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2014.06.01

30年後の約束、10万年後の約束

政府が6月中旬に閣議決定する2013年度の「エネルギーに関する年次報告」、通称「エネルギー白書」の中に、「原子力政策の再構築」という目標が掲げられて「原発再稼働を進める方針」が明記されてることが分かった。ま、これは、今の安倍政権がやってることを見れば誰にでも簡単に想像できることだけど、何よりも呆れるのが、原発を推進する理由の1つとして、まだ懲りずに「地球温暖化問題の対策として温室効果ガスを減らすため」なんていう大嘘を書いてることだ。

いわく、すべての原発を止めたせいで、全国の電力会社から出る温室効果ガス(CO2)が、この2年間で約30%(1億1200万トン)も増えてしまい、それによって日本全体の排出量も約8%増の12億800万トンに膨らんでしまった。だから、少しでも早く原発を再稼動すべきだっていう論調なのだ。「原発は温室効果ガスを出さない」なんてのは、原発を推進するために作られたアトヅケのペテンで、発電所の建設から使用済み核燃料の処理までの全工程を見れば、原発だって大量の温室効果ガスを排出してるのに‥‥つーか、毎時1000万ベクレルの放射性物質と1日400トンの放射能汚染水を空と海へ垂れ流し続けてることはスルーかよ?

ちなみに、過去の試算では、すべての発電の「最初から最後まで」の温室効果ガス排出量を比較してみると、石炭火力よりは原発のほうが多少はマシだけど、天然ガスやバイオマスの火力よりも原発のほうが遥かに大量の温室効果ガスを排出してることが指摘されてる。これは「原発は発電コストが安い」というペテンも同じだ。使用済み核燃料の処理費用や廃炉費用を試算に入れずに、単に発電過程に掛かる費用だけを割り算して、1キロワット当たりのコストを算出して「原発は発電コストが安い」と言ってるだけだ。使用済み核燃料の処理費用や廃炉費用を含めて計算したら、原発は火力よりも発電コストが高くなる。

ようするに、温室効果ガスの排出量にしても、発電コストにしても、原発を推進したい人たちが、原発を推進するための理由づけのために、都合のいい計算方法で算出した都合のいい数字を並べてるだけなのだ。そして、人類史上最悪の原発事故を起こし、未だに事故収束のメドも立っていないというのに、未だに大量の放射性物質を排出し続けているというのに、未だに多くの人たちが苦しい避難生活を続けているというのに、こんなペテンを並べて原発を推進し続ける安倍政権って、世界一の「無責任政権」だと思う今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、昨年12月から今年1月にかけて、経産省は国民に「国のエネルギー計画」に関する意見を募るパブリックコメントを実施した。もちろん、あたしは「原発はすべて廃炉にする方向で、地熱や地熱バイナリ―や小水力などの再生可能エネルギーを推進すべき」という意見を送った。このパブリックコメントには1万9000人を超える意見が寄せられたが、経産省は原発に対する賛成と反対の具体的な数字は発表せず、賛成派と反対派の代表的なコメントを何件か紹介しただけだった。

このパブリックコメントは、安倍政権の指示で行なわれたもので、安倍政権はパブリックコメントの結果を踏まえた上で今後の国の「エネルギー計画」を策定すると言った。そして、今年1月、安倍政権が発表した「エネルギー計画」の原案には、思いっきり「原発推進」「再稼動推進」が明記されていて、4月に閣議決定された本案には、「原子力を重要なベースロード電源として」だなんて、またまたお得意のトンチンカンな造語が炸裂してた。

で、今度は、今月の中旬に閣議決定する「エネルギー白書」で、さらに「原発推進」「再稼動推進」を明記して、原発事故も原発事故の被害者たちもホッタラカシにしたまま、破滅への道を邁進しようとしてるワケだ。だけど、ホントにこれでいいの?日本は「民主主義国」じゃなかったの?「国民の声」は無視したままでいいの?あのパブリックコメントはどうなったの?‥‥ってなワケで、頑なにパブリックコメントの内容を伏せていた経産省に対して、朝日新聞が開示請求をした。

そしたら、大変な事実が分かっちゃった!経産省が開示したぶんを見ると、「原発に反対」が95.2%、「原発に賛成」が1.6%、「その他」が3.2%だったのだ!これじゃあ、数字を隠して何件かのコメントだけを公表してお茶を濁したのもよく分かる。そして、この数字を見たのに、安倍政権は涼しい顔で「原発推進」「再稼動推進」を盛り込んだ「エネルギー計画」を発表してたのだ!

百歩ゆずって、反対が6割で賛成が4割くらいなら強引に推進しても分かるけど、95%以上の人が反対してるんだよ?もともと、パブリックコメントなんて、政府が「一応は国民の意見も聞きましたよ」っていう既成事実づくりのためのシステムだから、この結果が政策に反映されたケースなんてほとんどないけど、今回のケースはあまりにも悪質だ。ちなみに、このインチキシステムについては、2005年11月5日のエントリー、「パブリックコメントと言うイイワケ」に実例を挙げて書いてるから、興味のある人は読んでみてほしい。


‥‥そんなワケで、原発を推進する人たちは、自分たちに何らかのメリットがあるから推進してるワケで、そういう人たちは、多くの国民がこうむるデメリットについてはまったく考えていない。だから、ずっと「原発は安全だ」「原発は絶対に事故など起こさない」と言い続けてきたワケだし、実際に大事故が起こっても、何の安全対策も取っていない大飯原発を「安全性が確認された」なんて大嘘をついて再稼動させちゃうワケだ。

日本が世界有数の地震大国であることは、推進派でさえも認めてる事実だし、実際に地震が原因で大事故が起こった。そして、3年以上が経った今も、事故は収束のメドも立たないどころか、原子炉の中がどうなってるのかも分からない状態だ。だから、地震や津波への対策をするとかしないとか、安全基準を厳しくするとかしないとか、そうした「再稼動ありき」の議論をするんじゃなくて、「日本には原発は無理」っていうスタート地点に立って、「じゃあ原発の代わりをどうするか?」っていう議論をすべきなのだ。

だけど、別に原発推進派の肩を持つワケじゃないけど、大地震がいつ起こるかなんて誰にも分からないし、もしかしたら、起こらないかもしれない。ある程度の地震は、これからも起こり続けるだろうけど、原発が大事故を起こすほどのレベルの巨大地震は、あと何百年も起こらないかもしれない。つまり、今やってる地震や津波への対策とか、安全基準の強化とかってのは、あくまでも「もしも巨大地震が起こったら」っていう不測の事態に対する準備ってワケだ。

そして、安倍首相を筆頭に推進派の人たちは、この「いつ起こるか分からない巨大地震への対策」さえできていれば、原発は絶対に安全だ。原発は何も問題ない。原発は低コストで安定的に電力を生み出せる夢の発電だ‥‥っていうスタンスで再稼動を進めてる。だけど、それは根本的に大間違いだ。原発を再稼動させたら、たとえ巨大地震が起こらなくても、たとえ事故が起こらなくても、必ず「使用済み核燃料」という地球上で最も危険で厄介な粗大ゴミが生産されてしまうからだ。


‥‥そんなワケで、今日は最後に、この「使用済み核燃料」について、ちょっと書いてみようと思うんだけど、まず、この詐欺のようなネーミングだ。こんな名前をつけちゃうと、まるで、使い終わった乾電池や使い終わった百円ライターみたいなものを想像しちゃう。実際、3.11以前には、「新品の核燃料には放射性物質がたくさん詰まってて危険だけど、使用済み核燃料は放射性物質をぜんぶ使い終わってるから安全だ」なんていうトンデモ認識の人がいたくらいだ。

ザックリと言っちゃえば、新品の核燃料よりも使用済み核燃料のほうが遥かに危険だ。使用済み核燃料の放射線量は新品の1億倍にもなり、原子炉から取り出したばかりの使用済み核燃料に人間が近づいたらすぐに死んでしまう。これは、新品に入ってる放射性物質はウランだけだけど、使用済み核燃料には核分裂で生成された200種類以上の放射性物質が詰まってるからだ。

例えば、加圧水型原子炉用の1トンの核燃料の場合は、新品は、ウラン238が955キロ、ウラン235が45キロ、合わせて1トンだ。そして、これを燃料として使用すると、ウラン238は29キロ減って926キロになり、ウラン235は35キロ減って10キロになり、両方の減ったぶんは、10キロのプルトニウムを始め、ストロンチウムやセシウムなどのいろんな核種になる。最初からあったウランの量は1割も減ってない上に、毒性の強い危険な放射性物質が山盛りに作られちゃうんだから、「使用済み核燃料」なんてネーミングだけど、使い終わった乾電池や使い終わった百円ライターとはぜんぜん違うってことが分かったと思う。

そして、こんなにも危険だから、原子炉から取り出した使用済み核燃料は10年以上もプールに沈めて冷却し続けてから移動するんだけど、それでも、地球上に存在する毒物の中で最も危険で、少なくとも10万年、本当に安全になるまでは100万年も掛かる。安全になるまで10万年以上も掛かる猛毒を増やし続けるなんて、これほど危険で無責任なことはない。

1970年に関西電力の美浜原発が営業運転を始めて、翌年の1971年に東京電力の福島第一原発が営業運転を始めたのを皮切りに、日本の原発ラッシュが始まったワケだけど、それから原発事故が起こる2011年までのわずか40年間で、日本列島には1万9000トンもの使用済み核燃料が山積みされてしまった。原発が「トイレのないマンション」と呼ばれているのは、運転すれば必ず生み出される使用済み核燃料の安全な最終処分方法も分からないまま見切り発車した「未完成の技術」だからで、この膨大な量の猛毒は、今も行き場がないまま全国に散らばっている。

そして、安倍政権の「エネルギー計画」の通りに再稼動が進み、3.11以前と同じように全国の原発が運転を始めたとしたら、日本の使用済み核燃料は、1年に1000~1200トンずつ増え続けて行くのだ。だけど、もう日本には、原子炉から取り出した使用済み核燃料を保管する場所がほとんどない。全国の原発のプールで冷却されている使用済み核燃料は、冷却を終えたものから順番に青森県六ヶ所村の再処理工場に運ばれてるけど、ここのキャパは3000トンで、すでに、ほぼ満タンだ。

あとは全国の原発の冷却プールだけど、ぜんぶ合わせても6000トンくらいの余裕しかない。それも、危険な詰め込み方をしての話だ。大事故を起こした福島第一原発でも、プールの中の燃料棒と燃料棒の間隔は安全性を考えて40センチと決められてたのに、入りきらなくなって30センチにしちゃった。ようするに、5人用のベンチに7人を無理やりに座らせてる状態ってワケだ。


‥‥そんなワケで、現在の全国の冷却プールの余裕は約6000トンなので、もしも3.11以前と同じように原発を再稼動したら、5年か6年で満タンになっちゃう。だけど、そんなことは何年も前から分かってたので、東京電力と日本原子力発電は、青森県むつ市に中間貯蔵施設を建設した。去年の8月に完成した貯蔵庫のキャパが3000トンで、あと2000トンの貯蔵庫を増設する計画なので、ぜんぶ完成すれば5000トンになる。当初の予定では今年10月に運用開始することになってたけど、原発事故が起こって安全基準が新しくなったから、いつから運用できるか分からない状態だ。

でも、無事に運用開始できたとしても、この施設には問題がマウンテンだ。もともとは六ヶ所村の再処理施設の貯蔵所のフォローとして造られたワケで、ここで一時的に保管された使用済み核燃料は、順次、六ヶ所村の再処理施設へ運ばれて、どんどん再処理されていく‥‥って計画だった。でも、カンジンの再処理施設が、トラブルに次ぐトラブルの上に、耐震偽装まで発覚しちゃって、さらには施設の直下に巨大な活断層があることまで分かっちゃった。だから、いつから再処理できるか分からないどころか、施設そのものがNGになる可能性まで出てきたのだ。そうなると、むつ市の施設は「名ばかりの中間貯蔵施設」ということになり、実際には受け入れ先のない使用済み核燃料を保管する「最終処分施設」になってしまう。

これじゃあ、石原伸晃環境相が福島県内に造ろうとしてる高レベル放射性廃棄物の中間貯蔵施設と同じことになっちゃう。あれだって受け入れ先のない危険な核のゴミを「30年だけ」って約束で保管させてもらう「名ばかりの中間貯蔵施設」だ。石原環境相は何の根拠もなく「30年以内に県外へ移動すると確約します」だなんて、民主党政権時の細野豪志環境相とソックリ同じセリフを繰り返してるけど、現在57歳の石原環境相は、30年後には87歳だ。当然、現役で政治家を続けてるワケはないし、それどころか生きてるかどうかも分からない。

たとえば、最終処分場の候補地がいくつもあって、すでに複数の交渉が進んでて、その上で福島県に「30年だけ」って約束したのなら分かるけど、まだ先のことは何ひとつ決まってないのに、「30年くらいあれば誰かが何とかしてくれるだろう」くらいの軽い気持ちで、こんな約束をしちゃう無責任男、さすがは「汚染水は完全にブロックされている内閣」の閣僚だけのことはある。


‥‥そんなワケで、巨大地震が起こらなくても、福島第一原発のような過酷な事故が起こらなくても、何の問題も起きずに安全に運転し続けたとしても、原発を再稼動させたが最後、安全になるまでに10万年以上も掛かる使用済み核燃料という地球上で最も危険で厄介な核のゴミが大量生産され続けてしまうのだ。福島県に押し付ける高レベル放射性廃棄物を、30年後までに県外へ移動するという約束でさえ、何の根拠も担保もないのに、10万年後のことなんか誰にも分からない。第一、使用済み核燃料をそのまま処理する場合でも、再処理する場合でも、最終的に封入するオーバーパックという金属性の容器は、最大でも1000年程度しか持たないのだ。安全になるまでに10万年以上も掛かるのに、1000年しか持たない容器に入れて保管するという無責任さ。いったいどこの誰が1000年後に新しい容器と交換してくれると言うのか?結局、今のあたしたち人類にできる最善策は、「せめてこれ以上は核のゴミを増やさないこと」という一点しかないと思う今日この頃なのだ。


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