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2016.02.01

ネットのニュースの落とし穴

あたしはテレビを持ってないし新聞も購読してないので、ニュースはもっぱらネットで読んでるんだけど、ネットのニュースには落とし穴がある。その1つが、見出しだけを見て、記事を読まずに「思い込んでしまう」という落とし穴だ。

どこのポータルサイトにアクセスしても、まずは新着の主要ニュースの見出しが並んでて、その後に「社会」「政治」「経済」「海外」「エンタメ」「スポーツ」などのジャンル別の項目が並んでる。これらのニュースの見出しは、ポータルサイトによって多少の違いはあるけど、だいたい13文字から17文字くらいで、平均すると15文字ほどだ。

そして、多くの人は見出しを流して読み、その中で自分の興味のある記事しか読まないから、それ以外のニュースは見出しだけを「思い込んでしまう」ということがある。たとえば、しばらく前に、あるポータルサイトの主要ニュースの見出しの中に、こんなのがあった。


「嫌いな政治家、2位に山本太郎氏」


このニュースに興味がなく、見出しだけ読んだ人の記憶には「山本太郎って嫌われてるんだ」という情報だけが刷り込まれただろう。ちなみに、見出しをクリックして記事を読んでみたら、これは「週刊プレイボーイ」のアンケート結果の記事で、「嫌いな政治家」のダントツの1位は安倍晋三、ずいぶんと差があって2位が山本太郎、3位が麻生太郎だった。

これらの見出しはそれぞれのポータルサイトの担当者が書いてるから、同じ記事の見出しでもポータルサイトによってカラーが違ってくる。このポータルサイトの担当者が、どうして1位ではなく2位を見出しに使ったのか、あたしにはその意図は分からない。でも、見出しだけ読んだ人たちの記憶に「何」が刷り込まれたのかは、あたしでも分かる。

わずか15文字前後のキャパで、記事の内容を的確に伝えなきゃならないのがネットニュースの見出しの役割であり、それぞれのポータルサイトの担当者のセンスが光る場だ。だけど、その一方で、その担当者やポータルサイト運営会社のカラーが意図的に反映されることもあると思う今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、昨日、いつものようにポータルサイト巡りをしてニュースの見出しをチェキしてたら、あるポータルサイトの主要ニュースのとこに驚くべき見出しを見つけた。


「NYタイムズがヒラリー氏支持」


アメリカの新聞で購読者数3位を誇るニューヨークタイムズが、アメリカ大統領選で、この時期に民主党を支持すると表明しちゃったのか?ま、ニューヨークタイムズは昔からヒラリー贔屓(びいき)だけど、ビックリしてすぐに見出しをクリックしたら、時事通信の以下の記事だった。


「クリントン氏支持を表明=米大統領選でNYタイムズ」時事通信
【ニューヨーク時事】米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は30日、大統領選の民主党候補としてヒラリー・クリントン前国務長官(68)を支持する立場を表明した。同紙はクリントン氏について、上院議員や国務長官としての実績や、大統領夫人としての経験を評価。労働者の権利を重視する経済政策に加え、銃規制や女性の地位向上などの取り組みにも期待できるとして「近代史上、最適任の大統領候補の一人」と評した。(2016/01/31-06:45)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201601/2016013100025&g=int


この記事を読んで、いくらヒラリー贔屓のニューヨーク・タイムズでも、ホントにこの時期にこんな記事を書いたのかと疑問に思ったあたしは、さっそく実際のニューヨーク・タイムズの元記事を読んでみた。そしたら、ホントに書いてあった。


「Hillary Clinton for the Democratic Nomination」
http://www.nytimes.com/2016/01/31/opinion/sunday/hillary-clinton-endorsement.html?ref=opinion


元記事の全文を読んだけど、時事通信の記事の内容は元記事の内容を的確に短くまとめてあって、何も問題ないことが分かった。だけど、トップページの、このヒラリーの記事の下に、「A Chance to Reset the Republican Race」という共和党に関する記事が並んでて、見出しの下のリード文には次のように書いてあった。


「ジョン・ケーシック知事は、トップを走る過激な候補者たちに疲弊している共和党にとって、唯一の妥当な選択だ」


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それで、この記事を読んでみたら、共和党のドナルド・トランプとテッド・クルースによる大統領候補争いを「汚くて野蛮だ」と一刀両断してた。最初はドナルド・トランプを批判し、続いてテッド・クルースを批判した上で、「オハイオ州のジョン・ケーシック知事は、(現時点では2人に)完全に負けているが、今回の候補選で過激さと経験不足さばかり見せられて飽き飽きしている有権者にとって、唯一の妥当な選択だ」と書いてた。そして、ジョン・ケーシック知事の良くない点もキチンと揚げながら、良い点や実績などを書き綴り、なぜ「唯一の妥当な選択」なのかを説明してた。


「A Chance to Reset the Republican Race」
http://www.nytimes.com/2016/01/31/opinion/sunday/a-chance-to-reset-the-republican-race.html?ref=opinion


‥‥そんなワケで、「ニューヨークタイムズが民主党支持を表明した」というのは、あたしの早トチリで、正しくは「民主党候補の中ではヒラリー・クリントンを支持した&共和党候補の中ではジョン・ケーシックを支持した」ということだった。最初に読んだ時事通信の記事にも、ちゃんと「大統領選の民主党候補としてヒラリー・クリントン前国務長官を支持する立場を表明した」と書かれてるから、この記事に関しては何も問題ない。悪いのはあたしだ。

だけど、時事通信は、後述の共和党のジョン・ケーシック知事の記事は紹介していない。これってどうなんだろう?ニューヨークタイムズは民主党と共和党のそれぞれの候補選について並列した記事を書き、それぞれ支持する候補者の名前を挙げてるのに、その一方の記事だけしか紹介しないのって、どうなんだろう?これだと、あたしみたく早トチリしちゃった人も多いんじゃないだろうか?‥‥なんてことをモヤモヤと思いつつ、いろんなニュースサイトを見て回ってたら、米CNNの日本語サイトに、こんな記事を発見した。


「米NYT紙が民主クリントン氏、共和ケーシック氏の支持表明」
米紙ニューヨーク・タイムズは30日、今年の米大統領選の立候補者では民主党のヒラリー・クリントン前国務長官、共和党ではオハイオ州のジョン・ケーシック知事を支持するとの論説を掲載した。有力紙とされる同紙の支持表明は、来月1日に民主、共和両党の指名候補争いの初戦となるアイオワ州の党員集会に臨む両氏に追い風となる可能性がある。
http://www.cnn.co.jp/usa/35077113.html?tag=top;topStories


全文はリンク先の記事を読んでもらうとして、あたしはこの記事を見つけた時、「これだよ!あたしが言いたかったことは!」と思って、モヤモヤしてた気分が一気に晴れ渡った。


‥‥そんなワケで、海外のニュースの中から何を選んで報じるかは報道媒体それぞれの自由だし、それらの記事の中から何を選んで主要ニュースの見出しに並べるかはポータルサイトそれぞれの自由だ。小沢一郎の陸山会問題の時には、疑惑の段階から連日のように犯人扱いで取り上げて大騒ぎし続けたテレビや新聞が、今回の甘利明の口利き疑惑問題では、まるで大臣の辞任ですべて事件が収束したかのように静かになってしまうのも自由だし、甘利明を「潔い」などと称賛した記事を書くのも自由だ。ま、テレビも新聞も報道関係の偉い人たちは、安倍晋三と会食したりゴルフしたりと忙しいみたいだから、あたしは特に期待はしてないけど、今回のニューヨーク・タイムズの記事の例を見れば分かるように、ネットを活用してる人たちは、見出しだけを見ての「思い込み」だけでなく、記事を読んでも疑って掛かること、どうしてこの記事がピックアップされているのかを考えてみることが大切だと感じた今日この頃なのだ。


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