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2016.02.03

ありがとう!プリンセスプリキュア!

1年間、楽しませてもらった「Go!プリンセスプリキュア」が、1月31日放送の50話で最終回を迎えた。これまでのプリキュアシリーズは、ほとんどが全47~49話で、全50話に到達したのは2009年から2010年に放送された6作目の「フレッシュプリキュア!」だけなので、一応、歴代タイ記録ということになる。そして、2月1日にスタートして翌年の1月31日に終わるという「ピッタリ365日」というのも、「フレッシュプリキュア!」以来となった。

プリキュアを愛するあたし的には、これまで、それなりに楽しみつつも、最近のプリキュアシリーズの劣化ぶりには、ちょっと残念な思いも感じてた。初代と二代目の「ボーイッシュな子とフェミニンな子」というコンビから、4人以上のグループに変わった時に感じた「百合フレーバーの消失」も残念だったけど、それより何より、ここ数年のかっこ悪いプリキュアたちが残念だった。

だって、プリキュアは女の子たちの憧れの存在だったハズなのに、「史上最弱のプリキュア」だの「成績が学年最下位のプリキュア」だのって、いったいどこを狙ってるのか、あたしには制作サイドの意図がまったく理解できなかった。こういうプリキュアが登場するたびに、あたしは、かつての強くて可愛くてかっこ良かったプリキュアたちを思い出し、溜め息をついてた。

それで、あたしは、何年も前から鷲尾天(たかし)プロデューサーの復活を望んでた。初代の「ふたりはプリキュア」から5作目の「YES!プリキュア 5 GoGo!」までを手掛けた「プリキュアの生みの親」である鷲尾プロデューサーが制作陣に戻って来てくれたら、また、来週の放送が楽しみになるような強くて可愛くてかっこいいプリキュアを制作してくれる、あたしはそう信じてた。

だから、スーパーバイザーという形でも、鷲尾プロデューサーが6年ぶりに戻って来てくれた今回の「Go!プリンセスプリキュア」は、あたしにとって待ちに待った作品だったワケで、期待度もMAX HEARTだった。それに、このタイトル!「YES!プリキュア 5 GoGo!」を最後にプリキュアシリーズを去った鷲尾プロデューサーが、今度は「Go!」から始まるタイトルの新作で戻って来てくれたなんて、ちゃんとつながってて最高じゃん!

そして、去年の2月1日に第1話がスタートして、第2話、第3話と続いて行くうちに、あたしは、あまりの素晴らしさに感動して、久しぶりにプリキュアに夢中になった。毎週の放送が楽しみになり、ワクワクするようになった。プリキュアでこのワクワク感を味わえたのは、ホントに何年ぶりかだった。テレビのないあたしは、友達に録画を頼んでて、それを自分のPCで観てるんだけど、以前は月曜日や火曜日に受け取りに行ってたのを、早く観たくて日曜日の夜に受け取りに行くようになった今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、今日は、とっても楽しかった「Go!プリンセスプリキュア」の最終回について、ガンガンにネタバレ満載で感想を書いてくので、まだ録画を観てない人とか、放送が1週間遅れとかの一部地域の皆さんは、ここから先は読まないでほしい。あらすじだけでなく、シーンやセリフまで細かく書いてくので、まだ最終回を観てない人は、「ネタバレ上等」の人以外は、ここから先は読まないでほしい。

で、さっそく始めちゃうけど、ラス前の第49話は、敵のラスボスのディスピアとの戦いで、ディスピアの幹部3人のうち、シャットとロックがプリキュア側につき、ディスピアは残ったクローズを胸のとこに取り込んでパワーアップした。でも、ついにグランプリンセスになることができた4人のプリキュア戦士がディスピアを倒し、学園にも世界にも平和が戻ってくる‥‥というストーリーだった。

そして、今回の第50話、最終回では、ディスピアから絶望の意志を受け継いだクローズが復活した。だから、「プリキュア戦士4人の最後の戦いが始るのか?」と思ったのもトコノマ、戦おうとするトゥインクルをフローラが制止した。「俺たちは戦い続ける運命なんだぜ」と挑発するクローズを見上げながら、「このまま戦っても、きっと、何も変わらない」と言うフローラ。「どうするつもりですの?」と聞くスカーレットに、「分からない、でも、だから、話さなきゃ!クローズと!」と言い、1人でクローズのところへ向かうフローラ。

そう、フローラは、終わりのない戦いの連鎖を断ち切るために、敵との対話を望んだのだ。そして、ここで注目しておいてほしいのが、このフローラのセリフの中の「でも、だから」だ。自分たちが何よりも大切にしてる「夢」を、「絶望」で消し去ろうとしているディスダークとの終わりのない戦い。これを終わらせるために、フローラは、どうすればいいのか分からない。でも、だからこそ、敵であるクローズと対話することが必要なんだ。そう感じたんだろう。

たった1人で自分のところに来たフローラと戦うために、クローズは自分たちのまわりにイバラを使って巨大な球体を生み出し、誰にもジャマされない空間を作った。そして、ディスピアの力を受け継いだクローズは、これまで以上のパワーで攻撃して来た。クローズの攻撃を食らってしまい、意識が薄れて行くフローラ。


クローズ「夢がある限り、絶望は消えない!永遠にな!」

フローラ「絶望は消えない‥‥絶望って何?‥‥絶望‥‥絶望‥‥絶望‥‥」


フローラの頭の中に、小さかったころからの記憶が走馬灯のように流れて行く。大好きな絵本の「花のプリンセス」に憧れて、花のプリンセスになりたくて努力して来た日々、辛かったこと、楽しかったことが、次々と流れて行く。そして、ようやくフローラは気づき、意識を取り戻した。。


フローラ「そう、絶望は消せない‥‥」

クローズ「えっ?」

フローラ「絶望は、どこにでもある。今までずっと、辛いことはたくさんあった。でも、それをなかったことになんかできない。ううん、なくしたくない!」

クローズ「何を言っている!」


ディスピアの意志を受け継いだだけでなく、ストップとフリーズも取り込んだクローズは、次々と強力な攻撃を繰り出して来るが、落ち着いて防御しながら、自分の思いを伝えようとするフローラ。


フローラ「楽しいことと辛いことは背中合わせ、でも、だから、今のわたしがいる!」


はい!ここでも出ました!「でも、だから」が!


クローズ「ふざけるなー!」

フローラ「夢も、絶望も、その両方がわたしを育ててくれた!」

クローズ「黙れー!」

フローラ「嬉しいこと、悲しいこと、全部ひっくるめて夢ってことなのかな」

クローズ「黙れー!」


クローズの強力な攻撃をしのいだフローラは、クローズの胸の鍵穴に両手を当てて、至近距離から「プリキュア・フローラル・トルビヨン」を放った。これは、両手に集めた花びらを放って相手を浄化する技だ。クローズは攻撃を止め、ようやくフローラの話に耳を傾けた。


フローラ「絶望は消えない‥‥」

クローズ「そうだ、これからも現われ続けるぜ」

フローラ「乗り越えて行くよ。時々、負けちゃうことだってあるけど、何度でも前を向ける。だって、わたしたちには‥‥」

クローズ「夢があるから‥‥」

フローラ「えへ、夢だって消せないよ。絶望がある限り、夢だって輝き続ける、いつまでも‥‥」

クローズ「強く優しく美しく、か‥‥」


フローラの笑顔を見て、溜め息をつくクローズ。


クローズ「やめだ、お前の相手は。これ以上、やってらんねえぜ。消えてやるよ、今はな‥‥あばよ‥‥」


クルッと向きを変え、ディスダークへと帰って行くクローズ。


クローズ「またな」

フローラ「ごきげんよう」


‥‥そんなワケで、悲しい戦いの連鎖を終わらせるために、どうすればいいか分からなかったフローラだったけど、クローズの攻撃を受けながら、「夢」と「絶望」とは表裏一体であり、どちらか一方だけを消し去ることなんてできないのだと気づいたのだ。「絶望」があったからこそ、それを乗り越えるために自分は成長することが出来て、自分の「夢」に向かって階段を上って来られたのだと気づいたのだ。そして、その気づきは、敵であるクローズにも届いたのだ。

そして、学園にも世界にも平和が戻り、ホープキングダムも元に戻り、トワはご両親と涙の再開を果たした。学園のみんなも、それぞれの夢に向かって歩き出した。はるかのルームメイトで親友、プリキュアの4人を支えて来た七瀬ゆいは、絵本作家になるという夢のために、寮の部屋で絵を描いてる。左を向いたキュアフローラの絵だ。そして、窓から青い空を見上げる。

浜辺に立つ白衣の女性、海洋学者の北風あすかのところに、海藤みなみがやって来る。海の獣医になりたいという夢のために、北風あすかの元で海洋学を学ぶためだ。笑顔で挨拶する2人と、みなみの夢への第一歩を祝福するかのように、海面から大きくジャンプするイルカのティナ。

天ノ川きららは、トップモデルになるという夢のため、ファッションショーの真っ最中。ランウェイを颯爽と歩き、ポーズを決めるきららを、自分の立ち上げたパリのブランドの専属モデルに招いてるボロロ・ボアンヌと、母親でスーパーモデルのステラが見つめてる。

ホープキングダムへ帰った妖精たちも、それぞれの夢へ向かって歩き出した。クロロはロイヤルティーチャーを目指してミス・シャムールの指導を受けてるし、メイド見習いのパフはメイドを目指してがんばってる。そして、パフの兄であり執事見習いのアロマは、王子であるカナタに付いてがんばってる。

そして、カナタが丘へ行くと、そこには妹のトワが。人間界では紅城 トワと名乗ってキュアスカーレットとして活躍してたけど、ホープキングダムでは王女であり、本名は「プリンセス・ホープ・ディライト・トワ」だ。そう、4人のプリンセスプリキュアの中で、本物のプリンセスだったのはトワだけなのだ‥‥なんてのも織り込みつつ、カナタとトワは久しぶりに2人でバイオリンを奏で始める。

カナタは、最後のお別れを言うために、はるかの元を訪ねる。はるかが小さかったころに、初めて出会った花咲く丘の上だ。丘の上には、手に乗せたドレスアップキーを見つめてるはるか。


はるか「本当に、今まで楽しかったよ。辛いこともあったけど、このキーがあったから、あたし、ここまで来られたよ」

カナタ「キーはきっかけに過ぎない。ほんの少し、君の背中を押しただけだ。すべては君の、はるかの力だよ」

はるか「そうかな?‥‥カナタがそう言ってくれるなら、そうかも‥‥。うん!あたし、がんばった!えへへ、それなら、あたしはもう大丈夫だよ。このキーがなくても歩いて行ける。これからも、あたしの夢、あたしだけのプリンセスを目指して!」

カナタ「ありがとう。はるか、君に出会えて良かった」

はるか「あたしも!ありがとう、カナタ!‥‥また会えるよね?」

カナタ「ああ、会いたいと‥‥」

はるか「心から望めば‥‥」


一瞬、驚き、笑顔になるカナタ。そして、はるかからキーを受け取ったカナタは、ホープキングダムへと帰って行った。はるかは最後まで笑顔だったけど、カナタが消えたあと、泣きじゃくった。最後は笑顔で別れようって、がんばってたんだね。はるかがいじらしくて、あたしも、もらい泣きした。

ひとしきり泣いたはるかは、何かを決心したように笑顔になり、また元気に歩きだした。そして、はるかの声でナレーションが入る。


「これは、遥か彼方へ走り続ける少女たちの物語、夢へ向かって、GO!プリンセスプリキュア!」


いつものOPテーマ曲が流れ始め、大きくジャンプしたはるかから青空へ、そしてED曲へ‥‥って流れで終わったと思ったのもイタノマ、ED曲のあとに、最高のシーンが待ってたのだ。ED曲が終わると、また花咲く丘の場面になり、いつもはるかがいた場所に、小さな女の子が座ってて、絵本を読んでる。


女の子「こうしてプリンセスたちの夢の旅は続くのでした」


絵本の最後の一節を読み上げた女の子を、お母さんが迎えに来る。「あ、ママ!」と言って立ち上がる女の子、閉じた絵本の表紙には、「プリンセスと夢の鍵」というタイトルと左を向いたキュアフローラの絵、そして、「ななせゆい」という作者名。


「プリンセスたちは、もう会えないのかなあ?」という女の子の独り言を受けて、お母さんの元へと駆けて行く女の子の背中を見ながら、丘の上に現われたはるかが言った。


はるか「大丈夫、夢に向かって走り続ければ、その心の中にまた、キーは生まれる」


はるかの手には、カナタに返したハズのキーがある。そして、後ろ姿だけで顔は見えない。でも、肩よりも短かった髪がずっと長くなってて、背も伸びてて、何年後かの成長したはるかだということが分かる。もちろん、ゆいの絵本が発売されてたことからも、それは推測できた。

はるかのこの言葉を受けて、場面は浜辺に立つ白衣の女性の後ろ姿に変わる。長い髪を三つ編みにして1つにまとめてるけど、その髪の色から、成長したみなみであることが分かる。海洋学者の北風あすかが立っていた場所に、今は同じ白衣を着たみなみが立ってるのだ。そして、みなみの手にもキーがある。

場面は夜のパリに変わり、ライトアップされたエッフェル塔を見つめてるのは、もちろん、きららだ。これも顔は見えないけど、背中の真ん中くらいまであった長くてボリュームのある髪は肩より少し長いくらいにスッキリとカットされ、キーを持つ右手には太いゴールドのバングルと長いネイル、そして、ゴールドのピアスと肩に掛けたバッグから、数年が経過して成長したきららであること、ボロロ・ボアンヌの立ち上げた新ブランドの専属モデルとして、パリで活躍してることが分かる。

そして、ホープキングダムで王女として暮してるトワも、キーを手にした後ろ姿が美しい。この3つの場面は静止画で、ほんの数秒ずつしか映らないけど、ホントに素晴らしかった。特に、あたしの大好きなきららの成長した姿のカットは、あまりにも素晴らしすぎて、思わずPCの壁紙にしてしまったほどだ。


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長々と説明しちゃったけど、この3つの場面は、はるかの言葉を受けてのものだから、はるかの元へと場面は戻る。はるかは、今度は正面を向いてるけど、顔は下半分だけしか見えない。でも、シャープになったアゴのラインなどで、やっぱり成長したことが見てとれる。つまり、今回のラストシーンは、ED曲をはさんで、それぞれの夢に向かって歩き出した春野はるか、海藤みなみ、天ノ川きらら、プリンセス・ホープ・ディライト・トワの4人と、その何年後かの成長した姿を見せてくれたのだ。そして、そのベースになってるのが、七瀬ゆいの描いた絵本であり、その絵本を読んでた女の子の座ってた場所は、十数年前に小さかったはるかが夢中で「花のプリンセス」を読んでた場所なのだ。

もしかしたら、この女の子も、ゆいの描いた絵本の中に自分の夢を見つけるかも知れないし、この場所で異世界の王子と出会うかもしれない。そして、もしかしたら、この女の子が、何年後かのプリキュアになるかもしれない。少女たちの夢は続いて行く。少女たちの夢はリレーして行く。そう感じさせてくれる、最高のラストシーンだった。


‥‥そんなワケで、プリキュアを愛するあまりに、時には辛口にもなってしまうあたしだけど、今回の「Go!プリンセスプリキュア」に関しては、最初から最後まで文句のつけようがなかった。細部にわたって丁寧に作られてて、制作陣のプリキュア愛がヒシヒシと感じられて、シリーズ最高と言ってもいいほどのクオリティーだった。

だけど、不思議なことに、視聴率は悪かった。プリキュアシリーズの平均視聴率は、初代と2作目が7~8%、3作目から9作目までが5~7%だったけど、10作目の「ドキドキ!プリキュア」が初めて5%を割って4%台後半となり、11作目の「ハピネスチャージプリキュア!」はさらに下がって4%台半ばになった。そして、今回の「Go!プリンセスプリキュア」は、第1話から第49話までが3%台から4%台前半を行ったり来たりだったので、たぶん平均視聴率は歴代最下位になると思う。

きっと、前々作と前作の不振で進行しちゃった「プリキュア離れ」の影響もあるのかもしれないけど、これはとっても残念な結果だ。プリキュアシリーズを全作すべて1話も欠かさずに観て来たプリキュアマニアのあたし的には、シリーズのトップ3に数えてもいいと思ってるほど素晴らしい今回の作品なのに、まさか、こんなにも低い視聴率だなんて、ちょっと意外だ。

視聴率が高かろうが低かろうが、あたしには直接は関係ないことだけど、視聴率はメインスポンサーが販売してる「関連玩具の売り上げ」に直結してるから、制作サイドにとっては大問題だ。そして、このまま低迷が続けば、そのうち「プリキュアシリーズの打ち切り」ということになり、あたしにとっても悲しいことになっちゃう。


‥‥そんなワケで、低迷する視聴率を回復させるために生み出されたのが、2月7日からスタートする新作、通算13作目にして11代目のプリキュア、「魔法使いプリキュア!」だ。一世を風靡したものの、人気が下降気味のプリキュアシリーズに、いつの時代でも子どもたちに人気のある「魔法使い」の要素を組み合わせるという、ある意味、起死回生の策なんだろう。でも、このタイトルを知った時、あたしは、「あ~あ、とうとうパンドラの箱を開けちゃったよ」と思った。プリキュアにはプリキュアならではの世界観があるのに、ここに魔法を持ち込んだら、それが壊れてしまう。正直、魔法モノをやりたいのなら、プリキュアシリーズはお休みするか、潔く打ち切りにして、「おジャ魔女どれみ」の続編をやればいいじゃないか。最後の「おジャ魔女どれみ ドッカ~ン!」の3年後の高校生になったどれみたちを描いたライトノベル「おジャ魔女どれみ 16」のシリーズをアニメ化すればいいじゃないか。あたしはそう思った‥‥とか言いつつ、今度の「魔法使いプリキュア!」も第1話からシッカリ観て行こうと思った今日この頃なのだ♪


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