« 2015年11月 | トップページ | 2016年1月 »

2015.12.27

ありがとうゴールドシップ!ありがとう最強の芦毛!

今日12月27日に開催された今年の中央競馬を締めくくる第60回「有馬記念」、ファン投票でも単勝オッズでも1番人気だったゴールドシップは末脚が届かず、ゴールドはゴールドでも8番人気のゴールドアクターが優勝した。鞍上の吉田隼人騎手も、中川公成調教師も、ともに初のG1制覇を成し遂げた。

2着はサウンズオブアース(ミルコ・デムーロ騎手)、3着は北島三郎さんが馬主ということで話題のキタサンブラック(横山典弘騎手)、4着は牝馬のマリアライト(蛯名正義騎手)、5着は2番人気だったラブリーデイ(川田将雅騎手)で、ゴールドシップは8着に沈んだ。ゴールドシップは今回の「有馬記念」がラストランなので、去年のジェンティルドンナや一昨年のオルフェーヴルが、この年末の「有馬記念」で有終の美を飾っていたこともあって、多くのファンが「最後に有馬を勝って引退」という画を脳裏に描いていたと思う。

もちろん、あたしもその中の1人だったけど、ゴールドシップに有終の美を飾って欲しいと思ってた多くのファンは、同時に「最後くらいはちゃんと走ってくれよ」とも思ってたハズだ。気分屋さんで、ワガママで、自分勝手で、1週間前の併せ馬では重賞勝利馬を子ども扱いしてたのに、本番のレースではやる気ゼロ‥‥っていう馬だから、どんなに強くてもゲートが開くまで分からない。今年6月の「宝塚記念」でも、ゲートが開いたらスタートせずに立ち上がっちゃって、「アルプスの少女ハイジ」のクララのパロディで「ゴルシが立った!ゴルシが立った!ゴルシが立った!」なんて言われちゃった今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


Gs3


‥‥そんなワケで、あたしは、皆さんご存知のように芦毛の馬が大好きな「芦毛教」の信者で、もっと細かく言うと「クロフネ産駒の芦毛の牝馬推し」なワケだけど、これはものすごくマニアックなことで、基本的には芦毛全般を応援してる。そして、どの芦毛よりも好きだったホエールキャプチャが今年引退してしまったので、現役馬の中ではゴールドシップが1番好きな芦毛だった。

そんなゴールドシップのラストランなんだから、馬券はもちろんゴールドシップから買うっきゃない。最後のレースだから、配当より確率を優先して、まずはゴールドシップの単勝と複勝を2点、ゴールドシップから上位10頭への馬単、あとはゴールドシップからの3連単を8点、合計2000円で勝負した。

今年は全体的に競馬が不調だったので、「1週間2500円まで」というマイルールを削って、「1日に1レースだけ300円」みたいなセコい買い方をしてきたので、そのぶん的中率も下がってた。だけど、あたしは基本的に穴しか買わないので、20回に1回とか30回に1回とかしか当たらなくても、何とか浮いたり沈んだりのトントンでやって来られた。

でも、今回は大好きなゴールドシップのラストランだし、今年最後の競馬なので、「有馬記念」に2000円使っただけじゃなくて、その前の中山9R「ホープフルステークス」で、応援してるネコダンサーから上位3頭への馬連と、ホントの今年最後のレース、阪神12R「2015ファイナルステークス」で、応援してるタールタンから上位5頭への馬単、合計2800円も突っ込んだ。


‥‥そんなワケで、ゴールドシップは有終の美を飾ることはできなかったけど、あたし的には、今年6月の「宝塚記念」まで、ずっとあの黒いメンコをつけてたゴールドシップが、こないだの「ジャパンカップ」と今回の「有馬記念」では、メンコをつけずに凛々しい顔を見せて走ってくれたことが嬉しかった。もちろん、メンコはファンサービスとかじゃなくて、馬の状態に合せて陣営が決めるものだし、あの黒いメンコも強そうでカッコ良くて好きだったけど、最後くらいはゴールドシップの顔が見たかった。

ゴールドシップは、2009年3月6日に北海道日高町の出口牧場で生まれたんだけど、デビュー前の2歳の時には福島県の牧場で調整してたんだよね。そこで東日本大震災が起こり、牧場も被災したため、ゴールドシップは一時的に石川県のトレーニングセンターに移送されて、それからようやく須貝厩舎に移された。

そして、2011年7月のデビュー戦を優勝で飾り、続く「コスモス賞」も優勝し、デビュー2連勝を成し遂げた。翌年の2012年4月には「皐月賞」を勝ってG1馬となり、その年には「菊花賞」も「有馬記念」も勝った。翌2013年と2014年は「宝塚記念」を勝ち、今年の春は「天皇賞」も勝ち、G1を6勝して現役最強馬へと上り詰めた。

だから、あたしにとってゴールドシップは、東日本大震災を生き抜いて頂点へ到達した希望の星だっだ。その上、ちゃんと走れば楽勝できたようなレースを、気分が乗らないからと簡単に捨ててしまう。全レースを本気で走っていれば、G1を6勝どころか10勝だってできてたハズなのに、そんなことなどお構いなし。今年6月の「宝塚記念」で、ゲートを出ずに「立った」をしちゃった後、ゴールドシップは「発走調教再審査」を受けるハメになったけど、いまだかつてG1を6勝もした名馬で、こんなイロハのイみたいな審査を受けた馬がいただろうか?

だから、あたしは好きなんだよね、ゴールドシップのことが。自由気ままで、人間のことを下に見てるようで、常に「俺様」で、まさに孤高の存在だと思う。あたしは、基本的にはホエールキャプチャみたいな「可愛い顔の芦毛の牝馬」が好きなんだけど、男前で凛々しくて「我が道を行く」って感じのゴールドシップには、それとは別の芦毛愛を感じる。


‥‥そんなワケで、多くのファンの期待を裏切って、ゴールドシップは有終の美を飾れなかったワケだけど、ある意味、これは多くのファンの期待通りの結果だったのかも知れないと、あたしは思った。仕掛けのタイミングの問題もあるけど、最終的にゴールドシップの末脚が届かなかったことに対して、多くのファンは、あたしと同じように「あ~あ、やっぱりな」って思ったハズだからだ。

あたしは日ハムのファンなので、3点負けてる2アウト満塁で中田翔がバッターボックスに立てば、当然、ホームランを期待する。これが9回裏なら劇的な逆転サヨナラ満塁ホームランを期待する。だけど、実際には、そんなこた~シーズンに1回くらいしかない。そして、「ここだ!」という場面で、空振り三振したり内野ゴロで打ち取られた中田翔の姿を何度も何度も見て来た。それでもあたしが応援し続けるのは、日ハムが好きだから、中田翔が好きだから、打てなくても中田翔を4番に置き続けてくれてる栗山監督が好きだからだ。

あたしの芦毛愛って、これと同じだと思う。4年前の夏に、九州の小倉競馬場に行った時、パドックで芦毛のタールタンを見て、ひと目で大好きになった。そして、それからは、タールタンの応援馬券を買い続けて来た。ちょっと儲かった時もあるけど、たいていは連に絡まずに撃沈した。それでも200円とか300円とか買い続けて来たんだけど、今年最後の阪神12R「2015ファイナルステークス」にタールタンが出走することを知ったので、勝負してみることにした。


Kk14


あたしがオッズを見た朝の時点では、タールタンは単勝20倍の8番人気、その後、7番人気に上がったみたいだけど、単勝オッズは20倍を超えてた。だから、上位人気馬との馬連でもソコソコの配当にはなるんだけど、あたしが欲しいのは万馬券だ。だから、ここはずっと応援してきたタールタンに期待して、今年最後の芦毛パワーに期待して、タールタンから上位5頭への馬単で勝負した。

そしたら、ナナナナナント!ずっと中位につけてたタールタンが、最後の直線で、前の馬と馬とのわずかな隙間をグイグイと抜き出て、内ラチ沿いを一気に加速!あっと言う間に先頭に立ち、大外から襲い掛かって来た2番人気のサクラエールを振り切ってゴールしたのだ!あたしは上位人気5頭へ流してたから、2着が2番人気なら余裕で的中ヒヒ~ン!‥‥ってワケで、馬単は1万2450円の万馬券になり、今年最後の競馬をプラス収支で終えることができた。


Kb1227h12


‥‥そんなワケで、あまりにもいろんなことがあった1年だったけど、競馬に関して言えば、あたしの大好きな芦毛、それも、ずっと応援して来たタールタンで締めくくることができて、「芦毛教」の信者としては、とっても嬉しいハッピーエンドになった。そして、有終の美は飾れなかったけど、美しく凛々しいラストランを見せてくれたゴールドシップにも、心から「ありがとう」を言いたい。これでゴールドシップは引退して種牡馬入りするワケだけど、3年後、ゴールドシップ産駒の芦毛たちがデビューすることを夢見て、あたしはこれからも「少ない予算で楽しむ競馬」を続けて行こうと思った今日この頃なのだ♪


★ 今日も最後まで読んでくれてありがとう!
★ よかったら応援のクリックをポチッとお願いします!
  ↓


|

2015.12.22

玄海原発の廃炉28年の根拠

運転開始から40年が経過したため、現時点で廃炉が正式に決定してる原発は、九州電力の玄海原発1号機、関西電力の美浜原発1号機と2号機、日本原電の敦賀原発1号機、中国電力の島根原発1号機の計5基だけど、日本では今までに1基も廃炉作業を行なったことがないので、ハッキリ言っちゃえば「どうやればいいのか分からない」ってワケで、まずはそれぞれの電力会社が「廃炉計画書」の作成に入った。で、今日12月22日、全国で初めて、九州電力が玄海原発1号機の「廃炉計画書」を原子力規制委員会に提出した。

この計画書によると、玄海原発1号機は来年2016年に廃炉作業を始めて、終了予定は2043年、28年後だそうだ。工程は4段階になっていて、まずは6年かけて汚染されていない部分を解体しつつ、原子炉の配管などの除染を進め、使用済み核燃料を取り出し‥‥と調子よく書いてあるけど、ホントにそんなにトントン拍子に進むのだろうか?

この玄海原発1号機の「廃炉計画書」が全国初なんだから、もしも原子力規制委員会がこの計画書を認可すれば、他の廃炉が決まっている原発も似たり寄ったりの計画書を提出するだろう。だけど、日本の電力会社にとって原発の廃炉作業は未知の分野だ。この「28年」という期間の設定には何の根拠もない。そして、実際に取りかかってみたらぜんぜん計画通りに作業が進まず、28年後になっても半分も作業が進んでなかったとしても、電力会社も原子力規制委員会も政府も、誰も責任など取らないと思う今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、日本では未知の分野の「原発の廃炉作業」だけど、今、実際に作業をしているイギリスのトロースフィニッド発電所を「毎日新聞」が2年前に取材した記事を読んだ。その記事によると、廃炉は「想像以上に時間とコストのかかる作業」だということが分かる。「毎日新聞」の記事のログが時間経過のため消されてしまっていてリンクを貼ることができないので、以下、要点だけを紹介させてもらう。


「毎日新聞」(2013年8月19日付)

「世界で最も廃炉作業が進む原子力発電所の一つ、英ウェールズ地方のトロースフィニッド発電所(出力23.5万キロワット、炭酸ガス冷却炉、2基)の作業現場に入った。1993年の作業開始から20年。責任者は「既に99%の放射性物質を除去した」と説明するが、施設を完全に解体し終えるまでになお70年の歳月を要する。「想像以上に時間とコストのかかる作業」(作業責任者)を目の当たりにし、日本が今後、直面する道の険しさを思い知らされた。」

「65年に運転を開始し、91年に停止した。原子炉の使用済み核燃料(燃料棒)は95年に取り出されたが、圧力容器周辺や中間貯蔵施設内の低レベル放射性物質の放射線量は依然高い。このため2026年にいったん作業を中断し、放射線量が下がるのを待って73年に廃棄物の最終処分など廃炉作業の最終段階に着手する。」

「原子炉建屋に隣接する放射性汚染水浄化装置(長さ33メートル、幅5メートル、高さ6メートル)では除染作業が行われていた。燃料棒冷却や除染作業で発生した汚染水はすでに抜かれている。別室から遠隔操作する工作機(重量5トン)3機が装置内部の汚染された壁をゆっくりと削り取っていく。」


‥‥そんなワケで、イギリスの人たちのために、26年間、せっせと電力を作り出してきたトロースフィニッド発電所だけど、これを廃炉にするためには90年もかかると言う。トロースフィニッド発電所の廃炉作業の責任者は「初期に建設された原発は将来の廃炉を想定して設計されていない。初めて経験することが多く、手探りの作業だ」とコメントしている。廃炉が決まっている日本の5基の原発は、運転開始が1970年代なのだから、1965年に運転開始したトロースフィニッド発電所とほとんど変わらない。それなのに、日本の原発はホントに28年で廃炉にできるのだろうか?


いったい何を根拠に28年などと言っているのだろうか?もしかして、原子炉の見た目が「鉄人28号」に似てるから、とりあえずテキトーに28年と言ってみただけなのか?‥‥なんてのも織り込みつつ、今回の玄海原発の「廃炉計画書」よりも無責任で根拠がないのが、東京電力の福島第1原発の「廃炉計画書」だ。事故から5年が経過しても汚染水がダダ漏れで、原子炉には近づくこともできない状態なのに、どうすれば「廃炉完了までに30~40年」などと書けるのか?

日本政府と東京電力による福島第1原発の「廃炉計画書」には「廃炉完了までに30~40年、総費用は約2兆円」と書かれているけど、原子力専門家のアーニー・ガンダーセン氏は「最低でも100年、総費用は5000億ドル(約60兆円)」と見積もっている。

チェルノブイリ原発の場合は、メルトダウンした核燃料のコアが原子炉の最下部で「ゾウの足」と呼ばれている形状に留まった。約30年が経過した現在でも、近づいた人はわずか8分で死んでしまうほどの放射線が生じているけど、それでも近づかなければ問題ないし、汚染は広がらない。でも、福島第1原発の場合は、メルトダウンした核燃料のコアが地下水系に接触している上に、未だに発熱している。完全な停止状態に至っていない。

ガンダーセン氏によると、地下水系の止め方について既に確立された方法を専門家が日本政府に伝えたが、日本政府はそれを無視して「凍結遮断壁」という無駄な方法を選んだと言う。現在の方法は、バスタブから溢れる水を別のバスタブに移しているだけで、根本的な解決には至らないと言う。そして、毎日300~400トンも生じている汚染水は、今後、数十年は止まらないとも言う。そして、こうも言った。


「ウクライナ政府はチェルノブイリ原発の廃炉までに最低でも100年かかると言っているのに、その100倍も困難な福島第1原発の廃炉を日本政府は30年だと言っている。日本人はまず、福島第1原発の廃炉を僅か30年で終えることなど絶対に不可能であり、最低でも100年以上かかると自覚すべきだ」


チェルノブイリ原発は1号機が1978年に運転開始したけど、8年後の1986年に4号機が事故を起こして停止した。つまり、チェルノブイリ原発が発電していたのはたった8年間だけで、その処理のために100年以上もかかるのだ。事故を起こしていないイギリスのトロースフィニッド原発にしても、発電していたのは26年で、これを廃炉にするためには90年もかかると言う。発電期間よりも廃炉期間のほうが長いということは、すべての原発が事故を起こさずに運転していたとしても、1つの原発を廃炉にするためには代わりの原発を新設しなきゃならないのだから、そのうちに世の中は「廃炉作業中の原発」だらけになってしまう。


‥‥そんなワケで、日本の場合は運転期間が「40年」と決められてるので、電力会社は「廃炉に40年以上かかる」なんて口が裂けても言えやしない。絶対に「40年以下」にしなきゃならない。そこで玄海原発の「廃炉計画書」には「28年」と書かれたのだ。この何の根拠もない数字は、「今さえ良ければいい」「自分たちさえ良ければいい」という人たちが、自分たちのツケを未来の人たちに負わせるために、こうした結果論から捏造したデタラメな数字じゃないのか?サスガは、できもしない、本気でやる気もないことを次々と宣言しちゃう安倍晋三首相が「重要なベースロード電源」だと言ってハバカラない原発だと思った今日この頃なのだ。


★ 今日も最後まで読んでくれてありがとう!
★ よかったら応援のクリックをポチッとお願いします!
  ↓


|

2015.12.18

ナナコの足跡

あたしの大好きな小説、それこそ、マイ・フェバリットと言っても過言じゃないほど大好きな小説は、前にも何度か書いたことがあるけど、角田光代さんの『対岸の彼女』だ。『対岸の彼女』は直木賞受賞作なので、角田光代さんの代表作とも言えるけど、角田光代さんには他にも『空中庭園』や『八日目の蝉』や『紙の月』など、ドラマ化されたり映画化された作品もたくさんあるから、『対岸の彼女』は「数多くある代表作の中のひとつ」とでも言うべきだろうか。

でも、あたしにとっては特別な一冊で、やっぱり、マイ・フェバリットなのだ。それは、この小説に登場するナナコのことが、好きで好きでたまらないほど好きだからだ。有名な作品だから、読んだ人も多いと思うので、細かい内容には触れないけど、この作品は二部構成になってる。楢橋葵という女性の、大人になった現在の章と、高校時代の思い出の章、これが順番に繰り返され、小さな波や大きな波を作りながら、少しずつ融合して加速して行く。

現在の章では、主人公は田村小夜子。結婚していて小さな女の子が1人いる。楢橋葵は大学卒業後に立ち上げた旅行会社を切り盛りしてるんだけど、それだけじゃ食えないのでキッチン掃除なども請け負う「なんでも屋」のような会社を経営してる。三十代半ばの独身で、この会社に同い年の小夜子がパートとして勤務したことで仲良くなる。全編を通じての主人公は葵だけど、この現在の章では小夜子を主人公として描かれている。

そして、思い出の章では、中学時代にイジメに遭って横浜から母親の実家のある群馬へ引っ越して、群馬の女子高へ入学した葵が主人公だ。中学時代に自分をイジメた人たち、自分がイジメられていたことを知っている人たちが1人もいない新しい場所で再スタートを切るために、タクシー運転手のお父さんと、専業主婦だったお母さんと、3人で引っ越してきたワケだ。

中学時代に辛いイジメを体験した葵は、とにかくイジメの対象になることを極度に怖れ、目だたないように、目だつ子たちに目を付けられないようにと、慎重に日々を過ごそうとつとめる。でも、そんな葵に、入学式の時から馴れ馴れしく声を掛けてきた子がいた。野口ナナコだ。「魚子」と書いて「ナナコ」と読む。「魚子織り」という織物の名前からおばあ様が名付けたそうだ。

背が低く、葵の肩ほどしかないナナコ。痩せていてショートカットで、小学生の男の子のような横顔をしたナナコ。「GO!プリンセスプリキュア」の天ノ川きららが、初対面で馴れ馴れしく春野はるかのことを「はるはる」、海藤みなみのことを「みなみん」と呼んだように、ナナコも葵のことを初対面で馴れ馴れしく「アオちん」と呼ぶ。でも、それが、ぜんぜん馴れ馴れしく感じられない。天ノ川きららと同じで、とっても可愛くて憎めない感じの今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、あたしが『対岸の彼女』のナナコのことをどれほど大好きかは、2012年2月26日のブログ「8年目のナナコ」にタップリと書いてるので、一部を抜粋してみる。


「葵の肩くらいまでしかない背丈、ショートカットで小学生の男の子のような顔立ち、初対面なのに馴れ馴れしく話しかけてくるナナコ。そんなナナコと、複雑な心の傷を持った葵とのひと夏のストーリー。もしもこの本に、高校生の時に出会っていたら、あたしはどんなに救われただろうか。でも、この本は、あたしが30歳を過ぎてから刊行された作品だから、そんなことは物理的に無理な話だ。だから、今、中学生や高校生の女の子たちが羨ましい。こんなに素晴らしい作品を葵やナナコとおんなじ年齢で味わうことができるのだから。それでも、あたしは、ナナコのことが愛おしくて、切なくて、可愛くて、いじらしくて、読むたびに何度も号泣してしまう。」


あたしってば、結局、今回もまた同じようなことを書いてるね(笑)‥‥ってなワケで、今回は、実は新しい発見があったのだ。それは、どこかへ消えてしまったナナコの「現在」、と言うか「その後」についてだ。この『対岸の彼女』の中では、夏休みに2人で伊豆の海辺のペンションに住み込みのバイトに行ったんだけど、バイトが終わって自宅に帰る時になって、ナナコが「帰りたくない」と泣き出してしまう。駅のベンチで大粒の涙をポロポロとこぼしながら「帰りたくない、帰りたくない、帰りたくない」と泣き続けるナナコを見て、葵は決心する。そして、2人の逃避行が始まる。

葵の土地勘のある横浜を中心に、2人で安いラブホを泊り歩き、女性無料のディスコで食事をし、補導されないように髪を脱色し、大人っぽく見えるように化粧をし、2人の逃避行は続いて行く。でも、最初から持っていたお金と2人のひと夏のバイト代とで45万円もあった資金も、とうとう20万円を切ってしまった。家計簿代わりのノートを見ると、2人で1日に1万円は必要だと分かる。このままじゃ、あと20日ほどで資金が尽きてしまう。

お金が必要なら身体を売るというナナコに、「だってナナコは処女でしょ?」と止める葵。「そんなもの別に大切じゃない」というナナコに、「そんなこと、しなくていいよ、ナナコ」という葵。この辺には中学時代に葵をイジメた元クラスメイトたちが住んでるから、そいつらを襲ってお金を奪うという葵。そして、とうとうファストフード店でバイトしていた元クラスメイトを見つけて、カツアゲをしてしまう。葵は髪を染めて化粧をしていたので、相手の女の子は葵だとは気付かなかった。

巻き上げたお金は7000円だったけど、とうとう戻れないところまで足を踏み入れてしまった葵とナナコ。マンションの屋上でキャラメルを食べながら、何気ない会話を続ける2人。「ねえ、アオちん。アオちんは本当は帰りたい?もう疲れたんじゃない?帰りたいんじゃない?」と聞くナナコに、「帰りたくはない」とひと言だけ答える葵。

「あたしたち2人なら何でもできるね!どこにでも行けるね!」と笑い合っていた2人は、もうクタクタに疲れていた。そして、本当はどこにも行けないのだということにも気づき始めていた。そして、気が付いた時には、2人で手をつないでマンションの屋上からジャンプしていた。後の章には、次のように書かれている。


「死んでしまおうという明確な意志はなかった。葵はただ、どこか別の場所にいきたかった。カツアゲをしなくていい、ラブホテルを捜し歩かなくていい、補導員の目にびくびくしなくてもいい場所。」


‥‥そんなワケで、マンションはそれほど高くなかった上に、2人が飛び降りた場所は自転車置き場のトタン屋根で、そこでバウンドして芝生へ落ちたため、死ぬどころか、骨折もせずに打撲だけだった。だけど、もちろん葵の両親からは警察に捜索願が出ていたし、葵が細かく付けていた家計簿代わりのノートから2人の行動がすべて分かってしまったため、週刊誌は「レズビアンの女子高生カップルが逃避行の末に自殺未遂をした」と面白おかしく書き立てた。

葵は1日中ずっと自宅で母親や祖母から監視されるようになり、親の目を盗んでナナコの家に電話をすると「現在は使われておりません」と繰り返すだけ。母親も祖母もナナコのことを教えてくれない。家を抜け出してナナコの家まで行ってみたら、引っ越した後でガランとしていた。ナナコ、ナナコ、どこへ行ってしまったの?

でも、この後、一度だけ、タクシー運転手のお父さんが葵のために、母親には内緒でナナコに会わせてくれた。待ち合わせの神社に行くと、お父さんのタクシーの前にナナコが立っていた!まるで夢を見ているような気分の葵に、「あはは、アオちん、元気そうだね」と笑うナナコ。逃避行中にオキシドールで脱色したナナコの髪は、黒髪が生え始めて「プリン頭」になっていた。

ナナコは県内の別の場所に引っ越しして、学校も転校することになったという。住所が分かったら必ず手紙で知らせるからと言って、2人は別れた。でも、手紙は来なかった。これが、葵とナナコの最後のシーンだ。だから、小夜子が主人公の現在の章には、ナナコは一度も登場しない。この日、ナナコと別れた葵は、二度とナナコと会えないまま、大学へ進学し、ベトナムやインドやネパールを旅してまわり、帰国後に小さな旅行会社を立ち上げ、もう三十代の半ばになってしまった。

だから、この『対岸の彼女』を読んだ人なら、この作品が好きな人なら、ナナコのことが大好きな人なら、誰もが「ナナコはどこへ行ってしまったのか?」ということが引っ掛かってると思う。もちろん、あたしもだ。そこで、いよいよ、今回、あたしの発見したナナコの足取りを発表したいと思う。

この作品では、現在の章にはナナコは登場しないと書いたけど、最後のほうの章で、大学時代にラオスを旅していた葵に1人の青年が近づいてくる。その青年は流暢な英語で、「日本人の友達がいる。君に良く似た女の子で、去年、ここで出会った」と言った。何という名前だったか尋ねる葵に、その青年は「ナナコ」だと答える。驚く葵。もちろん、偶然の同名かもしれないけど、あれ以来、連絡の取れなくなっていたナナコの足跡が、ここラオスに残っていたかもしれないのだ。

「君より背の低いきれいな子で、タイからラオスに来て日本へ帰った。日本では東京に住んでいると言っていた」、そして、「手紙と写真が家にあるけど、見にくるか」という青年の言葉を信じて着いて行くと、その青年は廃屋の前で強盗に早変わり。葵は現金やトラベラーズチェックを奪われてしまう。だから、葵はナナコの手紙も写真も確認してないし、話そのものが嘘だったのかもしれない。でも、「ナナコ」という名前や「君より背が低い」という特徴が、すべて偶然だったとも思えない。


‥‥そんなワケで、ようやく核心へと迫っちゃうけど、この答えは角田光代さんの別の小説、『みどり月』の中にあったのだ。この本には『みどりの月』と『かかとの下の空』という2つの作品が収められていて、2つの作品がひとつのストーリーのようでもあり、別の作品でもある。『みどりの月』は、恋人のキタザワから「一緒に暮らそう」と言われた南がキタザワのマンションに引っ越して行くと、そこにはマリコとサトシというカップルが同居していた。マリコは書類上はキタザワの妻だけど、お互いに恋愛感情は消滅していて、それぞれが別の恋人を作ったのに、同居しているという不思議な関係だ。

で、このマリコという女が、小柄で痩せていて、顔はきれいなのに髪も梳かさずにパジャマのまま出かけてしまったり、南がお風呂に入っていると平気で入ってきてしまうようなおかしな子なのだ。フィリピンやタイの女性が働いているパブのような店で、ピアノを弾いて歌を歌っている。そして、店の女性から、東南アジアのほうの国に行けば、歌を歌って生活できるという話を聞かされ、本当に行こうとする。

この話は、なんやかんやでウヤムヤに終わり、続く『かかとのしたの空』は、『みどりの月』とは無関係のカップルが東南アジアへ旅行に行く話なんだけど、その旅先で出会ってつきまとわれるのが、オレンジ色の目立つ巻きスカートを穿いた日本人の小柄な女性で、歌を歌って生活しているという。ほとんどお金は持っていないので、カップルが泊る安宿にも泊れず、バスターミナルで夜を明かしたりしている。

この女性とはタイで別れるんだけど、ここで、さっき紹介した『対岸の彼女』での葵の東南アジア旅行がつながるのだ。葵を騙した強盗の青年は、背が低くてきれいな「ナナコ」と名乗る日本人女性が、タイからここラオスにやってきて、日本へ帰って行ったと言っていた。もちろん、すべてが作り話だという可能性もあるけど、人って、嘘をつく時には部分的にホントのことを織り込み、リアリティーを演出しようとすることが多い。葵を騙してお金を巻き上げるために、1年前に実際に出会った日本人女性の話をしたとも考えられる。

葵が旅に出たのは大学3年生の時で、ラオスに着いたのは約1年後なので、21歳か22歳の時だ。もしもナナコが高校卒業後に上京して、2年くらい一生懸命にバイトをしてお金を貯めて、20歳を過ぎたころに旅に出ていたとしたら、葵と同じルートを1年くらい前に通過していた可能性もある。まるで高校生の時のあの夏のように、お金を使い果たしてしまい、それでも日本に帰りたくなくて、一張羅のオレンジ色の巻きスカートで、歌を歌って僅かなチップをもらったり、日本人カップルにたかったりしながら、タイからラオスへと旅を続けたのかもしれない。


‥‥そんなワケで、あたしがそんなふうに感じたのは、『対岸の彼女』の一番最後の章で、小夜子が葵の留守にパート先の会社でふと手にした文庫本から落ちた、一通の手紙の内容からだった。それは、高校時代にナナコが葵へ送った手紙だ。これを読むと、高校時代を最後に二度と会うことのなかったナナコと葵が、地球儀の上のいろんな場所を時間差で通過していたように思えてならない。そして、通過した時間は違っても、2人の手と手がしっかりとつながれていたと思えてならない今日この頃なのだ。


ハローアオちん。
さっき電話でしゃべったばっかなのにもう手紙書いてるよ。今日の夜ごはんはなんだった?あたしはうちの人るすで、なんかつくるのめんどくて、さっきおかし食べただけ。コアラのマーチだよ。今はまってんだ。
今日ね、世界史の時間に、めずらしくマツバラがじゅぎょう脱線してむだ話したの。しってた?マツバラってあんなんだけど、世界じゅう旅行したことあるんだって。それでね、どこがいちばんきれいでしたかって、りっちゃんが質問したの。どこだと思う?マチュピチュだって。そんなのどこにあるかわかんないよね。なんか幻の空中都市なんだって。ぜんぜんイメージわかないけど。
マツバラ、スイッチ入っちゃってそのあとずっと旅行の話してた。それ聞きながら、あたし考えたの。ねえアオちん。いつかいっしょに旅行いきたいね。フランスとかさ、オーストリアとかさ、うーんどこでもいいや。でもとにかくいってみたいな。あたしたちが一番きれいだって思うのって、どこだろうね。あたしはそれを知りたいな。
もし旅行とかしたら、この退屈な町もなつかしく思えたりするのかなー。わたらせ川が見たい!なんておフランスで思うとか。そんなのやだけど、でもそうだったらちょっといいね。ってへんだけど、でも、もしこの町に帰ってきたいと思えたらなんかそれってしあわせだよね。
あしたいつもの川のところで待ってるね。オリーブの新しいやつと北斗の拳持ってくね。帰りに駅いったら文房具屋で地球儀見てみない?マチュピチュってどこだかさがしてみようよ。いやだったらいいけど。
ツナチーズのクレープが食べたいなり。やっぱおなかすいたなー。なんかつくろっかなー。
どうでもいいことたくさん書いちゃった。また明日会えるのにね。ばかみたい。
じゃあねー。またあした。川で待ってます。
ナナコより


★ 今日も最後まで読んでくれてありがとう!
★ よかったら応援のクリックをポチッとお願いします!
  ↓



 

|

2015.12.13

信じて良かった芦毛教♪

秋のGⅠラッシュも後半戦を迎えたけど、今のとこ、あたしは全滅だ。敗因は2点、1つは点数を買ってないこと。もう1つは好きな馬しか買ってないことだ。さすがに万馬券前後の高配当を3~5点くらい買っただけでピンポイントで的中しちゃったら、何十点も買ってる人たちに申し訳ナイザーだ。だけど、何とかギリギリでプラスだった収支も、この秋の連敗で崖っぷちとなり、そんな時に限って思わぬ支出があったりもして、「そろそろ勝っておかないとヤバい状態」に追い詰められちゃった。

でも、今回の「阪神ジュべナイルフィリーズ」は、あたしにとっては鬼門みたいなGⅠなのだ。大好きだったテイエムプリキュアを始め、ウオッカ、ブエナビスタ、アパパネなどの名牝を輩出してる一方で、悲しいできごとも多い。あたしが熱狂した2010年のレースでは、1着がレーヴディソール、2着がホエールキャプチャ、3着がライステラスという、GⅠ史上初の「芦毛ワンツースリー」が炸裂!馬券のほうもバッチリと3連複を獲らせていただいたけど、「さあ、これから!」と言う時になって、レープディソールは2度の骨折で引退を余儀なくされてしまった。

そして、翌2011年を制したジョワドヴィーヴルも、「さあ、これから!」と言う時になって骨折で長期休養が必要となり、やっと復帰したのもトコノマ、今度は予後不良の解放骨折を発症、わずか4歳で安楽死となってしまった。また、翌2012年の覇者、ローブティサージュも、骨折こそ発症しなかったものの、いろいろな問題で惨敗が続き、今年の「スワンステークス」の直線での落馬を機に引退となった今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、今年の「阪神ジュベナイルフィリーズ」は、「あたしの応援した馬は悲しい運命をたどる」という過去のトラウマもあるし、「好きな馬を応援しすぎない」「好きな馬に寄った買い方をしない」という点だけに注意して、ザックリと「ギャンブル買い」に徹することにした。とは言え、これでもあたしは「芦毛教」の信者なんだから、芦毛を外すことはではない。

で、全18頭を見てみると、11番ブランボヌールと13番ウインファビラスの2頭が芦毛だった。ブランボヌールは単勝で3番人気だったけど、ウインファビラスは10番人気、「う~ん」、あたしは一瞬悩んだけど、これは切磋琢磨した古馬たちのレースじゃない。まだデビューしたばかりのキャピキャピした女子高生たちの運動会だ。誰が勝ったっておかしくない。

そこで、あたしは、この2頭の芦毛を2頭軸にして、上位人気馬7頭への3連複を買った。これなら、組み合わせによってはとんでもない配当になるし、ブランボヌールが3番人気なので中配当なら確率的にも期待できる。ようするに、セコさに重点を置いた「どっちに転んでもそこそこ作戦」だ(笑)

それから、もしも芦毛2頭がワンツーを炸裂された時のことを考えて馬単の行って来いを買い、最後に「押さえの押さえ」として芦毛2頭のワイドを買った。馬券に1000円も使うなんて、それこそギャンブルだったけど、崖っぷりで後がないあたしにとって、この「押さえの押さえ」は極めて重要だった。


‥‥そんなワケで、いよいよ「阪神ジュベナイルフィリーズ」がスタートしたワケだけど、前評判の通り、単勝2.5倍の1番人気メジャーエンブレムは、デビュー時からずっと鞍上を任されてるクリストフ・ルメール騎手とのコンビネーションもバツグンで、「東京五輪エンブレム」のような諸問題も起こさずに、先行から押し切って余裕の快勝で見事に2歳女王の座に輝いたのだ!

ま、ここまでは多くの競馬ファンが想像してた通りだろうけど、ナナナナナント!2番手に飛び込んだのは芦毛の馬体、10番人気のウインファビラスだった!そして、もう一度ナナナナナント!3番手に飛び込んだのも芦毛の馬体、3番人気のブランボヌールだったのだ!

この2頭の芦毛を軸にして買ってたあたしが、1番人気のメジャーエンブレムを買ってないワケもなく、配当的には7種類の中で一番低くなっちゃったけど、それでも的中!700円が7640円になったヒヒ~ン!その上、「押さえの押さえ」で買っておいたワイドが、思いのほか高配当で3140円も付いちゃって、合わせ技で何とか万馬券ヒヒ~ン!


Kb1212h11a


‥‥そんなワケで、この年末になって、急に2~3万円の出費が必要になってしまい、このままじゃ年が越せない江戸っ子状態のあたしだけど、とりあえず、今日の競馬で「いい風」が吹いて来た感じがする。あとは他のレースには手を出さずに、ゴールドシップの引退レースでもある年末の「有馬記念」で、全財産すべてをゴールドシップの単勝にぶっ込んで、気分よく「申年」を迎えたいと思ってる今日この頃なのだ!ウッキ~♪


★ 今日も最後まで読んでくれてありがとう!
★ よかったら応援のクリックをポチッとお願いします!
  ↓


|

« 2015年11月 | トップページ | 2016年1月 »