吉田照美画伯の絵画展
母さんもあたしも、今も現住所は東京の世田谷区なので、母さんの医療関係の手続きで、どうしても8月末までに東京に行かなきゃならない用事があった。その他にも、ポツポツと本職に復帰しつつあるあたしの仕事道具の補充もあったし、あたしが東京に行かないと片付かない用事が何本か溜まってたので、2泊3日の予定で東京に行った。
お金に余裕があるなら、往復とも新幹線を使いたかったけど、今はけっこう金銭的にピンチなので、1カ月前に買っておいた早割の航空券で久しぶりの上京!‥‥って感じで、せっかくの東京なので、今回は用事を済ませるだけじゃなくて、会いたかった親友に会ったり、懐かしい場所に行ってみたりと、あたしの個人的な楽しみも散りばめた3日間だった。
そんな3日間の中で、あたしがどうしても行ってみたかったのが、成城学園の「さくらさくギャラリー」で絶賛開催中の吉田照美画伯の個展だった。文化放送で月曜から金曜まで、午後3時半から5時50分まで生放送してる吉田照美さんの「飛べ!サルバドール」という番組名を見れば分かるように、吉田照美さんはサルバドール・ダリをリスペクトする「ロバ」‥‥じゃなくて、「バカ」‥‥じゃなくて、「画家」として、あの三軌展や海外のスペイン美術賞展でも入選してるマルチ・アーティストとしての一面も持ってた今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、あたしは、吉田照美さんの絵を、ネット上や印刷物などでは何度も観てるけど、実物は一度も観たことがなかったので、今回の東京行きの日程が「さくらさくギャラリー」での個展と偶然に重なったことを、ナニゲに運命的に感じてた。それで、カツカツのスケジュールだったけど、何とか時間を作って、観に行こうと思ってた。
久しぶりの東京は、あいにくの雨。いくら電車やバスがたくさんある東京とは言っても、あたしが今回、ベースにしたニコタマの隣りの隣りの神奈川県川崎市の溝ノ口の格安ビジネスホテルから、田園都市線でサンチャまで行って、そこから世田谷線で松陰神社まで行って、世田谷区役所で用事を済ませて、また世田谷線で山下へ行き、豪徳寺から小田急線で成城学園まで行って「さくらさくギャラリー」へ行く‥‥ってのは、あまりにもヘビーすぎる。
その上、あたしには「仕事で使うメイク用品を買い集める」という仕事もある。それで、あたしは、かつて同じ事務所で同じように苦労をして、今でも連絡を取り合ってる親友のM美に連絡をしてみたら、車を貸してくれるという。で、車を借りることにしたんだけど、M美はあたしに言った。「先月、納車されたばかりだから、絶対にぶつけないでよね」って。車の運転に関しては、そこらの男よりも自信のあるあたしは「誰に言ってんのよ」なんて思ったのもトコノマ、その車がベンツのCクラスの新車だと聞かされて、若干ビビッた(笑)
ま、そんなこんなもありつつ、M美のオカゲで、あたしは雨の東京をスイスイと移動できて、母さんの医療関係の手続きも、自分の仕事の買い物も、すべてサクサクと済ませることができた。そして、車を返す時間まで、まだまだ余裕があったので、懐かしい玉堤通りを走って、成城学園の「さくらさくギャラリー」へと向かった。
「さくらさくギャラリー」に関しては、事前にネットで確認しておいたので、「ああ、あの交差点の角にある建物ね」って分かってたけど、到着してみたら、入り口の前にはゴージャスなお花がたくさん飾られてて、「伊東四朗」とか「おすぎ」とか「石塚英彦」とか、吉田照美さんと関係の深い人たちの名前が並んでて、改めて吉田照美さんの「偏った人間関係」を垣間見てしまった(笑)
‥‥そんなワケで、ギャラリーに入ると、あたしの予想とはウラハラに、吉田照美さんの飼い猫だったアメショーの絵を中心とした絵が並んでた。照美さんの絵と言えば、ダリをホーフツとさせる不条理でシュールなものか、日々のニュースをテーマにした風刺的なものをイメージしてたから、美しいお花に囲まれた可愛いアメショーの絵とかに、あたしは足元を掬われたような感覚になった。
でも、どの絵も、ペンティングナイフよりも筆による「描き込み」を徹底した油彩で、サックリと描いているようでいて、ものすごく緻密で、近づいて観るよりも、一定の距離を置いて鑑賞すると、それぞれの絵の世界観が無限に広がるという不思議に感覚に陥った。ギャラリー内には、あたしの他にも何人もの人が観に来てて、ギャラリーの担当者の男性が丁寧に絵の説明をしてたので、あたしも一緒に聞いてた。
1階の奥には小部屋があって、そこには「ハチドリ」の絵がたくさん飾ってあった。あたしは油絵のことは分からないから、「何号」っていうのかは分からないけど、ハガキ2~3枚ぶんくらいの小さなカンバスに、何千分の1秒とかで撮影した写真のような「空中で制止したハチドリ」の油彩がたくさん並んでた。でも、絵の中のハチドリはどれも静止してるのに、単色の背景の四隅の1カ所だけがグラデーションで色を厚くしてるので、その効果なのか、どのハチドリも立体的で元気に飛んでるように見えた。
ハチドリの絵なのに、ハチドリ自体ではなく、背景の「ほんのちょっと」の部分でハチドリに「命」を与える吉田照美画伯、あたしはマジで感動した。今どき「画伯」ってのは、ヘタクソな絵を描く人をからかう意味で使うことが多いけど、この一連のハチドリの絵を観て、あたしは心から吉田照美さんのことを「画伯」だと思った。吉田照美さんは、絵の「技術」が素晴らしいのは当然として、それ以上に、絵を描く「感性」が素晴らしいんだと思った。
そして、ハチドリの絵に感動したあたしは、せっかくだからお土産に1枚購入しようと思って、絵の横に小さく貼られてる値段を見たら、ナナナナナント!ナナナナナント!ナナナナナント!‥‥って、3連発で叫んじゃうけど、サスガは画伯、あたしみたいな庶民には手も足も出ない値段だった(笑)
‥‥そんなワケで、「ハチドリの小部屋」を十分にタンノーしたあたしは、階段を上って2階に進んだワケだけど、そんなあたしを待ち受けてたのが、ムロリンが「びっくりして階段を転げ落ちそうになった!」と言ってた例の絵だった。文化放送「飛べ!サルバドール」の前の「ソコダイジナトコ」で、吉田照美さんのパートナーをつとめていた美女、唐橋ユミさんがマリア様で、その腕に抱かれているのが吉田照美さんの顔をした赤ちゃん‥‥っていう、いろんな意味でマニアにはたまらない作品だ。
そして、吉田照美さんの愛する数々の映画をテーマにした油彩やスクリーントーンが続き、その先にはパレットをカンバスにした作品が2つ並んでた。ゴールドシップを思わせる力強いペガサス、そして、次のパレットをカンバスにした作品の瞳の中に浮かんでるモノを見た時、あたしは、さっきの「ハチドリの小部屋」で感じたのと同じ、吉田照美さんの「感性」を感じて全身がシビレた。
2階の一番奥には、今回の個展の目玉のひとつでもある「不思議な象の夢」があった。これは吉田照美さんがリスペクトするダリの画法の作品で、多くの人たちが持ってる吉田照美さんの絵のイメージそのものだ。もちろん、不思議な魅力のある傑作だと思うけど、あたし的には、ゴジラの頭上でフラメンコを踊る真っ赤なドレスの加納有沙アナを描いた作品のほうがツボだった‥‥って、えっ?あの絵のモデルは有沙ちゃんじゃないの?(笑)
‥‥そんなワケで、吉田照美画伯の素晴らしい絵の数々をタンノーしたあたしは、2階にあったおトイレに行こうとしたら、おトイレへの通路の入り口に飾ってあったハチドリのモノクロの版画に目が止まった。1階の「ハチドリの小部屋」で観たものと同じ絵が、単色の線画で描かれてる上に、版画だから格安の8000円だった。一瞬、「これなら買える!」と思ったあたしは、次の瞬間、「これなら、がんばればあたしでも描けるかもしれない!」と思い、吉田照美画伯には本当に申し訳ないんだけど、あたしは何も買わずにギャラリーを後にした‥‥ってなワケで、こんなに素晴らしい絵の数々を無料で観られる吉田照美画伯の個展は、12日(日)まで開催してる上に、最終日の12日には吉田照美さん本人もギャラリーにいるそうだから、小田急線の「成城学園駅」から歩いて2~3分の「さくらさくギャラリー」に、皆さん、ぜひ見学に行ってほしいと思う今日この頃なのだ♪
■「吉田照美 絵画展」(成城学園「さくらさくギャラリー」)
http://sakurasaku-g.com/gallery/index.html
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