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2014.06.18

石原伸晃環境相の「金目でしょ」発言について

石原伸晃環境相の「金目(かねめ)でしょ」発言が批判を浴びている。石原環境相は大慌てで形だけの謝罪はしたものの、カンジンの「発言の撤回」はしなかったため、さらに「火に油」で、福島の人たちの怒りは頂点に達しようとしている。

コトの流れをザックリと説明すると、除染作業で出た土や枯葉などの膨大な量の高濃度放射性廃棄物を、最終処分場が見つかるまでの間、一時的に保管しておくための「中間貯蔵施設」を福島県内に造ろうとしてる政府が、候補地である大熊町と双葉町の住民に対しての説明会を何度も行なって来た。で、15日にも説明会があり、その結果報告を受けた担当大臣の石原環境相が、16日午後、官邸で菅義偉官房長官に面会して今後の事業日程などを報告した。そして、その面会後のぶらさがり会見で、石原環境相は記者団に次のように述べたのだ。


「(菅官房長官には)住民説明会が終わったから今後の日程について話をした。最後は金目でしょ?(菅官房長官は)こちらが提示した(住民への補償の)金額については特に何も言っていなかった」


あまり日常では使われない「金目」という言葉だけど、漫画や落語やコントなどで、強盗が包丁を突き付けて「金目の物を出せ!」というセリフを見たり聴いたりした人は多いだろう。「金目」とは「金銭的に高額」という意味で、石原環境相の使い方はちょっと変だけど、ま、これがこの人の国語レベルなんだろう。

で、政府は、大熊町と双葉町の計約16平方キロメートルの用地を買い取り、そこに「中間貯蔵施設」を建設する計画だけど、現時点では大熊町も双葉町も計画を受け入れていない。そのため、これまでに16回の住民説明会が行なわれて来たんだけど、これについて担当大臣が「どうせ住民はカネが欲しいだけだ」「最後は金額の問題だ」と受け取れる発言をしたってワケだ。

住民説明会と言っても、大熊町と双葉町の建設予定地やその周辺に人は住んでいない。高濃度の放射能汚染で強制的に避難させられ、隣近所だった住民たちが各地にバラバラにさせられて、もう3年以上も辛い避難生活を続けているのだ。だから、いわき市や会津若松市などで行なわれる住民説明会に出席するためには、遠い避難先からわざわざ出て来なくてはならない人たちも多い。それなのに、遠い避難先からわざわざ出て来ても、そこには担当大臣である石原環境相の姿はないのだ。

住民説明会は、5月31日から6月15日までに複数の会場で計16回開かれたけど、石原環境相はただの一度も出席していない。説明会に顔を出すのは環境省の役人だけで、何を聞いてもマニュアル通りの答えしか返って来ない。遠い避難先からわざわざ出て来た住民たちからは「なぜ担当大臣が直接説明しに来ないのか!」という批判が相次いでいた。で、今回の「金目でしょ」発言だ。住民たちが激怒するのは当然だろう。

そう言えば、石原環境相って、去年の3月に除染の下請け業者が除染した土や落葉をそこらの川や池に投げ込んでた「デタラメ除染」が発覚した日にも、環境省に登庁してなくて、行方知れずで連絡が取れなかったんだよね。そして翌日、ようやく連絡が取れたと思ったら、この日はゴルフを楽しんでから宴会をしてたってことが分かったんだよね。だから、今回の住民説明会にしたって、16回の日程すべてを「より重要な他の仕事」で欠席したとは思えない。「どうせゴルフか宴会だろ?」と思われても仕方ないだろう。


‥‥そんなワケで、今日は「いかがお過ごしですか?」は省略して先へ進むけど、まずは、今回の石原伸晃環境相の「金目でしょ」発言を受けての住民たちの声の一部を紹介する。


大熊町の渡辺利綱町長「石原大臣は、お金に換えられない故郷の価値を訴える住民の声が理解できないのか」


双葉町の伊沢史朗町長「住民の気持ちを逆なでする発言で残念だ」


大熊町の建設候補地に含まれる行政区の区長で会津若松市の仮設設住宅に避難している根本充春さん(74)「町民を侮辱する話だ。ここまで言われる筋合いはない。町民は故郷を追われあちこちで暮らしている。私たちに苦しみを押しつける立場の人間が『金さえ払えばいい』というような話をするのは納得が行かない」


別の行政区で区長を務める木幡仁さん(63)「自民党が原発政策を推進した結果として、全町民が避難を強いられている。その責任も取らずに、こんな発言をするのは人を小バカにしているとしか言えない。上から目線のこの失言は絶対に許せない」


大熊町から新潟県に避難している森口須美枝さん(71)「石原さんは先祖代々の土地を泣く泣く手放す辛さをまったく分かっていない。金なんて要らない、家に帰りたいという人がほとんどだ」


大熊町からいわき市に避難している出羽秀一さん(56)「金銭問題を前面に出すこと自体、大臣が住民の思いを理解していない証拠だ」


大熊町から会津若松市に避難している根本友子さん(66)「3年余り、ずっと帰れる日を待っていたのに、中間貯蔵施設建設で追い出される者の気持ちを踏みにじる発言だ。お金なんか要らない。故郷を元に戻してほしい」

 
双葉町からいわき市の仮設住宅に避難している山田史子さん(56)「本当は震災前の双葉町を返してほしいという町民の気持ちを石原大臣は何も分かっていない。もう政府は信用できない」


‥‥そんなワケで、いっせいに反発した大熊町と双葉町の住民たちの声を受けて、これまでずっと政府寄りだった佐藤雄平福島県知事も「故郷を思う住民の気持ちを全く顧みない言葉だ。人として『金目』などという言葉を使ってはだめだ」と批判した。そして、福島県議会は17日、「住民の尊厳を踏みにじるものであり、到底容認できない」として、発言の撤回を求める抗議文を石原環境相に提出した。

だけど、石原環境相は発言を撤回しなかった。「品を欠く発言で不快な思いをされた方々には心からお詫びしたい」と謝罪したけど、問題の発言自体については「誤解」だと説明して、「正式な会見で話したことではない」という理由から撤回しなかった。

今回、これほどまでに住民たちが反発したのは、すべて石原環境相自身の無神経さと無責任さにある。さっきも書いたけど、今回の暴言は、これまでの16回もの住民説明会に一度も出席せず、住民たちから「なぜ担当大臣が直接説明しに来ないのか!」という批判が噴出していた中で起こったものだ。だから、住民たちの怒りは一気にレッドゾーンを振り切っちゃったのだ。


‥‥そんなワケで、安倍晋三首相はTPPに反対する市民デモのことを自身のフェイスブックで「左翼の皆さん」「恥ずかしい大人」と言って批判され、石破茂幹事長は特定秘密保護法案に反対する市民デモのことを自身のブログで「テロ行為と変わらない」と言って批判されたけど、石原伸晃環境相は原発の再稼動に反対する市民デモのことを「集団ヒステリーだ」と言って批判された。

また、石原環境相は、自民党幹事長だった2012年にも、テレビの報道番組で「汚染土は福島原発の第1サティアンに運べばいい」と発言して、原発周辺から避難していた住民たちを激怒させた。こうした石原環境相の一連の暴言や失言に対して、一部からは「親が親なら子も子だ」と言う声も出てるけど、あたしはそうは思わない。父親である石原慎太郎氏の暴言や失言の数々は、内容の是非はともかくとして、確固たる信念を持って発言してるように見える。一方、息子である石原伸晃氏の暴言や失言は、モノゴトを深く考えられない幼児が、思いついたことをそのまま口にしてしまうような無神経さに満ちあふれている。

「第1サティアン」発言にしても、本人は当時、「言い間違え」だと釈明してたけど、いくらなんでも、こんな言い間違えなど考えられない。この発言は、両親や親戚が集まって離婚の話し合いをしているような場で、状況をまったく理解できない幼児が、思いついたことをそのまま口にしてしまい、大人たちを苦笑いさせるシーンを連想させる。

ようするに、テレビという場だったため、爆発してボロボロになった福島第一原発をオウム真理教のサティアンに喩えたらウケると思って発言しているのだ。そして、ここには、原発事故で自宅を追われて辛い避難生活を続けている住民たちに対する配慮などミジンもない。これが、この人の本質なのだ。


‥‥そんなワケで、今回の「金目でしょ」発言に対して、石原伸晃環境相は形だけの謝罪をしたけど、発言そのものは撤回しなかった。そして、「今後も住民に寄り添って丁寧に説明して行きたい」などと発言した。小野寺五典防衛相も「原発事故で被害に遭った人たちの心に寄り添った形でしっかり説明することがいちばん重要だ」と発言し、菅義偉官房長官も「被災地に寄り添う安倍政権の方針は何ら変わるものではない」と発言した。まるで誰かが台本を書いているかのように、みんな口をそろえて「寄り添う」という表現を連発したけど、あたしは、まさか、16回もの住民説明会に一度も出席しなかった担当大臣の口から「今後も住民に寄り添って」なんてセリフが飛び出すとは思ってもいなかった。「なぜ担当大臣が直接説明しに来ないのか!」と激怒している大熊町と双葉町の人たちには、この無神経で無責任な石原環境相の言葉がどのように届いたのだろうか‥‥なんて思った今日この頃なのだ。


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