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2016.03.19

続・限りなく賭博に近いゲン担ぎ

巨人の野球賭博問題に端を発した、試合前の円陣の声出しや練習中のシートノックなどでの現金やりとり問題は、巨人に続いて阪神、西武、ソフトバンク、広島、楽天、ロッテも事実を認め、とうとう12球団中7球団にまで広がった。もちろん、これは17日時点での報告だから、他球団の内部調査が進めば、さらに広がる可能性もあるだろう。

ま、ここで収まったとしても、まだ広がったとしても、NPB(日本プロ野球機構)が「野球協定には抵触していない」と断言しているんだし、とにかく巨人が火消しに躍起になっているから、誰ひとりとして処分されず、誰ひとりとして責任を取らないまま、「今後は現金のやりとりは自粛する」ということで、なし崩し的にお手打ちにしてしまうつもりなんだろう。

だけど、あたしの感覚で言うと、巨人のやっていた現金のやりとりは、他球団と比較して、極めてグレーだと思う。毎試合ごとに、勝てば全員が5000円ずつ、最大で14万円もの大金を声出しした「親」に支払い、試合に負けた場合は「親」が全員に1000円ずつ支払う。これって、どう見たって賭博じゃないか。これと同じことを、もしもゴルフでやったらどうなるだろうか。完全に賭博行為で逮捕されると思うんだけど。

一方、広島や西武などでは、普段の試合では現金のやりとりは行なわれておらず、4連勝や5連勝がかかった試合の時だけ、複数の選手から1000円ずつ集めておき、声出しした選手に渡していたという。これこそが、巨人の首脳陣が苦し紛れに説明した「ご祝儀」であり「ゲン担ぎ」だと思った今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、あまりにもグレーな巨人の現金やりとりだけど、あくまでも1軍の試合前の円陣での声出しに限って言えば、たとえ巨人だけが他球団より金額が高かったとしても、たとえ巨人だけが他球団より頻繁に行なっていたとしても、大切なペナントレースの中の1試合ということを踏まえれば、「ご祝儀」だの「ゲン担ぎ」だの「モチベーションの維持」だのという苦しいイイワケも、ある程度は理解できる部分もある。

でも、さすがに、これを「賭博とは違う」と言い切る巨人の首脳陣の姿勢には、安倍晋三の「汚染水は港湾内で完全にブロックされている」と同様に、「一般市民の認識との乖離」感を否めない。その日の試合に勝って、連勝を伸ばした時にだけ、みんなから集めておいた1000円を渡すのなら「賭博とは違う」と言えるけど、負けた場合にも「親」が全員に現金を支払うという巨人のやり方は、完全に賭博の基本的ルールだろう。

でも、あたしが激しくムカついているのは、この試合前の円陣での声出しよりも、巨人の練習中のシートノックでの現金のやりとりだ。これまでの各球団の内部調査の報告を見ると、西武は投手陣のノックのエラー1回に100円から数百円の罰金を課すことがあり、他にも、練習に遅刻した時にも少額の罰金を課すことがあったけど、このお金はすべて貯めておいて、投手会のオフ会でのファンサービスなどの資金として使っていたという。また、広島でも、ノックのエラー1回1000円という罰金を課すことがあったけど、これも貯めておいて、障がいを持つ子どもたちを試合に招待する時の資金の一部として使っていたという。

一方、巨人の場合は、シートノックを受ける投手同士が、エラー1回1万円という高額の現金を賭け、その日の練習で一番エラーの多かった選手が、他の選手たちに何万円もの現金を払っていた。野球賭博問題で巨人を契約解除になった元投手の松本竜也氏(22)は、「エラー3回なら3万円をメンバーに払う。10万円以上負けることもあった。この仕組みは自分が入団した時からあった。中には現金が賭かっていることを承知で、わざと若手に厳しいノックをするコーチもいた」と証言している。

西武や広島のケースでは、エラーをしなかった選手、エラーの少なかった選手が、一番エラーの多かった選手から現金を受け取ることはない。つまり、賭博として成り立っていない。また、1回100円から1000円なのだが、どんなにエラーをしたからと言って、一度に10万円も支払うことなどなかっただろう。そして、これらのお金は選手会なりが管理しておき、オフ会でのファンサービスや障がいを持つ子どもたちを試合に招待する時に使っていたのだ。


‥‥そんなワケで、あたしは、今回の西武や広島のシートノックでの罰金システムを聞いて、高校生の時のバイトのことを思い出した。今から25年以上前、高校から専門学校に掛けてのあたしは、いろんなバイトを掛け持ちして働きまくってたけど、その中でも、けっこう長続きしたのが居酒屋さんのバイトだった。高校3年生の時から専門学校を卒業するまで、途中で少し抜けたりもしたけど、トータルで3年間もお世話になった。

この居酒屋さんにはタイムカードがなくて、お店の奥の食品倉庫兼着替え場所の壁に、バイトのローテーションを書き込むホワイトボードがあって、そこにノートがぶら下がってて、このノートに自分の出社時間と退社時間を書き込むことになってた。だから、数人のバイトたちは、5分や10分くらい遅刻しても、誰も正直に書かなかった‥‥って言うか、「5分や10分くらいは遅刻のうちに入らない」という、暗黙の了解みたいなものがバイトの間にできあがっていたし、1時間の遅刻や無断欠勤など、よほど酷い時でなければ、店長もいちいち言わなかった。

午後5時からバイトに入ってたあたしは、翌日も早起きして学校に行かなきゃならないし、帰ってからも宿題とか課題とかがあったから、定時の23時にはサクッと上がりたい。だけど、あたしと交代の23時からのバイトが来てくれないと、あたしは帰るに帰れない。こんな時って、交代のバイトが来てくれるまでの5分や10分がヤタラと長く感じちゃう。

でも、いい意味でも悪い意味でもフランク・ザッパなお店だったので、交代のバイトが10分遅刻して23時10分に来たとしても、あたしはノートの退社時間のとこに「23時」と書いてたし、10分遅刻して来たバイトもノートの出社時間のとこに「23時」と書いていた。あたしは、フリーターじゃなくて学生だったので、試験や学校の行事でお休みさせてもらうことも多かったため、いつも迷惑を掛けてる先輩たちに、あんまり細かいことは言えなかったのだ。

だけど、こういう「気のゆるみ」って、ジョジョに奇妙に周囲に感染して行くもので、その「ゆるみ」の度合いも、だんだん大きくなって行った。あたしがバイトを始めたころは、時々遅刻する先輩は1人だけだったんだけど、そのうち、いつも5分前にきちんと来てた先輩たちも、週に1回、2回と遅刻するようになってきた。そして、最初のうちは、たとえ5分の遅刻でも、一応は店長に「すみませんでした!」と謝ってた先輩たちは、そのうち、遅刻してもナニゴトもなかったかのように、シレ~っと働いてるようになった。

ま、何も言わない店長が一番悪かったんだけど、誰よりも負担が増えたのは、23時までのシフトで入ってたあたしだった。酷い時なんか、10分が過ぎても20分が過ぎても交代のバイトが現われず、30分以上も遅刻して23時半過ぎに現われたと思ったら、満面の笑みで「きっこちゃん、悪い悪い!」と来たもんだ。それでも、先輩たちはいい人なので、あたしは何も言うことができず、せめてノートに退社時間を「23時30分」と記入するのが、精一杯の抵抗だった。

もちろん、お客さんの少ない日とかは、23時からのバイトが定時に来なくても、店長はあたしに「上がっていいよ」と言って帰してくれたし、いろいろと気を使ってくれた。だけど、あまりにも遅刻が「当たり前」になって来たことと、あたしにばかり負担が掛かるために、とうとう店長は「罰金システム」を導入したのだ。ある日から、ホワイトボードのノートのとこに口の広い瓶が置かれ、5分とか10分とかの遅刻をしたバイトは100円、15分以上の遅刻をしたバイトは200円、自分のお財布から罰金を入れることになった。

でも、あたしと交代の23時からのバイトも、他の時間に入っていたバイトも、たとえ遅刻してもノートに定時を書き込むことを店長が黙認してたから、罰金を払っても、そのぶん、バイト代で補填できていた。あたしは高校生なので時給800円だったけど、23時から朝までのバイトの大学生やフリーターは1000円くらいもらってたから、遅刻して100円とか200円とかの罰金を払ったとしても、そのぶん、実際には働いていない5分とか10分とかの時給でトントンになるってワケだ。

そして、毎月1回、この瓶の中の罰金に店長がポケットマネーから不足分を足して、近くにあった評判のケーキ屋さんで美味しいケーキを買ってきて、バイト全員にご馳走してくれるようになった。とは言え、この「罰金システム」はなかなかの効果を上げ、半年もしないうちに遅刻をする人はほとんどいなくなったので、この毎月1回のケーキのイベントは、ほとんど店長のおごりという形に落ち着いた(笑)


‥‥そんなワケで、この「罰金システム」は、果たして「賭博」と言えるだろうか?あたしは、まったく「賭博」には当たらないと思うし、その他の面でも、特に問題はないと思ってる。労働基準法に照らし合わせて細かく調べたら、もしかしたら小さな点で問題があったかもしれないけど、少なくとも「賭博」には当たらないと思う。だから、西武や広島が、シートノックや遅刻などで少額の罰金を取り、それを貯めておいてファンサービスなどに使っていたことも、NPBに確認するまでもなく、あたしは何の問題もないことだと思っている。

でも、この、あたしのかつてのバイト先の「罰金システム」が、1回遅刻したら1万円、1回ミスしたら1万円で、その上、この罰金はみんなのために使われていたのではなく、他のバイトたちに現金で渡さなきゃならない‥‥というものだったら、どうだっただろうか。今どきで言えば完全に「ブラックバイト」に当たると思うし、こんなお店は、みんなトットと辞めちゃっていただろう。そして、巨人を契約解除された松本竜也氏が証言しているように、「選手同士がエラー1回1万円を賭けていたことをコーチ陣も知っていた」というのであれば、お店ぐるみ、組織ぐるみで不正が行なわれていたことになる。

あたしは、こんなことは絶対に許されないと思うし、わずかな罰金を徴収して、それをファンサービスなどに使っていた他球団の問題と、巨人の現金やりとり問題とをゴッチャにしてしまうのは、完全に問題の矮小化だと思う。もともと、今回の野球賭博問題が起こったのだって、ふだんからロッカールームや宿舎などで何万円という高額の現金のやりとりが日常化していた巨人の異常な体質があったからだと思う。そんなチームの中に身を置いていれば、練習中のノックに1万円賭けることと、宿舎でのトランプや麻雀に1万円賭けることと、高校野球の勝敗に1万円賭けることの違いなど、野球一筋で社会人になったばかりの若手選手には、そんな区別などつかないだろう。


‥‥そんなワケで、「試合前の声出しや練習中のノックでの現金のやりとりは賭博とはまったく別の行為」と言っていいのは、あたしは巨人以外のチームだけだと思う。巨人の場合は、いくらNPBが「協定に抵触していない」と言っても、限りなく賭博に近い行為であったことは誰の目にも明らかであり、仮にも、こうした賭博に近い行為がチーム内に蔓延していたことが、今回の野球賭博という大問題のヒキガネになった可能性も高いからだ。今回の巨人の野球賭博問題を受けて、巨人OBの広岡達朗氏は、「野球賭博に手を出した選手が所属する球団に対しては、1年間の活動停止のペナルティを与えることを明文化するくらいのルールも作らないと、また再発する可能性も出てくる」と言ったけど、あたしも完全に同意見な今日この頃なのだ。


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