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2015.03.03

強く、優しく、美しく!「Go!プリンセスプリキュア」

今年の2月1日から、プリキュアの新作『Go!プリンセスプリキュア』がスタートした。プリキュアシリーズとしては2004年の第1作『ふたりはプリキュア』から数えて12年目の12作目だけど、初代の『ふたりはプリキュア』と3代目の『YES!プリキュア5』は翌年に続編が放送されてるから、プリキュア戦士としては「10代目」ということになる。キャッチコピーは「強く、優しく、美しく!」、プリキュアの原点を思わせるシンプルさに好感が持てる。

まだ5回しか放送されてないので、あくまでも現時点での評価だけど、プリキュアのことが好きすぎるくらいに大好きなのに、最近のプリキュアにはガッカリさせられ続けて来たあたし的には、久々に期待できる「プリキュアらしいプリキュア」だと感じてる。それは、あたしにとってのプリキュアの魅力の最重要ポイントである「百合フレーバー」が感じられるからだ。

ボーイッシュな女の子とフェミニンな女の子という、レズビアンの「タチとネコ」をイメージさせる2人を主人公にした初期のプリキュアから、プリキュア戦士の人数が4人だの5人だの6人だのに増えた時点で、メンバー全員がフェミニンになってしまい、百合フレーバーは消滅してしまった。ヘアスタイルやファッション、性格やバックボーンは様々でも、それはあくまでもキャラにメリハリを与えるための設定であって、メンバー全員が「友情」でしか繋がっていない。

そこには、メンバー全員が「同い年」だったり「クラスメートや同学年」という背景がある。前々作の『ドキドキ!プリキュア』では、マナ、六花、真琴、ありすが中学2年生なのに対して、後からメンバーに加わったキュアエースの亜久里は小学4年生だったけど、これは第2作『ふたりはプリキュア Max Heart』のシャイニールミナス、ひかりと同じような大人の事情による「テコ入れキャラ」なので、プリキュアの「メンバー全員が中学2年生で同い年」という基本コンセプトは壊していない。

プリキュアのメンバーが同い年でも、クラスメートでも、初期のように2人であれば、そこには百合フレーバーが生まれる。だけど、そのメンバーが4人、5人と多くなってしまうと、その中の特定の2人だけの関係性が「友情」を超えた「愛情」へと発展することは難しくなる。チーム全体の覇気にも関わって来るし、仲違いの原因にもなってしまうからだ。だから、人数の多いプリキュア戦士の場合、そのメンバー同士を結び付けている絆は「友情」のみであり、この一線を超えることは決して許されない今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、今回の『Go!プリンセスプリキュア』の基本設定における最大の冒険は、そう!この「メンバー全員が中学2年生で同い年(続編では中学3年生に進級)」というプリキュアの10年を超える伝統に終止符を打ったことだ。主人公の春野はるかは、「プリンセスになる」という子どものころからの夢を叶えるために全寮制の私立ノーブル学園に入学した中学1年生、そして、美人で背が高くてスタイルがバツグン、勉強もバレエも学内トップの生徒会長の海藤(かいどう)みなみと出会い、一方的に憧れる。そして、みなみに頼み込んで、マン・ツー・マンでバレエのレッスンを受けることになる。

この春野はるかが1人目のプリンセスプリキュア「キュアフローラ」で、海藤みなみが2人目のプリンセスプリキュア「キュアマーメイド」になるんだけど、このような「初期メンバーの学年が違う」というパターンは、長いプリキュアの歴史の中でも初めての試みだ‥‥って言うか、生徒同士が「ごきげんよう」なんて挨拶を交わしてる全寮制のお嬢様学校で、美人の生徒会長と入学したばかりのドジっ子って、中学校と高校の違いはあるけど、もう完全に『マリア様がみてる』の世界じゃん!

百合系アニメの金字塔とも呼ばれてる『マリみて』こと『マリア様がみてる』では、私立リリアン女学園の高等部に入学したばかりの1年生、福沢祐巳(ゆみ)が、美人でスタイルがバツグンの憧れの先輩、2年生の小笠原祥子(さちこ)に制服の身だしなみを注意されるとこから始まる。そして、2人は「姉妹」として、完全無欠の百合ワールドへと突入して行く。

ちなみに、『マリア様がみてる』はバンダイチャンネルで配信してるので、興味のある人は以下のリンクからどうぞ。2話以降は有料だけど、1話だけは無料で観られます。

http://www.b-ch.com/ttl/index.php?ttl_c=2456


‥‥そんなワケで、周囲から「みなみさま」「学園のプリンセス」と呼ばれてる海藤みなみは、筋金入りの箱入り娘で、仲良くなったはるかに誘われるまで、街のファーストフード店でドーナツを食べたことがなかった。このシーンも、『マリア様がみてる』を観た人なら、すぐに祐巳と祥子の始めてのデートを思い出したハズだ。妹がデートのプランを練って姉を楽しませる、という流れの中、一般家庭で育った祐巳は、普通に街のハンバーガーショップでのランチを計画したけど、箱入り娘の祥子はハンバーガーの食べ方が分からなくて困ってしまう、あの可愛いシーンだ。

こうしたシチュエーションの類似性からも、今回のプリキュアが『マリア様がみてる』を参考にしてることは明白であり、制作サイドの意図の有無はともかくとして、結果的には百合フレーバーが漂う作品になっている。そして、それを後押ししているのが、3人目のプリンセスプリキュア「キュアトゥインクル」、天ノ川きららだ。きららは、はるかと同じ中学1年生だけど、小学生のころから人気のファッションモデルで、私立ノーブル学園に入学してからも雑誌の撮影などで引っぱりダコの有名人だ。

『ドキドキ!プリキュア』で言えば、人気のアイドル歌手だった真琴みたいな存在で、第5話までしか放送されていない現時点では、きららはプリキュア活動よりもモデルとしての活動を優先すると公言してる。前作の『ハピネスチャージプリキュア!』では、学校の成績が学年最下位だっためぐみが「学業とプリキュア活動の両立」を目指して猛勉強させられるという、プリキュア戦士としてはアリエナイザーな情けない展開があったけど、プリキュア活動より自分の夢を優先するきららは、クールでかっこいい。

そんなきららだから、全校生徒が憧れている「学園のプリンセス」であるみなみに対しても、一目置くどころか「みなみん」なんて呼んで、まるで同級生のように接してる。だから、夏から秋にかけてのシリーズ後半に、大人の事情による「テコ入れキャラ」としての4人目のプリキュアが登場する可能性もあるけど、現時点ではOP映像にも3人しか登場していないので、それまでは、現在の3人体制で行くと思う。つまり、『マリア様がみてる』の祐巳と祥子のような百合フレーバーをベースにしたはるかとみなみ、そして、その2人から少し距離を置いたきらら、こうした図式だ。

これなら、2人のプリキュアでなくても、百合ワールドは維持できる。そして、ここがポイントなんだけど、主役であるはるかが、これまでとは違って中学1年生であること、みなみは生徒会長なのに、中学3年生ではなく2年生であること。これが何を意味しているのか、それは、来年の続編を視野に入れた基本設定ということだ。

『マリア様がみてる』では、生徒会である「山百合会」に、ロサ・キネンシス(紅薔薇さま)、ロサ・ギガンティア(白薔薇さま)、ロサ・フェティダ(黄薔薇さま)という地位の3年生が3人いて、それぞれの下に「薔薇のつぼみ」と呼ばれる2年生がいる。福沢祐巳が入学した時には、ロサ・キネンシスが3年生の水野蓉子で、そのつぼみに当たるロサ・キネンシス・アン・ブゥトンが2年生の小笠原祥子だった。そして、その祥子の妹に選ばれた祐巳は、「紅薔薇のつぼみ」の「小さな妹」を意味するロサ・キネンシス・アン・ブゥトンのプティ・スールとなった。

これは、私立リリアン女学園高等部の「スール制度(姉妹制度)」によるもので、特別な事情がない限り、このままスライドして行く。だから、ストーリーが進んで1年が経過すると、3年生だった水野蓉子は卒業し、2年生から3年生になった小笠原祥子が新しい「紅薔薇さま」になり、1年生から2年生になった福沢祐巳が新しい「紅薔薇さまのつぼみ」になった。そして、次の年に祐巳が3年生になり、とうとう「紅薔薇さま」になった時には、これまでにたくさんの問題があった松平瞳子(とうこ)を、あえて「紅薔薇さまのつぼみ」として「妹」に選んでいる。

だからあたしは、今回の『Go!プリンセスプリキュア』で、私立ノーブル学園に入学した春野はるかが、美人で「学園のプリンセス」と呼ばれてる2年生の海藤みなみと出会った時に、この『マリア様がみてる』を連想して百合フレーバーに包まれつつ、来年の続編まで視野に入れた作品だということを確信したのだ。

もちろん、今回のプリキュアが商業的にイマイチで、後半に「テコ入れキャラ」を登場させてもダメだった場合には、残念ながら「アニメ界のアベノミクス」になっちゃうワケで、当然、続編などは望めない。だけど、一定以上の商業的ヒット作となれば、来年にはみなみが3年生になり、はるかときららが2年生になり、新入生の1年生からも1人か2人のプリキュア戦士が誕生して、これまでの「メンバー全員が同い年」という「横の友情」から、3年生、2年生、1年生という「縦の友情」へと進化する。

これは、下級生の福沢祐巳が上級生の小笠原祥子に憧れ、その思いが「スール制度」という独自の背景の中で「愛情」へと変化して行ったような、百合的な「縦の関係」にほかならない。通常では「雲の上の人」である海藤みなみに対して、一緒に戦う「プリキュア戦士」だという独自の背景の中で、はるかの「憧れ」や「尊敬」や「友情」の感覚が、ジョジョに奇妙に「愛情」へと発展して行くのだ。


‥‥そんなワケで、これまでに何度も書いて来たように、こうしたアニメには「メインスポンサーである玩具メーカーなどの関連商品がどれだけ売れたか」という大人の事情が付いて回ってるワケで、どんなに素晴らしい作品でも、この大人の事情によって続編を作ることはなかなか難しい。続編を作るよりも、新しいプリキュアをスタートさせたほうが、変身アイテムを始めとした玩具が確実に売れるからだ。だけど、11年前の第1作『ふたりはプリキュア』から今日まで、全プリキュアの全作をすべて観続けて来た「プリキュア命」のあたしとしては、久々にプリキュアの原点である百合フレーバーが感じられる今回の『Go!プリンセスプリキュア』だけは、何とか来年の続編へと繋がる展開にして欲しいと、心から願ってる今日この頃なのだ!


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