わらしべ長者的馬券作戦
日本には日本ならではの昔話や民話がたくさんあって、日本で生まれて育った人なら、誰でもみんな、いくつかは知ってると思う。たとえば、「桃太郎」や「金太郎」や「浦島太郎」、「花咲か爺さん」や「こぶとり爺さん」、「舌切り雀」や「さるかに合戦」、「一寸法師」や「かぐや姫」、「打ち出の小づち」や「ぶんぶく茶釜」、「かちかち山」や「おむすびころりん」など、他にもたくさんのお話がある。ここに挙げたお話の題名は誰でも知ってると思うし、詳しい内容までは覚えてなくても、ザックリとした内容くらいは覚えてると思う。
そして、これらの昔話は、「鬼などの悪者を退治に行くお話」、「動物が主人公のお話」、「嘘つきや泥棒などが出てくるお話」など、いくつかのパターンに分けられるんだけど、その中に、「鶴の恩返し」とか「笠地蔵」とかに代表される「恩返しのお話」がある。「鶴の恩返し」では、ワナに掛かって苦しんでる鶴を見つけたおじいさんが、その鶴を助けてあげると、その鶴が若い女性の姿になっておじいさんの家にやって来て、自分の羽を抜いて美しい織物を織り、貧乏だったおじいさんとおばあさんは、その織物を売って生活が楽になる。「笠地蔵」では、歳の暮れに、おじいさんが町に売りに行ったのに売れなかった笠を、帰り道、雪が積もっていたお地蔵さんたちに被せてあげたら、そのお地蔵さんたちが、お餅など、お正月に必要なものをたくさん届けてくれた‥‥っていうお話だ。
この「恩返しのお話」の場合、必ず決まってるルール的なことが2つある。1つは「主人公が貧しい」ということ。主人公が最初からお金持ちだったら、このお話は成り立たなくなっちゃうからだ。そして、もう1つは「主人公がしてあげたことよりも、お礼のほうが大きい」ということ。ワナから鶴を助けてあげただけで、高価な織物を何枚も織ってもらえる。売れ残りの笠をいくつかあげただけで、お餅などのご馳走をたくさんもらえる。どちらも、お礼のほうが遥かに大きい。
ようするに、たとえ貧しくても、正直に真面目に生き、困っている人などを見かけたら親切にしてあげるやさしい心を持っていれば、いつかそれが何倍にもなって返って来ますよ~っていうお話なワケだけど、ここでのポイントは、お礼を目当てにした親切だとダメってことだ。見返りなど何も期待していない「無欲の親切」だからこそ「恩返し」の対象になるワケで、最初から欲にかられて行動を起こすと、「花咲か爺さん」の隣りに住んでる欲の深い爺さんのようなことになっちゃう今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、これらの「恩返しのお話」は、「自分がどんなに困っていても、他に困っている人を見かけたら親切にしてあげましょう」ということを教えてくれてるワケだけど、ホントに自分が困ってる時に、アカの他人に親切にしてあげられる人なんて、実際にはメッタにいない‥‥ってなワケで、働けど働けど我が暮らし楽にならざり、じっと手を見る。マメだらけの自分の手を見て、男は深く溜息をついた。来る日も来る日も朝から晩まで、1日も休まずに畑を耕して働いているのに、男の暮らしは少しも楽にならない。やっと収穫したお米は、1粒残らず年貢に取られてしまい、自分のために作っていたアワやヒエも底をついてしまった。
多くの庶民が大雪の被害で苦しんでいる時でも、自分たちだけは昼間から高級料亭で豪華な天ぷらを食べてドンチャン騒ぎをしているバカ殿は、庶民に重税を課して自分たちだけがいい思いをする「アベノミクス」という経済政策を強行していた。物価の高騰に加えて年貢まで引き上げられたのに、男の収入はスズメの涙のまま。もう3日も何も食べていない男は、空腹でフラフラになりながら、最後の手段の「神頼み」をした。
「神様、このままでは私は死んでしまいます!どうか私を助けてください!」
すると、男の目の前に、全身が金色の光に包まれた観音様が現われて、微笑みながら、こう言った。
「あなたは、とても真面目で正直な人ですね。これからすぐに家を出て、最初に手にしたものを持ったまま、西へ向かって真っすぐに歩いて行きなさい。そうすれば、あなたはきっと幸せになれるはずです」
「あ、ありがとうございます!」
男は、すぐに家を飛び出て、西へ向かおうとした。しかし、あまりにも慌てていたため、戸を開けて外に飛び出たとたんに、つまづいて転んでしまった。男は、戸の脇に積んでおいたワラの山の中に倒れたので、幸いにもケガはなかった。むっくりと起き上った男は、自分が1本のワラを掴んでいることに気づいた。
「観音様の言っていた『最初に手にしたもの』って、これのことかな?」
そして、男は、その1本のワラを持ったまま、西へと歩き出した‥‥ってなワケで、賢明なる「きっこのブログ」の読者諸兄はすでにお気づきのように、これは「わらしべ長者」だ。もうネタバラシをしちゃったので、あとは簡単にポイントだけ書いてくけど、男がしばらく進むと、1匹のアブがブンブンとまとわりついて来た。男はそのアブを捕まえてワラを結びつけ、ワラの端を持って先へ進んだ。
町まで来ると、お母さんの背中で大泣きしていた赤ちゃんが、そのアブを見て泣きやみ、ケラケラと笑い出した。お母さんは、赤ちゃんをあやすために、そのワラに結んだアブが欲しいと言う。男がワラを渡すと、お母さんはお礼にミカンをくれた。
男は町を抜け、西へ西へと進んだ。しばらく進むと、道端にしゃがみ込んでいる娘さんがいた。どうしたのかと尋ねると、喉が渇いて動けなくなったと言うので、男は持っていたミカンをあげた。娘をミカンを食べて元気になり、お礼にきれいな絹の反物をくれた。これは、「娘さん」の他にも「おばあさん」だったり「商人」だったり、いろんなパターンがあるんだけど、「喉が渇いてる人にミカンをあげて、お礼に絹の反物をもらった」って部分はおんなじだ。
で、次に男は、馬が弱ってしまって難儀しているお侍さんと出会う。お侍さんは、この馬とその絹の反物を交換してくれと言い、男が応じると、絹の反物を持ってどこかへ行ってしまう。男は弱った馬に水を飲ませてやり、一晩、付き添っていると、翌朝には馬は元気になる。そして、男は馬に乗って先へ進んだ。
男が城下町までやって来ると、1人の長者さんが男の馬をたいそう気に入り、男を自分の屋敷に招いた。すると、男にお茶を持って来た娘さんが、あの、喉が渇いて道端にしゃがみ込んでいた娘さんで、改めてミカンのお礼を言われる。男の親切に感動した長者さんは、男に自分の娘との縁談を持ち掛け、男はこの大きな屋敷で幸せに暮らすことになりましたとさ。めでたし、めでたし‥‥ってのが1つのパターン。
喉が渇いて道端にしゃがみ込んでたのが「商人」だった場合は、長者さんが「私は急ぎの用事があるので、どうしてもその馬を譲ってほしい。その代わり、私が3年間、この屋敷に戻らなければ、この屋敷をあなたに差し上げよう」と言って、男の馬に乗ってどこかへ行ってしまう。そして、3年経っても戻って来なかったので、男はこの大きな屋敷で幸せに暮らすことになりましたとさ。めでたし、めでたし‥‥ってのが別のパターン。
他にも、最初にワラを手にする過程が違ってたり、ミカンが複数だったり、弱った馬とお侍さんの他に家来がいたり、いろんなパターンがあるんだけど、どのパターンの「わらしべ長者」にも共通してるのが、「ワラを結んだアブ」→「ミカン」→「反物」→「馬」→「屋敷」という、男が「お礼」としてゲットしたものの流れだ。ただ、この「わらしべ長者」の場合は、途中から「お礼」というよりも「物々交換」の様相を呈して来る。
「鶴の恩返し」で、おじいさんがワナに掛かった鶴を助けてあげたのも、「笠地蔵」で、おじいさんが雪の積もったお地蔵さんに笠を被せてあげたのも、完全に「親切心」からの行動であり、何らかの対価やお礼を期待したワケじゃない。だけど、この「わらしべ長者」の場合は、最初のころの「ワラを結んだアブ」や「ミカン」のあたりは、まだ「困ってる人を助けるため」という前提があったけど、「反物」と「馬」の交換からは、人助け的な要素よりも物々交換的な要素のほうが大きくなって来る。そして、ラストの「屋敷」を手に入れる段に至っては、「最後に大きな屋敷を手に入れて幸せになる」という結論ありきで、その結論に到達させるための無理やりな展開と言ってもおかしくない。
‥‥そんなワケで、「鶴の恩返し」や「笠地蔵」などの「恩返しのお話」からは、あたしたちは「自分がどんなに困っていても、他に困っている人を見かけたら親切にしてあげましょう」という道徳的なこと、倫理的なことを学ぶワケだけど、この「わらしべ長者」から学ぶべきことは、ちょっと違ってくる。それは、「少ない元手をいかにして大きく増やすか」という資産運用術であり、「風が吹けば桶屋が儲かる」的な処世術、自分が苦労せずに右のものを左に動かしただけで利益を得て資産を増やして行く世渡りの方法だ。
だけど、もしもあたしが「ワラを結んだアブ」を持って歩いてたとしても、そんなに都合よく泣いてる赤ちゃんをおぶったお母さんに出会うワケはないし、それ以前に、あたしは飛んでるアブを捕まえてワラを結ぶなんていうワイルドなことは絶対にできない。だから、あたしは、この「わらしべ長者」の教えを「競馬」で実践してみたいと思う。
まず、最初の1本のワラに該当する「100円」を用意して、この100円で、日曜日のJRAの1Rの1番人気の複勝を買う。ここでのポイントは、3ヶ所の開催地の1Rの中で、単勝オッズの高い1番人気を選ぶことだ。単勝オッズが1倍台から2倍台だと、複勝は的中しても2倍以下なので、こういう馬は買わない。単勝オッズが3倍以上の1番人気を狙う。3ヶ所の開催地の1番人気が3頭ともダントツの人気だったら、1Rは買わずに2Rを狙う。
これで、うまいこと的中すれば、最初の100円は200円以上になる。つまり、「ワラ」が「ミカン」になったってワケだ。そして、お次は、この200円で、ダントツの1番人気のいるレースで、2番人気と3番人気の馬連とワイドを100円ずつ買う。早い時間の未勝利戦で、1番人気がコケることはよくあるので、うまいこと2番人気と3番人気がワンツーを決めてくれれば、馬連もワイドも両方とも的中して数千円になるし、押さえのワイドだけの的中でも1000円前後になるから、次へと繋げることができる。
そして、お次は、フタを開けるまで分からない新馬戦はパスして、中盤の500万円条件のレースの中から、牝馬戦など、プラスアルファの条件が付いたレースを選ぶ。条件が多いほど、狙いが絞りやすくなるからだ。そして、そうしたレースの中から、単勝オッズが1倍台のダントツの1番人気がいるレースを選び、2番人気から6番人気までの5頭から1番人気への馬単を200円ずつ買う。
毎週の全レースの結果を見れば分かるけど、競馬で1番人気が1着になる確率は3割以下なので、どんなに人気のある馬でも、1着にならない確率のほうが高い。だけど、単勝オッズが1倍台の馬なら、1着になれなくても2着に入る可能性が高い。そこで、1番人気を2着に固定した馬単で狙うってワケだ。これなら、2番人気が1着でも1000円以上になるから、200円の馬券は3000円近くになる。もしも5番人気や6番人気が1着になれば、オッズにもよるけど万馬券になるケースもある。そうなれば、200円の馬券が2万円以上になる。これは、もはや、「ミカン」が「反物」に化けたような話だろう。
そして、予算が2万円以上になったら、ここからは普通の馬券は買わない。普通の馬券じゃ、「わらしべ長者」の「屋敷」に該当するほどの配当金をゲットすることは不可能だからだ。で、あたしが何で最初に「日曜日のJRA」って限定したのかって言えば、それは主要5レースの1着を予想する「WIN5」があるからだ。「WIN5」なら、100円の馬券が最高で2億円になるし、6月からは上限が引き上げられて6億円になる。これなら、十分に「屋敷」と呼べるだろう。
で、その日の「WIN5」の5レースの単勝オッズを見て、最初のレースから最後のレースまで、3頭ずつ選んで行くんだけど、ここでのポイントは、「1番人気は絶対に選ばない」ということだ。5レースのうち1レースくらいなら1番人気が来てもいいけど、2レースも3レースも1番人気が来ちゃったら、的中したとこで「屋敷」にはならない。だから、ここでは「勝ちそうな馬」を選ぶんじゃなくて、「的中したらものすごい配当になる馬」を選ぶってワケだ。
麻雀には、1・4・7の「イースーチー」、2・5・8の「リャンウーパー」、3・6・9の「サブローキュー」の3つの「筋」があるけど、たとえば、この中から「サブローキュー」の「筋」を選ぶ。そして、「WIN5」の5レースすべて、3番人気、6番人気、9番人気の馬を選んで買う。こうすると、「3×3×3×3×3=243」てワケで、2万4300円で243通りの組み合せが買える。もしも的中した場合、最低の配当は5レースとも3番人気が来た場合で、これは大した配当にはならない。でも、5レースとも9番人気が来れば、2億円は無理でも数千万円になる可能性もある。
もちろん、これは一例なので、もっと上を狙って、9番人気、11番人気、13番人気の3頭買いで2億円を狙ってもいいし、予算が2万円以下なら、7番人気と11番人気の2頭狙いの「セブンイレブン馬券」とかにすれば、3200円で済む。また、人気の順位で選ぶんじゃなくて、馬番で選ぶって方法もある‥‥ってなワケで、これが、あたしが「わらしべ長者」から思いついた作戦だ。「そんなの当たるワケないじゃん!」て思った人も多いだろうけど、前々回の4月6日の「WIN5」は、1レース目が7番人気の「7番の馬」、2レース目も7番人気の「7番の馬」、3レース目が8番人気の「7番の馬」、4レース目が2番人気の「7番の馬」、5レース目が4番人気の「2番の馬」だった。
つまり、1レースから4レースまで、ずっと「7番の馬」が勝ったのだ。それも、4レース目の2番人気以外は、3頭とも勝ちそうもない人気の馬ばかり。普通に予想して買ってたら、こんなの当たるワケがない。だけど、もしもあたしの考えた方式で、馬番で買ってたとしたら‥‥。たとえば、この日の朝にテレビか何かで「ふなっしー」を見たとして、それにちなんで2番と7番と4番の3頭を選んだ「ふなっしー馬券」を買ってたとしたら、ミゴトに的中してたのだ。ちなみに、この日の的中は全国で20票だけで、配当は2700万円だった。2万4300円が2700万円になれば、これは「馬」が「屋敷」になったようなもんだろう。
‥‥そんなワケで、自分のお財布からお金を出して、2万4300円もの馬券を買うのは勇気がいるし、自分が一生懸命に働いて得たお金だと思うと、なかなか冒険はできない。もしも、ホントに「WIN5」で1レース3頭ずつ、合計2万4300円ぶんもの馬券を買うとしたら、絶対に押さえとして1番人気を入れちゃうだろう。だけど、これは「わらしべ長者」なのだ。最終的に買うのは2万4300円ぶんの馬券だけど、わずか数時間前には100円だったのだ。ハズレて全額が水泡に帰したとしても、所詮は1本のワラを失ったことにしかならない。だから、今後、さらに「アベノミクス」の被害が拡大して日々の生活が苦しくなり、ホントにニッチもサッチもどうにもブルドッグ状態になったら、あたしは、ワラにもすがる思いで、この「わらしべ長者的馬券作戦」を試してみようと思ってる今日この頃なのだ。
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