天蓋つきベッドと脱原発
文化放送の「腹黒姫」こと石田絵里奈アナが、19日、愛用してるというお姫様のような純白の「天蓋つきベッド」の画像をツイッターで公開した。当然、翌日の「くにまるジャパン」では、野村邦丸さんからツッコミまくられてたけど、子どものころからの憧れだった「天蓋つきベッド」を大人になってから買ったイキサツとか、引っ越しの時に業者さんに笑われて恥ずかしかったという話とか、石田絵里奈アナの女の子にしか分からない「永遠の乙女心」がヒシヒシと伝わってきた。
「天蓋つきベッド」と言えば、かつては「ちびまる子ちゃん」のオープニングにも登場してたし、お姫様に憧れたまる子がダンボールか何かでヘンテコな「天蓋つきベッド」を自作するっていう回もあった。ようするに、「お姫様」ってものが多くの女の子の憧れなワケで、現実的にお姫様になることができない一般家庭の女の子が、雰囲気だけでもお姫様気分を味わうことができる便利なアイテム、それが「天蓋つきベッド」ってワケだ。
お姫様気分を味わうだけなら、お姫様のようなドレスでコスプレしてもいいし、軽井沢で洋風の豪華な馬車に乗ってもいいし、いろんな方法がある。実際、ふだんからお姫様風味のフリルひらひらのお洋服を好んで着てる女の子もいるし、そういうファッションの専門店もある。だけど、自分の部屋に「天蓋つきベッド」があれば、お姫様チックなネグリジェと組み合わせることによって、毎晩お姫様になれるし、そのまま夢の世界へと入っていける今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、女の子がお姫様に憧れる気持ちってのは、男の子が王様やお殿様になりたいと思う気持ちとはまったく違う。男の子に限らず、大人の男性でも「一国の主になりたい」とか「総理大臣になりたい」とかって考えてる人の多くは、男性特有の「権力欲」や「支配欲」によるもので、中には「社長になりたい」とか「店長になりたい」とかって考えてる男性の中にも深層心理の部分に「権力欲」や「支配欲」が底流してる人もいる。
だけど、女の子の場合はまったく違う。お姫様に憧れる女の子の気持ちには、幼稚で野蛮な「権力欲」や「支配欲」などミジンもなく、極めて純粋だ。そして、女の子は男の子より遥かに現実的だから、自分がお姫様とはホド遠い「一般家庭の子ども」だってことをちっちゃなころからキチンと自覚してる。
でも、お姫様になりたい。美しいドレスを着て、白馬がひく素敵な馬車に乗り、お城の舞踏会に行ってみたい。
そこで、「シンデレラ」ってワケだ。「一般家庭」どころか、「中流の下」よりも下の暮しをしてる貧乏な家で、ツギアテまでしたボロボロのお洋服を着てて、さらには意地悪なお姉さんまでいて、毎日いじめられてる。そんな女の子が、一夜限りの夢のような体験をした上に、王子様の目にとまり、ホントに夢を叶えちゃう。
「スマイルプリキュア!」のみゆきちゃんも、たくさんの大好きな物語の中で、この「シンデレラ」のお話が一番好きだって言ってて、実際にみゆきちゃんが絵本の世界へ入り込んで、シンデレラになっちゃう回もあった。みゆきちゃんは「シンデレラ」のストーリーを知ってたから、辛いハズのお掃除もお洗濯もウキウキしながら片づけてた。どんなに辛いことが続いても、その先に夢のような展開が待ってるって分かってたからだ。
‥‥そんなワケで、ホントはどこかの国のお姫様として生まれたのに、何らかの理由があって一般家庭の子どもとして育てられてた。だけど、16歳になった日の夜に、タキシードを着た初老の紳士が現われて、真実を告げられる。女の子は、自分を育ててくれたお母さんとお父さんが実の両親じゃなかったことにショックを受けながらも、その紳士と一緒にペガサスに乗って見知らぬ国のお城へと飛んでいく‥‥っていうパターンも掃いて捨てるほどある。
だけど、日本に生まれた日本人の女の子が、このパターンで妄想するには無理がある。だって、ここはヨーロッパとかじゃなくて日本だし、女の子はフランス人でもオーストリア人でもなくて日本人だし、時代も15世紀とかじゃなくて21世紀だからだ。女の子の外見が明らかに西洋人だったのならともかく、鏡に映る自分の顔はどう見たって東洋人なんだから、奇跡がいくつも連鎖したとしても「江戸城のお姫様として生まれた赤ちゃんが現代にタイムスリップしてきた」っていうシナリオがせいぜいで、「ヨーロッパのどこかの王国のお姫様だった」なんて妄想は現実味がなさすぎる。
さっきも書いたように、女の子は男の子よりも現実的だから、たとえ夢や妄想であっても、ある程度の現実味がないと全身を埋没させてウットリと楽しむことができない。
そこで、「シンデレラ」ってワケだ。「シンデレラ」の場合は、どこかの国のお姫様だったワケじゃなくて、貧乏な家の女の子が王子様に見初められるってストーリーなんだから、世界中の「一般家庭の子ども」である女の子すべてにチャンスがある。その上、東洋系の女性が好みの欧米人男性も多いから、日本に生まれた日本人の女の子にだって十分にチャンスがある。
どこかの国のお姫様だったっていうパターンは、「みにくいアヒルの子」とおんなじで、実際には白鳥じゃなきゃダメってことだ。つまりは、選ばれし者にしか通用しない稀なパターンってワケで、それこそ「一般家庭の子ども」なんかじゃ手も足も出ない。だけど、「シンデレラ」のパターンなら、アヒルだろうがスズメだろうがカラスだろうが可能性はある。1%でも可能性があれば、あとは妄想モードに突入するだけで、現実味を帯びた夢としてウットリと楽しむことができる。フリル満載のネグリジェをまとって天蓋つきベッドにでも寝てれば、もう完璧に無敵だろう。
‥‥そんなワケで、どこかの国のお姫様だったっていうパターンにしても、「シンデレラ」のパターンにしても、さらに言えば「みにくいアヒルの子」のパターンにしても、物語のラストで感動できるのは、スタート地点が「不幸」だからだ。最初からお姫様としてお城で何不自由なく暮らしてたり、最初から幸せな家庭で家族から大切に育てられてたり、最初から白鳥の子として白鳥のお母さんに育てられてたら、これらの物語は成り立たない。あくまでも、世の中の平均値よりも下の「不幸」な状態からスタートしてるからこそのハッピーエンドなのだ。だから、今の日本は、「大震災」と「原発事故」という未曾有の大災害が重なった上に、「安倍自民党独裁」という最悪の人害まで降りかかってきたけど、決して諦めずにこの「不幸」を乗り越え、国民の8割が望んでる「原発ゼロ」を成し遂げることが、日本の本当のハッピーエンド、子どもたちの夢を奪わないための未来へのハッピーエンドだと思う今日この頃なのだ。
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