丑の日における「うなぎ」の代替案
昨日、7月22日は「土用の丑の日」だったけど、今年は8月3日も「土用の丑の日」なので、昨日が「一の丑」、8月3日が「二の丑」ってことになる。で、たいていの人は「うなぎを食べる日」って思ってそうな気がする「土用の丑の日」だけど、そもそも「土用」って何なの?‥‥ってワケで、前にもザックリと解説したことがあるけど、今年も分かりやすく解説してみる。
まず、根本的なこととして、この「土用」ってのは、別に夏だけのことじゃない。「春の土用」「夏の土用」「秋の土用」「冬の土用」ってふうに、土用は1年間に4回ある。「春の土用」は「立夏までの18日間」、「夏の土用」は「立秋までの18日間」、「秋の土用」は「立冬までの18日間」、「冬の土用」は「立春までの18日間」と決まってる。
これは、古代中国の「五行思想」っていう自然哲学から発生したもので、「五行思想」では、すべてのものは「木」「火」「土」「金」「水」の5つの「気」から作られてるって言われてる。それで、「五行思想」では、春に「木」の気、夏に「火」の気、秋に「金」の気、冬に「水」の気があるって言ってるんだけど、そうすると、「土」の気がどこにもなくなっちゃう。
それで、四季それぞれの最後の18日間を間借りして、「土」の気のぶんに振り分けたのが「土用」ってワケだ。だから、1年間の「土用」は、ぜんぶで、18日×4=72日ってワケで、他の季節は約3ヶ月ずつ、つまり、約90日ずつだから、90日-18日=72日ってワケで、「木」「火」「土」「金」「水」の5つに、約72日ずつ、うまいこと振り分けられてる。
だから、本来なら、四季それぞれの最後の18日間を総合したものが「土用」なんだけど、今では、夏の土用だけが有名になっちゃって、「土用」っていえば「夏の土用」を指すことになった。そして、この18日間に対して「子、丑、寅‥‥」っていう十二支は12個だから、その年の暦によって、「丑の日」が1回だけの年もあれば、今年みたく2回ある年もあるワケだ。今年は、8月7日が「立秋」なので、その前日の8月6日までが「夏の土用」ってことになる。
ちなみに、この「夏の土用」の18日間のことを「暑中」って呼ぶので、誰かに「暑中見舞い」を出すんだったら、この18日間のうちに、相手のとこに届くように出さないとダメなのだ。「夏の土用」が終わり、8月7日の「立秋」を迎えたら、たとえ40度以上の猛暑だったとしても、「暑中見舞い」じゃなくて、「残暑見舞い」に変えなきゃなんない今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、「土用」についての講釈も終わったとこで、いよいよお楽しみの「うなぎ」なんだけど、残念ながらアベノミクスによる日用品や食品の値上げラッシュで、あたしみたいな庶民には、とてもじゃないけど「うなぎ」なんて手が出ない。だけど、荷造りご無用‥‥じゃなくて、心配ご無用、「土用の丑の日」は、別に「うなぎ」を食べなきゃいけないワケじゃない。
今は「夏バテを防ぐために栄養価の高いうなぎを食べる日」なんてもっともらしいことが言われてるけど、もともとは「丑の日には災いが多い」と言われてて、その災いを回避するために「う」の付くものを食べて厄払いをする日だったのだ。だから、「うなぎ」が高くて手も足も出ない人でも、「うどん」とか「梅干し」とか、「う」の付く食べ物を食べれば、この「土用の丑の日」のイベント的にはオッケーってことになる。
ちなみに、あたしが思いついた「う」の付く食べ物を羅列してみると、牛、馬、うどん、うるち米、梅干し、瓜、うど、ウインナー、うずらの玉子、うこっけいの玉子、卯の花(おから)、うぐいす豆、うずら豆、ウニ、海ぶどう、ウミヘビ、ウルメイワシ、ウマヅラハギ、ウツボ、ウグイ、うるか(アユの塩辛)、温州みかん、薄皮まんじゅう、うなぎパイ、ういろう、ウエハース、うまい棒‥‥ってワケで、最後の「うまい棒」なら10円で入手できる(笑)
他にも、フランス料理とかなら「うさぎ」を食材にしたメニューもある。「うさぎ」なら「うなぎ」に似てるし、「うさぎ美味し~かの山~♪」(笑)って歌もあるくらいだから、うさぎを食べることに抵抗がない人はチャレンジしてみるといいかもしれない。ただし、うさぎ料理を出すようなフレンチの専門店なんかに行ったら、絶対に「うなぎ」よりも高くつくと思うけど。
‥‥そんなワケで、厄払いのために「土用の丑の日」に食べるものは、「う」の付くものだけじゃない。「う」が付かなくても、「黒いもの」でもオッケーだ。これは、天の四方の方角を司る霊獣の中で、丑の方角である「北」を護ってる玄武(げんぶ)の色が「黒」だからだ。あたしの大好きなアニメ『機動新撰組 萌えよ剣』で、沖田薫ちゃんが呼び出す4人の式神、青竜(せいりゅう)、朱雀(すざく)、白虎(びゃっこ)、玄武は、この中国の神話の霊獣から名づけられたんだけど、これらにはそれぞれに護ってる方角があって、「東の青竜」「南の朱雀」「西の白虎」「北の玄武」と呼ばれてる。
で、青竜は「青い竜」、朱雀は「朱色の鳥」、白虎は「白い虎」ってことは簡単に分かると思うけど、玄武だけはリトル分かりにくいと思う。玄武ってのは、足の長い亀に大蛇が巻きついたみたいな霊獣で、色は「黒」、「玄人(くろうと)」の「玄」ってワケだ。だから、「土用の丑の日」には、丑の方角を護ってる玄武の色である「黒いもの」を食べれば、「う」が付くものを食べたのとおんなじ効力があると言われてる。
そうは言っても、パッと思いつくのは、海苔、黒ゴマ、黒豆、黒米、ひじき、イカスミを使った料理くらいで、あとは、粒餡やコーヒーゼリーなど、正確には「黒」とは言えないものが多い。それでも、海苔や黒ゴマは日本人の食生活に密着したものなので、わざわざ買いに行かなくても、たいていの家庭には常備してあるだろう。だから、たとえば、梅干しのおにぎりを作って焼き海苔で包めば、「う」の付くものと「黒いもの」をダブルで食べたことになり、厄払い効果は満点だ。
‥‥そんなワケで、あたしの場合は、「黒いもの」は食べなかったけど、「う」の付くものでマトメてみた。まず、「うどん」を茹でて冷水で洗ってよく冷やして、甘辛に煮たアブラゲを細く切って乗せた冷やしきつねうどんに、「瓜」の一種のキュウリの千切りと「梅干し」をトッピングした。昨日は暑かったから、冷やしきつねうどんはとっても美味しくて、母さんも喜んでくれた。「う」の付くものが3連発だから、「うなぎ」よりも遥かに厄払い効果があるし、梅干しとの相性もバッチリで「夏バテ」にも効果があるし、2人前で300円ほどの予算なので「うなぎ」とは比べ物にならないくらい安上がりだ。皆さんも、8月3日の「二の丑」には、ぜひお試しあれ~な感じの今日この頃なのだ♪
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