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2014.05.28

きっこのカラオケデビュー秘話

あたしが幼稚園の時に流行ってた音楽って、特によく覚えてるのが、ピンクレディーの各曲、志村けんの「東村山音頭」、子門真人の「およげ!たいやきくん」だ。他にもいろいろあったけど、この3つは、幼稚園の園児たちだけじゃなくて、子どもから大人まで、それこそ全国的に流行して、社会現象にもなった‥‥ってなワケで、今日はたくさんの芸能人の名前が登場するので、最初にお断りしとくけど、とりあえず「敬称略」で行かせてもらいます。

 

で、あたしは、ピンクレディーの新曲が出るたびにテレビの前でダンスをマネして覚えて、幼稚園のお友達と一緒に踊ってたことが強く印象に残ってるので、この3つだと、まずピンクレディーがあって、その後に「東村山音頭」や「およげ!たいやきくん」があったように記憶してたんだけど、このエントリーを書くために調べてみたら、「およげ!たいやきくん」が1975年12月、ピンクレディーのデビュー曲の「ペッパー警部」が1976年8月、そして、「東村山音頭」が1976年9月に発売されてたことが分かった。

 

だけど、ピンクレディーの人気が本格的になって、あたしもマネをするようになったのは2曲目の「S・O・S」からなので、これは1976年11月の発売で、世の中の流行の順番としては、「およげ!たいやきくん」→「東村山音頭」→ピンクレディーってことになる。あたしのボンヤリした記憶だと、まず、ピンクレディーの大流行があって、その上で、「ひらけ!ポンキッキ」から「およげ!たいやきくん」が大流行したり、「8時だョ!全員集合」から「東村山音頭」が大流行したと思い込んでたけど、実際には順番が逆だった。

 

ま、幼稚園のころの記憶なんてそんなもんで、「およげ!たいやきくん」にしても、あたしが覚えてるのは、折り紙でお魚を折って、サインペンでウロコやヒレや顔を描いて、裏に輪ゴムをセロテープで付けて、それを2つ作って両手の手首にはめて、「およげ!たいやきくん」に合わせてみんなでお遊戯をしたようなことしか覚えていない。でも、この記憶にしても、お魚は手首じゃなくて頭に付けたのかも知れないし、「およげ!たいやきくん」じゃなくて別の歌だったのかも知れないし、もしかしたら、すべては幻だったのかも知れない今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?(笑)

 

 

‥‥そんなワケで、さすがにこの歳になると、幼稚園の時のことなんてダイジェスト版みたいにしか覚えてなくて、大好きだった先生の顔もイメージでしか思い出せないし、お友達の名前も特に仲の良かった数人しか覚えていない。それも、下の名前やニックネームだけで、名字も名前もちゃんと覚えてるのは1人しかいない‥‥ってなワケで、話をクルリンパと戻すけど、あたしが幼稚園から小学校にかけてって、歌謡曲の全盛時代だったから、ものすごくたくさんの歌番組があって、ものすごくたくさんのアイドルや歌手が毎日テレビで活躍してた。

 

人気の歌手は3ヶ月ごとに新曲を出してたから、ぜんぶ書くことはできないけど、ザックリとした時代背景を分かってもらうためにホンの一部だけを書くと、あたしが幼稚園の時にヒットしてたのは、キャンディーズの「年下の男の子」や「春一番」、太田裕美の「木綿のハンカチーフ」や「赤いハイヒール」、桜田淳子の「十七の夏」や「夏にご用心」、山口百恵の「横須賀ストーリー」や「イミテーション・ゴールド」、岩崎宏美の「ロマンス」や「センチメンタル」、沢田研二の「勝手にしやがれ」や「憎み切れないろくでなし」、荒井由実の「あの日にかえりたい」、イルカの「なごり雪」、ダウン・タウン・ブギウギ・バンドの「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」、布施明の「シクラメンのかほり」、さくらと一郎の「昭和枯れすゝき」、都はるみの「北の宿から」、松崎しげるの「愛のメモリー」、あと、ダニエル・ブーンが原曲、田中星児が日本語で歌った「ビューティフル・サンデー」も大ヒットした。

 

他にもたくさんのヒット曲がマウンテンの時代だったけど、あたしはそんなにキチンとは覚えてない。小学校に上がって、松田聖子ちゃんがデビューして夢中になり、中森明菜ちゃんがデビューしてもっと夢中になってからはキチンと覚えてるけど、さすが幼稚園の時に流行した歌謡曲に関しては、最初に書いたように、ピンクレディーの歌の他は、志村けんの「東村山音頭」と子門真人の「およげ!たいやきくん」が強く印象に残ってるくらいだ。

 

もちろん、テレビでキャンディーズを観た記憶もあるし、太田裕美や桜田淳子や山口百恵や他のいろんな歌手が歌ってる姿を観た記憶もあるけど、どれもボンヤリとしてて、小学校に上がってからの記憶とゴッチャになってて、何ていうタイトルの曲を歌ってたのかまではハッキリとは覚えていない。さっき書いた曲名は、ぜんぶ調べてから書いたものだ。

 

その上、あたしが幼稚園時代にピンクレディーのダンスを一生懸命に覚えてたのは、ピンクレディーのことが大好きだったからじゃなくて、好きなことは好きだったけど、基本的には「幼稚園で流行ってたから」だ。だから、最初に覚えたのが「S・O・S」だったってことだけは覚えてるけど、その次が何だったか、とか、「UFO」と「渚のシンドバッド」はどっちが先だったか、とかは、あんまり覚えてない。正確な曲順は、ちゃんと調べて確認しないと分からない。

 

だけど、そんなボンヤリした幼稚園時代の記憶の中で、あたしは、ピンクレディーと「東村山音頭」と「およげ!たいやきくん」の他に、一曲だけ、当時の記憶が鮮明に残ってる歌がある。それは、八代亜紀さんの「もう一度逢いたい」だ。今、調べてみたら、1976年9月の発売だったので、「東村山音頭」と同じ月に発売されてるんだけど、当時のあたしは、この歌をよく歌ってたのだ。

 

 

‥‥そんなワケで、今はテレビは「一人に一台」の時代だけど、あたしが子どものころは「一家に一台」だった。だから、テレビは「家族で観るもの」で、そこには、お茶の間を戦場に変えてしまう「チャンネル争い」という熾烈な戦いがあった。でも、あたしの場合は、一人っ子だったから、アニメでも歌番組でも何でも、ほとんど好きな番組を観ることができた。で、あたしが小学校の低学年くらいまでは、まだ、父さんは、月に何日かは家に帰って来てたので、幼稚園のころは、夜、父さんと一緒にテレビを観ることもタマにあった。

 

それで、ある日のこと、父さんと母さんとおばあちゃんとあたし、珍しく家族全員で晩ごはんのあとにお茶を飲みながら歌番組を観てたら、何番目かに八代亜紀さんが登場して、新曲の「もう一度逢いたい」を歌い出した。さっきまで、聖子ちゃんと明菜ちゃん以外は「敬称略」で書いて来たけど、ここからは八代亜紀さんの名前を何度も書くから、やっぱり「さん付け」で書かせてもらう。

 

で、今でこそ、八代亜紀さんはこの歌をそれほどオーバーなアクションをせずに歌ってるけど、当時は、歌い出しからずっと左手をグーにして上下に力強く振り続けてて、最後の「もう一度~逢いたい~♪」のところでは、体をハスに構えて左手を前に出して、そりゃあもうカッコ良かった。八代亜紀さんは「美人のお姉さん」て感じで、他の「可愛いアイドル」たちとは違ってたから、あたしはいつもステキだなあって思って観てた。

 

あたしは、ピンクレディーに限らず、女性歌手の歌マネや振りマネは何でも面白がってやってたから、この時も、1番を観てザックリと覚えた振りマネで、2番と3番をマネしてみた。そしたら、何が良かったのか分からないけど、父さんにも母さんにもおばあちゃんにも大ウケしちゃった。今、考えてみると、たぶん、幼いあたしが意味も分からずに大人の歌をマネして歌ったことがウケた理由だと思うんだけど、その時のあたしは、歌や振りのマネが上手にできたから父さんや母さんやおばあちゃんが喜んでくれたんだと思って、とっても嬉しくなった。

 

 

‥‥そんなワケで、あたしは、タマにしか会えない父さんにウケたことが何よりも嬉しくて、それからは、歌番組に八代亜紀さんが登場して「もう一度逢いたい」を歌うたびに、振りや歌を一生懸命に覚えた。次に父さんの前で歌うチャンスがあったら、その時に喜んでもらいたかったからだ。当時の歌番組も今と同じで、長い歌は2番までの、俗に言う「テレビサイズ」だったけど、この「もう一度逢いたい」は3番までぜんぶ歌っても3分ほどの短めの歌だったから、たいていの歌番組では最後までぜんぶ歌ってた。

 

あたしは、二度目に観た時に、3番だけ振りが違うということに気づいた。それは、「ブイの宿命(さだめ)か~浮いては沈んで~流されて~♪」の「浮いては沈んで~流されて~♪」の部分で、それまで縦に振ってた左手を左右に揺らして「波」を表現してたのだ。この歌は、ピンクレディーやキャンディーズのように、ちゃんとしたダンスや振りがあるワケじゃなくて、左手を振るだけの簡単なアクションで、「もう一度~♪」のとこで人差し指を立てるくらいしか、コレといったポイントがなかった。だから、あたしは、2番までは歌を覚えるほうに力を注いでたんだけど、3番に、この歌に唯一の「振りらしい振り」があったことに気づいたので、ガゼン、やる気が出ちゃった。

 

あたしは、覚えた部分をふだんも口ずさんでたから、5~6回くらい観るころには、3番までだいたい歌えるようになってた。公園のブランコを漕ぎながら、「あんな~おとこと~いいながら~~きょうもきました~みなあとおまち~~♪」なんて歌ってた。もちろん、詞の意味なんてほとんど分からなかったし、「情なし」や「移り気」や「後影」を始め、知らない言葉も多かったから、耳で覚えたまま、「じょおなし~のうつりぎ~のうしいろおかげ~♪」って歌ってた。

 

特に分からなかったのが「ブイの宿命(さだめ)」だった。この部分を歌うたびに、あたしは「ぶいのさだめ」って何だろう?‥‥って思ってた。左手を波のように動かしながら「浮いては沈んで流されて~♪」って歌ってるんだから、何かが海に浮かんでるんだとは思ったけど、「ブイ」も分からなければ「宿命(さだめ)」も分からない。分からないけど八代亜紀さんのマネをして歌ってた。

 

 

‥‥そんなワケで、みんなが「およげ!たいやきくん」や「ビューティフルサンデー」や「山口さんちのツトム君」を歌ってる時に、あたしは一人でブランコを漕ぎながら「ぶいの~さだめか~ういてはしずんで~ながされて~♪」なんて歌ってたんだから、すでに「ちびまる子ちゃん」的な素質が開花し始めてたのかも知れない(笑)

 

で、しばらくして、父さんはいなかったけど、母さんとおばあちゃんと3人で夕食後に歌番組を観てたら、八代亜紀さんが登場したので、あたしは一緒に「もう一度逢いたい」を歌い始めた。そしたら、母さんもおばあちゃんも、テレビよりもあたしのほうを観てくれて、目を丸くして拍手をしてくれた。それまでの誰のどの歌を歌った時よりも大ウケしてくれた。特に、左手を波のように動かしながらの「ういてはしずんで~ながされて~♪」のとこでは拍手喝采で、あたしはとっても嬉しくなった。だけど、父さんがいなかったことだけが残念だった。

 

そんなこんなで、あたしは「もう一度逢いたい」の歌も振りもちゃんとできるようになったのに、父さんの前では一度も披露するチャンスがないまま、何ヶ月かが過ぎてしまった。父さんが帰ってきて、たまたま一緒に歌番組を観てる時に八代亜紀さんが登場しても、八代亜紀さんは、もう別の歌を歌ってた。母さんは、あたしの様子を見て気持ちを察してくれたのか、「せっかく『もう一度逢いたい』が上手に歌えるようになったのにね~」なんて言ってくれたけど、父さんは興味なさそうに「ふ~ん」と言うだけだった。

 

 

‥‥そんなワケで、また、何週間後か、何ヶ月後かは覚えてないんだけど、ずいぶん経った、ある日曜日の午後、父さんが渋谷の場外馬券売り場に行くというので、あたしも連れてってもらった。いつものように、父さんが馬券を買ったり結果を見たりしてるのをチョコチョコと着いてまわり、いつものように、前の売店みたいなお店でジュースを飲み、いつものように、また父さんが馬券を買ったり結果を見たりしてるのを着いてまわった。そしたら、この日はずっとハズレてた父さんが、小さくガッツポーズをした。最終レースで大穴を当てたみたいで、急に機嫌が良くなった。

 

父さんと手をつないで渋谷駅の近くまで戻ってきたら、父さんは「ちょっと寄ってくか」と言って、ビルの中に入り、エレベーターに乗った。前にも一度、父さんが馬券を当てた時に連れてきてもらったことがある、お酒を飲むお店だった。カウンターの中でバーテンさんが一人、女の人が二人か三人の小さなお店で、まだお店を開けたばかりの早い時間なので、お客さんは誰もいなかった。

 

あたしは父さんと並んでカウンターに座った。クルクルと回るイスはすごく高くて、あたしの両足はブラブラした。大人になってから、こうしたカウンターのイスのことを「止まり木」と呼ぶことを知ったけど、当時のあたしは、ホントに止まり木にとまってるみたいだったと思う。きれいな女の人が、たぶんママさんだと思うけど、あたしのことを覚えていてくれたみたいで、父さんに挨拶をして、おしぼりを出してから、あたしに「何ちゃんだっけ?」と名前を聞いてきた。あたしは「きみちゃん」と答えた。

 

父さんはビールを何本も飲んで、ずいぶんご機嫌で、父さんがご機嫌だから、あたしも嬉しかった。すると、ママさんが「そうそう、うちの店もカラオケを始めたのよ。歌ってみない?」と言って、父さんに歌の本を持って来た。そう言えば、店の奥の一角に小さなステージが出来てて、譜面台やマイクが置いてあった。父さんが歌の本をパラパラとめくり始めると、ママさんが「私が口切りで歌うわ」と言って、その小さなステージに乗り、本棚みたいな棚に並んでるテープの中から一本を選び、機械にセットしてマイクを持った。

 

イントロが流れ始めると、ステージの周りの電気が薄暗くなって、ママさんにスポットライトが当たった。ホントの歌手の人みたいで、あたしは驚いた。ママさんは、あたしの知らない大人の歌を歌い始めた。とっても素敵で、あたしは夢中で拍手をした。そして、歌い終わったママさんは父さんのとこに戻ってきて、父さんにも何か歌うように勧めた。

 

父さんは困ったような顔をして歌の本をパラパラとめくってたんだけど、「おっ」と言って指を止めた。そして、「きみこ、この歌があるぞ」と言って、八代亜紀さんの「もう一度逢いたい」を指差した。父さんとあたしのやりとりを見ていたママさんは、「きみちゃん、八代亜紀さんの歌が歌えるの?」と驚いた顔をした。あたしがコックリとうなずくと、「うわあ、歌って!歌って!」と言い出した。

 

ここで、今のカラオケしか知らない若い人たちのために説明しとくと、当時のカラオケは、今みたいに画面なんかないから、歌詞カードを見て歌うシステムになってた。ページが透明のポケットになったルーズリーフ型の歌の本に、1ページに上下2曲ずつの歌詞カードが入ってた。これを譜面台に乗せて歌うようになってた。そして、カンジンのカラオケテープは「8トラック」って言って、最初のゲームボーイくらいの大きさで、1本に4曲しか入ってない。8トラックのテープだから、モノラルなら8曲入るけど、ステレオだと4曲しか入らないのだ。

 

ま、これは、あたしが大きくなってから知ったことで、この時は、テレビの歌手と同じに歌える夢のシステムだと思った。そして、あたしは、生まれて初めて、カラオケで歌を歌うことになった。初めて手にした本格的なマイクは、重たくて、太いコードが付いてて、ピカピカ光ってて、お家でマイク代わりにしてたサランラップの芯とは雲泥の差だった。

 

ママさんは、譜面台の髙さを調節して、あたしの身長でも見えるようにしてくれたけど、あたしは歌詞をぜんぶ覚えてたし、歌詞カードを見たところで読めない字ばっかりだったので、あたしには不要だった。ママさんがテープをセットすると、「チャラララ~チャラララ~チャラララ~♪」と、何ヶ月ぶりかで聴く、懐かしい「もう一度逢いたい」のイントロが流れ始めた。だけど、あたしはすぐに歌い出せた。

 

 

「あんな~おとこと~いいながら~~きょうもきました~みなあとおまち~~♪」

 

 

マイクを通したあたしの声は、エコーが効いてて、自分でも驚くほど上手に聴こえた。ホントの歌手になったみたいで、あたしはドキドキして興奮した。

 

 

「じょおなし~のうつりぎ~のうしいろおかげ~~もういちいどお~あいたい~~♪」

 

 

体をハスに構えて左手を前に出すと、ものすごい拍手が起こった。あれから何人かのお客さんが来てて、お店の人たちだけじゃなくて、他のお客さんたちも、みんな拍手をしてくれてるみたいなんだけど、スポットライトが眩しくて、こっちからは良く見えない。でも、拍手と声援がものすごくて、お店中の人たちがあたしのことを見てくれてることが分かった。

 

 

「なけば~かもめも~まねをして~~あなた~よんでえる~わかあれえまち~~♪」

 

 

2番を歌い出すと、またまた大拍手!あたしは調子に乗って、テレビの八代亜紀さんみたいに、狭いステージの上を右に行ったり左に行ったりしながら歌い続けた。そして、3番が始まり、いよいよこの歌の最大のポイントがやってきた。

 

 

「ぶいの~さだめか~ういてはしずんで~ながされて~♪」

 

 

あたしが左手で「波」を表現すると、またまた拍手喝采が巻き起こり、拍手は手拍子になり、最後まで歌い切ると、また拍手に変わった。あたしは、八代亜紀さんのマネをして、ゆっくりとお辞儀をした。なんか、ホントに自分が八代亜紀さんになったみたいで、夢を見てるような数分間だった。ママさんやお店の人たちも、他のお客さんも、みんな口々に褒めてくれる中、カウンターの父さんの隣りの席まで戻ってくると、父さんが誰よりも一番喜んでいてくれた。あたしは、生まれて初めてカラオケで歌を歌った興奮よりも、父さんが喜んでくれたことが嬉しくて、すごく幸せだった。

 

ママさんは、「きみちゃん、こんなに難しい歌をとっても上手に歌えるのね!」と褒めてくれて、「振りも八代亜紀さんとソックリで上手だったわよ」と言ってくれた。そして、「特に、3番の波のところの振りが上手だったけど、きみちゃん、『ブイの宿命』なんて難しい言葉、よく知ってるわね」と言われたので、あたしは正直に、「『ぶいのさだめ』って、どういう意味?」って聞いた。そしたら、ママさんも父さんも「ププッ!」と噴き出して、父さんは「きみこは意味も知らずに歌ってたのか」と言って、「ブイ」が何か、「宿命」が何かを説明してくれた。でも、あたしは半分くらいしか分からなかった。

 

 

‥‥そんなワケで、あたしは、父さんを喜ばせたくて、父さんに聴いてほしくて、それで一生懸命に練習したのが「もう一度逢いたい」だったから、父さんの前で一度も歌うチャンスがないままに月日が流れ、父さんと一緒にテレビの歌番組を観てる時に八代亜紀さんが登場しても、別の歌を歌うようになった時には、ホントに悲しかった。だから、こんなに最高の形で、父さんに「もう一度逢いたい」を聴いてもらうことができるなんて、思ってもみなかった。全体的にボンヤリとした幼稚園時代の記憶の中でも、この日のことは鮮明に覚えてるし、さらに言えば、ママさんや他のお客さんからのアンコールで、あたしは「もう一度逢いたい」をあと2回も歌っちゃったことまで覚えてる今日この頃なのだ♪(笑)

 

 

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2014.05.22

セックス発電とオナニー発電

安全性が保証されないまま、関西電力の大飯原発3号機と4号機を再稼働させたとして、地元である福井県の住民ら189人が関電に運転差し止めを求めていた訴訟で、21日、福井地裁の樋口英明裁判長は原告側の主張をすべて認めて、関電に運転差し止めを命じる判決を言い渡した。もちろん関電は控訴するから、まだこの判決が決定したワケじゃないけど、こうした裁判で住民側の言いぶんが認められることは異例中の異例だ。原発関連だと過去に2例しかない。

福島第一原発の事故からわずか1年3ヶ月後の2012年6月8日、当時の野田佳彦首相は「国民生活を守るためには電力が必要であり、そのためには原発の再稼動が必要だ」と言って、多くの反対の声を無視して、何の安全対策も講じていなかった大飯原発を強引に再稼動させた。でも、昨日、樋口英明裁判長は、次のように述べて、運転の差し止めを命じたのだ。


「大飯原発は地震の際の冷却や放射性物質の閉じ込めに欠陥があり、原発の運転で人格権が侵害される危険がある。原発は電気を生み出す一手段にすぎず、人格権より劣位にある」


なんてワンダホーな言葉なんだろう。電力は不足していないのに「国民の生活を守るため」なんていう詭弁を弄して危険な原発を強引に再稼動させた総理大臣に対して、真正面から「あなたは間違っている!」というストレートパンチを炸裂させたような説明だ。国民の命よりも原発でカネ儲けをするほうが上だとした総理大臣に対して、たかが「電気を生み出す一手段」にしかすぎない原発などよりも、人間の命のほうが大切だとハッキリ言ってくれた今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、たいへん申し訳ないんだけど、マクラとは打って変わって今日は下ネタを書くことにしてるので、よい子の皆さんは、ここから先は読まないでくださいね。あたしは、これまでずっと「下ネタ禁止」でブログを続けてきたけど、最近は昼間のラジオでも下ネタが飛び出すし、夜のラジオなんかものすごい。だから、あたしもちょっとだけ、今日は下ネタを書いてみようと思ったワケだ。

文化放送で月曜日から木曜日まで、夜10時から深夜1時まで生放送してる「レコメン!」で、毎週月曜日の深夜0時半ころから始まる「プロフェッショナル・オナ流」っていう下ネタのコーナーがある。パーソナリティーの「オテンキ」ののりさんが、いつ打ち切りにされるかと、いつもビクビクしながら放送してるコーナーなんだけど、タイトルから分かるように、NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」をモジってる。

この「オナ流」の「オナ」は、もちろんアレのことだけど、ここでは「こんなものを見ると興奮する」「あるものを見るとなぜかエッチな気分になってしまう」というメールやハガキを募集して、それを放送できる範囲で紹介してくというコーナーだ。メールの内容によって、のりさんが「1」から「5」までの共感ポイントをつけて、たとえば最高の「5」だったら、春香クリスティーンちゃんの「イエス!イエス!イエス!イエス!イエ~~~ス!」という音声が流れて、「ずっと探していた~理想の自分って~♪」って、NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」の主題歌、スガシカオさんの「Progress」が流れる。たとえば、こんな感じだ。


「○○県、ラジオネーム××君のオナ流‥‥僕は「可愛くなくてごめんなさい」というコメント付きでネットに顔写真をアップしている女の子がホントにブスだと「ああ、なんて正直な子なんだ」と思って興奮してしまいます‥‥って、分かんないよ興奮ポイントが!」


こんな感じのメールを紹介してくコーナーだから、ふだんは当然、男子からのメールが圧倒的に多い。だから逆に、女子からのメールだと優先的に読まれるワケで、女子からのメールが来ると、のりさんの興奮度も高くなる。で、4月28日の放送が、ついに「女子祭り」になっちゃった。この日は、1人目も2人目も3人目も4人目も女子だったんだけど、最後の4人目の子が凄かった。これは実際の放送を書き起こして紹介する。


「続いては、埼玉県、ラジオネーム、ナナちゃん、こちらは15歳の女の子からいただきました。え~、私は自転車のサドルの‥‥‥ひひひひひひ‥‥‥私は、自転車の、サドルの先っぽに、当たると興奮します!‥‥くっくっくっくっくっ‥‥‥これもうオナ流じゃないよ!オナニーだよこれ!何を言ってんだよ、ホントにもう!え~、段差とかヤバイです‥‥って、段差がヤバイって、俺もう汗出てきちゃったよ!どうすんのよ、これ!こんなに真っ直ぐで!今後の採用基準が難しくなっちゃうよね~」


‥‥そんなワケで、中学生や高校生をリスナー層にしたラジオ番組で、こんな感じの放送が流れてるんだから、あたしも、このラインくらいまでなら下ネタを書いてもいいかな?‥‥って思えてきたのだ。で、話をクルリンパと戻すけど、マクラで紹介した福井地裁の樋口英明裁判長の「原発は電気を生み出す一手段にすぎず、人格権より劣位にある」という言葉、この「原発は電気を生み出す一手段にすぎず」って部分を受けて、あたしは次のようなギャグのツイートをした。


きっこ @kikko_no_blog
日本人のセックスは99.9%以上が「子孫繁栄」ではなく「快楽」のために行なわれているのだから、膨大な運動エネルギーが無駄になっている。摩擦を電力に変換するダイナモのようなシステムをマイクロチップレベルで開発してコンドームに装着し、全国民で「セックス発電」をすれば原発は不要になる。
2014.05.21 21:21


あたしは、以前から主張してるように、日本は「地熱発電」と「地熱バイナリー発電」を主軸にして、「小水力発電」なんかも増やすべきだと思ってるんだけど、ただ単に電気を作るだけなら、静電気だってたくさん集めれば電力になる。猫の背中を下敷きで擦ったって電気は作れる。だから、このツイートは、ホントに「セックス発電」をしよう!‥‥って呼び掛けてるワケじゃなくて、セックスでも発電できるかもしれないんだから、たかが電気のために原発なんて必要ない!‥‥っていう主張のためのジョークだ。

でも、ふと自分のことを考えてみたら、この「セックス発電」をするために必要なパートナーがいないことに気づいた。世の中、あたしと同じで、現在、パートナーのいない人がいっぱいいる。そこで、次のツイートを追加した。


きっこ @kikko_no_blog
相手がいない人は「自家発電」でヨロピク♪
2014.05.21 21:56


そしたら、一気にたくさんのリプライが飛んで来たので、その一部を紹介する。


佐藤茂雄 @ssexpress1
なるほど(・o・)てことはラブホはセックス発電所に改名ですかね(・o・)
2014.05.21 21:25


vegazombie @yoshiyuki2000
オナニーの方が発電できます!
2014.05.21 21:27


happysad @nohappysad
シャカシャカもね★
2014.05.21 21:27


モンキー・D・ルフィ @400000000LUFFY
フィットネスクラブのガラス越しにズラッと並んだエアロバイク。それを必死こいてこいでる人たちを見る度に同じようなことを思います (汗
2014.05.21 21:27


散歩道 @yanan12345
だからニューヨーク市の停電の夜に、多くの人たちが「発電しよう」としたわけか~。RT@bank_spring じゃあ、「発電しよう!」というエコな大義名分で誘えますね!!
2014.05.21 21:51


ツムラサダオ @trust_akend
相手がいて一安心
2014.05.21 22:00


LoveBeer@大不便者 @_LoveBeer_
自家発電でリアル発電?実現したら面白そうな技術ですなぁ下ネタ具合が飛べサル水曜日にぴったり
2014.05.21 22:01


みち @okumaru1019
T_T
2014.05.21 22:05


tomohiro asano @anonym0108
ですよね~
2014.05.21 22:09


森田 健太郎 @moritaon0715
はい。
2014.05.21 22:09


stones【原子力→火力→自然力】 @chiichan2010
TENGAに発電機能を付けた方が現実的かなw
2014.05.21 22:12


‥‥そんなワケで、あたしは、電話をする用事が1件あったので、ここで下ネタ風味になってたツイッターのTL(タイムライン)をひと区切りするために、次のツイートをした。そしたら、レイちゃ(千葉麗子ちゃん)からリプライが届いてた。


きっこ @kikko_no_blog
よし!今夜はセッセと発電でもするか!(笑)
2014.05.21 23:11


chibarei❤NO NUCLEAR @CHIBAREI_DURGA
誰とだw
2014.05.21 23:23


きっこ @kikko_no_blog
キュウリかナスだよ(笑)
2014.05.21 23:24


chibarei❤NO NUCLEAR @CHIBAREI_DURGA
やだ、それ中で折れたらどうすんの(爆笑)
2014.05.21 23:26


きっこ @kikko_no_blog
折れたら気合いで噴射なう!
2014.05.21 23:30


chibarei❤NO NUCLEAR @CHIBAREI_DURGA
タンポンじゃあるまいしwww 出てこなかったら、きっこちゃ…心配(爆笑)(; ̄O ̄)
2014.05.21 23:39


きっこ @kikko_no_blog
キュウリやナスよりもレイちゃオススメの女性用TENGA「イロハ」を購入したほうが良さそうね!やっぱビギナー用のまっすぐなタイプよりも上級者用の波打ってるタイプのほうがオススメ?
2014.05.21 23:42


‥‥そんなワケで、男性の皆さんはご存知だろうけど、女性の認知度は男性ほどでもないので、念のために説明しとくと、「TENGA(テンガ)」っていうのは男性用のオナニーグッズで、この手の商品の中じゃ、日本で一番売れてるベストセラーだ。海外にもファンが多くて、日本に来た時にマトメ買いしてくミュージシャンなんかもいる。

で、去年の春に発売されたのが、女性用のTENGA「iroha(イロハ)」だ。あたしは、発売前のリリースニュースを見て、すぐに「楽天ソシアルニュース」のサイトに「女性用TENGA登場!」という記事を投稿した。その後、ツイッターでも「iroha」のプレゼント企画があったりして、いろんなとこに取り上げられるようになり、新製品も登場した。そして、レイちゃがTENGAの社長さんから「iroha」の詰め合わせをプレゼントされたって画像つきでツイートしてたことを思い出したので、さっきのツイートをレイちゃにリプライしたってワケだ。でも、レイちゃは寝落ちしちゃったので、リプライが来たのは今日の朝になってからだった。


chibarei❤NO NUCLEAR @CHIBAREI_DURGA
おはよー(爆笑)… 笑いながら、寝落ちしちゃったよw 買わなくていいよ、TENGAのまっちゃん↔社長にきっこちゃ用プレゼント用意して!って伝えとくw
2014.05.22 07:40


きっこ @kikko_no_blog
レイちゃ、おはよ~!今日のブログに「TENGAへの提言」を書くから、そしたら社長さんにも読むように伝えてね!今日のお昼ころにはアップするから♪
2014.05.22 08:06


‥‥そんなワケで、あたしがTENGAの社長さんに提言したいことは、さっき紹介したリプライの中で、stonesさんも言ってた「発電機能を付けたTENGA」の開発だ。現実的な話として、大きな電気を作ることはできないけど、携帯電話とかに充電するくらいの発電機能なら可能だと思う。男性用TENGAを外側と内側の二重構造にして、外側と内側が逆に動くようなシステムを考え出せば、ネットの通販で300円くらいで売ってる手動の小型懐中電灯とかに内蔵されてる超小型のダイナモと組み合わせれば、発電は可能だと思う。何よりも、今まで単なる比喩表現だった「自家発電」が、ホントの「自家発電」になるのが最高に面白いし、オナニーして自分の携帯電話やスマホに充電できるなんて、こんなにエコでエロなことはないと思う今日この頃なのだ!(笑)


■女性用TENGA「iroha」■
http://iroha-tenga.com/


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2014.05.21

PC遠隔操作事件について

保釈中だったPC遠隔操作ウイルス事件の片山祐輔被告が、自分で墓穴を掘って、また身柄を勾留された。本人が犯行をすべて認めているし、今度は物的証拠もあるので、間違いなく有罪になるだろう。

最初に片山被告が「容疑者」として逮捕された時、ネット上では彼を擁護する声が多かった。確実な証拠がないことや、本人が完全に否認していること、そして、何人もの無関係な人たちが誤認逮捕されていたことなどから、「今回も誤認逮捕じゃないのか」という見方をする人が多かった。中には、彼が「猫好き」だという点を取り上げて「猫好きに悪い人はいない」などと言い出す人までいた。

あたしが片山容疑者の逮捕の第一報をツイートした時には、すぐに数人の人から「まだ容疑者の段階なのにツイートするな」という批判のリプライがあった。あたしは、新聞の報道をそのままリンクしてツイートしただけで、自分の個人的な見解は何も書かなかったけど、それでも批判された。だから、あたし自身は直感で「片山容疑者が怪しい」と思ってたけど、そういうツイートはいっさいしなかった。何の根拠もないのに、直感だけでそんなことをツイートして、あとから「無実でした」なんてことになると、また粘着質な人たちから嫌がらせのリプライが殺到しちゃう今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、あたしはこの事件にあんまり興味がなかったので、何かの報道があっても、ほとんどスルーしてきた。だけど、彼の勾留が半年を超えたころ、彼に対する疑念が大きくなった。だって、あれほど執拗に警察や検察を揶揄するメールを送り続けてきた犯人だったのに、彼が逮捕されたとたん、そのメールはピタリと止まり、半年間、ナシノツブテだからだ。

それまでの犯人からのメールの内容を見ると、警察や検察に恨みを持っていて、警察や検察に恥をかかせてやろうとしてることがうかがえた。だから、あたしは、「警察に恥をかかせることが目的なら、片山容疑者が逮捕されて勾留されている今こそ、またメールをして誤認逮捕だということを世の中に知らしめて、警察の無能さをあざ笑えばいいのに、何でメールをしないんだろう?」って思った。そして、犯人はメールをしたくてもできない状況にいるんじゃないか、と思い、片山容疑者に対する疑念が強まった。

だけど、そんなことを不用意にツイートしたら、また擁護派の皆さんから総攻撃を食らっちゃうから、あたしは「真犯人は警察に恥をかかせることが目的なのだから、片山容疑者の身柄が拘束されてる今こそメールをすればいいのに」とだけツイートした。これなら、片山容疑者のことを犯人扱いしてるワケでもないし、理解力のある人が読めば、あたしと同じ疑念を持ってくれると思ったからだ。

そしたら、1人の擁護派の人から、「真犯人は片山さんが起訴されてからメールをするつもりなんじゃないか?」というリプライがきた。ようするに、「片山容疑者」の段階でメールを送っても警察にしか恥をかかせられないけど、起訴されて「片山被告」になってからメールを送れば、警察にも検察にも恥をかかせられる、ということだ。

確かに、これはこれで一理ある。だけど、そんなことよりも、やっぱりあたしは、あれほど何度もメールを送っていた犯人が、片山容疑者の逮捕とともにピタリとメールをやめたことのほうが、どうしても「おかしい」と感じていた。犯人は相当の知識を持っていて、ハッキリ言えば警察や検察のことをオチョクッていた。そして、こうした愉快犯に共通する「目立ちたがり屋」で、自分のメールなどがマスコミに取り上げられて騒ぎになることを誰よりも楽しんでいたはずだ。そんな犯人が、半年も沈黙していられるワケがない。


‥‥そんなワケで、結局、去年の2月に逮捕されてから、今年の3月5日に保釈されるまで、1年以上も、犯人からのメールはなかった。それなのに、片山被告が保釈されて2ヶ月後の5月16日、ついにメールが届いた。あたしは、当日に落合洋司弁護士のツイートで知り、すぐに落合弁護士がブログに公開した全文を読みに行った。

この時点では、まだホントに真犯人かどうか分からないので、落合弁護士は「自称真犯人からのメール」と紹介してたけど、全文を読んだ感想としては、「限りなく真犯人と思われるブルー」って感じだった。まず、犯人しか知りえないような情報が具体的に羅列してあるし、この粘着ぶり、異常ぶりも、以前のメールと共通してるからだ。

このメールには、メールを送った理由として「片山氏がかわいそうになったから」的なことが書かれてたけど、あたしの疑念はピークに達した。だって、片山被告の勾留中、1年以上もピタリと止まっていたメールが、保釈されて2ヶ月後に再開したんだよ。普通は疑うよね。

だけど、そんなことをツイートしたら、やっぱり擁護派の皆さんからの総攻撃を食らっちゃうから、あたしは、「極めて信憑性の高い真犯人からのメールが関係各所に届いたけど、どうせなら片山被告の勾留中に送信してあげれば良かったのにね~」という感じのツイートにとどめた。これも、暗に「片山被告の自作自演なんじゃないの?」っていう意味を込めてのツイートだった。

今回の「自称真犯人からのメール」で、多くの人は事実関係や「真犯人しか知りえない情報」の部分を重要視したけど、逮捕当初から一貫して「自分の直感」だけでこの事件を見てきたあたしには、他の人たちとは違う点で、すごく引っかかる部分があった。それは文中の「敬称」だ。

このメールでは、真犯人は片山被告のことを「片山氏」と書いている。そして、あと2人、文中に登場しているのが「阿蘇山大噴火氏」と「江川紹子さん」だ。その部分だけを引用すると、次のように書かれている。


「阿蘇山大噴火氏の法廷傍聴ブログなどなどで情報を得て、それでこの人に決定したというわけです。」

「江川紹子さんのblogで紹介されている、ドコモ絡みで片山氏が書いたという2chの書き込みは、あとになって知りました。」


あたしは、この「江川紹子さん」という表記を見て、ピンと来た。それまで、ずっと、「片山氏」「片山氏」「片山氏」と書き続けてきて、「阿蘇山大噴火氏」に関しては、正しくは「阿曽山」なのに、漢字まで書き間違えている上に「氏」という敬称。それなのに、江川紹子さんだけ「さん」という敬称。

あたしは、直感的に、このメールを書いた人は、江川紹子さんに親近感を持ってる人なんだと感じた。そして、江川紹子さんは、片山被告の逮捕後から、江ノ島の猫の首輪に関する疑問点や、警察の捜査方法や取り調べの問題点などを指摘してきたこと。片山被告が保釈された翌日の3月6日にインタビューをしていること。そのインタビューの中で、片山被告が「江川さん」「江川さん」と呼んでいたことなどと重なった。

片山被告にとって、江川紹子さんは「自分の味方」ということになる。その上、実際に会ってインタビューまで受けている。親近感を持つのは当然だ。ただし、「真犯人は別にいる」ということをアピールするためのメールの中で、自分自身のことを「片山氏」と表記して「遠い存在」のように演出したのにも関わらず、「阿蘇山大噴火氏」と表記したのにも関わらず、つい「江川紹子さん」と表記してしまったのは、完全にウッカリミスだろう。

この敬称の表記から、あたしは、このメールは片山被告の自作自演だと確信した。だけど、こんな「あたしにしか分からない感覚」だけを根拠にして、そんなことはツイートできない。何しろ、擁護派の皆さんの擁護ぶりは尋常じゃないからだ。「片山被告が河川敷に埋めたと思われるスマホから、真犯人のメールの文面が見つかった」と報じられても、「それは検察が捏造したものだ!」なんて言うまでいるんだから、メッタなことはツイートできない。それで、19日に片山被告が会見を欠席してどこかに行方をくらませた時も、あたしは次のようにツイートした。


PC遠隔操作事件の片山被告、どうして会見をバックレちゃったんだろう?あたしだったらカンカンに怒って会見で「冗談じゃない!」って言って検察の証拠捏造を糾弾するけどな。自分が無実なら誰でもそうするよね?
2014.05.20 07:29


このツイートは、もちろん、「片山被告は真犯人だから会見をバックレたんだと思う」というあたしの推測を、擁護派の皆さんに批判されないような言い回しで表現したものだ。そして、次のツイートでダメ押しした。


検察がスマホを用意して、真犯人が送信したというメールを入力して、片山被告の公判時間に送信するようにタイマーをセットして、片山被告のDNAを付着させて、片山被告がいた河川敷に埋めたというのなら、これは検察の組織ぐるみの大犯罪なのだから、片山被告は逃げたりせずに徹底的に闘うべきだ。
2014.05.20 07:38


このツイートは、「いくら何でも検察がそこまでするワケないじゃん」という意味のツイートだ。だけど、これらのあたしのツイートに対しても、擁護派の皆さんからは、「保釈中は尾行されてるに決まってのに、スマホを土に埋めるなんて、そんなすぐにバレるようなことをするわけがない」とか「片山被告はスマホまで捏造されて精神的に追い詰められて失踪してしまったんだと思う」とか、果てしない妄想リプライが相次いだ。

だから、あたしは、とてもじゃないけど「真犯人のメールは片山被告の自作自演だと思う」だなんて言い出せなかった。そんなこと言ったら、擁護派の皆さんから寄ってたかって吊し上げられて、アッと言う間に「小保方きっこ」にされちゃうからだ。何しろ、「失踪しいてた片山被告から佐藤弁護士に連絡があり、今回のメールを送ったのも一連の事件もすべて自分が犯人だと打ち明けた」と報じられてからも、まだ「報道には『関係者によると』と書かれてるから検察の捏造かもしれない」なんて言ってる人がたくさんいたからだ。そのため、ここまで来ても、あたしは次のようにしかツイートできなかった。


これでホントに片山被告が真犯人だったら、今まで彼のことを擁護し続けてきた人たち全員を裏切ることになるね。
2014.05.20 09:50


片山被告が真犯人だったら、今まで「片山被告は無実だ」「警察と検察のデッチアゲだ」と言い続けた人たち、どうするんだろう?潔く謝るのかな?それとも「フェードアウト」でホトボリがさめるのを待つのかな?
2014.05.20 09:55


‥‥そんなワケで、この問題に関して、ここまで徹底的に気を使ってツイートしてきたあたしが、ずっと引っかかってた「メール中の敬称」についてツイートすることができたのは、片山被告の身柄が拘束され、移送され、自白が伝えられてからだった。佐藤弁護士が「(弁護士という職業は)『やっていない』と言っている人を信じることが理念だが、今回は騙されてしまった」とコメントしたのだから、さすがにここまで来れば、片山被告を「怪しい」とするツイートをしても、もう擁護派に批判されることもないだろうと思い、次のツイートをした今日この頃なのだ。


あたしが最初に「真犯人からのメール」の全文を読んだ時に「あれっ?」と思ったのが「阿蘇山大噴火氏」と「江川紹子さん」という敬称の違い。「このメールの差出人にとって、阿蘇山さんは遠い人だけど江川さんは近い人なのかな?」と漠然と感じた。
2014.05.20 15:11


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2014.05.19

「集団的自衛権」という戦争のための大義名分

5月15日、安倍晋三首相は、自分で勝手に作った何の権限もない私的機関に「憲法の解釈を変更して集団的自衛権を行使できるようにすべき」というヤラセ報告書を作らせて、それを自分自身に提出させて、それを受けて会見をひらいた。そして、報告書はさっき受け取ったばかりなのに、まるで何日も前から用意していたようなパネルを使って、「集団的自衛権」の必要性を説明した。

まさに「自作自演」の茶番劇だったけど、あの滑舌が悪く詭弁に満ちた会見の内容をここで繰り返す必要もないし、あの会見の意味を説明するのなら、次の中曽根康弘元首相の言葉を紹介するだけでコトは足りるだろう。


「現憲法においても集団的自衛権は行使できる。これは解釈の問題だから、総理大臣が公式にそれを言明さえすれば、一時的にいろいろ騒ぎがあるかもしれぬが、そのまま進めれば通用して行く」


これは、2004年11月11日の「衆議院憲法調査会」の公聴会で、熱心な改憲派の中曽根元首相が述べた主張だ。そして、10年の時を経て、この作戦を実行したのが先日の会見だったってワケだ。ようするに「言ったもん勝ち」の作戦だけど、こうした強引な作戦を成功させるためには、背景として「それなりの支持率」が必要だ。支持率の低い首相がこんな作戦を強行したら、一気に退陣に追い込まれちゃう。

だから、第一次安倍政権でも、次の福田政権でも、次の麻生政権でも、この作戦は強行されなかった。そして、「野党がバラバラで敵がいない」という理由で「それなりの支持率」をキープできている今こそ、念願だった「戦争のできる国」へと突き進むチャンスだと判断した安倍晋三が、汚染水対策よりも、原発事故の収束よりも、被災地の復興よりも、経済政策よりも優先して、「集団的自衛権」という「戦争をするための大義名分」を手にするために動き出した今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、今日は、この「集団的自衛権」について書いて行こうと思うんだけど、国の防衛や日米安保の問題については、人それぞれ、いろんな意見や主張があるだろうし、反対意見の人と議論をすれば、たいていは水掛け論になっちゃう。あたしは、水掛け論ほど不毛なものはないと思ってるので、今回は「賛成か反対か」じゃなくて、この「集団的自衛権」が行使できるようになったら、日本はどうなるのか?‥‥ってことについて書いていこうと思う。

ま、ザックリと言っちゃえば「戦争ができるようになる」ってワケで、これはマクラの部分から書いてきてるけど、もっと分かりやすく言えば、「戦争をするための大義名分」として、この「集団的自衛権」てものが存在してる。安倍晋三は15日の会見で「集団的自衛権が行使できるようになっても、湾岸戦争やイラク戦争のような戦闘には決して参加しません」なんて無責任なことを言ったけど、これは単なる詭弁にすぎない。

湾岸戦争やイラク戦争だけでなく、1956年にハンガリー政府の要請を口実にしてソ連が軍事介入した「ハンガリー動乱」も、1965年から10年間も続いた「ベトナム戦争」も、1968年にチェコスロバキア政府の要請を口実にしてソ連が軍事介入した「プラハの春」も、1979年から10年間も続いたアメリカの傭兵軍コントラによるニカラグアの内戦「コントラ戦争」も、他にもたくさんある近年の戦争の大半は、この「集団的自衛権」を大義名分にして火ぶたが切られている。

たとえば、1990年からの湾岸戦争の時だって、クウェートに侵攻したイラクを叩くために、国連安保理の決議を受けて、アメリカ、EU、アラブ諸国が「集団的自衛権」の行使を表明して、総攻撃を開始した。この時、もしも日本も「集団的自衛権」の行使が容認されていたら、日本の自衛隊は、100%、アメリカやEU各国の軍隊と一緒にイラクを攻撃し、敵と一緒に何の罪のないイラクの民間人たちを虐殺していただろう。

日本が今まで、こうした戦争に参加せずに来られたのは、もちろん「憲法9条」によって「集団的自衛権」の行使が認められていなかったからだ。だから、「集団的自衛権」を行使できるようにして、アメリカやEUの国々と一緒に戦争のできる国にしたいのであれば、憲法を改定するしかない。だけど、これを現行の憲法のままで、解釈の仕方をねじ曲げることによって可能にしてしまおう、というのが、中曽根康弘や安倍晋三の考えってワケだ。

でも、これは無理がありすぎる。解釈の変更だけで、今まで「できない」としてきたものを正反対の「できる」にするのは、いくら何でもデタラメすぎる。たとえば、「薄い灰色」を「濃い灰色」だと言うくらいならともかく、「白」を「黒」だと言い変えるのはアリエナイザーだ。


‥‥そんなワケで、憲法の解釈変更の是非は置いといて、ここからは、日本が憲法に違反して実際に「集団的自衛権」を行使した実例を振り返ってみよう。それは、小泉政権下の2003年12月から2009年2月まで強行されたイラク戦争への自衛隊の派遣だ。これは、その前の湾岸戦争の時に、アメリカから「日本は同盟国なんだからカネだけじゃなくて『血の犠牲』も払え!」と言われたために、アメリカの飼い犬の小泉政権下で強行された悪しき実例だ。

もちろん、日本には「憲法9条」があるし、当時は解釈変更なんていう姑息なゴマカシも行なわれていなかったから、自衛隊を派遣するためには憲法の網の目をすり抜けるためのイイワケを考えなきゃならない。そこで、小泉政権では、「人道復興支援活動」と「安全確保支援活動」というタテマエの看板を作り、その前提として自衛隊の活動できる範囲を「非戦闘地域」に限定した。

だけど、「どこが戦闘地域で、どこが非戦闘地域かなんて、どうして分かるのか?」という野党からの質疑に対して、当時の小泉首相は「自衛隊のいる場所が非戦闘地域です」という支離滅裂な答弁を繰り返した。そして、国民の85%の反対の声を無視して、日本の自衛隊はイラクへ派遣されることになった。

で、日本のテレビでは、ヒゲの隊長が現地の人たちに飲料水を配給して感謝されてるような平和的な映像しか流されなかったし、政府は「自衛隊は全員無事に帰還した」なんて報告して、多くの日本国民を騙し続けた。2006年には、当時の外務大臣だった麻生太郎が「日本の自衛隊は、これまで2年半の間に1人の犠牲者も出さずに人道復興支援をやり遂げてくれた。野球で言えばノーヒットノーランぐらいすごいことだ」とコメントした。

でも、実際には、この時点で、複数の自衛隊員が亡くなっていた。この1年後の2007年11月13日、社民党の照屋寛徳衆議院議員(当時)の「イラクから帰還した自衛隊員」に関する質疑に対して、当時の福田康夫首相は、「イラクに派遣された隊員のうち在職中に死亡した隊員は35人」と回答した。内わけは「陸上自衛隊14人、海上自衛隊20人、航空自衛隊1人」で、死因は「自殺」が16人、「病死」が7人、「事故又は不明」が12人だ。

これは、自衛隊のイラク派遣が始まった2002年から2007年10月末までの人数で、年度別に分けると、2002年が2人、2003年が3人、2004年が4人、2005年が8人、2006年が10人、2007年10月現在が8人だ。なんか、2005年から急に倍増してるよね。

それにしても、「事故又は不明」って何?死因が分からない隊員が、1人や2人じゃなくて、何で12人もいるの?‥‥ってワケで、ここで、麻生太郎が「ノーヒットノーランだ」と言った1年前の2005年7月8日の「イラク・レジスタンス・レポート」の「長時間の日本軍基地攻撃はシーア派の敵意増大を反映」という記事の一部を紹介しよう。


「8日午後2時30分、イラク南部の都市サマワにある日本占領軍の基地に対して、イラク・レジスタンス勢力は強力なロケット弾と迫撃砲弾を見舞った。イスラム・メモのサマワ通信員は、レジスタンスの砲撃は1時間15分ほども続き、施設内にサイレンが鳴り響くなかで、濃い煙がたちのぼるとともに、日本占領軍の基地内ではいくつもの二次爆発が発生した。いわゆる「人道支援イラク日本合同司令部」で通訳として働く基地内の情報筋は、イスラム・メモに対して、この砲撃は日本占領兵にも死傷者を出したが、犠牲者のはっきりした数字を示すことができないと語った。」

※全文はこちら
http://www.geocities.jp/uruknewsjapan/0708-2005_Resistance_Report.html


‥‥そんなワケで、イラクの自衛隊のキャンプが砲撃を受けたというニュースは、当時の日本でもちょっとだけ報じられて、あたしも記憶してるけど、雰囲気としては「大したことはなくて負傷者は1人も出ていない」という感じでサラッと流していた。でも、現地の報道では、1時間以上もの長時間の攻撃が続き、日本の自衛隊員に死傷者が出たと報告している。そして、この年、イラクに派遣された自衛隊員は8人も亡くなっている。さらには、この8人が該当するのかは分からないけど、死因が「事故又は不明」が全体で12人もいる。

で、次は、ドバイ在住のPINKさんというハンドルネームの人のブログの2009年5月2日の「英国軍イラク撤退」というエントリーを紹介する。これは、タイトルの通り、英国軍がイラクから撤退したことについて書かれてるもので、日本人のあたしにとっては、耳の痛いことが書かれている。


「911ニューヨーク攻撃犯人は、サウジアラビア人達だと言っておきながら、サウジアラビアは攻めず、イラク人など一人も関わっていなかったにも拘わらず、アルカイダの存在も全くなかったにも拘わらず、イラクへ侵略した欧米日本...イラク人達の犠牲者の数、イラクの苦悩には一言も触れずに、侵略戦争の成功を神様に感謝しながら祈る牧師の姿は、ヤッパリ戦闘服であるのがヤケにピッタリした感じでもあります。」


そして、次のように続いている。


「そう言えば、ワタシが驚いたのは、日本では自衛隊員の犠牲者は一人もなかった...事になっていると言うことでした。何年頃だったか忘れましたが、日本の外では、BBCもCNNも確かに、初めての自衛隊員の銃撃戦による死亡を伝えるニュースを流したことがありました。 少なくとも一人の自衛隊員はイラクで銃撃戦の犠牲になっているのは事実です。」

※全文はこちら
http://blogs.yahoo.co.jp/pinkorangedesert/48038993.html


‥‥そんなワケで、「イラクに派遣された自衛隊員が銃撃戦の犠牲になった」なんて、日本ではまったく報じられていないし、こうしたニュースが海外で報じられたことを知っている日本人は少ないだろう。そして、日本の政府は、亡くなった自衛隊員の死因を「不明」と発表し続ける。なぜなら、「銃撃」や「砲撃」と言ってしまったら、そこが「非戦闘地域」ではなくなり、小泉純一郎が、自民党政権が、憲法違反をしたことが立証されてしまうからだ。

ちなみに、アメリカの当時の大統領のブッシュも、イギリスの当時の首相のブレアも、イラクには「大量破壊兵器」はなかったと認めているが、日本の当時の首相の小泉純一郎だけは、未だに自分の非を認めず、謝罪も説明責任も果たしていない。

10万人とも15万人とも言われているイラク戦争の犠牲者のうち、9割以上は何の罪のないイラクの一般市民であり、子どもや女性が半数以上を占めると言われてるけど、「集団的自衛権」を大義名分にして戦争をふっかけた側の死者の数は、米国の兵士が4487人、英国の兵士が179人、その他の国の兵士が139人だ。

そして、現在も「集団的自衛権」を大義名分にした戦争が続いてるアフガニスタンでは、2014年4月現在で、米国の兵士が2322人、英国の兵士が453人、以下、カナダが158人、フランスが86人、ドイツが54人、イタリアが48人、デンマークが43人、ポーランドが42人、オーストラリアが40人、スペインが34人、グルジアが30人、ニュージーランドが25人、他にもたくさんの兵士が亡くなっている。

安倍晋三は、「海外で日本人に危機が迫っても、今の憲法解釈では集団的自衛権が行使できないので日本人を救うことができないのです」だの「集団的自衛権が行使できるようになっても、湾岸戦争やイラク戦争のような戦闘には決して参加しません」だのと詭弁を並べたけど、ここまで読んでくれば分かるように、この「集団的自衛権」とは「戦争をするための大義名分」なのだ。

もしも日本が「集団的自衛権」を行使できるようになったら、現在のアフガニスタンのように、アメリカとEU各国が「集団的自衛権」を掲げて戦争を始めた時に、日本だけが「参加しない」なんて言えるワケがない。今までは「憲法9条」という盾を使って「非戦」を貫いて来れたけど、その盾がなくなるんだから、結局はナシクズシ的に戦争に参加することになる。

その上、日本はアメリカの子分なんだから、大規模な形での参加を余儀なくされる。さっき挙げたイラク戦争とアフガニスタンで戦死した兵士の数を見れば分かるように、どちらもアメリカの兵士の数が突出している。これは、もちろん動員数に比例したものだけど、日本はアメリカから「同盟国なんだからカネだけじゃなくて『血の犠牲』も払え!」って言われてるくらいだから、アメリカに次ぐ人数の動員を迫られるだろう。そうなれば、必然的な戦死者の数も多くなり、兵士の数が不足してくれば、お次は「徴兵」だ。実際、自民党は、過去に「徴兵制」に関する議論を活発化させようとした前科がある。


‥‥そんなワケで、「消えた年金問題は来年の3月までに、最後の1人まで、最後の1円まで、私の責任において解決すると国民の皆様にお約束いたします!」と連呼した2ヶ月後に「最後の1人まで」どころか「最初の1人」すら解決せずに政権を丸投げした安倍晋三、港湾外にダダ漏れで3キロ沖でも海水の放射性物質の濃度が2倍以上に上昇してるのに「汚染水は港湾内で完全にブロックされています!」なんて宣言しちゃう安倍晋三、こんな男の「集団的自衛権が行使できるようになっても、湾岸戦争やイラク戦争のような戦闘には決して参加しません」なんて言葉は、たとえ地球が逆向きに自転し始めても絶対に信用できないと思う今日この頃なのだ。


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2014.05.18

消えた汚染水

5月15日と16日、新聞やネットニュースの社会面は「美味しんぼ」の件と「集団的自衛権」のことで埋められてたけど、その裏で小さくコッソリと報じられた福島第一原発に関する2つのニュースが、あたしの目にとまった。15日に報じられた「3号機の漏水箇所を初めて特定した」というニュースと、16日の「港湾内と港湾外から過去最高値の放射性物質を検出した」というニュースだ。

まず、16日のニュースから要点だけを書くと、福島第一原発の港湾内と港湾外の5カ所で定期的に計測してる海水の汚染度が、港湾内も港湾外も過去最高値を更新したというもの。新聞の記事によると、12日の測定で、港湾内では先月の計測で1リットルあたり1400ベクレルだったトリチウムが1900ベクレルに、先月の計測で540ベクレルだったストロンチウム90などのベータ線を出す放射性物質が840ベクレルに、それぞれ上昇して過去最高値を更新した、とのこと。

また、港湾外でも、港湾のすぐ外の北側の計測ポイントでトリチウムが8.7ベクレルと過去最高値、さらには港湾の南へ3キロの沖でもトリチウムが4.3ベクレル検出され、これまでの最高値の2倍超を記録した。港湾内の濃度と比べれば、この1リットルあたりの量は少なく思えるかもしれないけど、そう思った人は、海にどれだけの海水があるのかを想像してみてほしい。3キロも離れた沖でもこれだけの数値が出ているということは、このエリアの海にどれほどの放射性物質が流出し続けているのか、それは、「想像を絶する量」だということだ。


‥‥そんなワケで、今回も「いかがお過ごしですか?」は省略して先へ進むけど、港湾内の数値が過去最高値の1.5倍以上になり、港湾外の数値が過去最高値の2倍以上になったことに対して、東電は「原因は分かりません」とコメントした。海では自然界に存在しない放射性物質の濃度がどんどん上昇し続けていて、原発からは高濃度の放射能汚染水が来る日も来る日も大量に海へ流出してるのだから、「原因」は小学生でも分かると思うんだけど、東電には「分からない」そうだ。

で、この前日の15日には、「3号機の漏水箇所を初めて特定した」というニュースが小さく報じられた。これも簡単に説明すると、これまでまったく分からなかった3号機の漏水箇所について、事故後、初めて、配管の継ぎ目から漏れていることを確認した、というもの。ただし、今回見つかった場所からは「鉛筆2~4本程度の太さの水が漏れている」だけなので、「溶け落ちた核燃料を冷やすための毎時4.5トンの注水よりも遥かに少なく、東電は他にも漏水箇所があるとみている」というもの。

ここで驚くべきことは、事故から3年以上も経って、ようやく漏水箇所が1カ所だけ見つかった、ということだ。ちなみに、1号機は去年の11月に2カ所の漏水箇所が見つかってるけど、もちろん、それ以外の漏水箇所は見つかってない。2号機は、未だに1カ所も見つかってない。そして、今回、3号機に1カ所だけ、初めて見つかったってワケだ。


‥‥そんなワケで、ここで、1号機から4号機まで、現在の状況を説明しておく。まず、1号機は、溶け落ちた核燃料が床のコンクリートまで溶かしてる可能性が指摘されてて、どんどん注水を続けて冷やし続けてるけど、内部の状況がまったく分からないから、手がつけられない状態だ。水位は推定で280センチくらいあると言われてるけど、毎時1万ミリシーベルトを超える放射線が出続けているので人間が近づくことはできない。そして、使用済み核燃料が392体あり、地下には高濃度汚染水が約1万3800トン溜まっていると推測されている。

続いて、2号機は、溶け落ちた核燃料は何とか容器の底に留まっていると推測されてるけど、水位はわずか60センチしかなく、どんどん注水している冷却水はどんどん漏れている。放射線量は最も高く、最大で毎時7万ミリシーベルトを超える殺人的な放射線が出続けている。使用済み核燃料が615体あり、地下には高濃度汚染水が約2万700トン溜まっていると推測されている。

3号機も、2号機と同じく、溶け落ちた核燃料は何とか容器の底に留まっていると推測されてるけど、これも東電による「希望的観測」なので、実際のことは何も分かっていない。水位は3基の中では最も高くて、約800センチほどをキープしてるけど、これもどんどん注水してるからの話で、注水をやめたら数時間で核燃料が剥き出しになってしまう。放射線量は毎時5000ミリシーベルト、3基の中では最も低いが、とても人間が作業できるレベルではない。使用済み核燃料が566体あり、地下には高濃度汚染水が約2万3000トン溜まっていると推測されている。

4号機は、皆さんご存知の通り、事故時には点検中で核燃料が抜かれていたから、原子炉そのものは大事故は起こしていない。しかし、事故時には1500体を超える使用済み核燃料があり、クレーンで移送を続けている現在でも700体以上が残っている。放射線量は0.5ミリシーベル前後なので、短時間であれば人間が近づくことができる。地下には高濃度汚染水が約1万7300トン溜まっていると推測されている。

これが、1号機から4号機までの現在の状況だ。で、現在は、4号機の冷却用プールから使用済み核燃料を移送する作業を続けてるワケだけど、ここまでの説明を読めば分かるように、これは、4号機が原子炉の事故を起こしていないから作業できてるワケだ。1号機から3号機までは、冷却用プールから使用済み核燃料を移送するどころか、中がどうなっているのか確認することすらできないのが現状だ。

だから、今回、3号機の漏水箇所が見つかったというのも、遠隔操作のカメラを使って、ようやく見つけられたワケで、他の漏水箇所が見つかるのは、何ヶ月先になるか、何年先になるか、まったく分からない。何しろ、人間が近づくことができないのだから。


‥‥そんなワケで、あたしには、ずっと不思議に思ってることがある。それは、1号機から3号機までを冷却し続けている大量の水の行先だ。今回、3号機の漏水箇所が見つかったというニュースでは、「(配管の継ぎ目からの漏水は)溶け落ちた核燃料を冷やすための毎時4.5トンの注水よりも遥かに少なく、東電は他にも漏水箇所があるとみている」と報じられたので、3号機は1時間に4.5トンの水を注入し続けているということが分かる。

これも、小学生でも分かることだけど、1時間に4.5トンの水を注入し続けているということは、1時間に4.5トンの水が漏れ続けてるということになるよね。漏れてる量よりも入れてる量のほうが多かったら、そのうち上から溢れちゃうし、少なかったら冷却できないからだ。で、東電は、今年の1月に、1号機の冷却状況について、「現在、1号機には毎時4.4トンの注水を続けて冷却しているが、そのうち毎時3.4トンが圧力抑制室付近から漏水していたことが分かった」と発表した。

ようするに、事故から3年以上が経った現在、1号機から3号機までで分かったことは、1号機の圧力抑制室付近と3号機の配管の継ぎ目から水が漏れているということだけで、それ以外はまったく分からない、ということだ。そして、この3つの原子炉に注入し続けている毎時15トンもの大量の水が、いったいどこへ消えているのか、それもまったく分かっていない。

事故から1年後の2012年3月、東電は「2号機に注水している冷却水がすべてどこからか漏れていた」ということをようやく認めたけど、この時点では、2号機だけでも毎時8トン、3基合わせると毎時20トン以上、1日に500トンの水を注入し続けていた。それが上から溢れずに消えてなくなってるんだから、下から漏れてるに決まってんじゃん。こんなことを認めるのに1年も掛かったんだから、まるでギャグ漫画だ。


‥‥そんなワケで、東電のこれまでの工程表を見てみると、冷却用の注水をなるべく「必要最小限」にするように努力してきたことが分かる。事故直後は、2号機だけでも一気に75トンも注水し、その後も毎時60トンずつ注水し続けた。それを少しずつ減らしてきて、3基合わせて毎時20トンでしばらく横ばいして、ここ1年で、また少しずつ減らしてきた。今回、配管の継ぎ目から漏水してたことが分かった3号機も、今年の1月までは毎時5.5トンを注水してたけど、今は毎時4.5トンになった。

だけど、現在でも、3基合わせて毎時約15トン、1日に360トンもの水を注入し続けている。そして、これほど大量の水が、溶け落ちた核燃料に触れて高濃度に汚染され、原子炉や配管の複数の場所から漏れ続け、地下や周辺の土壌へと流出し続けているのだ。

一方、東電は、毎日汲み上げて巨大な貯水タンクに溜め続けてる汚染水について、「山のほうから流れてくる地下水が1日に400トンほどあり、それが原子炉の周辺で汚染されて汚染水になっている」「毎日400トンの地下水を汲み上げないと溢れてしまう」と説明した。だから、流れてくる地下水を原発より手前の「まだ汚染されていない段階」で汲み上げて海へ放出する「地下水バイパス計画」なんてのを発表して、周辺の漁協の了解も取り付け、今月の21日から放水を始めることになった。

でも、そしたら、3つの原子炉に注水し続けて、どこからか漏れて、どこかへ消えてる、毎日360トンの高濃度汚染水はどこへ行ってるの?さらに言わせてもらえば、東電が「1日400トンの地下水を汲み上げないと溢れてしまう」と発表した時点では、3つの原子炉に注入してた水の量は毎時17~18トン、1日に408~432トンだったんだよね。

さっきの1号機から4号機までの現状の説明のとこで、それぞれの原子炉建屋の地下室に溜まってる高濃度汚染水の膨大な量も書いたけど、それぞれの地下室が完全に防水になってたら、とっくに上から溢れてるだろう。地下室のいろんな隙間から外部へ漏れ続けてることは、簡単に想像できる。

ここまで書けば、あたしの疑問は分かったと思うけど、「ホントに地下水なんか流れて来てるの?」ってことだ。もちろん、ある程度の地下水は流れて来てるだろうけど、「毎日400トンずつ汲み上げ続けないと溢れてしまうほどの汚染水が、ホントにぜんぶ地下水なの?」ってことだ。そして、ホントにぜんぶ地下水だと言うのなら、「毎日どこかへ消えてる360トンの高濃度汚染水は、いったいどこへ行ってるの?」ってことだ。つーか、今年1月の東電の最新の工程表には「汚染水をできるだけ減らすために各原子炉への注水量を減らす」って書いてある。なんだ、東電自身が「注水した水が汚染水になってる」って認めてんじゃん。

今回の「地下水バイパス計画」では、当初、試し掘りした汲み上げ用の井戸から採取した地下水のサンプルから、次々と放出基準値を超えた放射性物質が検出された。あたしが記憶してるだけでも3回は基準値を超えたと報道された。それなのに、福島県のすべての漁協がこの計画を容認したとたんに、東電は「これまでに汲み上げた約500トンの地下水の汚染度が放出基準値以下だと分かったので、早ければ21日から海への放出を開始する」と発表したのだ。


‥‥そんなワケで、今年の1月には、福島第一原発から40キロもはなれた、いわき市の沿岸で獲れたクロダイから1キログラムあたり1万2400ベクレルもの高濃度の放射性セシウムが検出され、今月12日には港湾内でも港湾外でも3キロ沖でも過去最高値の放射性物質が検出されたのに、ホントに東電の発表を鵜呑みにして放水なんかさせてもいいの?百歩ゆずって、最初のうちは基準値以下の汚染水だけを放出するかもしれないけど、嘘に嘘を重ねてきた東電なんだから、そのうちまたお得意の「現場の作業員が開閉レバーを間違えた」とか何とか言って、故意に20億ベクレルの汚染水を放出しちゃうんじゃないの?‥‥ってワケで、とりあえず、あたしは、「汚染水は港湾内で完全にブロックされている」と断言した安倍晋三に、港湾外や3キロも沖からも過去最高値の放射性物質が検出された件について、きちんと説明責任も果たしてもらいたいと思ってる今日この頃なのだ。


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2014.05.14

イニシャリズムとアクロニム

interfmで平日の朝7時から10時まで生放送してるピーター・バラカンさんの「Barakan Morning」の中で、毎週水曜日の8時半すぎころから、言語学者で英語学を専門にしてる井上逸兵先生の「Talking About Language」というコーナーが始まる。以前もやってたコーナーなんだけど、しばらくお休みしてて、今年4月から新たにスタートしたコーナーだ。

知ってる人は知ってると思うけど、このコーナーは事前に録音したものを放送してるので、たぶん、このコーナーの間に、ピーターさんや稲葉智美さんはおトイレに行ってると思う‥‥ってなワケで、この「録音」と「おトイレ(音入れ)」をカケるというハイレベルなギャグを展開しつつ、今朝の放送も、とっても面白かった。あたしが説明すると長くなっちゃうので、井上先生が前日の夜にツイートした内容をそのまま紹介しちゃう。


井上逸兵 ‏@ippeiinoue
あす放送のバラカンモーニングTalking about Laguageは、UFOなどアルファベットの頭文字言葉(頭字語)から話が始まって…いろんなところに展開。オチあったかなー。とにかく打ち合わせなしで話してるので、ピーターさんの反応も読み切れず(笑)よろしければどうぞ。
20:29 - 2014年5月13日


‥‥そんなワケで、今日はレイアウトの都合上、「いかがお過ごしですか?」は割愛して先へ進むけど、このツイートの通り、今朝の放送では、井上先生が「アルファベットの頭文字言葉」について話してくださった。あたしが驚いたのは、レーダー探知機とかの「レーダー」も、この「頭文字言葉」だったということだ。

「レーダー」のスペルは「radar」だけど、これは「radio detecting and ranging」の頭文字から作られた単語だそうだ。頭文字と言っても、最初の「radio」からは「ra」の2文字を取り、続く単語から「d」「a」「r」を1文字ずつ取り、これらを並べて「radar」ってワケだ。だから、雰囲気的には「rader」って感じなのに、最後の部分が「er」じゃなくて「ar」になってるんだね。

で、この「radio detecting and ranging」ってのは、「電波で検出して計測するもの」的な意味だから、これだけで「探知機」って意味も含んでる。だから、さっきは「レーダー探知機」って書いたけど、これだと「マグカップ」や「フラダンス」のような重複表現になっちゃう。それぞれ、「レーダー」「マグ」「フラ」が正しい。

続いて、井上先生が教えてくださったのは、スキューバダイビングとかの「スキューバ」だ。ピーターさんは「英語だとスクーバと発音しますね」って言ってたけど、日本でも「スキューバ」と「スクーバ」の両方が使われてる。「セラピー」と「テラピー」みたいだ。で、この「スキューバ」のスペルは「scuba」で、「self-contained underwater breathing apparatus」の頭文字を並べたものだそうだ。直訳すると「自己充足的な水中酸素補給装置」ってワケで、重たそうな空気ボンベとか、口にくわえるホースみたいなやつとか、あのシステム一式のことだ。だから、あのシステムを使ってダイビングすることを「スキューバダイビング」と言うのは重複表現にならない。


‥‥そんなワケで、こうした英語の頭文字を並べた単語は、大きく分けて2種類ある。1つは、「USA(ユーエスエー)」とか「FBI(エフビーアイ)」のように、並べたアルファベットを1字1字そのまま読むもので、これらを「イニシャリズム(initialism)」と呼ぶ。もう1つは、「NATO(ナトー)」とか「AIDS(エイズ)」のように、並べたアルファベットを1つの単語として、新しい読み方をするもので、これらを「アクロニム(acronym)」と呼ぶ。

だから、日本語で「未確認飛行物体」と直訳してる「UFO(unidentified flying object)」の場合は、「ユーエフオー」と読めばイニシャリズムになるし、「ユーフォー」と読めばアクロニムになる。今朝のラジオでは、ピーターさんは日本で「ASAP」を「アサップ」と読んでることについて「ダサいね」と言ってたし、「UFO」に関しても「英語圏でもユーフォーと言う場合もあるけど、多くの人はユーエフオーと言っている」と説明してた。だから、日本人がカッコイイと思ってるアクロニムが、英語を母国語としてる人たちには意外と「ダサい」と思われてるのかもしれない。

「世界保健機関」のことを日本でも「WHO(World Health Organization)」と表記することが多いけど、日本ではアクロニムで「フー」と読む人が多い。だけど、英語圏の人たちの大半は、イニシャリズムで「ダブリューエッチオー」と読んでる。こうした例を見ると、日本人がアクロニムを使うのって、田舎の若者がファッション雑誌を見て「都会で流行してるファッション」をそのまま全身にまとって東京にやってきて、みんなから失笑されてるフレーバーが漂ってきた。


だから、あたしは、自民党が公約を反故にして強引に進めてる「環太平洋経済協定」が、英語では「Trans-Pacific Partnership」で良かったと思ってる。これなら頭文字言葉は「TPP」だから、イニシャリズムで「ティーピーピー」と読むしかない。もしもこれが「TAP」や「TOP」だったら、英語圏の人たちはみんな「ティーエーピー」とか「ティーオーピー」とかって読んでるのに、日本人だけがカッコイイと思い込んで「タップ」とか「トップ」とか言って、英語圏の人たちから「だっせえ!」って思われてたことウケアイだからだ。ま、世界の舞台で恥をかくのは担当大臣の甘利明を筆頭にした安倍政権の面々だけだからどうでもいいんだけど。


‥‥そんなワケで、ここで1つ、面白い例を紹介するけど、あたしでも知ってる有名なのが、タバコの「マルボロ」だ。あたしは中学生のころからF1を本格的に観始めたんだけど、一番夢中になったのが、高校生になってから、アイルトン・セナとアラン・プロストがマルボロカラーのマクラーレンホンダに乗るようになってからだ。あたしはプロスト派だったんだけど、とにかくマクラーレンホンダが大好きだったから、ミニカーも買ったし、「マルボロ」の意味も高校生の時に調べた。

「マルボロ」のスペルは「Marlboro」、「Man always remember love because of romance only.」の頭文字を並べたものだ。これまでに紹介してきた頭文字言葉と違うのは、これは「文章」になってるってとこだ。簡単な文章だから中学生英語で分かると思うけど、「人は常にロマンスのためだけに愛を記憶している」って意味だ。

文章としては単純だけど、頭文字言葉にするには長い部類なので、この「マルボロ」はホントに良くできてると思う。だって、この頭文字言葉って、意外とアバウトなとこがあるからだ。最初に紹介した「radar」の場合は「radio detecting and ranging」の「and」も「a」としてちゃんと利用してるけど、たとえば「NASA」の場合には「National Aeronautics and Space Administration」なので「and」は除外してる。「and」まで入れちゃうと「NAASA」になっちゃってイマイチだからだ。

一方、ちゃんと「and」も使ってる「radar」のほうも、最初の「radio」だけ「ra」の2文字を使うっていうズルをしてる。だって、そうしないと「rdar」になっちゃって読みにくいからだ。これと同じ方式なのが、意味的にも似てる「ソナー」だ。船とかに付いてるやつで、「レーダー」が電波を飛ばして障害物を見つけたり対象物までの距離を算出したりするのに対して、「ソナー」は音波を飛ばす探知機だ。だから、魚群探知機なんかも「ソナー」の一種なんだけど、日本では、船を安全に航行させるために船の前方や左右に音波を飛ばすものを「ソナー」と呼び、船の下に向かって音波を飛ばすものを「魚群探知機」と呼び、使い分けてる。

で、この「ソナー」のスペルは「sonar」、「sound navigation and ranging」の頭文字言葉だから、「radar」と同じで、最初の「sound」だけズルして2文字使ってる。そうしないと、アクロニムで読みにくいからだ。アルファベットを1字1字読むイニシャリズムなら、こんな小細工をする必要はないんだから、この「radar」や「sonar」は、最初からアクロニムにすることを狙ってアルファベットをピックアップしたってことになる。

これと同じなのが、あたしの大好きな「MAX」だ。今は玲奈ちゃんがお休みしてて、ナナさん、りっちゃん、美奈子の3人で活動してるけど、デビューから20年を迎えて30代後半に差しかかった「MAX」は、去年の「Tacata'」の大ヒットで、また新しいファン層を開拓した。

そんな「MAX」だけど、今までに何度も説明してきたように、これは「Musical Active eXperience」の頭文字言葉だ‥‥って言っても、分かりやすいように大文字で書いたけど、最後の「X」だけは、頭文字じゃなくて2文字目を使うというズルをしてる。「radio」や「sound」の最初の2文字を使うズルは、ズルと言ってもちゃんと頭文字も使ってるから、まあ、ギリギリセーフだろう。だけど、頭文字をスルーして、2文字目だけを使うなんて‥‥。

でも、これも何度も説明してるけど、この「Musical Active eXperience」ってのはアトヅケで、ホントは、エイベックスの社長の松浦勝人さんのニックネームの「MAX松浦」から命名されたのだ。松浦さんが自分のニックネームをグループ名にしようと思うほど、4人のメンバーに期待したってワケだ。そして、この「Musical Active eXperience」ってのは、後から「いかにも」って感じで添えられたものだ。


‥‥そんなワケで、最初にあたしは「こうした英語の頭文字を並べた単語は、大きく分けて2種類ある」と言って、イニシャリズムとアクロニムのことを書いてきたけど、「大きく分けて」と言ったのには理由がある。それは、同じアクロニムでも、こうして先に「MAX」という単語が作られて、後から「いかにも」って感じの意味を付けたものを「バクロニム(backronym)」と呼ぶからだ。これは「back」と「acronym」をくっつけて作られた造語で「アトヅケのアクロニム」という意味の呼び名だ。

たとえば、よく耳にする話で、「news」という単語は「north、east、west、south」の頭文字を並べたもので「東西南北いろいろな方面の話題を集めたもの」という意味‥‥って言われるけど、これは完全にアトヅケの語呂合わせで、もともとは「新しい」という意味の「new」を複数形にしただけだ。だから、この話なんかはバクロニムの一種ってことになる。

で、またまた複雑になっちゃうんだけど、このバクロニムも2種類あって、「MAX」のように、音楽グループや企業なんかが、最初にグループ名や企業名を決めて、後から「いかにも」っていう意味を付けるタイプ、いわゆる「公式のバクロニム」と、意味のない単語に一般の人たちが面白い意味を付けちゃう「非公式のバクロニム」だ。そして、英語圏では、後者が圧倒的に多い。

日本版より遥かに信頼できる英語版のウィキペディアで「backronym」の項目を見ると、面白い例がたくさん書かれてる。たとえば、自動車メーカーの「フォード(Ford)」、これはリンク先にも書かれてるように、創立者であるヘンリー・フォードの名前で、日本の「ホンダ」や「トヨタ」と同じワケだけど、ここにはいろんな「非公式のバクロニム」が紹介されてる。


「First On Race Day」(レースの初日)

「Fix Or Repair Daily」(毎日、調整か修理)

「Found On Road, Dead」(道路で死体を発見)


‥‥そんなワケで、こうした例を見れば想像できるように、英語圏では、主に「笑いを取りつつ相手を揶揄」する手段として、このバクロニムが使われてる。だから、「ノーベル平和賞」にノミネートされてる日本の立派な平和憲法をトンチンカンな解釈で捻じ曲げて、アメリカの子分になって世界で戦争をおっぱじめようなんてしたら、安倍晋三は世界中から揶揄の対象になり、アッと言う間に「ABE」に「Addled Brain Egoist(イカれた脳みそのエゴイスト)」なんてバクロニムを付けられちゃうと思う今日この頃なのだ!(笑)


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お知らせです♪

先日はザッケローニ監督の「オオクボ~」というサプライズがスポーツ紙の一面に踊りましたが、今日は「ジレット フュージョンプログライド サッカージャパンモデル」の発売を記念したキャンペーンとして、香川真司選手の強さの秘密に迫る映像をご紹介します!

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2014.05.12

「美味しんぼ」の問題に関する個人的見解

小学館の漫画週刊誌「ビッグコミックスピリッツ」に連載中の「美味しんぼ」(作・雁屋哲、画・花咲アキラ)の「福島の真実編」の内容が波紋を広げてるので、いろんな人が取り上げてるけど、あたしも取り上げることにした。それは、どうしても納得できない点があるからだ。

詳しい内容については、いろんな媒体に取り上げられてるから、ここではいちいち繰り返さないけど、現在の状況をザックリと説明すると、「美味しんぼ」の原作者の雁屋哲氏の主張は、以下の通りだ。


「私は自分が福島を2年かけて取材をして、しっかりとすくい取った真実をありのままに書くことがどうして批判されなければならないのか分からない。真実には目をつぶり、誰かさんたちに都合の良い嘘を書けというのだろうか。「福島は安全」「福島は大丈夫」「福島の復興は前進している」などと書けばみんな喜んだのかも知れない。今度の「美味しんぼ」の副題は「福島の真実」である。私は真実しか書けない。自己欺瞞は私の一番嫌う物である。きれい事、耳にあたりの良い言葉を読み、聞きたければ、他のメディアでいくらでも流されている。今の日本の社会は「自分たちに不都合な真実を嫌い」「心地の良い嘘を求める」空気に包まれている。「美味しんぼ」が気にいらなければ、そのような「心地の良い」話を読むことをおすすめする。」
http://kariyatetsu.com/blog/1685.php


また、「美味しんぼ」に実名で登場している双葉町の前町長の井戸川克隆氏は、「私も鼻血が出ます」「福島では同じ症状の人が大勢いますよ。言わないだけです」「福島に鼻血が出たり、ひどい疲労感で苦しむ人が大勢います」「(鼻血は)被ばくしたからです」「今の福島に住んではいけないと言いたい」などの発言をしている。同じく実名で登場している福島大の荒木田岳准教授は、「福島を広域に除染して人が住めるようにするなんて、できないと思います」と発言している。

これらの内容に対して、これまで「福島は安全だ」と主張し続けてきた人たちは、いっせいに噛みついた。双葉町は「風評被害を増長させる」として小学館に抗議をし、石原伸晃環境相は「原発事故による被曝と鼻血には因果関係はないという評価が専門家から出ている」として「風評被害を引き起こすことはあってはならない」と批判した。そして、この発言を受けて、今度は井戸川克隆氏が「実際、鼻血が出る人の話を多く聞いている。私自身、毎日鼻血が出て、特に朝がひどい。発言の撤回はありえない」と反論して、自分が鼻血を出している写真まで公開した。

すると今度は、福島県が「週刊ビッグコミックスピリッツ「美味しんぼ」に関する本県の対応について」として反論を展開。「本県への不安感を増長させるものであり、総じて本県への風評被害を助長するものとして断固容認できず、極めて遺憾であります。」と厳しく批判した‥‥ってなワケで、今日は「いかがお過ごしですか?」は割愛して先へ進むけど、フランク・ザッパにマトメると、井戸川氏側の主張は「福島県では鼻血を出したり、ひどい疲労感に苦しんでいる人がたくさんいる」「これは原発事故による被曝が原因だ」というもので、雁屋氏は井戸川氏を始めとした綿密な取材に基づいて書いている、というもの。

一方、反論や批判には2種類あって、1つは「福島県に鼻血を出す人がたくさんいるという事実はない」というもので、もう1つは「鼻血を出す人はいるが、原発事故とは何の因果関係もない」というもの。あたしの個人的な意見としては、後者はともかく、前者はあまりにもメチャクチャだと思う。だって、原発事故の直後から、ツイッターでは「鼻血が止まらない」というツイートがたくさん流れて来たし、「自分の子どもの鼻血が止まらなくなったから避難を決意した」という若いお母さんのツイートも覚えてる。

こうした鼻血に関するツイートは、10や20じゃなかったし、何ヶ月後かに福島を取材に行ったジャーナリストも「未だに鼻血が出る」という話をたくさん聞いたと証言してる。だから、「現時点では原発事故と因果関係があるかどうかは分からない」というのならともかく、「福島県に鼻血を出す人がたくさんいるという事実はない」というのは事実を捻じ曲げた物言いだと思う。


‥‥そんなワケで、話はクルリンパと戻るけど、あたしが冒頭で「どうしても納得できない点がある」と書いたのは、自民党のスタンス、そして、福島県のスタンスについてだ。それは、原発事故後の民主党政権下で、当時、野党だった自民党の議員が、国会で、「子どもたちがたくさん鼻血を出している。これでも安全だと言えるのか?」と民主党に詰め寄ったり、当時の双葉町町長だった井戸川氏の鼻血の例を挙げて、民主党政権の原発事故対応を批判していたからだ。具体的に言うと、2012年3月14日の参院予算委員会で、自民党の参議院議員の熊谷大(ゆたか)氏は、民主党政権に対して、次のように質疑をしている。


「(大臣や官房長官は)大きな不安はないと言っていますが、これは(宮城県の)県南のある小学校の保健便りです。4月から7月22日までの保健室利用状況では、内科的症状で延べ人数469名に頭痛、腹痛、鼻出血が出ているんです。こういう結果が出ているのに、それでも本当に不安はないと言えるのですか?」


そして、自民党の熊谷大氏は、翌週3月22日の文教科学委員会でも、次のように質疑している。


「(多くの子どもたちが体調を崩している)そういった状況で、(当時の枝野幸男)官房長官は『人体には影響はない』と繰り返し発表していました。この前の予算委員会でも紹介しましたが、宮城県の南部のある小学校の保健便りを見ると、4月から7月22日までの保健室利用状況では、内科的症状で延べ469名が利用し、頭痛、腹痛、鼻出血の順に多かったのです。平野(博文文部科学)大臣、この事実をどのようにお考えになりますか?」


そして、翌月4月25日の憲法審査会では、自民党の参議院議員の山谷えり子氏が、次のように質疑している。


「(双葉町の)井戸川町長が雑誌のインタビューでこんなことを言っています。『国や東電は、止める、冷やす、閉じ込めると言い張って絶対に安全だと言ってきたが、このような結果になり我々は住むところも追われてしまった。放射能のために学校も病院も職場も全て奪われて崩壊してしまった。私は脱毛しているし毎日鼻血が出ている。この前、東京のある病院に被曝しているので血液検査をしてもらえますかとお願いしたら、調べられないと断られましたよ。我々は被曝させられたのに、その対策もない検査もしてもらえない』、これは本当に重い発言だと思います」


また、6月14日の東日本大震災復興特別委員会では、自民党の参議院議員の森まさこ氏が、次のように質疑している。


「(将来的に子どもたちが原発事故が原因で病気になった場合)被害者の方が、子どもたちの方が、この病気は原発事故によるものだということを立証しなければならない。これはほとんど無理なのです。(中略)具体的には、こんな心配の声も聞いています。子どもが鼻血を出した、これは被曝による影響じゃないかと心配で、診察してもらった、検査してもらった、そのお金はどうなるんですか?ということです」


‥‥そんなワケで、これらの自民党議員の質疑を見れば分かるように、今から2年前の民主党政権下では、自民党は、「原発事故による被曝の影響で、周辺地域では子どもたちに鼻血などの症状が多発している」として、当時の民主党政権の事故対応を批判していたのだ。「安全だ」「直ちに健康に影響はない」と言っていた事故当時の枝野幸男官房長官や、後の平野博文文部科学相を批判していたのだ。

これって、おかしくない?だって、今は自民党のほうが「安全だ」「鼻血は原発事故とは因果関係はない」と言って、実際に鼻血が止まらないと言っている多くの人たちのことを批判してるんだよ。2年間も取材して原作を書いてる人のことを批判してるんだよ。双葉町にしたって、福島県にしたって、今回の「美味しんぼ」の内容を批判するのなら、どうしてこの時は自民党のことを批判しなかったの?複数の自民党議員たちが、これだけハッキリと「多くの子どもたちが鼻血を出している」「原発事故による被曝が原因じゃないのか」と国会で連呼してたのに、どうして「風評被害だ!」って騒がなかったの?

少なくとも、自民党は、当時の双葉町町長だった井戸川氏の鼻血の例を挙げて民主党政権を批判したのだから、今になって井戸川氏の主張を否定するのは、絶対に筋が通らないと思う。これじゃあ、敵対する政権や政党を攻撃する材料に、井戸川氏を利用してただけじゃん、福島の子どもたちを利用してただけじゃん。TPPでも、選挙の前と後とで言ってることが正反対になったけど、自民党のやり方って、あまりにも国民をバカにしてると思う。そして、何よりもかわいそうなのが、こんな政権に利用され続けてる福島の人たち、原発事故の被害者たちだ。


‥‥そんなワケで、「ビッグコミックスピリッツ」の最新号に掲載されている「美味しんぼ」の中の井戸川克隆前町長と主人公たちのやり取りを紹介して、今回は終わりにしようと思う今日この頃なのだ。


井戸川前町長 「今までの対応から、東電と国の言うことを信じてはいけない」

井戸川前町長 「前町長として双葉町の町民に福島県に住むなと言っている」

井戸川前町長 「私はとにかく、今の福島に住んではいけないと言いたい。どんな獣でも鳥でも自分の子供を守るために全力を尽くす。どうして人間にできないんですか。子供の命が大事でしょう。」

海原雄山 「私が福島を回るあいだに感じていたことを井戸川さんに明確に言っていただいて、胸のつかえが下りました」

山岡士郎 「しかし、真実を言うと町長を辞めさせられるこの日本という国は‥‥」


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2014.05.06

プリキュア放送500回を迎えて

今、放送してる「ハピネスチャージプリキュア!」は、「プリキュア10周年」を記念して、冒頭に歴代のプリキュア戦士が1人ずつ登場してお祝いのメッセージを言ってるけど、おとといの5月4日に放送された14話「ヒーロー登場!あいつはいかしたすごいやつ!!」で、とうとうプリキュアは「放送500回」を迎えた!おめでとう!ありがとう!プリキュア!

最初の「ふたりはプリキュア」で、雪城ほのかのおばあちゃん役をやった野沢雅子さんは、第1話のアフレコが終わったあとに、他の声優さんやスタッフのいる前で「絶対に10年続くシリーズにしようね!」って言ったそうだ。まだ1話も放送されていない時点での言葉なので、周りの人たちは誰もが「そのくらいの意気込みでがんばろう」という意味だと思ったそうだ。だけど、この時の野沢雅子さんの言葉が、ホントになった!プリキュアシリーズは10年続き、ついに11年目に突入し、今回の放送で記念すべき500回を迎えたのだ!

そして、10年前の最初の「ふたりはプリキュア」の第1回目の放送から、おとといの放送まで500回、1回も見逃さずにプリキュアをぜんぶ観てきたあたしにも、おめでとう!‥‥ってなワケで、あたしはあたしに「プリキュア皆勤賞」を贈りたいと思う(笑)

つーか、あたしの場合、この「プリキュア」のシリーズの前の「明日のナージャ」もぜんぶ観てるし、その前の「おジャ魔女どれみ」のシリーズも4年間ぜんぶ観てるし、その前の「夢のクレヨン王国」も1年半ぜんぶ観てるし、その前の「花より男子」も、その前の「ご近所物語」も、その前の「ママレード・ボーイ」もぜんぶ観てる。だから、「プリキュア皆勤賞」というよりも、「テレ朝の日曜日の朝8時半からのアニメ皆勤賞」を自分自身に贈りたいと思う今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、今日は「プリキュア500回」を記念して、あたしのプリキュアに対する熱い思いを語りまくろうと思うんだけど、まずはザックリと、ここまでのプリキュアの歴史を見てみよう。


第1作「ふたりはプリキュア」 全49話 (2004年2月1日~)

第2作「ふたりはプリキュア Max Heart」 全47話 (2005年2月6日~)

第3作「ふたりはプリキュア Splash Star」 全49話 (2006年2月5日~)

第4作「Yes!プリキュア5」 全49話 (2007年2月4日~)

第5作「Yes!プリキュア5 GoGo!」 全48話 (2008年2月3日~)

第6作「フレッシュプリキュア!」 全50話 (2009年2月1日~)

第7作「ハートキャッチプリキュア!」 全49話 (2010年2月7日~)

第8作「スイートプリキュア♪」 全48話 (2011年2月6日~)

第9作「スマイルプリキュア!」 全48話 (2012年2月5日~)

第10作「ドキドキ!プリキュア」 全49話 (2013年2月3日~)

第11作「ハピネスチャージプリキュア!」 現在14話 (2014年2月2日~)


「歴史」と言っても、ただ単にシリーズを列挙しただけだけど、この中で、あたしが本当のプリキュア、真のプリキュアだと認めているのは、最初の「ふたりはプリキュア」、通称「無印」だけだ。ものすごくプリキュアのラインをゆるくすれば、「Yes!プリキュア5 GoGo!」くらいまではプリキュアと呼んでもいいかな?‥‥って感じだけど、もともとの出発点が「ふたりはプリキュア」、つまり、女の子2人の「友情と愛情のハザマでゆれる乙女心」がテーマの根幹なんだから、プリキュア戦士が3人以上になった時点で、もうプリキュアとは呼べなくなる。

ボーイッシュで活発な美墨なぎさと、フェミニンでやさしい雪城ほのか、まったくタイプが違い、クラスでもほとんど交流のなかった2人が、偶然にも同じプリキュア戦士に選ばれたことで、誰よりも強い絆で結ばれていくことになり、その友情は、時として愛情へと昇華しかけたりもする。敵の攻撃で倒れたなぎさの手を、ほのかがギュッとにぎる。必殺技を繰り出す時も、2人は手と手をギュッとにぎり合う。どちらかの家に泊って一緒に寝る時には、なぎさの手にほのかの手がそっと触れている。これが、これこそがプリキュアの原点なのだーーー!!

仲良しの女の子同士だけど、男役の「タチ」と女役の「ネコ」がビジュアルや性格からハッキリしてて、それでいてレズビアンには目覚めていない。限りなく百合系を連想させるビジュアル設定なのに、どちらかに片思いの男の子がいれば、もう一方はその恋を応援したりしちゃう。ああ、胸の奥がゾワゾワしちゃって、もう観てらんなーーーい!‥‥って、この「ゾワゾワ感」こそが百合キュアの原点なのだーーー!!

はぁ‥‥はぁ‥‥はぁ‥‥ちょっと落ち着いて、客観的な視点からのことを書くけど、こんなふうに「ふたりはプリキュア」を観てた、あたしみたいな「不謹慎な大人」がたくさんいたせいで、続編の「ふたりはプリキュア Max Heart」では、キュアブラックのコスチュームが「へそ出し」じゃなくなっちゃった。ブラックの縦長のおへそに萌えてたあたし的には、これは制作サイドがプリキュアから百合色を希薄にしていく作戦に出た「宣戦布告」と理解した。

あたしみたいな世の中の「不謹慎な大人」たちが醸し出す変な空気を感じ取った制作サイドは、本来のターゲットである幼い女の子たちの親からクレームが来ないように、作品から百合色を排除していくことにしたのだ。だから、続編の「ふたりはプリキュア Max Heart」では、ブラックのおへそが見られなくなっただけじゃなくて、これまでずっと2人だけで戦ってきたのに、後輩の九条ひかりがシャイニールミナスになって戦うという「3人体制」になっちゃった。

たとえば、なぎさの部屋にほのかがきて2人で宿題をやっていると、ずっと2人きりの空間だったし、邪魔しにくるのは、なぎさの弟だけだった。だから、たとえ邪魔しにきても、観てるあたしはイライラしない。でも、続編になってからは、なぎさとほのかが向かい合って座ってるなぎさの部屋のテーブルなのに、真ん中に九条ひかりがチョコンと座っている。何でお前がいるんだよ!あ゛~~~イライラしちゃう!これじゃあ「おジャ魔女どれみ」ならぬ「おジャマ虫ひかり」じゃないか!


‥‥そんなワケで、皆さんご存知のように、プリキュアには「関連するオモチャをたくさん売らなければならない」という大人の事情がある。これは、番組のスポンサーが大手の玩具メーカーだからで、プリキュアに限らず、仮面ライダーのシリーズにしても、戦隊ヒーロー物のシリーズにしても、玩具メーカーがメインスポンサーの子ども向け番組は、すべて、オモチャの売り上げのために制作されている。だから、対象である子どもたちに支持されないと話にならないのは当然として、その子どもたちにオモチャを買い与える親たちにも気に入られないとダメなのだ。

だから、劇場版「ふたりはプリキュア Max Heart 2 雪空のともだち」の中で、ホワイトが敵に操られてしまってブラックと戦うことになるシーンに関して、全国の多くの親からクレームがあったので、それ以来、プリキュア同士の戦いはタブーになっちゃった。小さな女の子を持つ親にとっては、絶対に仲間同士で戦ったりしない仲のいいプリキュアこそが「子どもに観せてもいい健全なプリキュア」なのだ。

「ドラえもん」の場合は、テレビだといつものび太をいじめてるジャイアンやスネ夫が、劇場版になるとみんなで協力してピンチを乗り越える‥‥ってとこが魅力なワケだけど、いつも仲がいいなぎさとほのかは、この映画の中では、冒頭からギクシャクしちゃう。そして、なんとなく変な雰囲気のままストーリーが進み、とうとうプリキュア同士で戦うハメになっちゃう。だからこそ、そのあとの展開が最高で、あたしは、これまでの劇場版プリキュアの中で文句なしの最高傑作だと思ってるんだけど、これは、2人の百合色を楽しんでる、あたしみたいな「不謹慎な大人」の感想であって、世の中の親たちには、残念ながら受け入れられなかった。

で、制作サイドとしては、「不謹慎な大人」よりも、子どものためにオモチャを買ってくれる親たちに気に入られないと意味がないので、ここからプリキュアは、あたしの望まない方向へと進んでいくことになる。人数も増えて、「健全な友情」を前面に押し出して、「女の子同士の百合的な秘密」を感じる要素は皆無になっていく。その最大のキッカケになったのが、3作目の「ふたりはプリキュア Splash Star」だ。これは、プリキュアシリーズ最大の失敗作なんだけど、何よりの失敗は、主人公の2人を別人に変えてしまったことだった。

予想外の人気でシリーズ化された「おジャ魔女どれみ」の場合は、最初の「無印」で主人公の春風どれみが小学3年生の設定だったので、翌年の「おジャ魔女どれみ♯」では4年生になり、翌年の「も~っと!おジャ魔女どれみ」では5年生になり、翌年の「おジャ魔女どれみドッカ~ン!」では6年生になった。だから、最初の「無印」でファンになった子たちは最後の4作目まで観続けたし、関連するオモチャもたくさん売れ続けた。だけど、「ふたりはプリキュア」の場合は、最初の「無印」が中学2年生で、続編で中学3年生になっちゃったから、もうアトがない。サスガに高校生になっちゃうと、対象としてる子どもたちとの年齢差が大きくなりすぎちゃうので、まったく別の中学2年生の2人を主人公にした、まったく別の「ふたりはプリキュア」が作られた。

だから、なぎさとほのかが好きだったファンの多くが去ってしまい、オモチャの売り上げは劇的に減少しちゃった。具体的な数字で言うと、最初の「ふたりはプリキュア」のオモチャの売り上げが約101億円、2作目の「ふたりはプリキュア Max Heart」のオモチャの売り上げが約123億円だったのに対して、3作目の「ふたりはプリキュア Splash Star」では、約60億円になってしまった。事実、プリキュアシリーズの生みの親である鷲尾天プロデューサーも、3作目の「ふたりはプリキュア Splash Star」については、次のようにコメントしている。


「(Splash Starは)ビジネス的な側面が良くなかった。玩具や商品全般の売り上げが落ちました。印象なんですが、飽きられたところがあったのではと思いました。やっていることは悪くないはず、というイメージをずっと思っていたのでショックが強かった。シリーズを変えなきゃいけないという決断をしたのに、そういう結果が起きている、作っていることは悪くないはずだ、という思いをずっと抱えたまま1年で終わる。消化しきれない思いがあった。」
(「プリキュア新聞」2014年春号より)


これが、大手玩具メーカーをメインスポンサーにした子ども向け番組の何よりも辛いところだろう。たとえば、この時間帯に、「ママレード・ボーイ」の前に放送していた「GS美神(ゴーストスイーパーみかみ)」は、最高視聴率が18%もあったのに、関連のオモチャの売り上げがイマイチだったために、最初の予定の1年だけで終了になった。もしも100億円近い売り上げがあれば、翌年には続編が放送されていたはずだ。同じように、「花より男子」も、アニメはそれなりに人気があったのに、関連商品の売り上げが悪かったから、「ママレード・ボーイ」から続いてきたトレンディーアニメ路線は打ち切られ、幼児向けの「夢のクレヨン王国」が始まった。

ずっと前にも書いたことがあるけど、あたしは、この「夢のクレヨン王国」が大好きで、「不思議の国のアリス」と「ドラゴンクエスト」をミックスしたような世界観に夢中になった。当時のあたしは、事務所を辞めて独立したばかりで、仕事も生活もすごく厳しい時期だったけど、このアニメを観てる時だけは現実を忘れることができた。そして、この「夢のクレヨン王国」を制作した人たちが、大人気シリーズとなる「おジャ魔女どれみ」を生み出したのだ。


‥‥そんなワケで、どんなに人気があっても、どんなに視聴率が良くても、関連するオモチャや商品が売れないと「失敗作」と見なされる厳しい世界だってことは良く分かる。だけど、「フレッシュプリキュア!」から酷くなり始めて、今の「ハピネスチャージプリキュア!」でとうとう臨界点に達してしまった、まるで「オモチャの長編CM」のような内容のプリキュアばかりを観せられてると、サスガに食傷気味になってくる。あの、なぎさとほのかの世界観はどこへ行っちゃったのか、とっても寂しい気持ちになってくる。

なぎさには、いつも一緒にいるラクロス部の親友、莉奈と志穂がいた。背の高いほうが莉奈で、「マジで、マジで、マジで」とか「てゆーか、てゆーか、てゆーか」とか、何でも3回言うほうが志穂だ。あたしは、なぎさとほのかの2人だけの世界が何よりも大好きだったけど、なぎさがこのラクロス部の3人でいる時も好きだった。初代の「ふたりはプリキュア」には、こうした「生きた中学生活」がちりばめられてた。だけど、今のプリキュアからは、まったく感じられない。「ハピネスチャージプリキュア!」のめぐみが学年最低の成績を取って、再テストで合格しないと補修だと言われても、何だかリアリティーが感じられないのだ。

あたしはプリキュアが大好きなので、あえて厳しいことを言わせてもらうけど、今のプリキュアには何かが足りない気がする。女の子にしか分からない、鼻の奥がツンとするような、胸の奥がジーンとするような、多感な少女時代にタイムスリップするような、「ふたりはプリキュア」で感じられたあの不思議な感覚が、今のプリキュアにはミジンも感じられないのだ。それは、「愛」がないからだと思う。プリキュアとしての「プライド」がないからだと思う。

商業アニメである上に、さらにスポンサーのオモチャを売らなきゃならないという重たい十字架を背負っていても、鷲尾天プロデューサーが試行錯誤しながら手掛けてきた「Yes!プリキュア5 GoGo!」までの5作には、少なからず「愛」と「プライド」が感じられた。だけど、それ以降のプリキュアは、まるでアイドルグループのCDのようになってしまった気がする。アイドルグループのCDは、商業音楽なのだから売れなきゃ意味がない。だから、同じ曲なのにジャケットを複数作ったりカップリング曲を変えたりして1人に複数枚買ってもらう。握手券や投票券を同封して1人に何十枚も買ってもらう。

こうした「売れればいい主義」が蔓延した結果、プリキュア戦士の使う武器や道具も、1作の中で何度も進化したり新しいものが登場したりして、1人の子どもに複数のオモチャを買わせる路線へと進んでいった。分かりやすい例を挙げれば、あと2ヶ月ほどで番組が終わるという年末のクリスマスシーズンが近づくと、プリキュア戦士たちも、仮面ライダーたちも、戦隊ヒーローたちも、みんな新しい武器を使うようになる。

これで消費税まで引き上げられたのだから、小さな子どもを持つ親たちは、さぞかし大変な思いをしていることだろう。そして、こうした背景の中で子ども向け番組を制作してる人たちも、いろんな面で苦労していることだろう。ストーリーを練るよりも、関連商品のマーケティングを優先して、オモチャの売り上げが悪いと番組内でテコ入れをしなくちゃいけないのだから、ホントに大変だと思う。

あたしも大人だから、大人の事情は良く分かるし、何も頭ごなしに「売れればいい主義」を批判しているワケじゃない。あたしが言いたいのは、スポンサーが玩具メーカーだという大人の事情を背負いながらも、初代の「ふたりはプリキュア」のように、作品としても最高レベルのクオリティーを保ち、本来の対象である子どもにも対象外の大人にも支持されて、商業的にも成功した例があるということだ。そして、「おジャ魔女どれみ」の成功例を見れば、ファンの望みが「普遍性」であることが分かると思う。

テレビアニメの「おジャ魔女どれみ」では、主人公の春風どれみの小学3年生から6年生までの4年間が描かれたけど、2004年には、どれみたちの小学5年生の時の小さな秘密の話をオムニバス形式で描いた番外編「おジャ魔女どれみナ・イ・ショ」が制作されて、全13話がスカチャンで放送された。そして、高校生になってからのどれみたちを描いたライトノベル「おジャ魔女どれみ16」「おジャ魔女どれみ17」は現在も続いている。このシリーズは、アニメの脚本を書いていた山田隆司さんが「栗山緑」という別名義で書いていて、アニメのキャラクターデザインを担当した馬越嘉彦さんが挿絵を描いているから、アニメの公式の続編という位置づけで多くのファンから支持されている。


‥‥そんなワケで、あたしは、「プリキュア500回」を記念して、500回ぜんぶを観た自分自身に「プリキュア皆勤賞」を贈ることにしたワケだけど、もしもあたしのほうからリクエストを言っていいのなら、いろんな方面からぶっ飛ばされそうな気配を感じつつ、一応、言ってみる。鷲尾天プロデューサーに、なぎさとほのかが高校生になってからのライトノベルを書いてほしい!「無印」のファンは今もたくさんいるから、絶対にヒットするはずだ!‥‥って、サスガにそれは無理だと思うので、あたしが自分で書いて、自分で読んで、自分だけで楽しもうと思う今日この頃なのだ(笑)


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2014.05.04

とっても簡単、チーズケーキ風味のヨーグルトディップ

ツイッターでチョコっとつぶやいたら反応が良かったので、ヨーグルトで作るチーズケーキ風味のディップをブログでも紹介しちゃいま~す♪

まず、用意するものは、450グラムのプレーンヨーグルト、レモン、ハチミツ、これだけです。ザックリと言っちゃえば、ヨーグルトの中に大さじ3杯のレモン汁と大さじ3杯のハチミツを入れて混ぜるだけです。レモンは1個で大さじ4~5杯のレモン汁が搾れるので、1個で足ります。写真は、ビジュアル的なことを考えてレモンを2個置いてみただけです(笑)


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レモンを買ってきて搾るのがメンドクサイヤ人の人は、ポッカレモン的なものでも代用できます。あと、ハチミツもヨーグルトに混ぜるので、なるべくやわらかいもののほうがいいです。瓶の底で固くなっちゃってるようなハチミツの場合は、湯煎などでやわらかくしてください。


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道具は、ボウルとザルとキッチンペーパーです。あたしは、いつもはきれいに洗って消毒した「ふきん」を使ってますが、今回は写真を撮るためにキッチンペーパーを使いました。


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ボウルにザルをセットして、キッチンペーパーを敷きます。


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ヨーグルトを流し込み、ラップをして、冷蔵で一晩、これでOKです。余分な水分が下に落ちて、ほんのりとチーズケーキの風味がする硬めのヨーグルトディップの完成です。


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ポイントとしては、想像以上に水分が出るので、ザルとボウルの隙間が薄いものの場合は、ボウルの中に小皿か何かを入れてからザルをセットして、ザルを少し浮かせること。あと、ボウルに溜まった水分は、栄養もあるしレモネードみたいで美味しいので、捨てずに飲んでください。

あたしはサッパリ系が好きなのでハチミツを大さじ3杯にしてますが、甘いほうが好きな人は多めに入れてください。でも、サッパリ系に作っておいて、食べる段階で甘味が足りないと思ったらハチミツをかける、という方式のほうがいいと思います。

夜のうちに仕込んでおくと、翌朝には出来上がっているので、朝食にバッチリです。薄く切ったフランスパンを軽くトーストして、このディップとブルーベリージャムを乗せると最高です。1人でぜんぶ食べても300キロカロリーくらいなので、ダイエット中の人は、このディップとボウルに溜まったレモネードだけを朝ごはんにするといいと思います。


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あたしは、このディップをクラコットに乗せるのが大好きで、赤ワインを飲む時におつまみにしてます。クラコットはほとんど味がないし、このディップも薄味で甘いものにもしょっぱいものにも合うので、クラコットにディップを乗せてハチミツやジャムをプラスする、という「普通の食べ方」だけでなく、クラコットにディップを乗せてから東京タクワンのミジン切りや高菜のお漬物のミジン切りを散らす、という「斬新な食べ方」も楽しめます。ぜひ、一度お試しくださ~い♪


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2014.05.01

蕎麦とウワバミと迷探偵キッコナン

落語のネタになってる食べ物と言えば、「おそば」が多い。「今、何時(なんどき)だい?」でお馴染みの「時そば」を始め、お殿様がメチャクチャなおそばを打って家来たちを困らせる「おそばの殿様」、信州の山でウワバミと出会った商人の清兵衛が江戸に帰ってきてからおそばの大食い大会に出場する「そば清(せい)」、医者が患者の体内から腹痛の原因の虫をおそばの匂いでおびき出そうとする「疝気(せんき)の虫」など、いくつもの噺がある。いろんな噺家さんたちが、畳んだ扇子をお箸に見立てて、「ズズッ!」と美味しそうにおそばを啜りながら、笑いを届けてくれる。

だけど、これは東京を中心とした江戸落語の世界で、大阪を中心とした上方落語の世界になると、「時そば」が「時うどん」に変わったりする。細かいことを言うと、先に上方落語の「時うどん」が生まれて、それを東京用に変形させたものが「時そば」だとも言われてるけど、今や知らない人はいないほど有名な噺になっちゃった。で、江戸落語の噺家さんたちが、これらの「おそば」の噺を演じる時に、かつて、よく使われたマクラが、おそば屋さんでおそばをお汁(つゆ)にジャブジャブとつけて食べてる人を見かけるたびに、おそばの食べ方の講釈をたれる江戸っ子のネタだ。


「そばの食い方も知らないなんて、お前はどこの田舎もんだあ?そんなにジャブジャブと汁につけちまったら、そばの味も香りも分からないじゃねえか!そばってえもんはな、こうやってそばの先を一寸か二寸ほど汁につけて、ススッと手繰るもんなんだ!」


だけど、この男が死ぬ間際に言ったのが、「一度でいいから、たっぷりと汁につけてそばを食いたかった‥‥」って言葉だった。ようするに、ホントはおそばの味や香りなんか分からないくせに、見栄を張って無理をしてた‥‥ってワケで、これは、暗に「江戸っ子は見栄っ張りが多い」「東京もんはカッコをつけてる奴が多い」ってことを笑いにして、東京に対してコンプレックスを持ってる地方出身者たちの溜飲を下げる意味でも多用されたマクラだった今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、「江戸っ子」や「東京っ子」よりも、地方にルーツを持つ人たちのほうが多くなっちゃった今の東京ではアリエナイザーだけど、昭和の中期ころまでの東京では、地方から上京してきた人たちを小バカにする風潮が強かった。たとえば、おそばをネタにした落語のマクラでも、地方出身者を笑い者にしたものもあった。田舎から上京した人が、東京のおそば屋さんで初めて「ざるそば」を注文したんだけど、食べ方が分からなくて、汁をおそばに掛けたらテーブルがビショビショになっちゃった‥‥ってやつだ。

だから、おそばの食べ方を知らない地方出身者を笑い者にしたネタも、逆に見栄っ張りの東京人を笑い者にしたネタも、どちらにしても、「集団就職で上京」っていう昭和の中期ころまでの背景があってのことで、これらのネタは、時代の流れとともに淘汰されて行った。だから、今さら指摘しても遅すぎるんだけど、この見栄っ張りの江戸っ子のネタって、あたしは、東京の人が自分たちを笑い者にして作ったんじゃなくて、東京のおそばを食べたことがない人が、東京人に対する先入観だけで作ったんじゃないかと思ってる。これは、東京の下町で育ち、食通としても知られてた池波正太郎の次の文章でも明らかになってる。


『江戸っ子は見栄を張って、つゆにちょいと蕎麦をつけて手(た)ぐりこむ。ところが本音は、一度でいいから、どっぷりつゆをつけて蕎麦を食いたい。死ぬ間ぎわに江戸っ子が、「せめて、死ぬ前に、蕎麦をどっぷりつゆにつけて食いてえものだ」といったそうな。この、たとえばなしは、いろいろに流用されているが、ふざけてはいけない。東京の蕎麦の、たとえば「藪(やぶ)」のつゆへ、どっぷりと蕎麦をつけこんでしまっては、とてもとても、「食べられたものではない」のである。あの濃いつゆへ、蕎麦の先をつけてすすりこめば、蕎麦の香りが生きて、つゆの味にとけ合い、うまく食べられるのである。つゆがうすければ、どんな江戸っ子だって、じゅうぶんにつけてすすりこめばいいのだ。』


これは、池波正太郎の『食卓の情景』(新潮文庫)の中の「蕎麦」の項の一節だけど、あたしもホントにこの通りだと思う。東京の老舗のおそば屋さんは、どこもお汁がすごく濃いから、おそばをぜんぶつけたら、しょっぱくて食べられなくなっちゃう。スーパーで売ってるキッコーマンとかヤマキとかの「めんつゆ」で濃縮タイプのやつがあるでしょ?2倍濃縮とか3倍濃縮とかのやつ、あれをお水で薄めずに、原液のまま使ってる感じ。大ゲサじゃなくて、ホントにそれくらい濃い。

だから、おそばの先を数センチだけつけて「ズズッ!」と啜れば、ちょうどいい。おんなじ麺類でも、お素麺や冷麦、ラーメンのつけ麺なんかとは違って、お寿司にお醤油をつけるイメージに近い。にぎり寿司を逆さ向きにして、ネタの端っこにチョイとお醤油をつけてからバクッと食べるのに近い感覚だ。今は、東京のおそば屋さんも大半が田舎風の薄いお汁を使うようになっちゃったけど、江戸時代から続くホントの江戸風のおそばを出してる老舗は、どこも、こうした濃いお汁を出してる。だから、あたしは、見栄っ張りの江戸っ子が死ぬ間際に「たっぷりとお汁をつけて食べたかった」っていうネタは、東京のおそばを食べたことがない人が作ったんじゃないかと思ってるワケだ。


‥‥そんなワケで、どうして東京の老舗のおそば屋さんのお汁がこんなに濃いのかって言えば、これこそが江戸のおそばのルーツだからだ。江戸時代の中期、おそばの専門家の日新舎友蕎子(にっしんしゃ ゆうきょうし)が寛延4年(1751年)に出した『蕎麦全書』という本の中に、当時のおそばのお汁の作り方が書いてあるんだけど、これが、あまりにもスサマジーのだ。

この本に書かれてる当時の江戸のおそばのお汁って、「お醤油を1升、お酒を4合、お水を4合、これを合わせて細火で1時間煮込む」というもの。お醤油を「10」とすれば、お酒とお水が「4」ずつなんだから、お醤油は2倍にもなってない。その上、1時間も煮込むんだから、さらに味は濃くなる。ダシなんて使ってないし、これじゃあ単なる「ちょっと薄めたお醤油」だ。

だから、あまりにもしょっぱいと思う人は「大根おろしを搾った汁で薄めるように」なんて注意書きまでしてある始末。こんなものが当時のお汁だったのだから、おそばをどっぷりとつけたら、しょっぱくて食べられないに決まってる。お寿司やお刺身にお醤油をつけるように、端っこにチョイとつけて、おそば本来の味や香りを楽しむってのが、東京のおそばのルーツだったのだ。だから、時代が流れて、いろいろと工夫されて、返しをダシで割るようになっても、「濃いお汁をチョイとつける」というスタイルだけは守られて来たのだ。


‥‥そんなワケで、この本の中には、もっと興味深いことが書かれてる。それは、「そば湯」に関しての記述だ。この本によると、もともと江戸では「そば湯」を飲むという習慣はなくて、おそばを食べたあとには「お豆腐のお味噌汁」を飲むのが定番になってたと書いてある。当時の江戸のおそば屋さんでおそばを注文すると、最後に「お豆腐のお味噌汁」が出てきて、これを「仕上げ」にしてたワケだ。

この本には、おそばの専門家の友蕎子さんが、用事で信州の諏訪を訪ねた時のことが書かれてる。信州と言えばおそばの名産地なので、友蕎子さんがワクワクしながら旅館でおそばを注文すると、想像していた通りに美味しくて大満足だった。でも、驚いたのが、おそばを食べ終わったらすぐに「そば湯」が出て来たことだ。友蕎子さんは、「そば湯」を勧めてくれた旅館の主人に対して、次のように質問した。


「江戸では、そばを食べたあとは食あたりを防ぐために豆腐の味噌汁を飲むのが定番になっているのですが、どうしてここでは、そば湯なのですか?」

「この辺りでは、そばのあとはそば湯と決まっているのです。そばを食べたあとにそば湯を飲むと、とても消化が良くなって、どんなに食べ過ぎても腹にもたれず、胃の調子が良くなるのですよ」


そして、江戸に戻った友蕎子さんは、そば好きの友人たちに「信州風のそばを食わせてやる」と声を掛けて自宅に招き、自分で打ったおそばを振る舞ったあとに「そば湯」を出したのだ。そしたら、これが大好評で、これをキッカケにして、江戸でも「そばのあとはそば湯」というスタイルが広まって行った‥‥ということが書かれてる。つまり、友蕎子さんがいなかったら、今でも東京のおそば屋さんでは、最後に「お豆腐のお味噌汁」が出されてたかもしれないのだ。


‥‥そんなワケで、ここでクルリンパと冒頭に戻るんだけど、あたしが今日のマクラで最初にあげた「おそば」をネタにした落語の演目の中に、「そば清(せい)」があった。「そば清」は、別名「蕎麦の羽織」とか「羽織の蕎麦」とか言われてる噺だけど、これが、まるで友蕎子さんの体験談を元にして作られた噺みたいなのだ。

冒頭では、あまりにもザックリとしか説明しなかったので、もうちょっと詳しくアラスジを書くと、江戸で商売をしている清兵衛さんは、おそばの大食いが特技だった。でも、おそばの大食い大会には、なかなか勝つことができない強敵がいた。で、ある日のこと、仕事の用事で信州を訪ねた清兵衛さんが山道を歩いていると、巨大なウワバミが狩人を丸飲みしてる現場を目撃しちゃう。ウワバミってのは『星の王子さま』でゾウを丸飲みしちゃう巨大なヘビのことだ。

狩人を丸飲みしたウワバミは、お腹の真ん中がパンパンに膨れ上がって苦しそうだった。でも、木陰に隠れて清兵衛さんが見ていると、ウワバミは近くに生えていた草をペロペロと舐め始め、すると、アッと言う間に膨れてたお腹がへこみ、ウワバミは満足したように山奥へ帰って行った。


「はは~ん!あれは消化が良くなる草なんだな!」


そう思った清兵衛さんは、ウワバミが舐めていた辺りの草を刈って風呂敷に包み、大切に江戸へと持ち帰った。そして、次のおそばの大食い大会の日がやって来た。清兵衛さんは勢いよく、おそばを食べ始めた。1枚、2枚、3枚と、清兵衛さんの前に食べ終えたセイロが積み上げられていく。だけど、20枚を超えたあたりから、さすがにお腹が苦しくなって来た。ライバルの強敵を見ると、もう30枚に届こうとしていた。


「これはヤバイ!」


そう思った清兵衛さんは、いったん、おそば屋さんを出て、物陰に隠れて例の草をムシャムシャと食べた。これで消化が良くなるはずだ。一方、店の中で勝負を見守っていた人たちは、いつまで経っても清兵衛さんが戻って来ないので、心配して外を見に来た。すると、今まで清兵衛さんがしゃがんでいた場所に、おそばの山があり、その山に清兵衛さんの羽織だけが掛けられていた。清兵衛さんが「消化が良くなる草」だと思い込んでいたものは、実は「人間を溶かす草」だったのだ‥‥。


‥‥そんなワケで、こうしてアラスジだけを読むと、落語の演目というよりも星新一のショートショートみたいに感じるかもしれないけど、これもレッキとした落語なのだ。で、この噺って、友蕎子さんの体験談に似てると思わない?もちろん、友蕎子さんの体は溶けてないけど、「おそばが好きな人が仕事の用事で信州に行く」→「信州でおそばをたくさん食べても消化が良くなるものを教えてもらって江戸に帰ってくる」っていう流れが、あまりにも似すぎてる。だから、頭脳は子どもでもベッドでは大人、迷探偵キッコナンは、友蕎子さんの書いた『蕎麦全書』を読んだ人が、友蕎子さんの体験談を元にして落語の「そば清」を作ったんじゃないかと推理してみた今日この頃なのだ。


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