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2014.08.25

氷水をかぶる人々

最近、いろんな人たちが頭からバケツの氷水をかぶってる。暦の上では秋になったとは言え、連日、この猛暑だから、とっても涼しそうで気持ち良さそうに見える。実際、氷水をかぶった多くの人が「気持ち良かった」とコメントしてる。

ALS(筋萎縮性側索硬化症)という難病への理解を深め、寄付を集めるために、アメリカで始まった「アイス・バケツ・チャンレンジ」、指名された人は、24時間以内に、頭から氷水をかぶって、その動画や画像をネット上にアップするか、100ドルを寄付するか、その両方を行なう。そして、次の人を3人まで指名する‥‥というもの。システムとしては、あたしが子どものころに流行した「不幸の手紙」と同じだ。さらに言えば、「ネズミ講」や「マルチ商法」と同じ方式だ。

これって、もともとは、冷たい水の中に飛び込む「コールド・ウォーター・チャレンジ」というもので、癌の撲滅のために始まったチャリティーキャンペーンだった。で、日頃から自分が水に飛び込んだり、友人に水をかけたりすることが好きだったコリー・グリフィンさん(27)という人が、ALSで闘病中のピート・フレーズさんという友人を救うために、この「コールド・ウォーター・チャレンジ」を元にして、頭から氷水をかぶる「アイス・バケツ・チャンレンジ」を友人たちと発案した。

コリー・グリフィンさんたちが難病の友人を救うために氷水をかぶる動画は瞬く間に拡散されて、アメリカでは、ビル・ゲイツ、マーク・ザッカーバーグ、レディー・ガガ、果てはオバマ大統領まで参加する巨大キャンペーンに発展した。さすがにオバマ大統領は「氷水はかぶらずに寄付をする」という選択をしたけど、すでにアメリカでは30億円以上の寄付が集まったそうだ。

自分たちの発案したキャンペーンが全米を巻き込むほど巨大化したことで、コリー・グリフィンさんの生活は一変した。このキャンペーンで大金を得たコリー・グリフィンさんは、マサチューセッツ州のリゾート地、ナンタケット島で夏を満喫していたが、8月16日、建物の2階から海へ飛び込み、脊髄を骨折して溺死してしまった。亡くなる前日に電話で話した父親のロバート・グリフィンさんは「息子は『自分は今、楽園の中にいる』と言って幸せそうでした」と語った。

そして、あまりにもキャンペーンが巨大化してしまったため、米国務省や国防総省や下院は、22日までに、職員や軍人や議員らに「アイス・バケツ・チャンレンジへの参加を禁じる通達」を出した。これは、たとえ慈善活動であっても、公職にある者が特定の団体等を支援することは職務倫理規定に反するからだそうだ。ナニゲに安倍政権的な「結論ありきの後付けの理由」っぽい感じがする今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、この「アイス・バケツ・チャレンジ」が日本にまで広がってくる前に、氷水をかぶるアメリカのセレブたちの動画や画像を観てたあたしの率直な感想は、「良くも悪くも実にアメリカ的だなあ」というものだった。もちろん、やってることは悪いことじゃないんだけど、なんか、大金持ちのスターが高級ホテルの最上階を借り切って、水浸しにしてバカ騒ぎしてるみたいな、「セレブの道楽」ってフレーバーを多少なりとも感じてた。だから、「このノリって日本人には馴染まないよなあ」って思ってた。

で、日本にも広がってきて「今ココ」ってワケだけど、思ってた通り、日本では賛否両論だ。指名されて喜んで氷水をかぶる芸能人もいれば、自論を展開して寄付だけに留めたスポーツ選手もいる。自分は氷水をかぶったが、このキャンペーンのやり方に疑問を呈して、次を指名しなかったタレントもいるし、氷水の代わりに別のものをかぶった人もいる。また、指名される前から「氷水などかぶらない」と宣言してる大御所もいるし、指名された人たちの反応は様々だ。あたしの大好きな映画監督の岩井俊二さんも、指名されたので氷水をかぶったけど、次のようにツイートしてる。


Tt1


岩井俊二 @sindyeye
筋萎縮性側索硬化症を知って貰うというキャンペーンとしては成功だったと思うけどあらゆる人を24時間以内にキャンペーン大使に変えてしまうこのシステムには二回も氷を頭から被りながら恐怖すら感じましたというのが本音です。理解は二の次なのか?とも思いました。友人には申し訳ないけど。
2014.08.24 00:28


岩井俊二さんの「キャンペーンとしては成功だったと思う」と前置きした上での、この「理解は二の次なのか?」という疑問は、とても率直な言葉だと思う。あまりにもキャンペーンが巨大化してしまったことによって、本来の主旨からジョジョに奇妙に離れ、単に「氷水をかぶって次の人を指名する」というパフォーマンスだけが独り歩きを始めちゃったような気がする。誤解を恐れずに言わせてもらえば、自分が氷水をかぶってる動画や画像を公開することが目的になっちゃって、ALSはそのバカな行為を批判されないための免罪符として使われてるだけじゃないの?‥‥ってことだ。

もちろん、そんな人ばかりじゃないとは思うけど、伝言ゲームが続いていくうちに最初の文章がまったく違うものになっちゃうように、本来の主旨がおかしなことになってきたケースも多い。たとえば、氷水をかぶることを拒否した人の中には、次のような人もいる。


Tt2


nobunarioda @nobutaro1001
指名して頂いたアイスバケツチャレンジは、氷水が苦手なのでやりません。指名してくれた方ごめんなさい。寄付先は自由だと聞いたので、広島土砂災害で被災された方々に寄付します。
2014.08.24 09:01


これは、フィギュアスケート選手の織田信成さんのツイートだけど、「寄付先は自由」ということになってて、もはや、ALSの「A」の字もない。本来の主旨とは無関係な話になっちゃってる。もちろん、これは織田信成さんに責任があるワケじゃなくて、織田信成さんを指名した人が「寄付先は自由」と説明したんだろうから、その人がこのキャンペーンの主旨をまったく理解していなかったワケだ。


‥‥そんなワケで、賛否両論、いろんな意見がある「アイス・バケツ・チャレンジ」だけど、あたし的には、ふかわりょうさんが24日のJ-WAVE「ROCKETMAN SHOW」の中で言ってた意見が、一番「腑に落ち」‥‥っていうか、賛同できた。ふかわりょうさんは、次のように言っていた。


「バケツの氷水をかぶるキャンペーンに賛否両論あるそうだけど、日本てさ、こういうことがあるたびに必ず賛否両論が起こるよね。僕は、こういうのって、やりたい人はやればいい、やりたくない人はやらなければいい、と思うんだよね。そして、やった人のことを批判しない、やらなかった人のことも批判しない、これでいいと思うんだよね」


ホント、あたしはコレに尽きると思う。「やりたい人はやればいい、やりたくない人はやらなければいい」ってのは当然として、重要なのは「やった人のことを批判しない、やらなかった人のことも批判しない」って部分だ。だって、倫理に反することをしたワケでも、犯罪を犯したワケでもないんだから、たとえそれが「売名行為」だったとしても、このキャンペーンを利用した「好感度アップ作戦」だったとしても、それでも批判すべきじゃないと思う。

今回の「アイス・バケツ・チャレンジ」で、あたしが批判したのは、みんなの党の浅尾慶一郎代表のことだけだ。浅尾慶一郎代表は、22日に氷水をかぶり、その場で安倍晋三首相を指名した。自分が氷水をかぶるのは自由だけど、広島市で大規模な土砂災害が起こり、安倍晋三首相が夏季休暇を切り上げて官邸に戻った翌日に、この「指名されたら24時間以内に対応しなくてはいけない」というキャンペーンのバトンを渡すなんて、あまりにも無神経だと思ったからだ。

あたしは、「広島市の土砂災害のことをまったく考えずに安倍晋三首相を指名した」という浅尾慶一郎代表の無神経さに腹が立っただけで、浅尾慶一郎代表が「アイス・バケツ・チャレンジ」を行なったことに関しては批判していない。広島市の土砂災害とは関係ない、もっとヒマそうな大臣を指名していたのなら、あたしは批判しなかった。

この特例を除いて、あたしは、「アイス・バケツ・チャレンジ」で指名されて、氷水をかぶった人のことも、かぶらなかった人のことも、誰のことも批判していない。だけど、特に賞賛もしていない。それこそ、ふかわりょうさんの言うように、「やりたい人はやればいい、やりたくない人はやらなければいい」という感想しか持ってない。

あたしは、不幸な野良猫を減らすための活動、猫エイズや猫白血病を減らすための活動、猫と犬の殺処分をゼロにするための活動などを20年くらい続けてきたけど、これは好きでやってることで、誰からも強制されてないし誰にも強制してない。ここ1年くらいは、シリアの難民の子どもたちへの支援も続けてるけど、これも好きでやってることで、誰からも強制されてないし誰にも強制してない。

あたしは、こうしたことって、自分の心が動かなければ意味がないと思ってる。だから、今回の「アイス・バケツ・チャレンジ」も、単なるお祭り騒ぎで終わらずに、1人でも多くの人が、お祭りのあとも、慈善活動などへの関心だけじゃなくて、弱い立ち場の人たちへの思いやりの心を持ち続けてほしいと思ってる。誰かから指名されなくても、自分から進んで手を差し伸べることができる人が増えてくれたらと思ってる。


‥‥そんなワケで、今日は最後に、今回の「アイス・バケツ・チャレンジ」で、あたしが唯一好感を持った金城武さんの動画を紹介しようと思う。除湿器のタンクに溜まった水に大量の氷を入れて無言がかぶるだけで、メッセージは画面上に中国語で流れる‥‥というものだけど、和訳を添えておくので、読んでほしいと思う今日この頃なのだ。


【和訳】
このキャンペーンによって、多くの人たちがALSという難病に関心を持ったことは、とても良いことだと思います。しかし、私は、このキャンペーンが「チャレンジ」でないことを望みます。そして、「一時の流行」で終わらないことを願っています。ALSだけでなく、社会的に弱い立場の人たちの多くが、あたたかい支援を得られるように願っています。

私は、氷水をかぶることで、ALS患者への支援の意志を表明します。しかし、私は、もう誰のことも指名しません。この動画を見た人が、自発的に様々な社会問題に関心を持ち、あたたかい行動を取ってくれることを願っています。「チャレンジ」など必要ありません。あなたの周りにいる、助けを必要としている弱い立場の人たちに、あなたの心からの思いが届きますように。


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