温泉どうでしょう 番外編 「別府 五十句」
皆さん、お待たせしました!‥‥ってなワケで、ずいぶん時間が掛かっちゃったけど、「温泉どうでしょう」の番外編、皆さんへのお土産は、別府で詠んだ俳句です♪
母さんは歌人なので短歌を、あたしは俳人なので俳句を、行く先々でそれぞれ詠んで句帳に書いてんだけど、ある程度の句数をまとめて発表するのはなかなか大変なことなので、ちょっと時間が掛かっちゃいました。
今回は、300句くらい詠んだ中から50句を選び、推敲して順番を決めました。「温泉どうでしょう」の「第一夜」から「第五夜」までを思い出しつつ、お楽しみいただければ幸いです♪
「別府 五十句」 きっこ
湯の街に母と降り立つ赤とんぼ
秋嶺や油屋熊八手をひろげ
天高しやせうまとり天だんご汁
爽籟や大正ロマンの駅前湯
なみなみと秋満ちてゐる湯船かな
湯あがりの母は色なき風の中
豊年や黄金色の豊後鯵
なめろうの舌にとけゆく新酒かな
秋鯵や母の雅な箸づかひ
母さんの指にかぼすの香りけり
荻吹くや唐破風造(からはふづくり)の明治の湯
秋晴や砂湯に母と頭(ず)をならべ
小上がりにせはしき秋の団扇かな
地獄行きバスに乗り込む餞暑かな
母と娘の並んで揺れて秋のバス
蓮の実の飛んで地獄の一丁目
長月の海地獄はた山地獄
秋天を南洋杉の覆ひけり
湯煙に口あけてゐる秋の河馬
もみづるや血の池地獄に虚子の句碑
ペディキュアを足湯へ沈め初紅葉
手湯足湯棚湯へ釣瓶落としかな
母さんと秋の地獄をめぐりけり
秋麗や母性たたへて別府湾
ザビエルの歩きし浜や秋海棠
白水郎(あま)詠みし歌碑に真白き風わたる
さやけしや万葉の歌そらんじて
潮風にくるりと母の秋日傘
貝殻を九月の海へ返しけり
モノクロの別府タワーや鳥渡る
すぐそこに四国の見ゆる望の潮
玄月の胎内めきし水族館
新涼やマダラトビエイひるがへる
太刀魚の背びれ波うつ立ち泳ぎ
ナポレオンフィッシュの瘤も秋思かな
海象(せいうち)の欠伸してゐる秋の雲
秋天へがんばれがんばれレンタカー
をちこちに白き湯煙ななかまど
ななかまど縫うてやまなみハイウェイ
由布岳に巻きつく霧の帳かな
谷底を霧流れゆく狭霧台
とうすみの水分峠より来たる
七重八重九重連山薄紅葉
金秋に根を張る地熱発電所
地下三千メートルからの豊の秋
白龍の如く九月の蒸気井
高原のエスプレッソや小鳥くる
秋蝶の螺旋に落ちて来たりけり
さよならのかたちにゆるる芒かな
親孝行できる幸せ小鳥くる
きっこ
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