のCMに登場して、今年の日本ダービーの新聞広告に石川先生が登場したら、あたしの人生、オセロ的には競馬一色になっちゃうとこだったじゃん!‥‥なんて思った今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、石川先生の登場する新聞広告が見られなくなったのは残念だけど、ここで、3歳馬のマツリダキッコは、「ヒヒ~ン!」と思いついた。それは、今度の日曜日は「皐月賞」だってことだ。そう、今までの例からすると、G1レースの前に石川先生からいただいたメールの中に、高い確率で勝馬を暗示するキーワードが隠されてた。だから、今回もその流れで行くと、このメールの中に、大きなヒントがあるってことになる。
石川先生からいただいたメールは、マクラで紹介した部分の他は、時候の挨拶や日常的なことなので、やっぱり、ポイントになるのは、この新聞広告のクダリだと思う。それで、あたしが脊髄反射的に脳裏に浮んだのが、今、ОAしてるJRAの「皐月賞」のCMだった。やたらとカッコイイから印象に残ってるんだけど、まずは観てほしい。
「今年の皐月賞のCM」
http://www.youtube.com/watch?v=Ape5ER-TgT0
92年 皐月賞
そのモンスターの名は
ミホノブルボン。
常識は、敵だ。
「皐月賞が来る!」‥‥ってワケで、91年9月のデビュー戦から一度も負けずに、4戦4勝のまま「皐月賞」に挑んだミホノブルボンは、戸山為夫調教師のスパルタ調教によって作り上げられたサイボーグのような馬体で、他を圧倒した。だけど、「皐月賞」「日本ダービー」「京都新聞拝」と無敗のまま勝ち進んだモンスターは、次の「菊花賞」でライスシャワーに敗れ、その後の骨折で惜しまれつつ現役引退、種牡馬生活へと入ってった。
現役では、わずか2年間しか活躍できなかったミホノブルボンだけど、多くの人たちの脳裏に刻み込まれた異次元の強さと、鍛え上げられた馬体の美しさとで、現役引退後も、96年のJRAのCMシリーズの中で起用されて、本木雅弘や鶴田真由と競演してる。
「96年のJRAのCM」
http://www.youtube.com/watch?v=HVMXg8NbCws
‥‥そんなワケで、この96年のCMみたいに長い期間ОAできるJRAの競馬全体のCMなら、お金をかけて凝った作りにしてもいいけど、「皐月賞」のCMみたいに特定のレースのCMの場合は、そのレースの開催日までの1週間だけしかОAしないから、そんなに凝ってもモッタイナイ。以前は、大泉洋とかマツコ・デラックスとかが出てたけど、今は震災の自粛ムードもあるから、あんまり芸能人を何人も起用したCMだと「不謹慎」だとか言われかねない。そこで、こんなCMにしたんだろうけど、これが、石川先生のメールの中の「それに自粛の風潮だから」っていう部分とシンクロしてるのだ。
つまり、今回の「皐月賞」のCMは、「競馬」「広告」「自粛ムード」っていう3つのキーワードが、石川先生のメールとシンクロしてるワケだ。そして、その上、ミホノブルボンが「皐月賞」と「日本ダービー」の二冠から「京都新聞杯」まで無敗だったことを考えると、ミホノブルボンが「皐月賞」のCMに使われて、石川先生が「日本ダービー」の「新聞広告」の話題をメールで知らせてくれたってのは、あまりにも出来杉くんなほどのシンクロ率だ。
だから、今回の「皐月賞」の勝馬のヒントが、このCMの中にあることは間違いない。あとは、頭脳は子供でもベッドでは大人、迷探偵キッコナンが、その謎を解明すればいいだけだ。頼んだぞ!キッコナン!‥‥って、3歳馬のマツリダキッコも、迷探偵キッコナンも、ぜんぶあたしなんだけど(笑)
だけど、最初のヒントは、意外にも簡単に見つかった。あたしは、まず、ミホノブルボンの血統を調べてみたんだけど、競走馬にとって何よりも重要なお父さんの名前が、ナナナナナント! 「マグニテュード」だったのだ! この、震災の自粛ムードを逆撫でしそうな名前を見て、あたしの全身に小さい鳥肌実が立った。それで、あたしは、頭の中をリセットして、もう一度、このCMを観てみた。そしたら、何よりも印象に残ったのが、BGMとして使われてる T REX の「20th Century Boy」だった。
グラムロックを聴かない人でも、映画「20世紀少年」のCMで、耳にタコヤキが詰まるほど繰り返し繰り返し流れてたから、アーティスト名や曲名は知らなくても、音楽だけは聞き覚えがあると思う。で、T REX と言えば、マーク・ボラン‥‥マーク・ボラン‥‥マーク・ボラン‥‥マーク・ボランティア!‥‥ってワケで、リトル強引だけど、ここにも震災に関連したワードが見つかった。
だけど、CMで使われてるのは、ほぼイントロ部分で、マーク・ボランが歌いだしたトタンにレース実況の声がかぶって聴こえなくなる。でも、だからこそなのだ。今回の「皐月賞」の次に行われる最終レースは、震災のための特別登録の「被災地支援 きずな賞」なのだ。こないだの「桜花賞」の時も、最終レースは「被災地支援 マーチS」だったし、今度の「春の天皇賞」の日は「被災地支援 いぶき賞」だし、「NHKマイルC」の日は「被災地支援 みらい賞」だし、「ヴィクトリアM」の日は「被災地支援 きぼう賞」だし、6月いっぱいまで、G1レースがある日の最終レースをすべて「被災地支援競走」として、売り上げの5%が支援のために搬出される。
で、予想に戻るけど、「皐月賞」のCMで流れる「20th Century Boy」がイントロと歌い出しの部分だけってことは、その次の最終レースが本番になるワケで、そのレースが「被災地支援 きずな賞」ってことは、もう完全に流れが見えて来た。すべては、被災地の支援、被災地の復興がキーワードになる。そこで、あたしは、出走登録馬の一覧を見てみた。これは、3日前の水曜日のことだから、まだ枠順が確定してなかったからだ。
そしたら、あまりにもテンポイント‥‥じゃなくて、あまりにもピンポイントな馬がいた。それは、「ホッコーガンバ」と「メルトアウェイ」だ。「ホッコーガンバ」は、東北の復興を応援してるみたいな名前だし、「メルトアウェイ」は、原発のメルトダウンを追い出しちゃうみたいな名前だ。それで、あたしは、この2頭の馬単を買うことにして、その日は寝た。そして、次の日、木曜日の午後になって、マチカネタンホイザーだった枠順が発表になった!
4月24日 東京11R
「皐月賞」(G1)
3歳上オープン 芝2000m
1枠1番 ステラロッサ/川田将雅
1枠2番 ダノンバラード/武豊
2枠3番 ノーザンリバー/四位洋文
2枠4番 サダムパテック/岩田康誠
3枠5番 ナカヤマナイト/柴田善臣
3枠6番 ダノンミル/内田博幸
4枠7番 ロッカヴェラーノ/吉田豊
4枠8番 ビッグロマンス/北村宏司
5枠9番 カフナ/丸山元気
5枠10番 エイシンオスマン/後藤浩輝
6枠11番 ベルシャザール/安藤勝己
6枠12番 オルフェーヴル/池添謙一
7枠13番 リベルタス/横山典弘
7枠14番 フェイトフルウォー/田中勝春
7枠15番 デボネア/佐藤哲三
8枠16番 トーセンラー/蛯名正義
8枠17番 プレイ/松岡正海
8枠18番 オールアズワン/藤田伸二
のあ~!「ホッコーガンバ」も「メルトアウェイ」もいないのねん!‥‥ってなワケで、いつも言ってるように、あたしは獲得賞金とかまでチェキしないから、枠順が発表になるまでは、確実に出走権を持ってる馬以外は分からないのだ。でも、それはそれ。今回は、これまでにないほどの高いシンクロ率を誇ってあるから、とにかく、被災地の支援、被災地の復興につながる馬を見つけるだけだ。
‥‥そんなワケで、それぞれの馬名の意味だけど、1番のステラロッサは「イタリア語で赤い星」、2番のダノンバラードは「冠名と母名の一部」、3番のノーザンリバーは「生産牧場の歴史を脈々を引き継ぎ、大海へ通じる願いを込めて」、4番のサダムパテックは「冠名とスイスの時計の名」、5番のナカヤマナイトは「冠名と騎士」、6番のダノンミルは「冠名と母母名の一部」、7番のロッカヴェラーノは「イタリアのピエモンテ州の地名」、8番のビッグロマンスは「大きな恋愛」、9番のカフナは「ハワイ語で神官、学者」、10番のエイシンオスマンは「冠名とオスマン帝国」、11番のベルシャザールは「劇音楽「ベルシャザールの饗宴」のバビロニア王」、12番のオルフェーヴルは「フランス語で金細工師」、13番のリベルタスは「ラテン語で自由」、14番のフェイトフルウォーは「重大な戦い」、15番のデボネアは「優雅で快活な」、16番のトーセンラーは「冠名とエジプトの太陽神ラー」、17番のプレイは「祈り」、18番のオールアズワンは「すべてはひとつ」ってことだ。
前回の日記で紹介したオンライン英語学習サイトの「COCONE」で楽しんでる人なら、17番のプレイは、「遊ぶ」とか「(スポーツを)する」とか「(楽器を)演奏する」とか、いろんな使われ方をすることを知ってると思う。そして、その「プレイ」がどんな意味なのかは、前後の脈絡から判断するしかないから、この馬の名前みたいに、ただ単に「プレイ」だけだと、どんな意味なのかは特定できない。
でも、JRAの「登録馬の馬名の意味」の一覧を見たら、「祈り」って書いてあった。ようするに、ちゃんと馬主さんに聞いて、どんな意味で名づけたのかが書いてあるワケだ。だから、これは「祈り」で間違いない。で、これを知って、すぐに頭に浮んだのが、今、いろんなとこで目にする「Pray for Japan」ていうメッセージだ。そう、「日本のために祈る」ってことだ。もうちょっと詳しく言うと、キリスト教の教会とかだと、「pray」は「礼拝する」って意味で、単に「祈る」ってよりも「神様にお祈りする」ってニュアンスとして使われてる。
それから、18番のオールアズワン、「すべてはひとつ」ってのも、今の復興ムードにピッタリだと思う‥‥って言いつつも、外枠が不利な府中で、よりによって大外の2頭が候補になっちゃうなんて、あたしは、ヒサビサにアセリマクリスティーになった。でも、あたしは、「府中は良馬場なら大外が不利だけど、雨が降って重馬場になると逆に大外は有利になる」って言った父さんの言葉を思い出した。それで、すぐに東京の週間天気予報を見てみたら、土曜日は「曇り時々雨」だったけど、日曜日は「晴れ」だった。う~ん‥‥。
‥‥そんなワケで、あたしは、もう一度、他の馬の名前を見てみた。そしたら、プレイやオールアズワンみたいな英語名の他に、イタリア語やハワイ語やフランス語など、いろんな国の言葉が使われてることが気になった。そして、その中でも、イタリア語の名前の馬が2頭もいることが気になった。1番のステラロッサと7番のロッカヴェラーノだ。それで、あたしは、イタリアのことを調べてみたら、2年前に起こった「ラクイラ地震(イタリア中部地震)」の記事に行き当たり、当時のことを思い出した。
2009年4月6日、イタリア中部のアブルッツォ州で発生したマグニチュード6.3の大地震は、6つの県に被害をもたらして、多くの犠牲者が出た。数々の建物が倒壊し、あちこちの街が惨状になり、イタリア政府は国家非常事態宣言を通告した。家を失った人は6万人に達し、長い避難所生活を余儀なくされた。もちろん、ニポンも復興を支援したし、多くの国々が支援してるけど、復興は遅々として進まず、2年経った今も避難所で生活してる人もいるそうだ。
ここまで書いて来て、今回の競馬の予想は、ナニゲに「不謹慎」かな?‥‥って空気になって来たけど、中穴が的中した場合には全額、大穴が的中した場合には配当によって何割かを義援金として送るつもりだから、あんまり厳しいツッコミはしないでほしい。で、イタリア語の2頭の馬だけど、7番のロッカヴェラーノは「イタリアのピエモンテ州の地名」ってワケで、これはイタリアの北西のハシッコの州だから、ラクイラ地震が発生した中部のアブルッツォ州とは離れてる。つまり、どっちかって言うと、1番のステラロッサのほうが匂ってくる。
それで、ステラロッサの血統を見てみたら、本日二度目のナナナナナント! お父さんが、あの、ハーツクライだったのだ! 競馬ファンにはオナジミだと思うけど、2004年のデビュー戦から一度も負けずに、すべてのレースを1着で勝ち進んできた怪物、ディープインパクトに、2005年の「有馬記念」で、初めて勝ったのがハーツクライだ。でも、ディープインパクトは、その後も連勝街道をまっしぐらで、海外遠征した2006年の「凱旋門賞」で失格になったのを除けば、引退するまで国内では勝ち続けた。つまり、国内でディープインパクトよりも先にゴール板を駆け抜けた馬は、後にも先にもハーツクライただ1頭だってことだ。
ここで、他を圧倒する強さを誇ってたディープインパクトが、たった一度だけハーツクライに負けたってことと、「皐月賞」のCMのミホノブルボンが、たった一度だけライスシャワーに負けたってことがシンクロし始めた。そして、今回の「皐月賞」には、そんなディープインパクトの子供が3頭も出走する。2番のダノンバラード、13番のリベルタス、16番のトーセンラーだ。だけど、ハーツクライの子供は、ただ1頭、1番のステラロッサだけだ。このシチュエーションから推測すれば、これはどう見ても、ハーツクライの子供、ステラロッサがやってくれるだろう。
‥‥そんなワケで、今回のあたしの「不謹慎」なコジツケ予想は、17番プレイ、18番オールアズワン、1番ステラロッサ、この3頭の3連単を全種類、つまり、6通りで行く。これくらいのちぉレンジをしなかったら、2007年の「皐月賞」の3連単、162万円の配当を超えることができないからだ。だけど、これだけだと心細いから、あと、復興のイメージがする2頭、「生産牧場の歴史を脈々を引き継ぎ、大海へ通じる願いを込めて」って意味の3番ノーザンリバーと、「重大な戦い」って意味の14番フェイトフルウォーも、3連複で絡めてみようと思う。そして、これはオマケだけど、最終レースの「被災地支援 きずな賞」は、ダートだからアフリートの子供2頭、2番ビヨンドマックスと3番オシャレキングを馬連かワイドで、あとは予算に余裕があれば、芦毛の4番バロンビスティーも絡めるつもりの今日この頃なのだ。
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