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2013.04.04

手ぶらが招いた悲劇

男性の洋服と女性の洋服との機能的な面での大きな違いと言えば、それは「収納力」だ。「収納」なんて言うと、なんか「押入れ」みたいだけど、ようするに「ポケット」のことだ。

たとえば、会社勤めの人が着てる一般的なスーツの場合、男性のスーツなら、ズボンの左右と後ろにポケットがあって、上着にも左右にポケットがあり、左胸にもポケットがあり、左胸の内側にもポケットがある。だから、長財布と小銭入れとケータイと電子手帳とキーケースと名刺入れと筆記具とハンカチとポケットティッシュくらいなら楽勝で収納できる。つまり、その辺にチョコっと出かけるだけなら、手ぶらで出かけることができるってワケだ。

一方、女性のスーツは、スカートにはポケットのないもののほうが多いし、上着には一応、左右と左胸にポケットが付いてても、男性のスーツのポケットより遥かに浅くて収納力は低い。中には、一見ポケットに見えるけど、実は単なるデザインであって、ハンカチ1枚入れることもできない‥‥なんてのもある。そして、ふだん着てるワンピだったり、ブラウスとスカートだったりすると、ほとんどがポケットはゼロだ。

だけど、女性の場合は、男性よりも持ち歩くものが多い。化粧ポーチや歯磨きセットからトラベル用のソーイングセットに至るまで、とにかく持ち歩くものが多い。だから、女性は常にバッグが必要なワケだけど、ポケットがゼロの洋服の時だと、近所のコンビニに行くだけでもバッグが必要になる‥‥ってなワケで、繁華街なんかを歩いてる人たちを見てると分かると思うけど、手ぶらで歩いてる男性はいっぱいいても、手ぶらで歩いてる女性はほとんどいない。ほぼすべての女性は、大なり小なり必ず何らかのバッグを持って歩いてる今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、いつも何らかのバッグを持ち歩いてる女性としては、タマに手ぶらで歩くと、ものすごい解放感がある。だけど、ポケットが1つもない洋服を着てると、そういうワケにはいかない。お財布もケータイも自宅に置いて、何も持たずに近所をグルリとお散歩してくるだけだとしても、玄関には鍵を掛けるワケだから、ずっと鍵を持ってなくちゃなんない。デニムパンツでも穿いてればポケットに鍵を入れることができるけど、ポケットが1つもないワンピだったり、ブラウスとスカートだったりすると、ずっと鍵を手に持ってなきゃなんない。

こんな時、子どものころなら、女の子には「ポシェット」っていう必殺技があった。ネーミング的にも「ポケット」に似てるけど、ようするに、ポケットのない洋服を着てる時にポケットの代わりにするスグレモノで、細い紐で肩からナナメに掛けるから両手が自由になる。それこそポケットくらいの大きさしかないから、小銭入れとハンカチとティッシュを入れたら満タンになっちゃうけど、子どもが近所に遊びに行くなら十分だ。

だけど、サスガに、大人の女性がポシェットってのは、少なくともあたし的には「ナシ」だ。もちろん、ヴィトンやプラダやシャネルやセリーヌなんかの大人用に作られたオシャレなポシェットならステキだけど、それでも、ポシェットを肩からナナメに掛けて出かけるくらいなら、あたしは普通のバッグを持つ。そして、そうなると、鍵1つのためにバッグを出動させるのは無駄だから、お財布もケータイもハンカチもティッシュも化粧ポーチも‥‥ってことになっちゃって、いつもとおんなじことになっちゃう。

あとは、ウエストバッグって手もある。でも、あたしはウエストバッグも嫌いだ。なんか、深夜テレビの通販で売ってる「震動してお腹の贅肉を落とすやつ」みたいだからだ。たぶん、オシャレなデザインのものもあるんだろうけど、好きじゃないから調べる気にもならないし、買う気も起きない。第一、鍵1つのためにわざわざ好きでもないウエストバッグを買うなんてバカバカしすぎる。それなら、鍵に輪ゴムを通して手首にはめて出かける。これならタダだ。


‥‥そんなワケで、ポケットの付いてる洋服をあんまり持ってない上に、ポシェットやウエストバッグが嫌いなあたしにとって、今、あまりにも万能に大活躍してくれてるのが、こっちに来てから買ったオーバーオールだ。農作業のお手伝いや引っ越しなど、汚れる仕事が何かと多いので、通販のバーゲンで3000円弱で買ったんだけど、これが驚くほど無敵なのだ。

何しろ、左右のポケットと後ろの2つのポケットの他に、左右の足の外側にもカーゴパンツみたいなポケットが付いてて、これが深くて大きくて収納力バツグン、あたしの長くて大きいお財布も楽勝で入っちゃう。その上、胸当てのとこにも深いポケットが付いてるから、ぜんぶで7ポケット!正確には7ポケッツ!‥‥ってなワケで、このオーバーオールを着てると、近所のお散歩だけじゃなく、原チャリに乗ってスーパーに買い物に行く時も手ぶらで済む。

安物だけど、それなりにオシャレなデザインで、ダメージ加工でオーバーサイズだから、合わせるトップスによっては、自分で言うのもアレだけど、ケッコー可愛い。だから、近所のスーパーやコンビニだけじゃなくて、街まで行っても恥ずかしくないレベルだ。それに、「収納力」に次ぐ利点として、とにかく「着てて楽チン」なのだ。日課の縄跳びをしても、ニャンコ先生と遊んでも、庭に作った餌台に来る小鳥たちを眺めてても、ごろんと横になっても、とにかく楽チン。さらには、胸当てが付いてるから、エプロンをしなくてもお料理ができる。


‥‥そんなワケで、長い前フリが終わったとこで、いよいよ本題に入るけど、この便利なオーバーオールによって、今日、大変な事件が起こっちゃったのだ。今日、お昼ごはんを食べてたら、近所の農家の知り合いから電話があって、急に人手が必要になったから、できたら少しだけでも来てほしいとのこと。それで、あたしは、汚れてもいいこのオーバーオールに着替えて、右足のポケットらお財布を入れて、左足のポケットにケータイを入れて、後ろのポケットにハンカチを入れて、胸当てのポケットにタバコとライターを入れて、急いで原チャリで出発した。

用事は2時間ほどで済み、3時過ぎに帰って来たんだけど、予想通りにアチコチが泥で汚れちゃったから、ポケットからお財布やケータイを出して居間のちゃぶ台に置いてから、オーバーオールを洗濯機に入れた。洗濯機のスイッチを入れて部屋に戻ったら3時25分、そろそろ文化放送の「飛べ!サルバドール」が始まる時間だったから、あたしはPCを起動してradikoを付けた。「大竹まことのゴールデンラジオ」のラスト5分、「大竹の沁みる話」をやってた。

3時半になり「飛べ!サルバドール」が始まると、舞台でお休みしてて1週間ぶりに登場した大竹まことさんが乱入してきて、吉田照美さんと激しいバトルを繰り広げ、パートナーの室照美アナにまで毒舌攻撃を始めちゃったから、あたしは「今日は凄いな!」って思って、ラジオのボリュームを上げた。自分の部屋にいた母さんも居間に来たから、あたしはコーヒーを淹れて、母さんと一緒にラジオを聴いてた。

で、コーヒーを飲みながらラジオを聴いてて、タバコでも吸おうかと手を伸ばすと、その手が空振り。ちゃぶ台の左端に灰皿、その手前にタバコとライター、これが定位置なのに、そこには灰皿しかなかった。「あれ?」っと思ったのもトコノマ、次の瞬間、キッコゲリオン初号機は覚醒した!「うおおおおお~~~~!!オーバーオールの胸ポケットの中だああああ~~~~!!」


‥‥そんなワケで、スーパーウルトラハイパーダッシュで洗濯機のとこまで走り、ソッコーでスイッチを切ってフタを開けたあたしの眼下には、皆さんのご想像通りの光景が広がっていた。洗剤の泡が薄い茶色に変色して、その中に白くて小さなものがいくつか浮かんでた。タバコのフィルターだった。

とりあえずオーバーオールを引っぱり出すと、洗濯機の底には100円ライターとタバコの箱の外側の薄いセロファンだけが沈んでた。タバコの箱やタバコの葉はどこへ行っちゃったのかと思ったら、細かいゴミを集めるネットがパンパンに膨らんでて、その中に詰まってた。

あたしは、ずっとセブンスターを吸ってたんだけど、原発事故後、日本のタバコの葉からもお茶と同様に放射性セシウムが検出されるようになったから、今はアメリカンスピリットを吸ってる。アメリカンスピリットのオーガニックが基本で、無農薬で有機肥料で添加物ゼロのオーガニックが手に入らない時は、無農薬で添加物ゼロの黄色いパッケージのライトを吸ってる。

オーガニックは500円でボックス、ライトは460円でソフトなんだけど、今日はライトだった。つまり、箱がソフトだったワケだ。そしたら、約15分の洗濯機の回転によって、10本以上残ってたタバコはすべて消滅し、箱も消滅し、箱の外側の薄いセロファンとフィルターだけが残ったってワケた。


‥‥そんなワケで、あたしは、延長コードでお風呂やキッチンでもラジオを聴けるようにしたスピーカーから流れる「飛べ!サルバドール」を聴きながら、洗濯機の中を掃除した。フィルターをすべて拾い集め、ゴミを集めるネットをキレイにしてから水を入れて、まずはそのまましばらく回転させた。そしたら、細かいタバコの葉や溶けた紙が浮いて来たので、それを丹念に手桶で掬った。それから、オーバーオールをバタバタと振ってゴミをできるだけ落としてから、洗濯機に入れて洗濯し直した。文章で書くとこれだけのことだけど、あまりにも大変でグッタリするほど疲れちゃったので、タバコでも一服するか!‥‥なんて思った今日この頃なのだ(笑)


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