鳩山由紀夫氏「私は外務省と防衛省の官僚に騙された」
1週間ほど前の2月23日、朝日新聞が「「65カイリ基準」米軍否定 普天間県外移設断念の根拠」というスクープを報じた。時間が経過してリンク先の記事が消されてしまうと困るので、全文を引用させていただく。
「「65カイリ基準」米軍否定 普天間県外移設断念の根拠」(2016年2月23日)
2010年に鳩山由紀夫首相(当時)が米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の県外移設を断念する判断材料となった政府の内部文書を朝日新聞が入手した。米軍の「基準」としてヘリコプター部隊と訓練場との距離を「65カイリ(約120キロ)」以内と明示しているが、在日米軍司令部は朝日新聞の取材に「そのような基準はない」とした。
文書は「普天間移設問題に関する米側からの説明」。10年4月19日付で「極秘」と押印されている。「65海里(約120キロ)の問題」として「回転翼航空部隊の拠点と同部隊が(陸上部隊と)恒常的に訓練を行うための拠点との間の距離に関する基準であり、米軍のマニュアルに明記されている」と説明している。
普天間飛行場の県外移設を模索した鳩山氏は、この時期、鹿児島県・徳之島への移設を検討。だが、沖縄海兵隊のヘリ部隊の訓練が行われる沖縄本島中北部と徳之島とは約104カイリ(約192キロ)離れ、「65カイリ基準」を満たさない。
http://www.asahi.com/articles/ASJ2Q5JR3J2QUTFK00M.html
‥‥そんなワケで、記事の内容だけを信用すれば、「最低でも県外」と言い続けて来た鳩山由紀夫首相に県外移設を断念させるために、外務省や防衛相が嘘の文書を捏造し、それをもって鳩山首相を騙したということになる。でも、この記事だけを鵜呑みにして、結論を急ぐことは危険なので、あたしは、鳩山さん本人の口から、何らかのメッセージが出るのを待とうと思っていた。
そしたら、元衆議院議員の三宅雪子さんが毎日配信しているツイキャスで、2月29日に鳩山由紀夫さんがスペシャルゲストとして電話インタビューに出てくださるという。そして、三宅雪子さんは、この「65カイリ」の問題を質問してくださるという。それで、あたしは、録音の準備をして、三宅雪子さんのツイキャスが始まるのを待った。ツイキャスは予定時間の午後9時の1分前に始まり、鳩山さんとの電話は9時9分につながった。そして、三宅雪子さんは、まず初めに、この「65カイリ」の問題を質問してくださった。以下、鳩山さんの回投の主旨だ。
鳩山由紀夫さん 「2010年4月19日に、防衛省と外務省の役人が首相官邸に来て、『(普天間飛行場の移設先の件で)米軍と議論してきた。米軍は、ヘリコプターの訓練には一体性が必要だ、ヘリコプターの基地が訓練場と離れてしまっては訓練ができない、と言っている』と言われました。その時に渡された文書には、訓練場とヘリの基地までの距離が『65カイリまでならいいと』と書かれていました。沖縄の北部訓練場から65カイリを円で描くと、ほとんどが沖縄になってしまいます。私は奄美大島や徳之島を考えていましたが、これではすべてダメになってしまいます。結論として辺野古しかないということになってしまったのです。この文書には『極秘』という判子が押されていて、外務相の極秘文書になっていました。しかし、後に安倍政権になって、普天間飛行場の移設先として佐賀県という話が出たので、これはおかしいと思いました。私は(防衛省と外務省の)役人から『65カイリは米軍のマニュアルに明記してある』と説明を受けましたが、後になって米軍のマニュアルには書かれていないということを知りました。さらには、外務省にもこの文書は残っていないのです。この時、私にこの文書を見せて説明した役人は、全員は覚えていませんが、日米安保条約課長の船越(健裕)さんがいたことは覚えています。結局、米軍のマニュアルに明記してあるということ自体が嘘だったのです。外務省の極秘文書になっていて、米軍のマニュアルにも明記してあると書かれていたので、自分としては最後通知を突きつけられたという思いで、県外移設を断念せざるをえなかったのです。今になって思えば、どうしても辺野古に移設したい勢力が、私を騙したということになります」
‥‥そんなワケで、皆さん、この鳩山さんの話を聴いて、どう思っただろうか。外務省と防衛省の高級官僚たちがジキジキに首相官邸まで「極秘文書」を持参したのだから、その内容に疑問をはさむ余地などなかっただろうし、首相と言えども口外はできなかっただろう。そして、今回の鳩山さんの証言が事実であるのなら、外務省と防衛省の官僚たちによる組織ぐるみの公文書偽造という大罪なのだから、政府は今すぐに調査機関を作り、事実関係を明らかにすべきであり、結果が出るまで辺野古への移設計画は凍結すべきではないのか。今も毎日、かけがえのない辺野古のちゅら海を守ろうとして必死に座り込みを続けている人たちと、防衛利権のために海を埋め立てて人殺しのための新基地を造ろうとしている勢力がぶつかり合っているが、裏でこんなにも悪質な工作が行なわれていたのであれば、民主国家として断じて許すワケには行かない。名護市の市長選でも、沖縄の県知事選でも、辺野古移設反対派の候補が圧倒的な支持を受けて当選したというのに、こんな最低の捏造をしてまで平然と民意を踏みにじる暴力団のような独裁政権など、今すぐに退場してほしい思う今日この頃なのだ。
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