ハビタブルゾーンにゴルディロックス惑星/前編
NASAは、4月18日付で「太陽系外のハビタブルゾーンにゴルディロックス惑星が見つかった」っていう重大発表をした。専門家と宇宙マニア以外の人には聞き慣れない単語がメジロマックイーンなので解説すると、「ハビタブルゾーン」てのは「生命が誕生するのに適した環境のゾーン」て意味で、「ゴルディロックス惑星」ってのは「その中でも大きさや条件などが地球に非常に近い惑星」って意味だ。つまり、ザックリと言っちゃえば、「生命が存在してるかも知れない惑星が見つかった」ってワケだ。
今の人類の科学力では、有人宇宙船で他の惑星まで行って、実際に宇宙飛行士が惑星に降りて、その惑星に生物がいるかどうか調査することはできない。地球のお隣りの火星でさえも、無人探査機で様子を見に行くのが精いっぱいだ。ロシアはソ連時代の1960年から約20機、アメリカも1960年代から20機以上、他の国も入れると、人類はこれまでに50機近くの火星探査機を打ち上げてる。だけど、その大半は、打ち上げに失敗して爆発したり、途中で行方不明になったりで、無事に火星に着陸できたのは10機もない。
そして、何とか火星に到着して無事に着陸できた数少ない探査機も、その半数は、着陸してすぐに通信ができなくなってジ・エンド、そのまま火星で粗大ゴミになってる。着陸が成功した上に、ちゃんと地球に映像を送ることができたり、火星の石などを採取することができたのは、わずか5機ほどだ‥‥ってなワケで、これが現在の人類の科学力だ。世界の二大大国が半世紀以上も努力をしても、人類は地球から一番近いお隣りの惑星に行くこともできない。これが現実なのだ。
だから、地球以外の惑星に生命が存在するかどうかを確認するためには、今のとこ、3つの方法しかない。1つは、地球に落下してきた隕石を分析して、その中に生命の痕跡があるかどうかを調べる方法。2つめは、巨大なパラボラアンテナ的なもので、宇宙の遥か彼方からやってくる電波的なものや音波的なものをキャッチして、それを分析するという方法。3つめは、高性能の宇宙望遠鏡で、地球に条件が酷似してる惑星を探して、見つかったら次のステップへ進むという方法。今のとこ、この3つの方法しかないと思う今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、3つのうち1つめの方法は、ものすごく受動的だ。何しろ、隕石が地球に落下してくるのを待つしかないからだ。これまでには、南極で見つかった火星の隕石に生物構造の痕跡が発見されたり、スリランカに落ちた隕石から「藻」のような痕跡が発見されたりしてるけど、これらはみんな「1つの見解」であって、反論もたくさんあるし、立証もされてない。それに、もしも今後、完全に生命の痕跡だと立証できる隕石が見つかったとしても、その隕石がどこの惑星から飛んで来たのか、その惑星にはどんな生物がいるのか、ほとんど知る術がない。だから、この方法では、「地球以外の惑星に生命が存在する」ってことだけは証明できるけど、その先に進むことができない。
そして、2つめの方法は、あまりにも非現実的だし、何よりも相手が人類以上の高い科学力を持っていないと成り立たない。もしもどこかに生命の存在する惑星があったとしても、そこに住んでるのが昆虫や魚や鳥だけだったら、他の惑星に向けて電波や音波を発信することなんてできない。つまり、高い科学力を持った高等生命体が存在してないと意味のない方法ってワケで、客観的に考えれば、SF小説やSF映画の中の方法でしかない。
で、1つめの方法よりも能動的で、2つめの方法よりも現実的なのが、3つめの方法ってワケだ。惑星に生命が存在するためには、空気とか水とか一定の気温とか、いろんな条件が必要だけど、今、確実に分かってることは、「この地球に生命が存在してる」ってことだけだから、この地球と酷似した条件の惑星を探せば、その惑星に生命が存在してる可能性が出てくる。
ここで何よりも重要なのは、宇宙空間におけるその惑星の環境で、特に恒星との関係性だ。恒星ってのは自分で光や熱を発してる天体のことで、この太陽系で言えば、真ん中で光ってる太陽が「恒星」で、その周りをグルグルと回ってる水星や金星や地球や火星なんかが「惑星」ってワケだけど、生命にとっては、この「太陽」との関係が重要になってくる。何でかって言うと、ほんの少し位置が変わっただけでも、惑星の環境が大きく変わっちゃうからだ。
たとえば、地球より1つ内側を回ってる金星は、惑星の大きさとしては地球とほとんど同じなのに、地球より太陽に近い上に、地球よりも遥かに密度が高くて分厚い大気に覆われてるから、気温が500度くらいある。もう、これだけでも生命が存在するのは無理だと思うけど、さらには、地表には溶岩が流れてるし、空からは硫酸の雨が降ってるし、地表の気圧は90気圧もある。これは、地球で言えば水深900メートルの深海と同じ気圧で、空き缶なんか一瞬でペチャンコだ。だから、「ジョジョの奇妙な冒険」のカーズにでもならないと、金星に住むことはできない。
そして、金星よりも太陽に近い水星の場合は、逆に大気がまったくないし、自転の速度がメッチャ遅いから、昼間の気温は金星と同じで500度近くだけど、夜はマイナス200度近くにまで冷え込んじゃう。だから、地球と同じ太陽系の惑星なのに、どっちも生命が存在できる可能性はゼロってことになる。だけど、地球の1つ外側の火星の場合は、昼間の気温がマイナス10度くらい、夜がマイナス80度くらいなので、地球上の一番寒い場所と同じくらいだ。だから、気温だけで言えば、それなりの設備や装備さえあれば、人類が生活することも可能だ。で、気温の次は空気だけど、火星の大気は二酸化炭素なので、人類が移住するなら、密閉した室内に酸素を充満させる装置が必要だし、外に出る時には酸素ボンベが必要になる。
次は気圧だけど、火星の地表の気圧は地球の100分の1くらいだ。だから、人類が移住するなら、密閉した室内の気圧を調整する設備が必要になるし、外に出るなら気圧が調整できる宇宙服が必要になる。でも、火星の南極には氷があると言われてるから、水だけは何とかなる。つまり、設備さえあれば、人類が生活することも、理論上はギリギリ何とかなるってワケだ。
一方、火星の次の木星や、その次の土星は、どう転んでも人類が住むことはできない。この2つの惑星は、水星や金星みたいに気温が高いとか気圧が高いとかのレベルじゃなくて、地表がない惑星、ガスでできた惑星だから、ジョジョのカーズでも降り立つことすらできない。水星や金星や地球や火星のように、岩とかでできた「地表」がある惑星なら、気温や気圧のことを考えにければ、宇宙船で着陸して、人類が降り立って、記念に旗を立てたりすることができる。でも、木星や土星は、水素やヘリウムなどのガスでできた惑星なので、地球の「地表」に該当する部分がない。これは、太陽も同じなので、木星や土星は、言うなれば「燃えていない太陽」ってことになる。
天体望遠鏡で観たり、写真を見たりすると、木星ってシマシマになってるけど、アレは木星の「地表」じゃなくて、木星の外郭を形成してるガスの層の表面だ。だから、もしも、どんな過酷な状況にも耐えられる頑丈な宇宙船があったとしたら、あのシマシマの中、つまり、木星の内部へ入って行けちゃうのだ。たとえば、水星や金星や地球や火星を「生タマゴ」だとすると、木星や土星は「カラのない生タマゴ」ってことになる。カラのない生タマゴの中身だけが、形を崩さずに、タマゴの形を保ったまま、宇宙空間に浮かんでるようなものなのだ。だから、どんな過酷な状況にも耐えられる頑丈な宇宙船があったとしたら、どんどん白身の中へ入って行って、惑星のコアに当たる黄身に到達しちゃう。
‥‥そんなワケで、ロシアやアメリカやその他の国々が、莫大な予算をかけて火星へたくさん探査機を飛ばしてるのは、ただ単に「地球から近い惑星」ってことだけじゃなくて、太陽系の惑星の中で、唯一、生命が存在する可能性のある惑星であり、唯一、人類が移住できる可能性のある惑星だからなのだ‥‥ってなワケで、ここでクルリンパと最初に戻るけど、ここまで読んでくれば、あたしみたいな宇宙マニアじゃない人でも、今回、NASAが発表した「太陽系外のハビタブルゾーンにゴルディロックス惑星が見つかった」っていう内容が、それなりに「おおっ!」って感じになったと思う。で、ここからが本題なんだけど、今回はちょっと長くなりそうだから、今日はここまでにして、続きは「後編」に To Be Continued な今日この頃なのだ。
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