スカッと爽やか水戸黄門!
今までに何度か書いたことがあるけど、あたしは時代劇が好きだ。「水戸黄門」や「暴れん坊将軍」や「遠山の金さん」に代表されるように、ほとんどの時代劇は勧善懲悪のベタなストーリーだし、悪者をやっつける時のセリフまで決まってるから、いつでも安心して観てられる。どの時代劇もラスト5分になれば、印籠を見せられた悪代官の一味が黄門様の前にひれ伏し、上様と分かった上で斬りかかってきた悪徳家臣たちを峰打ちで倒し、北町奉行所のお白砂では金さんが桜吹雪で悪者を黙らせる。
これらに共通してるのは、どのヒーローも普段は身分を隠してて、ナントカ問屋のご隠居だったり、貧乏旗本の三男坊だったり、気のいい町人だったりに扮してるってことだ。そして、最後の最後にホントの身分を明かして悪者をやっつけちゃうから、毎度おんなじストーリーでおんなじセリフでも、飽きるどころか、そのシーンを観てスカッとしたいがために、それまでの悪者たちのやりたい放題をガマンして観てるってワケだ。
いや、「ガマンして観てる」ってよりも、黄門様のことをよもや「先の副将軍、水戸光圀公」だとはミジンも思ってない悪者どもが、天下の黄門様に向かって「この田舎ジジイ!」とかって罵ったりするたびに、「あとで吠え面かくなよ!」なんて思ってワクワクして観てるのが本音だ。だから、ラスト5分で印籠パワーが炸裂して、「こちらにおわすお方をどなたと心得る!畏れ多くも先の副将軍、水戸光圀公にあらせられるぞ!」「一同の者、頭が高い!控えおろう!」ってとこで、全国のお茶の間のおじいちゃん、おばあちゃんと一緒に、あたしの気分もスカッとしちゃう今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、去年の3月11日以来、来る日も来る日も腹の立つことばかりが目白押しで、特に国民をナイガシロにし続ける政府のデタラメぶりにはガマンの限界だ。これほどの大震災が起こったのに消費税を増税。これほどの原発事故が起きたのに原発を止めないどころか他国へ輸出。挙句の果てには国民の最後の財産である郵貯と簡保の350兆円をアメリカ様へ上納してやるためのTPP参加。これじゃあ自民党政権と何も変わらない。
結局のところ、「政権交代しても何も変わらない」ってことを教えてくれたのが、鳩山さんと菅さんと野田さんだったワケだ。たとえば、福島第一原発の事故の問題ひとつを見ても、自民党政権下で自民党の総裁が総理大臣をやってようが、民主党政権になって民主党の代表が総理大臣になろうが、総理大臣という「バカ殿」と、東京電力という「越後屋」と、経産省の官僚という「悪代官」が結託して、原発利権に寄生してるほんの一部の権力者たちを潤すために、国民を無視した悪政三昧で国民を苦しめ続けるっていう構図は何ひとつ変わらない。まんま、時代劇の世界と一緒だ。
だけど、時代劇の世界と唯一違うのが、現代社会には黄門様も暴れん坊将軍も遠山の金さんも存在しないってことだ。時代劇なら、ラスト5分前に黄門様が印籠を出して、バカ殿と越後屋と悪代官を一網打尽にしてくれるとこだけど、現代社会には黄門様がいないんだから、悪党どもはやりたい放題ってワケだ。だから、あたしたち国民にできることは、腐りきった政府なんかには何も期待せずに、自分の命は自分で守るしかないってことだ。それで、あたしは、母さんと自分の命を守るために、こんな全国指名手配の犯人みたいな生活を続けてるワケだけど、被災者のことも疎開者のことも無視してやりたい放題の野田政権にはムカつきっぱなしだから、どっかでストレスを発散しないと精神衛生上よろしくない。
で、こんな時こそ、テレビで「水戸黄門」や「暴れん坊将軍」や「遠山の金さん」でも観ればスカッとするんだけど、あいにく、あたしはテレビを持ってない。いや、テレビは31インチの立派なのを持ってるんだけど、去年の7月に地デジに強制移行されて何も映らなくなった。一応、ケータイがワンセグだからテレビは観られるんだけど、ケータイのちっちゃな画面で時代劇を観たってスカッとしないから、ここ数ヶ月、あたしは、ほとんどテレビは観てない。ふだんはノートPCのradikoでラジオを聴いてるし、観たいアニメや「ロケみつ」はネットで観てるけど。
あたしのノートPCは、内蔵スピーカーがヘボくて音が酷かったんだけど、去年のお誕生日に「自分へのベホイミ」として、バッファローの小型スピーカーを買った。定価3000円くらいのが6割引きで1200円くらいになってたやつで、大きさは1個がタバコの箱の半分くらいなんだけど、信じられないほど音がいい。だから、それ以来、ラジオやアニメだけじゃなくて、YOU TUBEで音楽を聴くことも多くなった。
‥‥そんなワケで、テレビのない我が家では、今はこのノートPCがテレビ代わりみたいな感じになってる。いつもコタツの上に置いてあって、母さんと食事をする時はラジオを流してるし、たまには一緒にアニメを観ることもあるし、GyaOで映画を観ることもある。GyaOは、毎年、年末年始になるとたくさんの映画が更新されるし、アニメも一度に全話を配信してくれるので、テレビが映ってた時もよく利用してたけど、テレビが映らなくなった今はGyaOサマサマだ。今年のお正月は、母さんと一緒に「夏目友人帳」と「続 夏目友人帳」をぜんぶ観た。
で、日曜日の深夜、母さんが寝たあとに、あたしは1人でコタツで焼酎のお湯割りを飲んでたんだけど、ラジオがほとんど「休止」になっちゃったから、何か面白そうな映画でもやってないかとGyaOにアクセスしてみたら、懐かしい映画や音楽やスポーツやアニメなんかを配信してる「昭和TV」ってとこで「水戸黄門」を発見しちゃった。これは、テレビのシリーズじゃなくて、1960年の映画だった。1時間30分ほどなので、お酒を飲みながら観るのにちょうどいい。それで、あたしは、久しぶりにスカッとした気分になりたくて、この「水戸黄門」を観ることにした。
黄門様は月形龍之介、他には、片岡千恵蔵、市川右太右衛門、中村錦之助、大友柳太朗、大川橋蔵、東千代之介‥‥って、役者の名前がすでに江戸時代フレーバー全開だから、これは本格的だ。あたしは、晩ごはんのおかずの残り、薩摩揚げと大根とインゲンの煮物を温めなおして、焼酎のお湯割りに新しい梅干を入れて、深夜の映画鑑賞タイムをスタートさせた。やっぱり、本格的な時代劇は味わい深くて、ついついお酒が進んじゃう。
流れとしてはテレビの「水戸黄門」とおんなじで、黄門様は身分を隠してるから、町人や浪人たちは、まさか「天下の副将軍様」だとは知らずに、なれなれしくしちゃう。威勢のいい火消しの親分に至っては、黄門様のことをひっぱだいちゃう始末。で、1時間くらいが過ぎたあたりから、あたしは「そろそろかな?」って思ってワクワクしてきた。そう、「この印籠が目に入らぬかあ!」「はは~!」っていう、一番のミドコロだ。
だけど、1時間10分を過ぎても、1時間20分を過ぎても印籠が出てこないどころか、印籠 を出す前に、すでに悪者たちには「水戸光圀公」だってことがバレちゃってる。それで、あたしは、不安を感じつつも観続けてたら、結局、一度も印籠を出さずに、「こちらにおわすお方をどなたと心得る!畏れ多くも先の副将軍、水戸光圀公にあらせられるぞ!」も「一同の者、頭が高い!控えおろう!」もなく、居酒屋で町人たちと楽しそうに歌を歌いながらのハッピーエンドって、おいおいおいおいおーーーーい!!
‥‥そんなワケで、映画としてはそれなりに楽しめたけど、あたしとしては、ずっと黄門様だとは知らずに無礼の数々を繰り広げてた悪者どもが、印籠を見た瞬間にフリーズして、「はは~!」ってひれ伏すシーンこそが観たかったのに‥‥。つーか、あのシーンがない「水戸黄門」なんて、「昭和TV」的に言えば「クリープを入れないコーヒー」みたいな、「気の抜けた三ツ矢サイダー」みたいな、今どきの言い方をすれば「せっかく政権交代をしたのに自民党と何ひとつ変わらない民主党」みたいな‥‥。
さらに言えば、ぜんぜん暴れない「暴れん坊将軍」って言うか、最後まで桜吹雪を見せない「遠山の金さん」って言うか、とにかく、あたしは、「一度も印籠を出さない水戸黄門」ていう、ある意味、新鮮な感覚の時代劇を観ちゃったワケで、スカッとするどころか、逆にモヤモヤとして眠れなくなっちゃったよ、まったく!だって、テレビの「水戸黄門」が好きな人が100人いたとしたら、たぶん、95人は印籠を出すシーンを一番の楽しみにしてると思うからだ。ちなみに、残りの5人は由美かおるの入浴シーンを一番の楽しみにしてると思う。
でも、この、煮え切らないようなイライラする不思議な「水戸黄門」の感覚、どっかで体験したような気がしたので、お布団に入ってから記憶の糸を辿ってみたら、やっと思い出すことができた。それは、パチンコの「水戸黄門」だった。パチンコの「水戸黄門」には、黄門様たちデフォルメした「黄門ちゃま」っていう機種と、絵は漫画だけどいろいろと凝った演出が満載で、東野英治郎扮する初代の黄門様が実写で登場する「水戸黄門」があるんだけど、あたしが言ってるのは後者のほうだ。
テレビの「水戸黄門」なら、どんな場所でどんな悪者が出てきてどんな展開になろうとも、必ず最後には印籠を出して、悪者たちが「はは~!」ってひれ伏して、黄門様が「カッカッカッカッカッ!」って笑って、助けられた人たちが黄門様御一行に深々とお辞儀をして、オナジミのナレーションとともに旅立ってくっていう予定調和の様式美がある。だから、たとえ黄門様が悪者たちに捕まって縛り上げられても、無実の罪で牢屋に入れられても、全国のおじいちゃんもおばあちゃんもあたしも、安心して観てられるのだ。
だけど、これがパチンコの「水戸黄門」になると、激アツの予告から画面上部の「水戸黄門」の文字がフラッシュして、印籠をかたどった数字が揃いそうで揃わないっていう疑似連が4回も連続して、画面の右側の三色団子を持ったうっかり八兵衛の役物が光って動き出し、画面では食事処に飛び込んだ八兵衛の前に山盛りのお団子が出て、八兵衛がそれをたいらげると画面上部の印籠が振動しながらフラッシュして、画面では豪華な絵柄のフスマが開いて女性が泣いてて、それを助けるために黄門様たちが悪代官の屋敷へ向かい、助さんと格さんが手下どもをやっつけて、ここで東野英治郎扮する実写の黄門様の顔がカットインして、悪代官の上に「ひかえおろう!」の文字が出るんだけど、ここで悪代官が反撃してきて、黄門様たちのほうがやられそうになって、もうダメかと思った瞬間、今度は伊吹吾郎扮する実写の格さんが印籠を持って「こちらにおわすお方をどなたと心得る!」って言って、画面上部の「水戸黄門」の文字と印籠が激しく振動しながら連続フラッシュして、ここから手元のプッシュボタンを連打する長いせめぎ合いがあって、何割かの確率で勝つことができれば、画面の下に出てきた悪者たちの役物が「はは~!」ってひれ伏して、画面の真ん中に東野英治郎扮する黄門様、向かって右手に伊吹吾郎扮する格さん、左手にあおい輝彦扮する助さんが並んだ実写に切り替わり、黄門様が「カッカッカッカッカッ!」って笑ったあとに、シャキーン!って数字が揃って大当たりになるんだけど、もちろん、ハズレることのほうが多い。
つまり、パチンコの「水戸黄門」を打ってると、10回も20回も悪者が出てきても、ほとんどはやられちゃうワケで、そのうちの大半は、印籠を出す前にやられちゃうのだ。そして、20回に1回くらい、リーチが最後のほうまで発展するんだけど、最後まで発展して何とか印籠を出すとこまで行ったとしても、ここでやられちゃうことも多い。つまり、印籠を出したのに通用しないってワケで、これは実際のテレビの「水戸黄門」じゃアリエナイザーだろう。
「水戸黄門」なのに、印籠を出す前にやられちゃう。「水戸黄門」なのに、印籠を出してもやられちゃう。これが、あたしがGyaOの「昭和TV」で、最後まで印籠を出さない「水戸黄門」を観て、モヤモヤした気分になりつつも、どっかで体験したことがあるような気がした原因だったってワケだ。
‥‥そんなワケで、さっきのパチンコのクダリを読んで、「えっ?」って思った人は、本物の「水戸黄門」のファンだろう。あたしは「画面の真ん中に東野英治郎扮する黄門様、向かって右手に伊吹吾郎扮する格さん、左手にあおい輝彦扮する助さんが並んだ実写に切り替わり」って書いたけど、これこそが、このパチンコに隠されたマニアックなポイントなのだ。
東野英治郎は初代の黄門様で、この時の助さんは、最初は杉良太郎で途中から里見浩太朗に代わる。格さんのほうは、最初は横内正で途中から大和田伸也に代わる。つまり、東野英治郎が黄門様をやってるシリーズでは、助さんと格さんはこの4人しかいないのだ。そして、二代目の西村晃の黄門様になると、助さんと格さんは里見浩太朗と伊吹吾郎のコンビになり、三代目の佐野浅夫の黄門様になって、ようやく助さんと格さんがあおい輝彦と伊吹吾郎のコンビになる。
つまり、このパチンコの三人組は、初代の黄門様と三代目の助さんと格さんとを映像処理して合体ロボさせた架空のものなのだ。著作権とか肖像権とかの問題で、里見浩太朗サイドの許可が下りなかったとか、たぶん、そんなことなんだと思うけど、「水戸黄門」シリーズのディープなファンなら、テレビじゃ絶対に観られない組み合わせの三人組が観られるんだから、パチンコも捨てたもんじゃないと思う。
パチンコの「エヴァンゲリオン」にしても、テレビアニメや劇場版には出てこない、パチンコのために描き下ろされたアニメや未公開映像が満載だから、ファンにはたまらないと思う。1月10日にホールに導入されたばかりの7作目「ヱヴァンゲリヲン7」なんて、まだ劇場版にも登場してないエヴァの「Mark.06」にカヲル君が乗って、これまた見たことのない「第10使徒」と戦うリーチが話題になってるから、興味のある人はこちらをどうぞ♪
‥‥そんなワケで、映画の「水戸黄門」はスカッとしなかったけど、もともとが国民を無視して官僚の言いなりにしか動かない野田政権のテイタラクぶりが元凶なんだから、一番スカッとするのは、次の選挙で野田内閣の閣僚を1人残らず落選させてやることだと思う。だからって、自民党なんかが台頭したら元のモクアミになっちゃうから、ここはひとつ、ハッキリと「脱原発」を掲げてる社民党と共産党に投票を集中させて、国民を苦しめ続けるバカ殿と越後屋と悪代官には退場してもらおうと思ってる今日この頃なのだ。
| 固定リンク