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2012.11.21

ホクロ移動説と皮膚プレート説

あたしは子どものころ、右腕の手首と肘の真ん中あたりに、小さくて薄い色のホクロが2つ並んでた。ホクロとホクロの感覚は2センチくらいで、サイコロの2みたいに見えた。文章だけで説明するのは難しいんだけど、右手に腕時計を男性のように外向きにはめてるとして、それで時間を見る形に腕を曲げた時に、手首と肘との真ん中あたりに、腕時計のベルトと並行して、上下に2つ、直径2~3ミリくらいのホクロが並んでたのだ。で、何で「並んでた」っていう過去形なのかって言うと、成長とともに、ホクロとホクロの間隔がジョジョに奇妙に離れていったからだ。

あたしは、全身をくまなく探しても、これと言って目立つホクロがない。正直に言えば、ビキニになっても見えない場所に2個あるんだけど、それ以外にはパッと見ても分からない薄い色のシミみたいなホクロがいくつかあるだけで、「THE ホクロ」って呼べるようなホクロらしいホクロは1つもない。だから、鏡とかを見なくても自分の目に入る右腕のホクロは、小さくて薄い色だけど、2個が仲良く並んでたこともあって、もの心ついた時から自覚してたし、自分ではけっこう気に入ってた。

でも、小学校の高学年のころ、どうもホクロとホクロの間隔が広くなったような気がして、母さんに言ってみた。そしたら母さんは、「ホクロが動くわけないんだから、体が成長して腕も太くなって、そのぶんだけ広がったんでしょ?」とか何とか言って、マトモに取り合ってくれなかった。

だけど、あたしがどうしても納得できなかったのは、ただ単に2センチの間隔が3センチになっただけじゃなくて、その位置関係が変化してたからだ。腕時計を見る形に腕を曲げた時、ちっちゃなころは上下にキチンと並んでたのに、このころになると、上のホクロだけがほんの少し肘のほうへ移動したのか、下のホクロだけがほんの少し手首のほうへ移動したのか、それとも両方のホクロがそれぞれの方向へ少し移動したのか、とにかく、2つのホクロの位置がビミョ~にナナメになってた今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、「昨日までキチンと縦に並んでたホクロが、今朝、目が覚めたらナナメになってた」ってことなら大騒ぎしてただろうけど、何年もかけて少しずつ少しずつ移動してたワケだし、このころはまだまだ体が成長してたから、あたしは特には気にしてなかった。母さんの言ったことは鵜呑みにできなかったけど、「気のせいかもしれないし、別にどうでもいいや」って思ってた。

だけど、中学の3年間でホクロとホクロの間隔は4センチくらいなり、それもハッキリと分かるくらいにナナメになり、明らかに「ホクロが動いてる」って確信できるようになった。高校を卒業して専門学校に通ってたころには5センチくらいになり、子どものころにはあんなに仲良く並んでたホクロが、もう完全に腕の両端に移動してた。それも、上のホクロからまっすぐ下に線を引くと、下のホクロはその線よりも4センチくらい手首寄りで、完全にナナメになってたのだ。

幼稚園から小学校、小学校から中学校卒業までの過程では、身長も体重もうんと成長するから、腕のホクロとホクロの間隔が2センチから3センチ、3センチから4センチになっても、「腕も成長して長く太くなったから」ってことで、まあまあ納得できる。だけど、高校生にもなれば、もう体はほとんど成長しない。

実際、あたしの場合は、高校1年生の時に今の身長と体重になり、それから現在までの約25年間、体重はビミョ~に増えたり減ったりはしてるけど、身長はずっと変わらない。ヘタしたら5ミリくらい縮んでるかもしれない。だから、当然、高校1年生の時から、あたしは腕の太さも長さも変わってない。それなのに、高校を卒業したあとも、専門学校を卒業して社会人になってからも、あたしの腕のホクロは移動し続けた。

結局、30代前半まではおんなじくらいのスピードでホクロは移動し続けてて、30代半ばを過ぎたところで、ようやく動かなくなった。だけど、これは、完全に動かなくなったんじゃなくて、それまでよりもスピードが遅くなっただけみたいで、今でも、ものすごくちょっとずつは動いてるっぽい。ちなみに、あたしは、明日でとうとう2回目の成人式、40歳を迎えちゃうけど、現在のホクロとホクロの間隔をモノサシで測ってみたら、ちょうど8センチだった。つまり、体の成長ぶんが加味されないように「20歳の時から現在まで」ってことで考えても、20年間で3センチくらい動いてるのだ。

これが絶対に、あたしの思い違いや目の錯覚じゃないことはハッキリしてる。だって、社会人になったころまでは、子どものころと比べればずいぶん間隔が離れてたけど、それでも腕時計を見る形に腕を曲げてみれば、腕の上のほうと下のほうに2個のホクロが見えた。でも、30代を過ぎたころからは、腕時計を見る形に腕を曲げてみても、上のホクロはギリギリで腕の上のハシッコに見えるけど、下のホクロは完全に腕の横側に移動しちゃってて、腕をひねらないと見ることができなくなったからだ。子どものころは、サイコロの2みたいに仲良く並んでたのに、今じゃ2つのホクロを同時に見ることができないほど間隔が離れちゃってるのだ。これって、どう考えても「ホクロが移動した」ってことだよね?


‥‥そんなワケで、たとえば、腕の長さや太さが成長し続けてた子ども時代にだけホクロとホクロの間隔が少しずつ広がり続けてて、体の成長が止まったと同時にホクロも動かなくなったのなら、これは「成長によるもの」だって理解できる。これなら、もともと「ホクロは動かないもの」っていう大前提があっても、ホクロが動いたんじゃなくて「体が成長してホクロごと皮膚が動いた」って考えられるからだ。

これは、「ハワイが少しずつ移動してる」ってこととおんなじだ。前にも書いたことがあるけど、あたしは以前、NHKの教育テレビ(現在のEテレ)の「高校講座・地学」の伊藤孝先生から「ハワイは毎年数センチずつ日本に近づいている。これはハワイの乗っている太平洋プレートが北西の方向へ移動しているからだ」というお話を聞いた。

1年に数センチだから見ただけじゃ分からないし、ホントにハワイが日本に近づいてきて伊豆の下田あたりから肉眼で見えるようになるのは、地球に人類が生存したるかどうかも分からない遥か未来のこと。だから確認することはできないけど、少なくとも現在のハワイは少しずつ動いてるんだから、1年に3センチなら100年で3メートルだし、1年に5センチなら100年で5メートルだから、宇宙衛星からの写真を100年ごとに撮っておいて、それを重ねて行けば、ハワイが日本のほうに向かって動いてることは、人類が生存してる間に確認することができる。

で、このハワイの話のように、あたしの右腕のホクロも、数日とか数週間とかじゃ動いてることなんて分からないけど、1年、5年、10年と経過すると、どう見ても移動してるのだ。だから、「ホクロが動くわけない」っていう前提に立てば、唯一考えられるのが、このハワイの話のように、ホクロだけが単独で動いてるんじゃなくて、ホクロが下の皮膚ごと動いてるっていう推測だ。あたしの体の成長にともなって、あたしの右腕の「皮膚プレート」が少しずつ動いてて、その上に乗ってる「ホクロ島」も一緒に動いてるって理屈だ。

腕時計を見る形に腕を曲げた時、もの心ついた時にはキチンと上下に並んでたのに、体が成長するのに従って2つのホクロの間隔が広くなりつつ、上のホクロは肘のほうへと右に移動していき、下のホクロは手首のほうへと左へ移動してったんだから、もの心ついた時のホクロとホクロの間に「÷」のマークみたいにマジックで横線を引いてみたとしたら、この横線の部分から湧き上ってくるように新しい「皮膚プレート」が誕生しつつ、この線より上の「皮膚プレート」は右へ向かって移動していき、線より下の「皮膚プレート」は左へ向かって移動していってることになる。

だけど、ホントにこんなふうに新しい皮膚が誕生してるんだとしたら、このままだと、横線から上の皮膚は肘とか肩のあたりに溜まってっちゃうし、横線から下の皮膚は手首のあたりに溜まってっちゃって、ブルドッグの顔みたいにダブダブのシワシワになっちゃう。ハワイの乗ってる太平洋プレートは、少しずつ日本のほうに近づいて来てても、マリアナ海溝でフィリピン海プレートの下にもぐり込んでくから問題ないけど、あたしの肘や手首にはマリアナ海溝的なシステムはない‥‥と思う。

でも、考えてみれば1年に1ミリか2ミリの話だ。1年に何センチも移動してたら皮膚もダブダブのシワシワになっちゃうだろうけど、この程度なら皮膚の伸縮の範囲に十分に収まるから、当座は問題ない。そして、この「1年に1ミリか2ミリの話」が何十年も続いてホントにダブダブのシワシワになったころには、あたしはおばあちゃんになってるから、これもまた問題ない。つーか、これが年齢とともにシワができる原因だったりして(笑)

ただし、この「皮膚プレート」の説にも疑問が残る。それは、タトゥーだ。ホントに腕のホクロが下の皮膚ごと移動してるとしたら、腕にタトゥーを入れてる人はどうなるのか?‥‥そう!タトゥーも移動しちゃうのだ!1年や2年じゃ分からないけど、二の腕に入れたセクシーな美女の絵が、10年後、20年後にはピカソの絵みたくなっちゃう。だけど、そんな人は見たことないし、そんなことが起こるんだったら、タトゥーを入れる人はいなくなっちゃうだろう。


‥‥そんなワケで、「天動説」と「地動説」ってのは、モノゴトを主観的に見るか客観的に見るかの違いだけど、あたしの腕のホクロは現実問題として移動してることに間違いないんだから、ホクロだけが移動してる「ホクロ移動説」だったとしても、下の皮膚ごと移動してる「皮膚プレート説」だったとしても、どっちも立ち位置は客観的だ。主観が介入してないぶん、それなりに科学的でもある。だから、あたしは、明日の40歳のお誕生日を起点にして、80歳になるまでの40年間、毎年のお誕生日に腕のホクロの位置を計測して、コツコツとデータを集めていこうと思う。そして、40年後には論文を発表して、ノーベル賞は無理でもイグノーベル賞あたりを狙いたいと思う今日この頃なのだ♪


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2012.11.14

あたしのポポンが招いた悲劇

中学生のA君が同級生のB君を殴ってケガをさせたら、A君が加害者でB君が被害者ってことになる。この部分だけを聞かされたら、誰もが「A君が悪い」って思うだろう。だけど、ほとんどの場合、何の理由もなく人が人を殴ることはない。そこには何らかの理由がある。で、この場合、たとえば、A君がクラスで一番いばってるイジメっ子だったとして、おとなしいB君のことを来る日も来る日も執拗にイジメてて、とうとうイジメがエスカレートして殴ってしまった‥‥ってことであれば、最初に思った通りに「A君が悪い」ってことになる。

だけど、逆にB君のほうが手のつけられないイジメっ子で、毎日のようにクラスのC君のことをイジメてたとする。それで、見るに見かねたA君が止めに入って、C君を助けるためにB君のことを殴ってケガをさせてしまった‥‥ってことになると、「A君がB君を殴ってケガをさせた」っていう事実は変わらないけど、そのイメージはずいぶん変わってくる。単純に「A君が悪い」とは言えなくなってくる。

そして、もっと複雑なケースとしては、B君がA君の悪口を陰で言って回っていて、それを知ったA君が怒ってB君のことを殴った‥‥っていうケースも考えられるし、さらに複雑にするなら、B君に恨みを持っていたD君が血の気の多いA君に「B君がA君の悪口を言って回っている」と嘘の告げ口をして、何の罪もないB君をA君に殴らせるように仕向けた‥‥っていうケースも考えられる。こうなってくると、もちろん「A君がB君を殴ってケガをさせた」って事実に変わりはないけど、ある意味、「A君も被害者」ってことになってくる。

さらにさらに複雑にするなら、A君の親友であるD君が、自分が耳にした「B君がA君の悪口を言って回っている」という噂話を事実だと思い込み、親友のためを思ってその話をA君に知らせた。怒ったA君はB君を呼び出して殴った。だけどあとからその噂が事実無根だったと分かった‥‥ってケースまで考えられる。こうなってくると、もはや誰が悪いのかも分からなくなってくる今日この頃、皆さん、いかか゛お過ごしですか?


‥‥そんなワケで、何でこんな複雑なマクラを書いたのかって言うと、あたし自身、コレと似たようなことを経験してて、15年近く経った今も、何とも言えない「申し訳ない気持ち」を引きずってるからだ。それもこれも、未だに「誰が悪いのか分からない」ってことが最大の原因で、誰が悪いのか分からないから、あたしもスッキリしない中途半端な罪悪感を引きずってるのだ。

今から15年くらい前のこと、中古のフィアット・パンダをローンで買ったばかりのあたしは、ほぼ毎日、愛車で都内を走り回ってた。あたしの場合、毎日の仕事が場所も時間も違うから、走る道路も毎日違ってて、渋滞する時間帯は細い裏道ばかりを使ってた。

で、ある日のこと、たしか夜の8時か9時ころだったと思うけど、都心の撮影スタジオからの帰り道、繁華街の細い一通の路地から大通りにでるとこで、あたしは赤信号で止まってた。あたしの前には背の高いワンボックスカーが止ってて、あたしは2番目で、あたしの後ろにもタクシーをはじめ何台かの車が止ってた。

この場所は、大通りのほうの青信号が長くて、そのあとに歩行者の信号がスクランブル的に長く青になり、最後にこの路地から出る車の信号が短めに青になる。だから、路地から出る車は、青になった瞬間にサクサクと進まないと後続車に迷惑をかけちゃう。

だけど、この日は、ようやく信号が青になったのに、あたしの前のワンボックスカーが発進しなかった。ナンバーは品川だったから都内の運転に慣れてないワケもなさそうだし、あたしは「信号が青になったことに気づいてないんだ」って思い、報せる意味でクラクションを「ポポン」と鳴らした。これは「早く行けよバカ野郎!」的な「ブブーッ!」じゃなくて、あくまでも親切に教えてあげる時の「ポポン」だ。

そしたら、一瞬あとに「何だこの野郎!」っていう怒声が聞こえてきて、前のワンボックスカーがユラユラと揺れ始めた。あたしは何事かと思い、運転席の窓を開けて頭を出して前を見たんだけど、左ハンドルなので角度的に前で何が起こってるのかまったく見えない。それで、右側の助手席のほうから前を見ると、見るからにヤクザっぽいオヤジが、前のワンボックスカーの運転席に向かって怒鳴り散らしながら、蝶野のケンカキックばりにドアのあたりをボコボコと蹴ってた。

分かりやすく説明すると、そのワンボックスカーの前の横断歩道の信号が赤になったのにも関わらず、ヤクザっぽいオヤジがチンタラと渡ってたので、ワンボックスカーの運転手は自分のほうの信号が青になったけど、変なイチャモンでもつけられたらかなわないから、オヤジが渡りきるのをおとなしく待ってたのだ。だけど、そんなこととは露ほども知らなかったあたしは、前の車の運転手が青信号に気づかないんだと思ってクラクションを「ポポン」と鳴らした。そしたら、そのヤクザっぽいオヤジは、そのワンボックスカーが自分に対してクラクションを鳴らしたんだと勘違いして、ブチギレてケンカキックを炸裂させたってワケだ。


‥‥そんなワケで、これはほんの10数秒のことで、そのワンボックスカーはオヤジから逃げるように左折して行き、オヤジは捨てゼリフを残して右手の雑踏に消えて行き、信号は赤に変わってしまったのであたしはそこに残された。そのワンボックスカーが商用のボロボロの車か何かだったら、あたしもそんなに罪悪感を抱かなかったんだけど、ピカピカの3ナンバーの自家用の新車だったから、あたしは「大変なことをしちゃった!」って思った。

だけど、あたしが次の青信号で左折して大通りを進んだ時には、もうあのワンボックスカーの姿はどこにもなかったから、追いかけてって謝ることもできなかったし、あたしにはどうすることもできなかった。悪いのはもちろん赤信号を平然と渡ってた上に、勝手に勘違いしてワンボックスカーに蹴りを入れたオヤジなんだけど、その原因を作ったのはあたしの「ポポン」だから、あたしはものすごく申し訳ない気持ちになった。

マクラの話で言えば、ヤクザっぽいオヤジが「殴ったA君」で、ワンボックスカーの人が「殴られたB君」で、その原因を作ったあたしが「D君」てことになる。だけど、これまでの説明でも分かるように、あたしがもともと前のワンボックスカーに腹を立てていて、オヤジをけしかける目的で意図的に「ポポン」と鳴らしたのなら大問題だけど、どっちかって言うと、あたしは「A君の親友であるD君」の立場だったワケで、自分のためでもあったけど、親友のためを思って「ポポン」と鳴らしたワケだ。

極論を言っちゃえば、この時、ワンボックスカーの運転手も怒って車を降りてきて、騒ぎがもっと大きくなって、警察がやってきて白黒つけてくれれば一番良かった。あたしも正直に「クラクションを鳴らしたのは自分です」と証言したし、その上で、キチンと法律に照らし合わせて処分を決めてもらってたら、こんなことを15年間も引きずることはなかったと思う。


‥‥そんなワケで、あたしが15年間も引きずってる理由は、もうひとつある。それは、この時のあたしの「ポポン」が道路交通法違反に抵触してるからだ。道路交通法第54条の警笛(クラクション)に関する規定では、第1項に「車両等の運転者は、道路標識で指定された場所や区間では警音器を鳴らさなければならない」、第2項に「車両等の運転者は、法令の規定により警音器を鳴らさなければならない場合と、危険を防止するためやむを得ないとき以外は、警音器を鳴らしてはならない」と明記されてる。つまり、「警笛ならせ」の標識がある場所と、危険を回避するため以外でクラクションを鳴らす行為は禁止されてるのだ。

実際には、今回のあたしのケースのように、信号が青になっても停止し続けてる前の車に報せる目的で「ポポン」と鳴らしたり、友達の車と別れる時に挨拶として「ポポン」と鳴らしたり、合流とかで道を譲ってくれた車にお礼の意味で「ポポン」と鳴らしたりする人は多い。後ろの車に対しては、ハザードをつけて挨拶やお礼をする場合もあるけど、それ以外の場合は「ポポン」が多い。だけど、厳密に言えば、これらの行為は違反にあたる。

ただ、警察もこうした「悪意のないクラクション」「善意あるクラクション」を取り締まることはない。ようするに「黙認してる」ってことになる。だけど、おんなじ「信号が青になっても停止し続けてる前の車に報せる目的」でのクラクションの使用でも、「早く行けよバカ野郎!」的な「ブブーッ!」の場合は完全に悪意があるし、現にこれが原因で殺人事件まで起こってる。

だから、あたしは、いくら自分に悪意がなかったとは言え、自分の「ポポン」が原因で、どこかの誰かのピカピカの新車にキズをつけるような結果を招いてしまったことに対して、15年経った今でも、モヤモヤした「申し訳ない気持ち」を引きずってる。法律も何も関係なく、あたしの感じてる罪悪感だけで言えば、もしもこのワンボックスカーの修理に10万円掛かってたとしたら、もちろんドアを蹴って凹ませたオヤジが一番悪いんだから9万円くらいは支払ってもらうとしても、あたしも1万円くらいは支払わなきゃいけないような気がしてる。


‥‥そんなワケで、世の中で起こってることの多くは、白黒がハッキリつかないことが多い。白黒がハッキリしてるのは「ゼブラーマン」くらいだし、勧善懲悪なんてのはアニメや戦隊ヒーロー物くらいだし、アニメだって最近は「エヴァンゲリオン」や「エウレカセブン」みたいにどっちが悪いのかハッキリしてない作品も多い。世界各地で起こってる戦争や内紛にしても、どっちが悪いかは自分の立ち位置によって正反対になっちゃうし、今回の原発事故だって、一番悪いのは誰なのか、誰にも分からない。すべてを見切り発車で続けてきた東電の体質そのものを批判する人もいるし、これまで原発を推進してきた自民党政権を批判する人もいるし、事故後の対応の悪さから民主党政権を批判する人もいるし、そんな自民党や民主党に政権を任せた国民自身に責任があると言う人もいる。だから、あたしは言いたい。10年後、20年後までモヤモヤした罪悪感を引きずって行かないように、今、未曽有の原発事故に至った経緯を徹底的に検証し、責任の所在を明確にしておくことが必要だと思う今日この頃なのだ。


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2012.11.07

原子力規制委員会は原子力推進委員会なのか?

11月4日付で各紙が報じたけど、大飯原発の敷地内を通ってる破砕帯について、原子力規制委員会が調査を依頼した調査団5人の中で意見が分かれてる。詳しくは、こちらの毎日新聞の記事を読んでもらうとして、読むのがメンドクサイヤ人のためにザックリ説明しとくと、11月2日に現地調査をした調査団の中で、以前から「大飯原発の敷地内を通っている破砕帯は活断層である可能性が極めて高い。すぐに調査すべきだ」って言い続けてきた東洋大学の変動地形学者の渡辺満久教授が、今回の調査結果として「破砕帯はやはり活断層だった」と結論づけたのに対して、立命館大学の岡田篤正教授は「活断層ではなく地すべりである可能性は否定できない」って言ってるのだ。

で、渡辺満久教授が言うように、この破砕帯が「活断層」だった場合には、日本では「活断層のある場所に原発を建設してはいけない」っていう決まりがあるから、大飯原発の運転を即時停止しなきゃならないのはもちろん、すぐに施設を閉鎖して廃炉に向けての計画を進めなきゃならない。だから、原子力ムラの息の掛かった人たちは是が非でも「活断層ではない」っていう結論に導きたいみたいだけど、これがアッチョンブリケのポッポコピーだった。

調査団に選出された学者2人が「活断層だ!」「地すべりだ!」「活断層だ!」「地すべりだ!」って言い合ってるけど、この2人を含む5人の専門家に調査を依頼した原子力規制委員会のホームページには、原発を立地できる場所として次のように明記してある。


「地震、風、津波、地滑りなどにより大きな事故が発生しないと考えられるところ。」


Gk1
http://www.nsr.go.jp/activity/regulation/sekkei/sekkei1.html


つまり、大飯原発の敷地内を通ってる破砕帯が「活断層」だろうが「地すべり」だろうが、どっちにしても「原発を立地するには不適格な場所」ってワケだ。何よりも、今回の調査を依頼した原子力規制委員会自身がそう明言してるんだから、渡辺満久教授と岡田篤正教授が議論を戦わせる必要はない。調査団の全員一致した結論として「大飯原発は不適格な場所に建設されているので即時停止して廃炉にすべし」ってことでオッケーな今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、久しぶりに重たいテーマを取り上げて書き始めたワケだけど、今回は諸悪の根源である「原子力規制委員会」にスポットを当ててツッコミを入れてこうと思う。福島第一原発であれほどの事故が起こったと言うのに、その事故を未だに収束できずに全国に放射能汚染を拡大し続けてるって言うのに、事故の始末にあと10兆円は必要だからそのぶんも国に援助してもらおうだなんて東電が言い出してるのに、それでも官僚と経団連とアメリカの言いなりになって、停止中の原発を次々と再稼働させようと目論むばかりか、新しい原発まで建設しようという野田政権が放った原発推進の切り札、それが「原子力規制委員会」ってワケだ。

9月19日、「原子力利用における事故の発生を常に想定し、その防止に最善かつ最大の努力をする」組織として、また「委員長および委員が専門的知見に基づき中立公正な立場で独立して職権を行使できる」機関である「原子力規制委員会」が発足した。このカギカッコの中の文言は、今年6月に国会で可決された「原子力規制委員会設置法」の概要に明記されてるものだ。

だけど、フタを開けてみたら、委員長の田中俊一は「元日本原子力研究所副理事長」で「高度情報科学技術研究機構顧問」という原子力ムラの村長で、他の委員も「日本原子力研究開発機構原子力基礎工学研究部門副部門長」の更田豊志をはじめ、5人のうち4人が原子力ムラの住人たちで固められた「原発推進のための人事」だった。事実、5人のうち4人が、電力会社や原発関連企業から直近3~4年間だけでも1人300万円~2714万円もの原発マネーを受け取ってたことが発覚してる。

こんな原発マネーに首までドップリと浸かった原子力ムラの住人たちに原発を監視させるなんて、まるで泥棒に金庫番をさせるようなもんだ。この人事案が分かったとたん、全国から「ふざけんな!」の声が巻き起こり、毎週金曜日の首相官邸前の抗議行動でも、いつもの「再稼働反対!」のシュプレヒコールが「人事案反対!」に変わった。

国際環境NGO「グリーンピース」では、この人事案に反対する5万筆を超える一般市民の署名を集め、計5回、トータルで30万筆近くもの反対の署名を政府に提出したんだけど、野田内閣はこの30万人の声を無視したまま、こんなトンデモ人事案を強行した。それも、本来は国会での承認が必要な人事なのに、野田首相は「国会の閉会中は首相権限で決めることができる」っていう特例を使って独断で決めた。百歩ゆずって、ホントに国会の閉会中に人事を決めなきゃならない状況だったのなら仕方ない。だけど、この人事案が出たのは7月で、それから9月までに通常国会は開いてたのに、野田首相は国会での承認を避けて採決を先送りして、国会が閉会してから独断で決めたのだ。これって、ものすごいインチキじゃん!

で、この特例を使って首相権限で人事を決めた場合は、あくまでも「緊急時の人事」ってことになるから、次の国会で正式に承認されなきゃならない。だから、あたしは、今の臨時国会で原子力規制委員会の人事についての採決を行なうもんだと思ってた。野党の多くがこの人事には反対してるから、ここで潰せる可能性もあると思ってた。

そしたら、ナナナナナント! 野田首相は今回の臨時国会でも原子力規制委員会の人事についての採決を先送りしたのだ! そして、そのイイワケがシビレちゃう!藤村官房長官は「現在は原子力緊急事態宣言が発令中であり、このような状況の時に人事案が不承認になるリスクがある採決は行なえない。採決を見送ることでリスクを回避したい」って趣旨のことをノタマッたのだ!つまり、もしも人事案が不承認になったら、またイチから他のメンバーを選ばなきゃならないので、そんなことになったら現在の緊急事態に対応できなくなる‥‥って抜かしたのだ!

溶け落ちた核燃料がどこにあるのかも分からないのに「原発の事故そのものは収束した」だの、「国民の皆さまの生活を守るために消費税を増税します」だの、これまで何度も意味不明な説明やイイワケを繰り返してきた野田首相だけど、今回の詭弁には久しぶりに開いた口からエクトプラズムが飛び出して幽体離脱しちゃった上に、深夜に2階の窓から「恐怖新聞」が届いちゃったよ、まったく!


‥‥そんなワケで、7月に経産省の官僚たちが人事案を決め、9月に野田首相がその人事案を強行し、それから2ヶ月も経つのに、未だに国会の承認も受けないまま、こんなトンデモ人事によって国民の生命財産に関わる原発の運用が決められていく。まだ正式に決まったワケでもないのに、委員長に抜擢された原子力ムラの村長、田中俊一は、就任早々、原発推進活動に余念がない。

10月18日、ロイターのインタビューに応じた田中俊一は、再稼働中の大飯原発3、4号機について、「差し迫った危険性がある場合は止めろと言えるが、いまそうした判断はしていない」、つまり、「大飯原発には差し迫った危険がないので止める必要はない」って趣旨の回答をしてる。もちろん、何もない状況でこのように回答したのなら、これも「ひとつの見解」として認めざるを得ない。だけど、この時は、大飯原発の敷地内に新たな破砕帯が見つかり、活断層の可能性が高いから早急に調査が必要だとして、専門家による調査が行なわれようとしていた時なのだ。

ここで、話はクルリンパと最初に戻り、11月2日に専門家5人による調査団が現地調査をして、渡辺満久教授は「活断層だ」、岡田篤正教授は「地すべりの可能性もある」って意見が対立したワケだけど、田中俊一が委員長をつとめる原子力規制委員会のホームページには「地すべりの場所もNG」ってことが明記してあるんだから、どっちにしても大飯原発は「本来ならば原発を建設してはいけない危険な場所に建てられたもの」ってことが全国津々浦々に知れ渡ったってワケだ。実際、田中俊一も、ロイターのインタビューの中で、次のように述べてる。


「焦眉の課題は(大飯原発の)敷地に活断層があるかどうかだと思うので、そのことについては早急に調べて判断していきたい」


そして、調査の結果、活断層の存在の疑いが濃い場合には、大飯3、4号機の稼働停止を求める考えを示した上で、「大飯原発を止めて活断層を調べるべきなのでは?」との質問に対しては、「一般論としては非常によくわかるが、規制委員会、原子力規制庁は法律的に止めることはできない。活断層が見つかった、怪しいという場合は行政指導になるのではと考えているが、実際に調べていないのに予断をもって答えることはできない」と回答してる。

これらの発言だけを見れば、いかにも「原子力規制委員会」の委員長って感じの優等生の回答だ。だけど、田中俊一は、最初に「差し迫った危険性がある場合は止めろと言えるが、いまそうした判断はしていない」って言ってるのだ。まだ調査もしてないのに、これから調査をするとこなのに、何で「差し迫った危険性」がないと言えるのか? 第一、「活断層の可能性が高い破砕帯」が見つかったから調査をするワケで、この時点ですでに「大地震が起こるかもしれない」という「差し迫った危険性」の可能性があるから調査するんじゃないの?

ようするに、「調査の結果、活断層の存在の疑いが濃い場合には、大飯3、4号機の稼働停止を求める考えを示した」だなんて調子のいい顔を見せてるけど、田中俊一の頭の中にあるのは、「調査の結果、活断層ではなかった」→「大飯原発はこのまま稼動」→「泊原発も再稼働」→「伊方原発も再稼働」っていう経産省の作ったシナリオだけなのだ。


‥‥そんなワケで、田中俊一が「私は原子力ムラの村長じゃない」「私は経産省の犬じゃない」って言うのなら、このロイターのインタビューで自分が明言した通り、今すぐに関西電力に対して大飯原発3、4号機の稼働停止を行政指導しろ!仮に「活断層」じゃなくて「地すべり」だったとしても、自分が委員長をつとめる原子力規制委員会のホームページに「原発の立地に不適格な場所」として明記してあるんだから、「原子力利用における事故の発生を常に想定し、その防止に最善かつ最大の努力をする」組織のトップなら、それが当然の行動だろう。そして、今回の調査結果を受けても関電に大飯原発の稼働停止を行政指導しなかった場合は、「原子力安全・保安院」が実際は「原子力危険・不安院」だったのと同様に、「原子力規制委員会」も実際は「原子力推進委員会」だったってことが白日の下に晒されちゃう今日この頃なのだ!


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