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2014.01.13

新成人の皆さんへ

今日、1月13日は「成人の日」なんだけど、あたしが物心ついた時には1月15日が「成人の日」だったし、あたしが成人になった時も1月15日が「成人の日」だったし、あたしが社会人になって「成人の日」のヘアメークを担当するようになった時も1月15日が「成人の日」だったから、この、去年は1月14日だったのに今年は1月13日になったりする落ち着きのない「成人の日」にはとっても違和感がある。

 

ま、これは「成人の日」に限ったことじゃなくて、「体育の日」なんかも同じだ。子どものころから、ずっと10月10日が「体育の日」だったのに、今はビミョ~に変化するようになったから、違和感が全開だ‥‥って、「体育の日」とかのことは前にも書いたから割愛するけど、そもそも、何で最初に「成人の日」を制定する時に1月15日にしたのかって言うと、この日が「小正月」だからだ。奈良時代以降、男子が成人になったことを示す「元服(げんぷく)の儀」が行なわれたのが「小正月」なので、それに倣ったワケだ。

 

ちなみに、「元服」というのは、「元」が「頭」を意味し、「服」が「着用」を意味するので、「頭に着用する」、つまり、「冠をかぶる」という意味になる。昔の男子が成人になったことを示すために、初めて冠をかぶる儀式、それが「元服の儀」だった。だから、もともとの「成人の日」の1月15日という日にちには大きな意味があるワケで、本来は変更すべきじゃない。だけど、日本の歴史や伝統を知らないバカな政治家が「ハッピーマンデー制度」とかで勝手に変更しちゃったので、2000年からは「1月の第2月曜日」だなんていう、まるで「母の日」や「父の日」みたいなアバウトな祝日になっちゃった今日この頃、122万人の新成人の皆さん、とにかくおめでとうございます♪

 

 

‥‥そんなワケで、「成人の日」が1月15日から「1月の第2月曜日」に変更になったことで、もうひとつ変更になったことがある。「成人の日」が1月15日だった時は、前年の「成人の日」の翌日から今年の「成人の日」の当日までに20歳のお誕生日を迎えた人が「新成人」としてお祝いされていた。つまり、100人が100人とも、1000人が1000人とも、全員が20歳ってワケで、19歳の人や21歳の人は1人も混じってなかった。

 

だけど、「成人の日」が「1月の第2月曜日」に変更になったため、1月15日の付近がお誕生日の人は困ることになった。たとえば、1月14日がお誕生日の人は、その年の「成人の日」が14日以降なら20歳になってるからいいんだけど、その年の「成人の日」が13日だったりすると、当日はまだ19歳だから1年待たなきゃならなくなる。そして、1年待った翌年の「成人の日」が14日以降だったら、今度は「成人の日」の当日には21歳になっちゃってる。去年の「成人の日」には19歳だったのに、今年の「成人の日」には21歳だなんて、これじゃあどっちに転んでも20歳でお祝いすることができない。

 

で、苦肉の策で考え出されたのが、前年の4月1日から今年の3月31日までにお誕生日を迎えて20歳になる人をその年の「新成人」とする「学齢制」だ。この方式なら困る人は出なくなるけど、その年の「成人の日」の翌日から3月31日までにお誕生日を迎える人は19歳で「成人の日」をお祝いすることになっちゃう。つまり、式のあとにお友達とお酒を飲みに行っても、自分だけはウーロン茶を飲まなきゃならないワケだ‥‥って言っても、普通は18歳ころから飲んでるだろうけど(笑)

 

ま、お酒はともかくとして、気分的な問題として、まだお誕生日を迎えてなくて20歳になってないのに、成人式に出席したり、お祝いを言われたりするのってどうなんだろう?あたしは11月の下旬に20歳になり、年が明けた1月15日に「成人の日」を迎えたから、お誕生日と「成人の日」が近かったこともあって、「ああ、大人の仲間入りをしたんだなあ」っていう実感が強かった。でも、もしもお誕生日の前に19歳で「成人の日」を迎えてたら、こんな実感は得られなかったと思う。

 

 

‥‥そんなワケで、日本の場合は20歳が成人だけど、20歳はキリもいいし、20歳には「はたち」という特別な呼び名もあるから、20歳が成人だということに違和感はない。だけど、世界の国々を見てみると、特に先進国では、18歳を成人としてる国が圧倒的に多い。18歳を成人としてる国をアイウエオ順に挙げていくと、アイスランド、アイルランド、イギリス、イタリア、オーストラリア、オーストリア、オランダ、ギリシャ、スイス、スウェーデン、スペイン、中国、チリ、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、フィンランド、ブラジル、フランス、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、香港、メキシコ、ロシアなどを始め、世界の160カ国以上が18歳を成人としてる。

 

また、アメリカやカナダの場合は、州によって違ってる。アメリカは50州のうち45州は18歳なんだけど、アラバマ州とネブラスカ州は19歳、コロラド州とミネソタ州とミシシッピー州は21歳だ。カナダは13州のうち6州が18歳で、その他の州は19歳だ。アメリカもカナダもすべての州が18歳ってワケじゃないけど、全体的に見れば日本よりは成人年齢が低いことが分かる。

 

一方、日本と同じに20歳を成人にしてるのは、タイ、台湾、チュニジア、ニュージーランド、パラグアイ、モロッコの6カ国だけ。サミットの参加国の中だと、20歳を成人にしてるのは日本だけだし、国連が採択した「子どもの権利条約」でも子どもの定義を「18歳未満」としてる。つまり、国連が「18歳以上は大人」だと定義してるワケだ。

 

これらの事実を知れば、日本では当たり前だと思われてる「20歳で成人」という考え方も、世界的に見ると激しくマイノリティーだったということが分かると思う。じゃあ、日本も世界の標準に合わせて成人年齢を18歳に下げたほうがいいの?‥‥ってことになりそうだけど、これにはいろんな問題点がある。

 

あたしは、18歳や19歳の男が強盗殺人や強姦殺人などの凶悪犯罪を犯しても、未成年ということで「少年法」によって守られて、わずか数年だけ鑑別所に行って済まされるような今の法律には大反対だから、日本も成人年齢を18歳に引き下げたほうがいいと思ってる。それに日本では、男性は18歳、女性は16歳になったら結婚できるのに、今のままだと「結婚して家庭を持って社会人としてちゃんと働いているのに、年齢が18歳だから選挙権がなく親の管理下に置かれてしまう」という、矛盾とまでは言わないけど、ちょっと納得できない状況が起こっちゃう。

 

結婚してなくたって、中学や高校を卒業して社会人として働いてる人たちは、未成年でもちゃんと納税してる。だけど、ちゃんと納税してるのに、未成年だから選挙権がない。納税という社会人としての義務は果たしてるのに、選挙権という社会人としての権利は与えられない。これって、やっぱりおかしいと思う。たとえば、アメリカの場合なら、さっき書いたように州によって成人年齢が19歳や21歳のとこもあるけど、選挙権は全州一律に18歳だ。さらに言えば、世界192カ国のうち約170カ国の選挙年齢が18歳だ。

 

 

‥‥そんなワケで、成人年齢は20歳のままで、選挙年齢だけを18歳に引き下げるって方式も考えられるワケで、実際、日本国憲法を改悪して日本を「戦争のできる国」にしようと目論んでる安倍政権も、憲法改正のための国民投票の年齢を18歳に引き下げようとしてる。これは、若い層に安倍信者のネットウヨクが多いからという単純な理由だけじゃなくて、ゆくゆくは成人年齢を18歳に引き下げようという狙いがあるのかもしれない。

 

欧米の多くの国は、かつては成人年齢が21歳だった。それが、ある時期に集中して18歳に引き下げられたのだ。アメリカでは、カリフォルニア州とミシガン州が1972年に、ニューヨーク州が1974年に、コロンビア州が1976年に、それぞれ21歳だった成人年齢を18歳に引き下げた。イギリスは1969年に、オーストラリアは1970年に、フランスやドイツやスウェーデンは1974年に、イタリアは1975年に、それぞれ21歳から18歳に引き下げられた。

 

何でだと思う?これはベトナム戦争が激化したからだ。アメリカの場合は、当時は21歳が成人だったのに、未成年である18歳以上の男子をすべて徴兵して戦地へ送り込んでいたため、状況に法律を合わせるような形で成人年齢を引き下げた。スウェーデンも、当時は21歳が成人だったのに、18歳で徴兵が義務づけられてたから、徴兵年齢に合せて成人年齢を引き下げた。

 

イギリスは、ベトナムから離れた島国なのでベトナム戦争には直接は参加しなかったけど、イギリス連邦のオーストラリア軍が代わりに参加した。オーストラリアは1965年からベトナム戦争に参加してたけど、当時は21歳が成人だったのに18歳で徴兵された多くの未成年者が戦地へ送り込まれて死んで行ったため、やっぱり他の国と同じく、徴兵年齢に合せて成人年齢を引き下げた。

 

もちろん、徴兵だけが成人年齢を引き下げた理由じゃないとは思うけど、多くの国の引き下げ時期がベトナム戦争の時期に集中してることは事実だし、複数の国の18歳以上の多くの若者が徴兵されて戦地へ送られて、その何割かが死んでいったことも事実だ。だから、こうした歴史的事実を踏まえると、さっきは「日本も成人年齢を18歳に引き下げたほうがいいと思ってる」って書いたけど、ちょっと雲行きが怪しくなってきた。だって、アメリカの子分になって世界各地で戦争しようとしてる安倍政権が「成人年齢の引き下げ」なんて言い出したら、誰がどう見たって、その後ろには「徴兵制」が控えてるに決まってるからだ。

 

 

‥‥そんなワケで、18歳以上の若者を徴兵して戦地へ送り、そのためにアトヅケで成人年齢を引き下げた欧米の国々って酷いと思った人もいるかもしれないけど、かつての日本は15歳や16歳の少年を戦争に駆り出してたワケだから、日本よりは欧米のほうがマシだったワケだ。そして、どうして日本が今日まで成人年齢を引き下げなかったのかと言えば、それは、二度と戦争をしないと誓った「平和憲法」があったからだ。戦争をしないのだから徴兵も必要ない。だから成人年齢を引き下げる必要もない‥‥ってワケで、もしも「平和憲法」がなかったら、自民党政権は何年も前に成人年齢を引き下げて、18歳からの徴兵を義務づけ、アメリカの子分として世界各地での戦争ビジネスに利用してたハズだ。だから、新成人の皆さん、将来、結婚して子どもが生まれ、その子どもが大きくなった時に、自分の子どもを国の戦争ビジネスの捨て駒として失いたくないのなら、選挙には必ず投票にいき、自民党と自民党に準ずる党以外に大切な一票を投じてほしいと思う今日この頃なのだ。

 

 

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