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2013.05.15

アンジーの思い

今朝、radikoで文化放送の「おはよう寺ちゃん活動中」を聴いてたら、ニュースのコーナーになり、寺ちゃんがニュース原稿を読み始めた。


「女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが、乳がんのリスクを高める遺伝子の変異が見つかったため、両方の乳房(ちぶさ)を切除する手術を受けたと14日付のニューヨークタイムズへの寄稿文で告白しました」


えええええ~~~!!アンジーが両方の乳房を切除!?それも「乳がんになったから」じゃなくて「予防のために」だって!?‥‥ってなワケで、かつては「世田谷のアンジェリーナ・ジョリー」を自称してたあたしはぶっ飛んだ!それで、すぐにネットに流れてる新聞社の記事を探して読んでみたら、こんなふうに書かれてた。


「米女優のアンジェリーナ・ジョリーさん(37)が、乳がんのリスクを高める遺伝子の変異が見つかったため予防措置として両乳房を切除する手術を受けたことを14日付ニューヨークタイムズへの寄稿文で告白した。」


やっぱホントなんだ!でも信じられない!‥‥って思いながら各紙の記事を順番に読んでたら、次の記事が見つかった。


「米女優アンジェリーナ・ジョリーさんは14日、米紙ニューヨークタイムズに寄せた論説で、遺伝性のがんを予防する措置として両乳腺切除手術を受けたことを明らかにした。」


あれ?この記事には「乳房」じゃなくて「乳腺」て書いてあるよ。結局、「乳房」と書いてる記事と「乳腺」と書いてる記事が半々くらいだったんだけど、「乳房」と「乳腺」じゃ話がぜんぜん違うから、あたしは、アンジー本人が「ニューヨークタイムズ」に寄稿した記事、「My Medical Choice(私の医療選択)」を読んでみた今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、たいていの疑問は、原典にあたれば解決する。今回のニュースの原典であるアンジーの寄稿文には、「乳房の中の乳腺を切除する手術を受けたこと」や「乳房を再建するための外科手術を受けて元通りになったこと」が書かれてたので、あたしはホッとした。で、寄稿文の内容だけど、いつものようにザックリと掻い摘んで説明するとアンジーの思いが正確に伝わらないと思ったので、ちょっと大変だったけど、全文を訳したので掲載する。


「私の医療選択」 アンジェリーナ・ジョリー

私の母は、約10年間、癌で闘病して、56歳で亡くなりました。私の最初の子ども、初孫を抱くまではがんばって生きてくれました。でも、私の他の子どもたちは、私の母を知る機会を失ってしまいました。私はよく「ママのママ」と言って、母のことを子どもたちに話します。そして、気がつくと私は、私たちから母を奪った病気について、子どもたちに説明しているのです。すると子どもたちは「ママの体にママのママと同じ病気が起こったらどうなるの?」と聞くのです。そのたびに私は「心配しないで、大丈夫よ」と答えていたのですが、真実を打ち明けると、私は「BRCA1」という遺伝子に欠陥があるのです。「BRCA1」という遺伝子の欠陥は、乳癌と卵巣癌の発症リスクをとても高くするのです。

女性の発症のリスクは、それぞれのケースによって異なりますが、私の場合は、担当医から「乳癌を発症する確率が87%、卵巣癌を発症する確率が50%」と説明を受けました。母からの遺伝による「BRCA1」の欠陥は、乳癌の原因になります。「BRCA1」に欠陥のある女性が乳癌を発症する確率は、平均で65%と言われています。

これが私の体に起こった真実なのだと知らされた時、私は、将来のことを考えて、癌の発症リスクをできる限り小さくしようと決心しました。そして、予防のために両方の乳房の乳腺を切除する手術を受けることを決心したのです。これは、私の場合、卵巣癌のリスクよりも乳癌のリスクのほうが高かったことと、乳腺を切除する手術はとても複雑だったため、まずは胸から行なおうと考えたからです。

4月27日、私は、乳腺の切除のための3ヶ月に及んだ医療プログラムを終えました。その間、私は、医療を行なっていることは秘密にして、仕事を続けてきました。しかし、私が自分の体験を公開することで、きっと世の中の女性たちの中には良い結果を得られる人もいるはずだと考え、私は、今、これを書いています。

人々は「癌」という言葉を恐れています。自分が「癌」だと診断されれば、誰もが深い絶望感というダメージに打ちのめされてしまいます。しかし、そうなる前に、今日、すぐにでも血液検査を行ない、「BRCA1」という遺伝子に欠陥があるかどうかを調べることは可能です。自分の乳癌と卵巣癌の発症リスクを知り、その結果によっては、自分の意思で行動することが可能なのです。

私の今回の医療プログラムでは、まず、2月2日から「乳首温存」と呼ばれているプロセスが始まりました。これは、乳首の後ろの乳管部の病気を取り除き、余分な血液が流れないようにするためのもので、痛みや傷をともないますが、乳首を温存できる可能性が高くなるのです。

そして、それから2週間後に、私は乳腺を切除する大手術を受けました。手術は8時間ほど掛かりました。もしも、あなたが私と同じ手術を受けたなら、目が覚めた時には胸から排液用のチューブが出ていて、まるでSF映画の中にいるような気分になるでしょう。しかし、数日後には、あなたは普通の生活に戻っているでしょう。

2月2日から始まった私の医療プログラムは、9週間後の「胸の再建」という外科手術で完了しました。ここ数年で、この手術は大きく進歩したため、結果的には美しいバストに仕上がりました。

私が世の中の女性たちに伝えたいことは、乳腺を切除するという決断は簡単にできることではないが、その結果には非常に満足している、ということです。手術を受けたことによって、私の乳癌の発症リスクは、87%から5%未満へと低下しました。これで私は、子どもたちに、「あなたたちは乳癌で私を失うことを恐れる必要がなくなったのよ」と言うことができます。

子どもたちが不安の種を見ずに済むようになったことで、私はとても安心することができました。子どもたちが私の胸を見ても、もう「乳癌でママを失う恐怖」ではなく、「小さな傷痕」しか目に入らないのです。「小さな傷痕」以外は、何も変わらない今まで通りの「ママ」なのです。そして、子どもたちは、私が彼らのことを心から愛していて、彼らのためならどんなことでもする、ということも知っています。私は、彼らの「ママ」として、そして「女性」として、私の「女性らしさ」をまったく損なわない選択をしたと思っています。

今回の医療プログラムを行なう上で、私が何よりも幸運だったのは、ブラット・ピットという愛に満ちたパートナーがいてくれたことです。ですから、これを読んでいる世の中の男性の皆さん、あなたの奥さんか恋人が私と同じような状況であれば、あなたの存在がとても重要だということを理解してほしいのです。

私が医療プログラムを受けている時、ブラットはいつも「ピンク・ロータス・ブレスト・センター(病院)」で私に付き添ってくれていました。私たちは、今回の私の医療選択が、私たちの家族にとって最善であり、さらに家族の結び付きを深めてくれるものだと信じていました。そして、本当にその通りになったのです。

私は、これを読んでいる女性たちに、「あなたには選択肢がある」ということを知ってほしいのです。特に、あなたが乳癌や卵巣癌の家系であれば、あなたの状況を改善するための情報と医療関係者を探し出して、自分のインフォームド・チョイスを行なってほしいと願っています。

私は、外科医の代わりに多くの素晴らしい総合医が、この医療プログラムに取り組んでいることを知っています。今回の私自身の経過については、近いうちに「ピンク・ロータス・ブレスト・センター」のウェブサイトにアップされると思います。私は、この情報が、世の中の女性たちの役に立つことを願っています。

WHO(世界保健機構)によると、世界では主に低所得の国と中所得の国を中心にして、毎年約45万8000人が乳癌で亡くなっているそうです。本来ならば、どんな国に生まれようとも、1人でも多くの女性が遺伝子の検査と予防のための治療を受けられるようにすることが最優先されるべきなのです。しかし、遺伝子の「BRCA1」と「BRCA2」の検査は、アメリカでも3000ドル以上も掛かるため、この高額な費用が多くの女性たちの障害となっているのが現状なのです。

世の中には、自分が乳癌や卵巣癌の高いリスクを持っていることを知らずに生活している女性がたくさんいます。そのために、私は、自分の体験を秘密にせず、こうして公開することに決めました。私は、「遺伝子の検査によって自分の発癌リスクを知ることができる」ということと、その結果、高いリスクがあると分かった場合には「頼りになる選択肢がある」ということを知ってほしいのです。

人生には様々な課題が訪れますが、私たちを恐がらせるべきでない相手が現われた時には、私たちは優位に立ち、その相手を抑え込んでしまう力を持っているのです。


‥‥そんなワケで、相変わらずのヘタクソな「きっこ訳」で申し訳ないけど、これが全文だ。アンジーの思いを伝えるために、できる限り言葉を選んだつもりだけど、だからってあたしの「創作」が入っちゃうのはマズイから、分かりやすさよりも直訳に近い感じにしてみた。とりあえずは、「アンジェリーナ・ジョリーが両方の乳房を切除した!」って思い込んでる人たちの誤解だけは解けたと思うけど、できれば、そんなゴシップ紙レベルのことじゃなくて、アンジーの思いが1人でも多くの人に伝わるための手助けになれば‥‥って思った今日この頃なのだ。


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