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2012.10.22

温泉どうでしょう 番外編 「別府 五十句」

皆さん、お待たせしました!‥‥ってなワケで、ずいぶん時間が掛かっちゃったけど、「温泉どうでしょう」の番外編、皆さんへのお土産は、別府で詠んだ俳句です♪

母さんは歌人なので短歌を、あたしは俳人なので俳句を、行く先々でそれぞれ詠んで句帳に書いてんだけど、ある程度の句数をまとめて発表するのはなかなか大変なことなので、ちょっと時間が掛かっちゃいました。

今回は、300句くらい詠んだ中から50句を選び、推敲して順番を決めました。「温泉どうでしょう」の「第一夜」から「第五夜」までを思い出しつつ、お楽しみいただければ幸いです♪


 「別府 五十句」  きっこ


湯の街に母と降り立つ赤とんぼ

秋嶺や油屋熊八手をひろげ

天高しやせうまとり天だんご汁


Bp10b


爽籟や大正ロマンの駅前湯

なみなみと秋満ちてゐる湯船かな

湯あがりの母は色なき風の中


Bp36


豊年や黄金色の豊後鯵

なめろうの舌にとけゆく新酒かな

秋鯵や母の雅な箸づかひ

母さんの指にかぼすの香りけり


Bp41


荻吹くや唐破風造(からはふづくり)の明治の湯

秋晴や砂湯に母と頭(ず)をならべ

小上がりにせはしき秋の団扇かな


Bp86


地獄行きバスに乗り込む餞暑かな

母と娘の並んで揺れて秋のバス

蓮の実の飛んで地獄の一丁目

長月の海地獄はた山地獄

秋天を南洋杉の覆ひけり

湯煙に口あけてゐる秋の河馬


Bp96


もみづるや血の池地獄に虚子の句碑

ペディキュアを足湯へ沈め初紅葉

手湯足湯棚湯へ釣瓶落としかな

母さんと秋の地獄をめぐりけり


Bp134


秋麗や母性たたへて別府湾

ザビエルの歩きし浜や秋海棠

白水郎(あま)詠みし歌碑に真白き風わたる

さやけしや万葉の歌そらんじて

潮風にくるりと母の秋日傘

貝殻を九月の海へ返しけり


Bp136


モノクロの別府タワーや鳥渡る

すぐそこに四国の見ゆる望の潮


Bp157


玄月の胎内めきし水族館

新涼やマダラトビエイひるがへる

太刀魚の背びれ波うつ立ち泳ぎ

ナポレオンフィッシュの瘤も秋思かな

海象(せいうち)の欠伸してゐる秋の雲


Bp257


秋天へがんばれがんばれレンタカー

をちこちに白き湯煙ななかまど

ななかまど縫うてやまなみハイウェイ


Bp211


由布岳に巻きつく霧の帳かな

谷底を霧流れゆく狭霧台

とうすみの水分峠より来たる

七重八重九重連山薄紅葉


Bp217


金秋に根を張る地熱発電所

地下三千メートルからの豊の秋

白龍の如く九月の蒸気井

高原のエスプレッソや小鳥くる

秋蝶の螺旋に落ちて来たりけり


Bp255


さよならのかたちにゆるる芒かな

親孝行できる幸せ小鳥くる


きっこ


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