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2012.07.06

原発が爆発しても政局に明け暮れる日本の政治家たち

去年の3.11の天災と人災が大きすぎて、多くの人たちは「3.11以前」のことを忘れちゃった。だって、大震災から1年4ヶ月も経過してるのに、未だに福島第一原発は収束のメドも立ってないし、被災地の復興だって遅々として進んでないからだ。

去年の5月、当時の総理大臣だった菅さんは、地震や津波で自宅を失った人たちや、原発事故による放射能汚染で自宅に帰ることができなくなった人たちのための仮設住宅について、「お盆までには全員が入居できるようにすることを私が約束いたします」って国会の答弁で断言した。みんな覚えてるよね?

だけど、菅さんが約束した「去年のお盆」を過ぎて、今月でもう11ヶ月が経つ。来月には「今年のお盆」がやってくるから「約束から1年」になるけど、未だに仮設住宅に入居できなくて順番待ちしてる被災者が、宮城、岩手、福島の被災3県で、合計1570世帯、約5000人もいるのだ。詳しくはコチラの「河北新報」の6月23日付の記事、「仮設入居待ち1570世帯/被災3県、避難長期化」を読んでもらえば分かるけど、この1年、ほとんど進展してない状況だ。

若い人だって、家族を失い、仕事を失い、自宅を失い、落ち着ける場所がないまま1年以上も生活してたらノイローゼになるほど辛いと思うけど、これがお年寄りや持病を持っている人、障がい者だったらどれほど辛いことか。誰にでも簡単に想像がつくだろう。

それなのに、今の日本の総理大臣である野田さんは、消費税の増税に政治生命を懸けると言っている。地震や津波と言った天災の被害者だけでなく、国が推進してきた原発による事故で自宅や故郷を失った人たちをホッタラカシにして、何よりの優先課題が消費税の増税だと言う。

あたしの大切なメル友の1人、オムライス党(社民党)の党首の福島みずほたんは、先日、福島を視察してきたけど、多くの人たちから「こんな時に消費税を増税されたら私たちは生きていけない!」と切実に訴えられたと話してくれた。そりゃそうだろう。原発という国策で生まれ故郷も自宅も仕事も奪われて、事故から1年4ヶ月が経っても仮設住宅にすら入居できないのに、こんな時に消費税まで引き上げられたら、もう目の前は真っ暗だ。


‥‥そんなワケで、今日も「いかがお過ごしですか?」を割愛してスタートしちゃうけど、多くの人たちが忘れてる「3.11以前」のことについて、今日はチョコっと書かせてもらう。何でかって言えば、それは今の野田政権が、あまりにもメチャクチャだからだ。

3年前、2009年の夏の総選挙で、民主党は立派なマニフェストを掲げ、消費税の増税の必要性を訴える自民党に対して、真っ向から勝負を挑んだ。野田さんなんて、自民党の消費税増税の政策をボロクソに批判してた。そして、そんな民主党のマニフェストを支持した数えきれないほどの有権者の票によって、民主党は政権交代を実現させた。当時の民主党の代表だった鳩山さんは、第93代の内閣総理大臣になり、2009年9月16日、鳩山政権はスタートした。

で、ここからがポイントなんだけど、この鳩山政権がスタートする1週間前の2009年9月9日、「9」が3つ並んだ日に何が起こったのか?これこそが「多くの人たちが忘れちゃってること」なんだけど、民主党と社民党と国民新党による「連立政権の合意」がなされ、各党の代表である鳩山さん、みずほたん、亀井さんが「合意文書」に署名したのだ。

つまり、2009年9月16日にスタートしたのは、民主党の鳩山政権じゃなくて、正確に言えば、民主党と社民党と国民新党による「連立政権」がスタートしたってワケだ。


‥‥そんなワケで、何でいろんな政党があるのかって言えば、それぞれ政策が違うからだ。だから、当然のこととして、民主党と社民党と国民新党は政策が違う。だけど、おんなじ政策や極めて近い政策もある。そのため、最重要な政策が類似してる政党同士は、自民党と公明党が連立を組んでたみたいに、手を組んで法案を可決させるための頭数をそろえる。

今回の場合、当時の民主党の鳩山代表は原発推進派だったけど、社民党は反原発だったから、この部分に関しては正反対だった。でも、自民党が掲げる「消費税の増税」を始めとした複数の政策に反対だという部分では一致してたから、手を組んで連立したってワケだ。全文を紹介すると果てしなく長くなっちゃうから、ここでは政策だけを紹介するけど、民主党と社民党と国民新党が3党で合意し、「合意文書」に明記してある政策は次の10項目だ。


1.速やかなインフルエンザ対策、災害対策、緊急雇用対策
2.消費税率の据え置き
3.郵政事業の抜本的見直し
4.子育て、仕事と家庭の両立への支援
5.年金・医療・介護など社会保障制度の充実
6.雇用対策の強化、労働者派遣法の抜本改正
7.地域の活性化
8.地球温暖化対策の推進
9.自立した外交で、世界に貢献
10.憲法


1番は、当時、新型インフルエンザが流行ってたからだし、3番は、コイズミの郵政改革を白紙に戻すことを政策の1丁目1番地に掲げてた国民新党の要望を受け入れたものだ。4、5、6番は社民党の強い要望によるものだし、8番は鳩山さんの進めてた政策だ。だから、本来なら、原発推進派の鳩山さん的には、当時の現状よりも原発の割合を増やして、CO2の排出量を抑えたいと思ってたハズだ。だけど、社民党が反原発だから、そんなことを書いたら連立は組めない。そのため、この8番の詳細は、次のように書かれてる。


8.地球温暖化対策の推進

温暖化ガス抑制の国際的枠組みに主要排出国の参加を求め、政府の中期目標を見直し、国際社会で日本の役割を果たす。

低炭素社会構築を国家戦略に組み込み、地球温暖化対策の基本法の速やかな制定を図る。

国内の地球温暖化対策を推進し、環境技術の研究開発・実用化を進め、既存技術を含めてその技術の普及を図るための仕組みを創設し、雇用を創出する新産業として育成を図る。

新エネルギーの開発・普及、省エネルギー推進等に、幅広い国民参加のもとで積極的に取り組む。


‥‥そんなワケで、これが全文だけど、どこにも原発の「ゲ」の字もない。新エネルギー(自然エネルギー)の開発には言及してるけど、原発を新設するなんてヒトコトも書かれてない。これは、社民党がブレーキになったタマモノだ。もしも社民党が原発推進を主張してたとしたら、ここにハッキリと「原発の増設」が盛り込まれてたのだ。

じゃあ、原発政策はどうするのか?‥‥ってことだけど、原発政策に限らず、3党の意見が一致しない政策に関しては、次のように書かれてる。


「調整が必要な政策について、3党党首クラスによる基本政策閣僚委員会において議論し、その結果を閣議に諮り決めていく」


つまり、連立を組む政党間で意見が合わない案件が出た場合には、その都度、トップクラスで議論して決めて行きましょう‥‥ってワケだ。何よりも重要なのは、自民党と公明党による国民を苦しめるだけの「官僚政治」を打破することなんだから、ここはひとつ、3党で力を合わせて、妥協する部分は妥協しつつ、とにかく国民のための政治を行なおう‥‥ってことだったのだ。

で、現在の野田首相が、被災地の人たちのことをホッタラカシにしても、政治生命を懸けてまでも強引に推し進めてる「消費税の増税」に関しては、次のように書かれてる。


2.消費税率の据え置き

現行の消費税5%は据え置くこととし、今回の選挙において負託された政権担当期間中において、歳出の見直しなどの努力を最大限行ない、税率引き上げは行なわない。 


この文章をストレートに解釈すれば、「今回の選挙において負託された政権担当期間中」、つまり、2009年9月から4年後の2013年9月までは消費税を引き上げない‥‥ってことになる。今、野田さんが言ってるのは、2014年4月に現行の5%から8%に引き上げ、2015年10月に10%に引き上げる「2段階方式」だけど、これは鳩山さんが約束した2013年9月よりも先のことだから、約束を破ったことにはならない。だけど鳩山さんは、総選挙の時の全国各地での遊説でも、複数のテレビ番組に出演した時にも、ハッキリとこう言ってた。


「民主党が政権交代を実現した場合には、最低でも4年間は消費税を増税しませんし、増税の議論もしないということを私は国民の皆さまにお約束いたします」


つまり、「4年間は消費税を引き上げない」と言っておきながら、その4年間のうちに増税の法案を可決させ、4年が過ぎた瞬間に増税する‥‥っていうイカサマもやらないと明言してるのだ。それどころか、こんな発言もしてる。


「現在の年金システムから、われわれ民主党が提案している年金システムへ少しずつ移行させていくと、完了するまでに20年から30年は掛かります。その過程で、ちょうど真ん中あたりまで来た時点で、消費税を引き上げなければならなくなるかもしれません」


つまり、今は消費税を引き上げる必要はないが、10年から15年くらい先には引き上げることになるかもしれない‥‥って言ってたのだ。これらの鳩山さんの発言を総合してみれば、たとえ、実際に引き上げられるのが政権交代から5年後、6年後だったとしても、今国会で法案を通そうとしてること自体が、すでに「国民との約束を反故にしたこと」になる。

それに、引き上げ時期のことは置いとくとしても、その大前提としての「歳出の見直しなどの努力を最大限行ない」っていう約束が完全にスルーされてる。これは2009年のマニフェストにも明記してあるので、どう見てもマニフェスト違反だ。

3年前の総選挙で民主党を支持した人たちは、全員が「鳩山民主党」を支持したワケで、間違っても「菅民主党」や「野田民主党」を支持した覚えはないハズだ。たとえば、鳩山さんが代表を辞任した時点で選挙を行なって国民の信を問い、それで「菅民主党」や「野田民主党」が選ばれたのなら文句はない。だけど、全国の民主党サポーターと党内の選挙だけで決めた代表なんて、一般の有権者の信を受けてないんだから、代表になるのは構わないけど、政策に関しては前任の鳩山さんの政策を引き継ぐのがスジだろう。

ようするに、代表が代わるのなら選挙を行なって国民の信を問うべきだし、国民の信を問わずに代表を代えるのなら政策は引き継ぐべき‥‥ってことだ。


‥‥そんなワケで、話はクルリンパと戻るけど、政権交代が実現して民主党と社民党と国民新党の連立政権がスタートして、社民党のみずほたんと国民新党の亀井さんも入閣した。みずほたんは「消費者対策・食品安全・男女共同参画・少子化対策担当大臣」ていうスーパーかけもち大臣になり、亀井さんは「金融担当大臣」になった。

あたしは、すぐにみずほたんに「入閣おめでとうございます」のメールを送った。「消費者対策・食品安全・男女共同参画・少子化対策担当大臣だなんて、4つも大変ですね!がんばってくださいね!」ってメールを送ったら、「4つ以外にも、自殺や外国人、障害者など10の共生政策も担当します。」ってお返事がきたので驚いた。4つのカケモチでも大変そうなのに、10個もカケモチだなんて!

だけど、せっかくの入閣から8ヶ月後の2010年5月、鳩山さんは連立3党の合意を反故にした。そう、沖縄の普天間基地の移設問題でだ。さっきの「合意文書」の10項目の中に、普天間基地の問題はない。つまり、この問題に関しては、3党の党首クラスでキチンと議論を行ない、3党の合意を持って「政府案」としなくちゃならない。

それなのに鳩山さんは、社民党にも国民新党にも何の連絡も報告もせずに、アメリカの言いなりになって1人で勝手に「普天間基地は辺野古の周辺に移設する」っていう文書を作成して、1人で勝手にオバマ大統領と「日米合意」しちゃったのだ。そして、みずほたんと亀井さんには「日米合意」が済んだあとに書類を渡し、空欄に署名しろってノタマッたのだ。

この時のことは、2010年6月4日のブログ、「オムライスの夜明け」に詳しく書いてあるけど、沖縄の人たちを裏切ることはできないと、最後の最後まで署名を拒否したみずほたんは大臣を罷免され、社民党は連立を離脱した。

今だから言うけど、この時、社民党の中からは、「ここはとりあえず署名をして政権に残ったほうが得策だ」っていう声も多かったと思う。実際、そのほうが、いろんな面で社民党は有利になる。だけど、みずほたんは、党利党略よりも沖縄の人たちのとの約束を優先したのだ。せっかく掴んだ政権与党の座を捨てても、せっかく座った大臣のイスを捨てても、沖縄の人たちとの約束を守ったのだ。

あたしは、心の底から感動した。久しぶりに本物の政治家の姿を見た気がした。それで、すぐにみずほたんに感謝のメールを送ったら、みずほたんから、さらに感動するお返事をいただいた。この時のメールのやりとりは、この時のブログで紹介してるから、興味のある人は先ほどのリンクから読んでみてほしい。


‥‥そんなワケで、あれから2年の間に、民主党の代表、つまり、日本の総理大臣は菅さんに代わり、さらに野田さんに代わったワケだけど、この間、一度も国民の信を問うていない。3.11という日本の運命が変わるほどの天災と人災が起こったのに、この2人の総理大臣は、1年4ヶ月が経過した今も、まったく収束させていない。最初に書いたように、未だに1570世帯もの人たちが仮設住宅にも入居できずにいるのだ。

さらに、今の野田さんに至っては、福島第一原発が収束のメドも立っていないと言うのに、何の安全対策も講じていない大飯原発を再稼働させ、今度は消費税を増税しようとしてる。繰り返すけど、3年前に民主党を支持した人たちは、鳩山さんの「消費税の増税は行なわない」という言葉を信じて投票した人たちだ。「消費税を増税する」という与党自民党と、「少なくとも4年間は増税の議論はしない」という野党第一党の民主党、この2つから国民は民主党を選択したのだ。

それなのに、嗚呼それなのに、それなのに‥‥って、やっぱり五七五の俳句調で嘆いちゃうけど、そんな民主党が、こともあろうに、自民党と公明党との「3党合意」で消費税を増税するとはナニゴトだ!国民は自公政権の悪政に嫌気がさして民主党を選んだってのに、ここまで酷い裏切りは前代未聞だ!

3年前には社民党と国民新党との「3党合意」で「現行の消費税5%は据え置くこととし、今回の選挙において負託された政権担当期間中において、歳出の見直しなどの努力を最大限行ない、税率引き上げは行なわない。」っていう「合意文書」を交わしたのに、わずか3年で国民が誰ひとり選んだ覚えのない野田さんがチャッカリと総理大臣のイスにふんぞり返ってて、自民党と公明党との「3党合意」で「消費税の増税法案の今国会での成立に政治生命を懸けます」と来たもんだ。これが一般の企業間の取り引きとかだったら、完全に「詐欺罪」で逮捕されるケースだろう。

国民新党の亀井さんにしたって、今年の3月に「野田さんの増税法案は連立政権スタート時の3党合意に反する」っていう極めて正当な批判をして、「強引に増税法案を推し進めるのなら国民新党は連立を離脱する」って宣言した。みずほたんと一緒で、政治家としてのスジを通そうとしたってワケだ。だけど、敵は意外なとこにいた。国民新党の当時の幹事長だった下地幹郎さんが亀井さんを裏切り、有権者を裏切り、他の議員たちと連立離脱に反対した。そして、一方的に亀井さんを解任して党から追い出そうと画策。結局、代表だった亀井さんと政調会長だった亀井亜紀子さんが国民新党を離党することになる。

ちなみに、亀井静香さんと亀井亜紀子さんは偶然に名字と行動が同じになっただけで、親子でも夫婦でも親戚でもない。


‥‥そんなワケで、6月26日の衆院本会議で、野田さんの増税法案は民主、自民、公明の賛成多数で可決した。反対した民主党議員は57人、棄権した民主党議員は15人で、合計72人が「造反」と言われた。だけど国民から見たら、「造反」は野田さんのほうだ。3年前に民主党が国民と約束した内容と正反対のことをしてるのが野田さんなんだから、本来なら野田さんを筆頭に執行部の面々が民主党から出ていくべきだろう。

結局、50人ほどの議員が離党届を提出し、小沢さんの立ち上げる新党に参加するみたいだけど、小沢さんに離党届を預けてたのに大慌てで撤回した人もいるし、離党はしたけど小沢新党には参加しない人もいるし、あとから離党届を提出した人もいるし、何よりも鳩山さんのグループの動向もあるから、最終的にはどれくらいの人数が野田民主党に三下り半を叩きつけるのかは分からない。

で、毎度のことだけど、マスコミの小沢嫌いは病的だから、今回も小沢新党のことをボロクソに書いてる。デタラメな世論調査で「期待していない」が60%だの70%だのと好き放題に報じてるけど、ネットでの評価は正反対だ。アンケートでも「期待している」のほうが遥かに多いし、何よりも野田さんの増税法案に反対したことが高く評価されてる。ちょうど、連立を離脱しても沖縄の人たちとの約束を守ったみずほたんが高く評価されたのとおんなじで、国民を裏切り続ける野田さんよりも、国民との約束を守るために増税案に反対票を投じ、自分から進んで離党した議員たちのほうが「スジが通ってる」からだ。

マスコミは、小沢新党なんて何も期待できない、どうせ大した人数も集まらないだろう、半数は1年生議員なんだから選挙で勝ち目はないだろう、なんてテキトーなことを報じてるけど、実際は逆だ。現時点では、小沢新党に参加する議員は50人前後と言われてるけど、昨日行われた小沢さんの勉強会には、この50人の他に、まだ民主党を離党していない議員が20人以上、新党きづなの議員が8人、合計で80人もの議員が集まった。

この他に、鳩山さんのグループが合流すればもっと多くなるし、実際に解散総選挙が現実味を帯びてくれば、野田さんと運命をともにするのなんてマッピラだっていう議員たちが雪崩を打って離党してくることだって考えられる。その上、新党きづなだけじゃなくて、すでに社民党も「政策によっては協力する」って言ってる。

あたしのツイッターやネット上の情報をよく見てる人なら、小沢グループの三宅雪子さんが、しばらく前にみずほたんと一緒に福井県知事に「大飯原発の真下を通る破砕帯を早急に調査するように」と超党派で申し入れに行ったり、首相官邸前の抗議行動に参加してることを知ってると思う。三宅雪子さんのことは、あたしも支持して応援してるんだけど、今回、雪子さんは、小沢新党で「選挙対策副委員長」に大抜擢された。選挙対策委員長は党代表の小沢さんが兼務するから、実質的には選対のトップみたいなもんだし、ある意味、党の顔とも言えるポストだ。これは、ホントに素晴らしい人事だと思う。

マスコミは、1年生議員は選挙に弱い、比例で当選した議員なんて確実に消える、なんて言ってるけど、あたしは逆だと思う。民主党にしても自民党にしても、政界の酸いも甘いも噛み分けた古ダヌキどもが好き放題にやってきた結果がこのアリサマなんだから、国民の中には身も心も汚れていない若い議員たちに期待してる人たちも多いと思う。大阪市長の橋下さんみたいな口先だけの男がチヤホヤされてるのだって、「新旧交代」という大きな潮流の顕著な例だろう。


‥‥そんなワケで、あたしは、小沢さんて「政策の人」じゃなくて「政治の人」だと思ってる。小沢さんの演説ってものすごく説得力があるけど、実は、よく聞いてるとほとんど具体的な政策は語ってない。「どうすべきか」ってことは明確に示すけど、「具体的にどうすればいいのか」ってことはあまり語らない。これは、小沢さんが「政治の人」だからだ。

たとえば、消費税に関してだけど、小沢さんはしばらく前は「増税も必要だ」っていうスタンスだった。原発に関しても、鳩山政権がスタートした当初は、鳩山さんほどハッキリとした推進派じゃなかったけど、俗にいう「容認派」だった。それが、今回は「消費税増税反対」と「脱原発」を掲げて新党を立ち上げるって言ってんだから、もしも「政策の人」だったとしたら、政策がコロコロと変わる優柔不断な人ってことになる。

だけど、小沢さんは「政治の人」だから、これは政策がコロコロと変わったことにはならない。小沢さんは、いつも「国民の生活が第一」って言ってるけど、これは、その時その時の「国民の声」を聞いてフレキシブルに対応してるだけなのだ。事実、しばらく前に行なわれたインターネットテレビの会談では、「私も消費税の増税は必要だと思うし、原発も必要だと思っていました。しかし、昨年の3.11で、日本の状況は一変しました。今は消費税を増税すべきではないし、エネルギー政策は脱原発の方向へシフトすべきです」って言ってた。これは、「自分が何をしたいか」という政策よりも、「国民が何を望んでいるか」という判断を優先してるからだろう。


‥‥そんなワケで、自民党と公明党による悪政を打破して、国民の手に政治を取り戻してくれるって民主党に期待してた多くの人たちは、鳩山さんが政権をスタートさせて半年ほどで「あれ?」ってことになり、菅さんに代わって3.11後の対応を見て「おいおい!」ってことになり、野田さんに代わって自民党と公明党にすり寄り始めて完全に「ダメだこりゃ!」ってことになった。自民党と公明党を倒すハズだった民主党が、こともあろうに敵に寝返っちゃったんだから、まさに「ミイラ捕りがミイラになる」だ。

6月29日の首相官邸前の抗議行動は、数えきれないほどの人たちが集まったけど、衆院議員会館の8階の事務所からこの様子を見おろしてた仙谷さんは、記者から「10万人参加が見込まれますが感想は?」と聞かれると、「たいしたことない。たいしたことない。再稼働しなきゃダメだ」と答えた。枝野さんは「市民と議論するつもりはない」と言い放ち、野田さんに至っては官邸まで聞こえてくる国民の声に対して「大きな音だね」とヒトコト。

群衆の中には、福島から来たお母さんたちを始め、全国各地から子どもたちの未来を守るために集まったお母さんたちもたくさんいたのに、この国民の声に対する3人の酷過ぎるコメントを見れば、今の野田政権が国民の声などまったく聞く気もないことは明らかだろう。「国民の信を受けていない政権による国民の声を無視した政治」、これが悪魔に魂を売った現在の野田政権の姿だ。小沢新党のキャッチフレーズが「国民の生活が第一」なら、野田民主党のキャッチフレーズは「国民の生活が台無し」だ。


‥‥そんなワケで、野田さんの任期は9月末までなので、任期延長でもしない限り、あの大きな顔を見せられるのは最長であと2ヶ月ほどだけど、野田さん自身は是が非でも消費税増税法案を成立させて、自民党の谷垣さんが言ってる「話し合い解散」に持って行きたいとこだろう。だけど、何としてでも政権の座に返り咲いて、また甘い汁を吸おうと目論んでる自民党は、最後の最後に突っぱねて内閣不信任案を叩きつけてくる可能性もある。そうなると野田さんには解散総選挙で受けて立つ根性なんてないだろうから、内閣総辞職で責任を丸投げするだろう。どっちにしても、あと2ヶ月のうちに総選挙が行なわれる可能性は極めて高いワケで、結局は「原発が爆発しても政局に明け暮れる日本の政治家たち」っていう、お粗末なドタバタ喜劇を見せられるあたしたち国民が、最大の被害者であることに変わりはないと思う今日この頃なのだ。


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