« 昭和は遠くなりにけり | トップページ | アベノミクスという裸の王様 »

2013.06.05

鎌倉幕府と円周率

2~3日前、「秋田県で1人がツツガムシ病で亡くなっていた」というニュースが流れた。性別や年齢など詳しいことは伏せられてたけど、近年はほとんど発症例のない珍しい病気だからニュースになったんだと思う。

 

で、10年くらい前まで、あたしは、この「ツツガムシ病」って言葉をニュースなどで目にするたびに、「つつがなく式も終わり」とか「つつがなくお過ごしでしょうか」とかの「つつがなく」って言葉の語源だと思ってた。昔はとても多い病気だったので、「ツツガムシに刺されることもなく無事に式も終わり」とか「ツツガムシに刺されることもなく無事にお過ごしでしょうか」っていう意味だと思ってた。何でかって言えば、中学生の時に担任の先生から、そう教わったからだ。

 

だから、高校生の時とか、社会人になってからも、この話を何人かのお友達に話したことがある。あたしからこの話を聞いたお友達はみんな、感心して「へえ~」なんて言ってたから、あたしはちょっぴりドヤ顔だったと思うし、この話を聞いたお友達は、他の場所で他のお友達に自慢気に話したかもしれない。

 

それなのに、ああそれなのに、それなのに‥‥って、今日はマクラから五七五の俳句調で嘆いちゃうけど、あたしが30歳を過ぎてから、この話が間違いだったってことが分かったのだ。ザックリと説明すると、まず初めに病気や災難を表わす「恙(つつが)」って言葉があった。それで、病気にもかからず災難にもあわない状態のことを「恙ない」って言うようになった。そして、変な虫に刺されて起こる、死に至る原因不明の病気が広まっていたので、この虫のことを「ツツガムシ」、この病気のことを「ツツガムシ病」と呼ぶようになった‥‥ってことらしい。

 

つまり、「つつがなく」って言葉と「ツツガムシ病」に深い関連があることは間違いないんだけど、「ツツガムシ」が先にあって「つつがなく」って言葉が生まれたワケじゃなくて、丸っきり逆だったワケだ。だから、ここ10年くらいのあたしは、誰かが「『つつがなくお過ごしでしょうか』の『つつがなく』というのは『ツツガムシに刺されることもなく』という意味なのよ」って得意顔で言った時に、「あたしも以前はそう信じ込んでたんだけど、実はカクカクシカジカで‥‥」って説明する役回りになってる今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?

 

 

‥‥そんなワケで、40年も生きてくると、こういうことっていろいろとある。学校で先生から教わったことだから、絶対に正しいことだと信じて生きてきたのに、10年も20年も経ってから「実は間違いだった」って分かるのだ。たとえば、「いい国つくろうキャバクラ幕府」っていうあたしのギャグの元になってる「いい国つくろう鎌倉幕府」とかだ。これなんて、先生が口頭で言っただけじゃなくて、教科書にもハッキリと書いてあったし、テストにも出た。そして、教わった通りに「1192(いいくに)年」て書けば正解で、他の数字を書いたら間違いにされてた。

 

それなのに、あたしが社会人になってずいぶん経ってから、鎌倉幕府ができたのは「1192年」じゃなくて「1185年」だってことに変更になっちゃった。だから、今の子どもたちは、「いい箱つくろう鎌倉幕府」って暗記させられてるそうだけど、これじゃあ語呂合わせとして苦しすぎる。それに、わずか「7年」の違いでも、歴史の年号のテストは1年違ってても不正解にされちゃうんだから、こんなことをあとから言われても困っちゃう。

 

たとえば、あたしが生まれた時はまだ「天動説」が信じられてたとして、あたしが通ってた学校でも「地球は停止していて空のほうが回っているのだ」なんて教えられてたとしたら、街角で「空ではなく私たちの住んでいる地球のほうが回っているのだ!」なんて演説してるおじさんがいたら、あたしも周りの人たちと一緒になって「バッカじゃないの?」なんて言ってゲラゲラ笑ってただろう。だけど、そんなあたしが大人になると、あの変なおじさんが言ってた「地動説」のほうが正しくて、あたしが学校で教わった「天動説」、世の中の大半の人たちが信じてた「天動説」は間違ってたと発表されたのだ。間違いは、それが分かった時点で素直に認めて訂正すべき‥‥ってことは分かるけど、ずっと信じてきたあたし的には、最初に教えた先生に対しても、世の中の大人たちに対しても、「おいおい!」って気持ちになっちゃう。

 

 

‥‥そんなワケで、つい、こないだも、「ベルギーと中国の合同調査グループが始祖鳥よりも古い鳥類の化石を発見した」というニュースがあった。「始祖鳥」ってのは、地球上に初めて誕生した鳥だからこそ「始祖鳥」って呼ばれてるワケで、あたしはもちろん、あたし以外の世界中のほとんどの人たちは、そう思って今まで生きてきたハズだ。それなのに、ああそれなのに、それなのに‥‥って、本日二度目の俳句調だけど、これほどの「今さら言われても感」はメッタに味わえないだろう。

 

そして、何よりも迷惑なのは「始祖鳥」本人だ。今までずっと自分が「始祖」だったのに、今日からは「二番目」になっちゃったのだ。レンホー議員なら「なぜ一番じゃなきゃいけないんですか?二番だっていいじゃないですか!」って口角泡を飛ばしそうだけど、本人にしてみたら大迷惑な話だ。だって、新しく発見された鳥類に「始祖鳥」の名前を譲り、自分は別の名前に変えなきゃならないからだ。

 

でも、新しく発見された鳥類を「始祖鳥」と呼び、今までの「始祖鳥」を別の名前で呼ぶことにしたら、今度はあたしたち人間のほうが混乱しちゃうことウケアイだ。これまでに発行されてる書籍や図鑑などの表記もすべて変更しなきゃならない。そんなこと、現実的には無理な話だ。だから、現実的に考えれば、今までの「始祖鳥」は「始祖鳥」のままにしといて、新しい鳥類に「始祖鳥を超える名前」を付けるしかない。

 

そこで、あたしが考えたのが、「新・始祖鳥」っていう名前だ。今までの「始祖鳥」は「始祖鳥」のままで、新しく発見されたホントの「始祖鳥」のことを「新・始祖鳥」と呼ぶことにする。こうすれば、すべてが丸く収まるだろう。ちなみに、これは、皆さんウスウスと感じてる通り、「加勢大周」と「新加勢大周」を参考にしたネーミングだ(笑)

 

 

‥‥そんなワケで、ここまでに書いてきた「鎌倉幕府」や「天動説と地動説」や「始祖鳥」は、どれも「あとから間違いだったと分かったこと」だから、教えた側にしてみれば完全に不可抗力だ。わざと嘘を教えたワケじゃなくて、あたしに教えた時点では、あたしに教えた内容こそが「真実」だと信じられてたワケだ。だから、ちょっと「おいおい!」っていうツッコミを入れたい気分はしてるけど、教えた側を責めるつもりなんて毛頭ない。

 

だけど、こうした「あとから間違いだったと分かったこと」とは違って、確信犯的なケースもある。それは、たとえば「円周率」だ。あたしが子どものころは、円周率は「3.14」と教わった。それも、実際には「3.1415‥‥」って、ずーーーーーーっと続いてくけど、そんなに暗記しても意味がないから、とりあえずザックリと「3.14」てことにしときましょう‥‥っていう説明もあった。

 

だから、算数のテストで円の円周の長さや円の面積を求める時には、円周率を「3.14」として掛け算をすれば正解だったけど、これはあくまでも「約」の正解であって、ホントの正解は「3.1415‥‥」っていう長い長い円周率を使わないと算出できないってこともちゃんと理解してた。あたしは、自分がこう教わったから言うワケじゃないけど、大人になって何の役にも立たない知識でも、一般常識の1つとして、このくらいは教えとくべきだと思ってる。

 

それなのに、あたしが大人になってから到来した「ゆとり教育」の世代では、この円周率が「3」になっちゃった。サスガにこれはフランク・ザッパすぎるだろう。だって、直径が1メートルの円の場合だと、円周率が「3.14」の場合と「3」の場合では、円周の長さは「14センチ」も違うのだ。「3.1415」と「3.14」なら、円周の長さは「1.5ミリ」しか違わないから、これなら許容できる。でも、「14センチ」も違ったら話にならない。

 

正確に言うと、円周率をすべて「3」にしたワケじゃなくて、文科省は「目的に応じて3にしろ」って指導したそうだけど、この「ゆとり教育」によって、子どもたちの学力が大幅に低下したことは間違いない。ベストセラーの『分数ができない大学生』によると、中間レベルの私立大学の大学生たちに小中学生レベルの計算問題をやらせてみたところ、25点満点で平均14点だったそうだ。高校生になってから習う難しい計算問題ならともかく、小学校で習う分数の足し算や小数点の割り算ができない大学生もたくさんいたそうだ。

 

 

‥‥そんなワケで、「ゆとり教育」は間違いだったと気づいた文科省は、週休2日制をやめて元に戻し、内容を3割も減らした教科書も元に戻し、円周率も「3.14」に戻したワケだけど、ここで問題になるのは、「ゆとり教育」で円周率を「3」だと教わってきた人たちだ。自分たちは円周率を「3」だと教わったのに、社会人になったトタンに「3.14」になっちゃった。これは、「鎌倉幕府」や「天動説と地動説」や「始祖鳥」のように、それまでは「3」だと思われてた円周率が、あとから「3.14」だと分かった‥‥ってことじゃない。最初から「3.14」だと分かった上で、手抜きで「3」にしてたワケだ。つまり、これは、不可抗力じゃなくて、教えた側に責任が生じるケースってワケだ。

 

とは言え、円周率を「3」だと教わって社会人になった人たちの大半は、別にこのことで何かデメリットをこうむってるのかと言えば、そんなこたーない。円周率を「3.14」と教わろうと「3」と教わろうと、成功する人は成功するだろうし、失敗する人は失敗する。努力した人は努力しなかった人よりも成功する可能性は高くなるけど、努力した人よりも努力しなかった人のほうが成功することだってある。それ以前に、人によって「成功」ってことの意味やビジョンがまったく違うんだから、こうした「他人との比較」は何の意味も持たない。

 

つまり、円周率を「3」としか認識してなくても、逆に100桁まで暗記してたとしても、こんなこと自分の人生にとっては何の意味も持たないってことになる。だけど、人生の根幹じゃなくて枝葉の部分なら、ちょっとした差が出る。円周率を100桁まで暗記してたら、マニアックな合コンでウケるかもしれないし、忘年会や新年会での余興にもなる。それに、長い数字の羅列を何度も頭の中で繰り返してると、たぶん脳みそが鍛えられて、たぶん記憶力の劣化を低減させることができるような気がする。

 

 

‥‥そんなワケで、今日は最後に、円周率を100桁まで暗記できる語呂合わせを紹介したいと思う。ちなみに、あたしは、コレで1週間ほどで暗記することができた。

 

 

3.14159265
産医師 異国に向こう

 

3589793238462
産後薬(やく)なく 産婦みやしろに

 

6433832795028
虫さんざん闇に鳴くころにや

 

841971693
弥生 急な色草

 

9937510
九九 見ないと

 

58209749445
小屋に置く 仲良く獅子子(ししこ)

 

92307816406286
国去れなば医務用務に病む

 

2089986280348
二親の苦 悔やむに やれ見よや

 

25342117067
不意の惨事に言いなれむな

 

 

これで100桁だ。最初の段の「65」を「向こう」と読ませてるのは、「5」を「こ」と読ませててリトル苦しいけど、最初のとこなのですぐに覚えられる。あとは、同じ「い」でも「1」の場所と、「5」を「いつつ」と読んで「い」にした場所があるので、そこを気をつけること。それから、「鳴くころ」が「7956」じゃなくて「7950」なので、頭の中では「鳴くこれ」って感じに暗唱すること。他には、「やれ見よや」とか「言いなれむな」とか日本語として苦しいとこがあるけど、毎日読んでるとすぐに覚えられる。コツとしては、最初からぜんぶ覚えようとしないで、1段ずつ覚えて、繰り返し紙に書いて行くこと。あたしみたいに記憶力の残念な人でも1週間ほどで覚えられたから、最近、物忘れが多くなってきて記憶力が心配な人は、脳みそを鍛えるためにも、ぜひチャレンジしてみてほしいと思う今日この頃なのだ。

 

 

★ 今日も最後まで読んでくれてありがとう!
★ よかったら応援のクリックをポチッとお願いしま~す♪
  ↓


|

« 昭和は遠くなりにけり | トップページ | アベノミクスという裸の王様 »