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2016.03.28

闇サイト殺人事件の被害者、磯谷利恵さんのお母さまからの死刑制度に関するメッセージ

今から8年半前に起こった「闇サイト殺人事件」のことを覚えている人は、どれくらいいるだろうか。平成19年8月24日、名古屋で、31歳のOLの磯谷利恵さんが、犯罪仲間を募集する闇サイトで知り合った3人組の男に拉致されて、惨殺された事件だ。

利恵さんのお父さまは、利恵さんが生まれたばかりの1歳の時に病気で亡くなった。それから、お母さまの富美子さんが女手ひとつで、利恵さんのことを大切に育ててきた。利恵さんは社会人になり、世界で一番大切なお母さまのために、一緒に暮らすお家をプレゼントしようと思って、コツコツと貯金をしてきた。

そんな利恵さんが、たまたま、この凶悪犯3人の目に止まってしまい、拉致され、惨殺されてしまったのだ。金銭目的の凶悪犯たちは、何とか利恵さんからキャッシュカードの暗証番号を聞き出そうと暴行を加え続けたけど、お母さまのために必死で貯めてきた貯金を、こんな暴漢どもに渡したくなかった利恵さんは、最後まで本当の番号を言わずに、結局、惨殺されてしまった。

この事件が起こった時、あたしは利恵さんと同世代で、あたしの母さんも利恵さんのお母さまと同世代だったので、あたしは自分のことのように感じてしまい、悲しみよりも怒りを、苦しみよりも憎しみを覚えた。あたしは、母ひとり娘ひとりという、利恵さんと同じ家庭で育ったから、世界中の誰よりも母さんのことを大切に思ってる。だから、もしもあたしが利恵さんだったら、もしもあたしが凶悪犯たちに金銭目的で拉致されて惨殺されたら、あたしの母さんはどんな思いをするのだろうか、それを想像したら、富美子さんの悲しみが全身に伝わってきて、悲しくて悔しくて涙が止まらなくなった。

こんな鬼畜ども、絶対に許せない!全員を死刑にしてもぜんぜん足りない!あたしは、この鬼畜どもを死刑にするために富美子さんが始めた署名に微力ながら協力して、最終的には33万筆を超える署名が集まった。そして、富美子さんは、この膨大な署名を裁判所に提出した。それなのに、死刑判決になったのは主犯の1人だけで、他の2人は無期懲役という信じられないほど甘すぎる判決で済まされてしまったのだ。

私利私欲のために、カネ欲しさのために、何の罪もない女性を、お母さまのことを思って一生懸命に生きて来た女性を、言葉にはできないほどの残酷な方法で殺したのに、刑務所で一定の年月を過ごせばシャバに出てこられる無期懲役。取り調べや裁判で利恵さんやお母さまを侮辱し、その後、自分の罪を少しでも軽くしてもらうために反省してる演技をした凶悪犯どもが、その演技を買われて無期懲役。こんな理不尽なことがあってもいいのだろか?


‥‥そんなワケで、今日は「いかがお過ごしですか?」は割愛してくけど、2015年現在、世界194カ国のうち、ちょうど半分の97カ国が死刑を廃止してる。そして、国家反逆罪などの特別な犯罪だけは死刑を規定していても一般刑法犯には死刑を適用していない国が7カ国ある。それから、法律上は死刑制度があっても、実際には死刑を執行していない国が48カ国あるので、事実上は、世界194カ国のうち78%にあたる152カ国が死刑を行なっていないことになる。

一方、日本を始めとして現在も死刑が行なわれている国は、残り42カ国なので、国の数としては少数派になる。だけど、人口の割合で見ると、世界で最も人口の多い中国、2番目のインド、3番目のアメリカ、4番目のインドネシア、6番目のパキスタン、7番目のナイジェリア、8番目のバングラデシュ、10番目の日本と、上位10カ国のうち8カ国が死刑を行なっているため、世界の人口の50%以上が死刑を認めている国の人たちということになる。

ただし、先進国だけを見てみると、死刑を行なっているのはアメリカと日本だけで、EU諸国はすべて死刑を廃止している。このことから、日本も死刑を廃止するのが「先進的」だという議論が継続的に起こっている。日本で死刑廃止を主張する人たちは、「死刑は国家による殺人だ」とか「凶悪犯罪者にも人権がある」とか「冤罪で死刑になってしまったら取り返しがつかない」とか、だいたいはこの辺のことを死刑に反対する理由に挙げている。

あたしは、こういう主張は、分からないでもない。でも、利恵さんのお母さまの富美子さんと何度もメールのやり取りをして、大切なひとり娘を惨殺された母親の気持ちを痛いほど知っているので、安易に「死刑制度反対」とは言えない。もしも、あたしが惨殺されたら、あたしの母さんはどう思い、残りの人生をどうやって生きて行くのか?もしも、あたしの母さんが惨殺されたら、あたしは、どうなってしまうのか?きっと気が狂ってしまうかもしれない。

死刑制度に反対する人たちは、もしも、あなたの子どもが、あなたの親が、あなたの妻や夫が、あなたの兄弟が、何の接点もない金銭目当ての凶悪犯に惨殺されても、それでも「死刑廃止」と言えるのだろうか?あなたの大切な家族や恋人を惨殺した憎き犯人が、裁判で死刑判決を受けた時、あなたは減刑を求める陳情書を提出するのだろうか?

こんな言い方はあまり好きじゃないけど、死刑廃止を主張してる人たちの何割かは、あたしは、結局は「他人事」なんじゃないかと思ってる。自分の家族や恋人を殺されたことがない人たち、ようするに、当事者じゃない人たちが理想論を言ってるだけのようにしか見えない。だって、少なくともあたしの場合は、もしも母さんが凶悪犯に惨殺されたとしたら、死刑でもぜんぜん足りないと思うからだ。

だけど、しばらく前に、あたしが「死刑制度は必要だ」ということをツイッターでつぶやいたら、けっこう多くの人たちから、批判のリプライが届いた。中には、批判というよりも誹謗中傷のような内容のものもあった。私利私欲のために何の罪もない人を惨殺した凶悪犯にも、人権というものがあるという。それなら、殺された人やご遺族の人権はどうなるのか?どうして被害者よりも加害者のほうが擁護されなければならないのか?あたしには理解できない。

そこで、今回、利恵さんのお母さまの富美子さんに、日本の死刑制度について、当事者としてのご意見を聞いてみた。以下、富美子さんから届いた回答のメールを、許可をいただいたので、全文そのまま掲載する。


きっこ様
ご無沙汰しております。
お返事を差し上げるのが遅くなり申し訳ございません。
その節は大変お世話になりました。有難うございます。

あれから8年以上経ちましたが、未だに娘が亡くなった事を受け入れきれずにいます。毎日何気に思い出す事が多いためでしょうか、何年も会っていない事が嘘のようです。

さて、お尋ねの死刑制度存続についてですが、極刑を求める署名活動をした時と同じで、私の気持ちは変わっていません。残された遺族の為にも、死刑は必要な刑だと思います。そして、確定から半年以内に執行していただきたいです。

私は、娘の惨い姿につながる事件は、一日も早く忘れたいと思っています。彼等とはもうかかわり合いになりたくありません。思い出すのも嫌です。

その気持ちとは矛盾しますが、加害者の処遇に関する連絡をお願いしています。その為に、無期刑の二人に関して、簡単な内容だけですが年に2回連絡書が送られてきます。

彼らが更生しようがしまいが全く興味はありません。死刑にならなかった彼等には、死刑の方がましだと思うような刑務所生活を送って欲しいと思うだけです。

私は、娘を亡くして初めて司法に目を向けました。テレビのドラマを見て、勝手に思い込んでいた世界とは違っていました。それまでは、犯した罪に見合う刑を、専門の方がきちっと裁いて下さっていると思っていました。司法にかかわっている方々は、正義感にあふれていらっしゃる方だと勝手に思い込んでいました。

しかし、遺族の立場で見た世界は違っていました。過去の判例が重要視され、死刑選択に被害者の数が大きく影響を及ぼしている事も知ました。

うわべだけの反省が、死刑選択の項目に挙げられているのも解せません。悪い事をしたら、謝罪するのは当たり前の事です。しないよりする方が良いに決まっていますが、だからといって特別に考慮する必要はないと思います。

最近よく加害者が使う黙秘権についても疑問を持っています。悪い事をしたら正直に話す事が、謝罪の姿勢の第一歩だと思っていますが、司法の世界では、確たる証拠が無ければ黙っている事で起訴を免れる事ができます。起訴されなければ、何も無かった事と同じです。

再犯を繰り返す度に、彼等は減刑の方法を学んでいく様な気がします。司法の世界を知らなかった私が、娘の事件で色々な事を知ったように。

私は、今の死刑選択の方法を変えて頂きたいと思っています。今のように、諸事情を積み重ねてやっと死刑判決に到達するやり方ではなく、人を殺したら死刑からスタートさせていただきたいと思います。その上で、諸事情を考慮して減刑するやり方に変えて頂きたいと思います。

娘の事件のように、何の関係も落ち度もない人を、身勝手な欲の為に惨殺するのは、死刑が当たり前になって欲しいです。加害者の人権と同等に、被害者の人権も扱って欲しいです。

大変遅くなりましたが、今の私の率直な思いを書きました。

2016年3月27日  磯谷富美子


‥‥そんなワケで、この富美子さんのメールを読めば、凶悪犯罪の被害者になってしまった当事者の気持ちがよく分かると思う。あたしは、死刑に反対する人たちの「死刑は国家による殺人だ」という主張も分からなくはない。だけど、死刑がなくなり、最高刑で30年ほどでシャバに出てこられる無期懲役だけになってしまったら、富美子さんのように、大切なひとり娘を見ず知らずの暴漢たちに金銭目的で惨殺された人は、どうなってしまうのか?とも思う。もちろん、死刑が被害者やご遺族の復讐の道具になってしまうことは倫理的に問題があると思うけど、家族を殺されたご遺族の立場になれば、自分の手で犯人を殺してやりたいと思うのが普通なのだから、涙を飲んで拳を握りしめて自分の気持ちを抑えて司法に委ねている以上、裁判所で下る判決がご遺族にとっての唯一の復讐になる。それが、2~30年でシャバに出てこられる無期懲役だなんて、あたしなら絶対に納得できない。だから、どうしても死刑を廃止しろと言うのなら、その代わりに、一生シャバに出てこられない終身刑を導入して、食事も最低限のものだけ、娯楽はゼロ、毎日死ぬまで辛い労働を強いる北朝鮮みたいな刑罰、凶悪犯どもが「死刑になったほうがマシ」だと思うような刑罰を新設してほしいと思う今日この頃なのだ。


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