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2011.07.22

溺れる者はワラでも被曝する

最初の報道では、わずか15キロの出荷だけだった福島県の「セシウム汚染牛肉」だけど、その2日後の報道では一気に20倍以上の374キロになり、その翌日には100キロ増えて474キロになった。そして、ここからは単位が「キロ」から「頭数」に変わり、82頭→157頭→648頭→1264頭‥‥って増え続けて、もうワケが分からなくなっちゃった。出荷された地域も、最初は東日本の5~6県だけだったのに、これまたどんどん広がって行き、このブログを書いてる2日前、7月20日の時点で、「鳥取、沖縄を除く45都道府県に流通」って報じられてる。つまり、ほぼ全国制覇だ。

新聞報道によると、

「新潟市のホテルが5月13~30日、放射性セシウム汚染の疑いがある肉牛のサーロインステーキ200食分を一般客に提供していたことが分かった。肉は残っておらず、実際にどれだけセシウムが含まれていたかは不明のまま。」

とか、

「山形県酒田市の市立保育園2園と私立保育園1園で、4月下旬、放射性セシウム汚染の疑いがある肉牛の肉を使ったハッシュドビーフが給食として提供され、290人の園児と職員らが食べていたことが分かった。」

とか、

「山形県内4戸の畜産農家が、放射性セシウムに汚染された疑いのある肉牛計70頭を出荷、このうち5頭はブランド牛として有名な「米沢牛」として競りにかけられ、食肉店などに流通していたことが分かった。」

とか、

「千葉県習志野市立大久保小学校(児童数1027人)で、放射性セシウム汚染の疑いがある肉用牛の肉9・8キロが納品され、6月20日に同校の給食施設で調理、全て消費された。」

とか、

「弁当製造販売「ジェイアール東海パッセンジャーズ」は、JR東京駅、品川駅、新横浜駅、名古屋駅の新幹線ホームの売店や車内で販売された駅弁「牛すき重」と「牛すき(直巻きおにぎり)」の2種類に放射性セシウム汚染の疑いがある肉用牛の肉34キロが使われ、6月17日から7月1日にかけて販売され、全て消費された。」

とか、 とても全部は書ききれないけど、こうして一部だけを見ても、こんなふうにほとんどは消費されちゃってる上に、どれくらい汚染されてたのかも分からない始末。まあ、出荷されて消費された1200頭以上の牛の肉が、すべて規準値以上の汚染度だったとは思わないけど、最初に発見された汚染牛肉は、平均して1キロあたり2000ベクレル以上で、中には3000ベクレルを超えるものもあったんだから、「2000ベクレル程度の汚染牛肉が全国に流通してほとんどが消費された」って感じだと思う今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、昨日は「土用の牛の日」だったから、今日は「牛肉」について書いてるんだけど、これほど大量の「セシウム汚染牛肉」が全国に出荷、流通、消費されちゃったってのに、筒井信隆農林水産副大臣は、昨日21日の会見で、とんでもないことをノタマッた。


「汚染された牛肉は一切市場に出回らせず、消費者に安心感を持ってもらうことが必要だ」


おいおいおいおいおーーーーい! これが「鳥取、沖縄を除く45都道府県に流通」って報じられた翌日の会見で言うセリフかよ? お店に飾ってあった壺を子供が落として割っちゃってから、その子供に向かって「これは高価な壺だから絶対に触っちゃダメだぞ」って言ってるみたいな話じゃん! もしも、農林水産副大臣の名前が「筒井康隆」さんだったら、このセリフは完全に計算されたブラックジョークってことで納得できるけど、あんたは「筒井信隆」さんなんだから、もっとマジメにやってくれ!‥‥って言いつつも、このセリフは、「まったく現状が分かってない副大臣」てことを全国に知らしめたんだから、これはこれでいいとする。だけど、あたしが何よりもぶっ飛んだのが、次のセリフだ!


「食肉処理場での検査で国の暫定規制値(1キロ当たり500ベクレル)を超えた牛肉は、すべて国が買い取って焼却処分する」


おいおいおいおいおーーーーい! なんで国民の税金で買い取るんだよ?東電に買い取らせろよ!500ベクレル以下の汚染牛肉は国民に食わせて、500ベクレル以上の汚染牛肉は国民に買い取らせるなんて、どっちに転んでも「国民が東電の尻拭い」じゃん! 東電のセイで、これほどまでに大変な思いをしてて、できることなら慰謝料を払って欲しいと思ってるくらいなのに、なんで東電の尻拭いをあたしらがやらなきゃなんないんだよ! 濡れ手に粟で何億円ももらってる東電の会長や社長に払わせろよ!

あまりのモヘンジョダロで、あたしは、ヒサビサに開いた口からエクトプラズムが出て来て幽体離脱しちゃいそうになったけど、あたしの後ろには百太郎はいないし、窓辺には恐怖新聞も届かないから、まだ大丈夫だと思う。だけど、この筒井副大臣の「国の暫定規制値を超えた牛肉は、すべて国が買い取って焼却処分する」ってセリフは、今後、大変な問題を引き起こすと思うよ。だって、放射能汚染されてるのは牛肉だけじゃないからだ。

放射能汚染されてるのは、牛肉の他にも、数々の野菜やお茶などの農産物から、天然も養殖も含めた水産物に至るまで、数え切れないほどの食材がある。それなのに、牛肉だけを特別扱いして「国が税金を使って買い取る」なんてことが通用すると思ってんの? 牛肉を国が買い取るのなら、丹精込めて作った農作物だって、燃料費を掛けて獲って来たお魚だって、暫定規制値を超えてるものはみんな国が買い取らなきゃダメじゃん! それとも、筒井副大臣は、「牛肉だけは国が買い取りますが、他の農水産物に関しては勝手に東電と話し合ってください」とでも言うつもり?


‥‥そんなワケで、あまりにも場当たり的な総理大臣の下には、おんなじように場当たり的な大臣や副大臣しかいないみたいで、みんな「どうせあとちょっとでお役御免だからテキトーなことを言っときゃいいや」ってのがミエミエの三重県だ‥‥ってワケで、三重県と言えば「松阪牛」が有名だけど、今日の「中日新聞」に、こんな記事があった。


「松阪牛えさから微量の放射線検出」(中日新聞)

稲わらから規制値を上回る放射性セシウムが検出された問題で、三重県は21日、松阪牛を肥育する同県大紀町の生産農家がえさにしていた宮城県産稲わらから、簡易測定で暫定規制値を下回る微量の放射線を検出したと発表した。県によると、この生産農家は宮城県登米市の複数の農家の稲わらを使用。4月と6月に仕入れた計9・5トンが震災後に田から集めた稲わらと判明した。この稲わらをえさにした可能性がある牛約70頭は既に出荷されており、大部分は津市の精肉店が購入。県は同店に残る11頭分の肉を採取して検査しており、結果は22日午前にも判明する。販売された肉は既に消費された可能性が高い。(2011年7月22日)
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2011072290004223.html


この記事には「暫定規制値を下回る微量の放射線を検出した」って書かれてるだけなので正確な数値は分からないけど、「微量」って言うんだから100ベクレル以下じゃないかと思う。だけど、これは、あくまでも「残ってたぶん」の稲わらであって、牛が食べたぶんに関しては分からないのだ。もしかしたら、牛が食べた稲わらは、もっと高濃度だったかもしれない。

ま、そんなことはともかくとして、マクラのとこに書いた「山形県の米沢牛」とか、この「三重県の松阪牛」とか、こうしたブランド牛までもが、すでに放射能汚染の疑いのある牛肉になっちゃってるワケで、消費者は一気に国産牛肉から離れちゃった。東京の世田谷区に住んでるお友達からは、いつも行くスーパーではオージービーフばかりが売れてるってメールがあったし、新聞にも「消費者の国産牛肉離れ」について書かれてた。


‥‥そんなワケで、ここからが大事なとこなんだけど、すべての「セシウム汚染牛肉」をイッショクタにして考えるんじゃなくて、キチンと分けて考えなきゃいけないってことだ。それは、その場所にあったワラを食べさせていたのか、遠くから運ばれてきたワラを食べさせていたのかってことだ。たとえば、さっきの三重県の松阪牛のケースなんかは、宮城県登米市の複数の農家から仕入れたワラを食べさせてて、そのワラが放射能汚染されてたんだから、別の場所から汚染されてないワラを仕入れて食べさせてれば、牛肉も問題なかったってことになる。

で、あたしが不思議に思ってるのは、その場所にあったワラを食べさせていたほうのケースだ。その場所に置いてあったワラが汚染されてたってことは、地面に山積みにしてたワラに、空から放射性物質が降り注いで付着したってことになる。だけど、今回、報道されてる数値を見ると、ニワカには信じがたい数値ばかりなのだ。

たとえば、一番最初に暫定規準値を超える放射性セシウムが検出されたと報じられた福島県浅川町の農家の肉牛の場合は、福島第一原発から約80kmも離れた白河市の水田で刈り取られたワラを与えてたんだけど、残ってたワラを検査してみたら、1キロ当たり9万7000ベクレルもの放射性セシウムが検出されたのだ。こうしたワラは、乾燥させることによって含有してる放射性セシウムが濃縮されるので、最初からこんなに高濃度の放射性セシウムが降り注いだワケじゃないけど、4.4で割ると乾燥する前の数値になるから、9万7000ベクレルを4.4で割って、1キロ当たり2万2000ベクレルが降り注いだってことになる。

この白河市は、福島第一原発から約80kmも離れてるんだから、もちろん避難の対象地域にはなってなくて、みんな普通に暮らしてる場所だ。だけど、この計測値が間違ってなければ、白河市一帯に高濃度の放射性物質が降り注いだワケで、当然のことながら、他の農作物にも、山や川にも、そして住んでる人たちにも、おんなじように、1キロ当たり2万2000ベクレルが降り注いだってことになる。

でも、これまた日増しに数値がハネ上がってくワケで、この翌日の報道では「1キロ当たり50万ベクレル」のワラが見つかり、さらに翌日の7月18日には、福島第一原発から約60kmも離れた福島県本宮市の農家が肉牛に与えてたワラから「1キロ当たり69万ベクレル」の放射性セシウムが検出されたって報じられた。こっちは、4.4で割っても15万7000ベクレルもの高濃度だから、周辺の汚染度はハンパないレベルだと思う。

空から降ってくる放射性物質に「ワラだけを選んで付着する」っていう摩訶不思議な性質でもない限り、このワラの積んであった周辺は、田んぼも、畑も、果樹園も、みんなおんなじように、1キロ当たり15万ベクレルを超える放射性セシウムが降り注いだワケで、さらに言えば、みんながスルーしてるストロンチウムを始めとした「その他モロモロの放射性物質」も降り注いだことになる。で、ここまででもシャレにならない話なのに、今度は、岩手県のワラからも規準値を大幅に超える放射性セシウムが検出されたって報じられた。


「岩手の稲わらからもセシウム 5戸から牛19頭出荷済み」(朝日新聞)

国の基準値を超える放射性セシウムに汚染された稲わらが牛にえさとして与えられていた問題で、岩手県は20日、一関市と藤沢町の畜産農家5戸のわらから基準の約2~43倍のセシウムが検出されたと発表した。5戸からは計19頭が東京都に出荷されていた。わらは、いずれも東京電力福島第一原発の事故後に地元で収集されたものだという。一関市と藤沢町はともに宮城県境で、第一原発から約150キロ離れている。収集したわらの汚染が確認された県は福島、宮城に次いで3県目。県によると、5戸のわらからは1キロあたり2560~5万7千ベクレルのセシウムを検出した。乾燥前の生草に換算すると583~1万2984ベクレルで、国の基準(1キロあたり300ベクレル)を超えていた。県は流通先を調べるとともに、原発事故後に集めたわらを与えた牛の出荷を自粛するよう県内全域に改めて要請した。一方、この日も各地に出荷された宮城県産のわらから、基準値を超えるセシウムが相次いで検出された。静岡県によると、富士宮市の農家が仕入れたわらから基準の約7倍のセシウムが検出された。この農家は148頭を愛知県や大阪府などに出荷していた。秋田県では15倍、群馬県では1.3倍、埼玉県では最高で約30倍、新潟県では約11~27倍、岐阜県では約12倍のセシウムが検出された。朝日新聞社の20日現在のまとめでは、汚染わらが見つかった農家から出荷された牛は岩手、秋田、山形、福島、群馬、埼玉、新潟、岐阜、静岡の9県の農家計37戸から判明分だけで1200頭以上となっている。これらの肉の流通は、この日新たに宮崎、鹿児島両県でも確認され、45都道府県に上る。流通が確認されていないのは、鳥取、沖縄の2県。(2011年7月21日)
http://www.asahi.com/national/update/0720/TKY201107200762.html


記事に書かれてるように、今回、高濃度の汚染ワラが見つかった岩手県一関市と藤沢町は、福島第一原発から約150kmも離れている。でも、このワラは「原発の事故後に地元で収集されたもの」だそうだから、刈り取る前に汚染されたのか、刈り取ったあとに汚染されたのかは分からないけど、どっちにしても、この場所で汚染されたことだけは間違いない。つまり、福島第一原発から約150kmも離れた岩手県にまで、1キロあたり583~1万2984ベクレルもの放射性セシウムが飛んで来たってことになり、ここでも、周辺の田んぼや畑から子供たちの遊び場に至るまで、おんなじくらいの量の放射性物質が降り注いだってことになる。

そして、もしもこれらの計測値がホントなら、今までの農作物の計測値が疑わしくなってくる。政府は「安全だ」「直ちには害はない」と繰り返しながら、ほとんど検査もしないで出荷させてたけど、福島第一原発から約60kmも離れた福島県本宮市で15万7000ベクレル、原発から約80kmも離れた白河市で1キロ当たり2万2000ベクレル、そして、原発から約150kmも離れた岩手県一関市で1万3000ベクレル‥‥っていう数値を見れば、福島県内の農作物の「1キロ当たり500ベクレル以下だから出荷します」って言葉が、なかなか鵜呑みにはできなくなってくる。

もちろん、風向きを始め、いろんな条件があるワケだから、原発を中心にした同心円状に汚染が広がってるワケじゃないことは分かってる。原発の近くでも汚染度の低い場所もあれば、反対に、原発から離れてる場所に高濃度のスポットがあったりもする。ただ、今回の牛のエサのワラの汚染状況を見てみると、あまりにも離れた場所で、あまりにも高濃度に汚染されてて、そのワラを食べてた牛の肉も「1キロ当たり3000ベクレル」も汚染されてるもんだから、ワラや牛だけが特別とは思えないってことだ。

さっきも書いたけど、空から降ってくる放射性物質に「ワラだけを選んで付着する」っていう摩訶不思議な性質でもない限り、その周辺の農作物も同レベルの汚染を受けるハズなのに、原発から150km離れた岩手県の農作物から2万ベクレルの放射性セシウムが検出されたなんて報告は聞いてない。さらに言えば、原発から150kmも離れた場所なら、最初から「汚染されてる」なんてことは想定せずに、検査もしないで出荷してたかもしれない。実際、ちゃんと検査してるものでも、計測するのは全体の1%以下だけで、それが規準値以下であれば、残りの99%以上は計測しないで出荷しちゃってるのが現状だ。

で、今日は最後に、新聞やテレビじゃ絶対に報じない、とっても貴重な資料を紹介する。これは、福島第一原発から約170km離れた筑波大学構内で採取した天然キノコ7種類を検査したデータだ。筑波大学の柿嶌氏らが、「日本菌学界関東支部年次大会報告」として調査、計測したものなので、極めて信頼度の高いデータだと思うけど、内容を読めば分かるように、キノコの種類によっては、1キロ当たり2万ベクレルを超えるものや、4万ベクレルを超えるものまである。


「筑波大学構内で採集したきのこ類及び地衣類の放射能濃度」
http://www.benton.jp/tamuramirai/kinokokousatu_2.html

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※図はクリックで大きくなります。


原発から約170kmと言えば、南へ進めば、あとちょっとで東京ってワケで、これほどまでに汚染が広がってたかと思うと、あらためて恐ろしくなってくる。その上、このデータは、原発から150km離れた岩手県一関市のワラの「1キロ当たり1万3000ベクレル」ともニアピンしてるから、その他のワラの計測値の信憑性も高くなってくる‥‥ってワケで、最後にもう一度繰り返すけど、空から降ってくる放射性物質には、「ワラとキノコだけを選んで付着する」なんていう摩訶不思議な性質なんてないんだから、体内に放射性物質を蓄積させたくない人は、まったく機能してない能無し政府の場当たり的な対応など相手にせずに、自分の身は自分で守ることだ。事実、「セシウム汚染牛肉」は全国に流通しちゃったんだから、今回の推測が正しければ、他にも数々の汚染食材が世の中に流通してることになる。


‥‥そんなワケで、数日前には、東京都府中市の都立農業高校の茶畑で摘んだお茶から、1キロ当たり1560ベクレルもの放射性セシウムが検出されたため、せっかく製茶した55キロをすべて廃棄することになったって報じられた。詳しくはこちらの記事を読んでもらうとして、東京都府中市と言えば、福島第一原発から約230kmも離れた場所だ。ま、東京よりも南の神奈川県や静岡県のお茶まで高濃度に汚染されてるんだから、東京も激しく汚染されてるのは当然だけど、東京に住んでる人の中には、何の根拠もなく「東京だけは大丈夫」って思いこんでる人もいる。でも、こうした数々の「現実」を知れば、住んでる場所はともかくとして、食べるものだけは、できる限り西日本の食材を取り寄せて食べたほうが安全だってことが分かると思う今日この頃なのだ。


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