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2016.09.02

あとは野となれ山となれ

あたしが原発に反対してる理由は、もちろん「危険」だということが最大の理由だけど、それだけじゃなく、「原発から生まれる放射性廃棄物の処理の問題」がある。特に使用済み核燃料に関しては、すでに全国の原発などに1万7000トンも溜まってる上、安倍政権が目指している数値目標を達成するためには、少なくとも全国で20基以上の原発を再稼動させなきゃならないので、毎年1000トンずつ使用済み核燃料が増え続けることになる。

だけど、原発から生み出される放射性廃棄物は、この使用済み核燃料だけじゃない。たとえば、老朽化によって廃炉が決まった原子炉が、今後、解体されることになれば、解体されたパーツの大半が放射性廃棄物ということになる。原子炉の解体によって生まれる放射性廃棄物は、外部の配管など汚染度の低いものが「L3(レベル3)」、原子炉の圧力容器など汚染度が中くらいのものが「L2(レベル2)」、原子炉内部で使用していた制御棒など汚染度の高いものが「L1(レベル1)」と、3段階に分別され、それぞれ処分方法が違う。

ま、「それぞれ処理方法が違う」と言っても、日本ではまだ廃炉になった商業用原子炉を解体したことが一度もないから、現時点では、あくまでも「机上の論」でしかないけど、汚染度の低い「L3」は「地下数メートルに埋める」、汚染度が中くらいの「L2」は「地下数十メートルに埋める」、そして、汚染度の高い「L1」は「地下300メートルより深く埋めて、10万年管理する」と決められていた。

だけど、この「L1」の処分方法については、いろいろと議論が続いてて、なかなか決定には至らなかった。そして、8月31日、ようやく決まったんだけど、あたしは新聞の報道を読んで、開いた口からエクトプラズムが出てきて幽体離脱しちゃいそうになった。それが、この報道だ。


「原子力規制委員会は31日、原発の廃炉で出る放射性廃棄物のうち、原子炉の制御棒など放射能レベルが比較的高い廃棄物(L1)の処分の基本方針を決定した。地震や火山の影響を受けにくい場所で70メートルより深い地中に埋め、電力会社に300~400年間管理させる。その後は国が引きつぎ、10万年間、掘削を制限する。これで、放射能レベルの高いものから低いものまで放射性廃棄物の処分方針が出そろった。」


‥‥って、おいおいおいおいおーーーーい!やることなすこと無責任の極み乙女の原子力規制委員会だけど、とうとうこんなギャグ漫画みたいなことまで言い出しちゃった今日この頃、皆さん、これを読んで開いた口からエクトプラズムが出てきませんか?


‥‥そんなワケで、原案の「300メートル」が「70メートル」に緩和されたのはお約束だろうけど、世界一の地震大国で、全国津々浦々に2000を超える活断層が縦横無尽に走ってる日本列島の、いったいどこに「地震の影響を受けにくい場所」なんかがあるって言うんだよ?つーか、「電力会社に300~400年間管理させる」だの、「その後は国が引きつぎ、10万年間、掘削を制限する」だの、お前ら、本気で言ってんのか?

安倍政権の現在の原発推進政策が続けば、廃炉にして解体する原子炉の数も増えて行く。でも、日本が今すぐに原発政策を完全にやめて、再生可能エネルギーなどに方向転換したとしても、現在、全国にある57基の原子炉は、いつかは廃炉にして解体しなきゃならない。そして、現在の57基の原子炉をすべて廃炉にして解体したら、もっとも危険な「L1」の放射性廃棄物だけでも、約8000トンになると見積もられている。

この約8000トンもの放射性廃棄物を、全国のいろいろな場所の地下70メートルに埋めて、それを各電力会社に300~400年間も管理させるだなんて、すでに、この時点で非現実的じゃないか。だいたいからして、福島第1原発事故の除染で出た土砂などの放射性廃棄物ですら、未だに処分場所が見つからずに、フレコンバッグに詰めたまま、そこらじゅうに山積みになってるのに、その何千倍も何万倍も危険な放射性廃棄物を埋める場所など、どうやって探すと言うのか?

さらには、それを電力会社に300~400年間も管理させるだなんて、寝言は寝てから言ってほしい。日本の人口は、現在は約1億2000万人だけど、どんどん減少し続けていて、今から32年後の2048年には1億人を割って9000万人台になり、84年後の2100年には8300万人になると予測されている。そして、約300年後の2330年には、現在の3分の1、4000万人にまで減少すると予測されている。その上、4000万人のうち2500万人以上が高齢者で、働き盛りの人は1500万人にも満たなくなる。

そして、このまま少子高齢化が進めば、日本の人口は2500年には1000人を切ってしまい、国として存続できなくなると予測されている。こんな状況で、全国各地に埋めまくった8000トンもの高レベル放射性廃棄物を管理し、その他にも、少なくとも1万7000トンもある使用済み核燃料も管理するなんて、果たして電力会社にできるだろうか?さらには、その後は国が10万年も管理するって、アホとしか言いようがない。

500年後に人口が1000人以下になってしまう国で、何が「その後は国が引きつぎ、10万年間、掘削を制限する」だよ?こんなの誰がどう見たって、「どうせ自分は生きてないんだからテキトーに決めちゃえ!」ってフレーバーが全開じゃねえかよ!さすがは「九州でカルデラ噴火が起これば九州は全滅しますから、川内原発に核燃料があってもなくても同じことです」とノタマッた田中俊一委員長ひきいる原子力規制委員会だけのことはある。


‥‥そんなワケで、百歩ゆずって、「L1」の放射性廃棄物を埋める場所が見つかったとして、少子高齢化も改善して日本の人口が極端には減少しなかったとしても、もっと根本的な問題として、どんな容器に「L1」を入れるつもりなのか?だって、現代の最先端の科学力を使っても、地中深くに埋めて10万年も持つ容器など作れないからだ。

ちなみに、使用済み核燃料を地層処分する時に使う「オーバーパック」と呼ばれる金属製の容器は、机上の計算では耐久年数が最長で1000年と試算されている。だから、もしもこれと同じ技術で「L1」の処分用の容器を作ったとしても、1000年ごとに掘り出して容器を交換しなきゃならない。そして、容器を交換すれば、それまで使っていた古い容器は汚染されて放射性廃棄物になっているのだから、今度はその古い容器の処分という新たな問題が発生する。

日本原燃が行なったコンピューターによるシミュレーションでは、地中に埋めたオーバーパックは、1000年で腐食による穴が開き、中の放射性廃棄物が漏れ出すと試算されているので、実際には、1000年ごとじゃなくて、もっと早いサイクルで容器を交換しなきゃならない。でも、計算がメンドクサイヤ人なので、あえて限界の1000年ごとに交換するとして割り算しても、それでも10万年なんだから100回も交換しなきゃならない。

現時点で発生する「L1」は8000トンだから、オーバーパックの容量を500キロと仮定すれば、その数は1万6000個になる。そして、これらすべての容器を100回も交換するんだから、新たに生まれる「古い容器」という放射性廃棄物の数は160万個になる。細かいことを言えば、最初の1000年目に交換した「古い容器」と、最後の9万9000年目に交換した「古い容器」では、汚染度がずいぶん違うと思うけど、どちらにしても人間が触れることはできないレベルだろう。

現代の放射性廃棄物の管理を10万年後の人たちにまで負わせるということは、今から10万年前の旧石器時代の人たちが埋めた危険なものを、現代のあたしたちが管理させられるようなものだ。もしもそんなことになったら、正直、「ふ・ざ・け・ん・な!」の5文字しか出てこないだろう。その上、日本列島が乗ってる北米プレートとユーラシアプレートには、太平洋プレートとフィリピン海プレートが沈み続けているんだから、10万年後の日本列島が現在とまったく同じ形のままだという保障はまったくない。仮に巨大地震などが起こらなかったとしても、地殻変動で容器が壊れて大量の放射性廃棄物が漏れ出すことだって考えられる。


‥‥そんなワケで、「年金問題は最後の1人まで私が責任を持って解決いたします!」とか「汚染水問題は私が責任者となって必ず解決いたします!」とか、「できもしないこと」を何の根拠もなく自信満々に宣言しちゃうのが安倍晋三首相の十八番だけど、「できもしないこと」どころか「できたかできなかったか確認することもできないこと」を堂々と決定しちゃうのが、田中俊一委員長ひきいる原子力規制委員会という天下御免の無責任組織なのだ。何しろ、原子力規制委員会が「新基準の安全対策に適合している」と認可したことで8月12日に再稼動を強行した伊方原発3号機は、わずか2週間後の26日に配管から冷却水が1.2トンも噴き出すという事故を起こし、その原因が「配管の老朽化とパッキンの緩み」だったのだ。この事実ひとつを見ても、原子力規制委員会の無責任ぶりが手に取るように分かるだろう。こんなデタラメな組織に「電力会社に300~400年間管理させる」だの「その後は国が引きつぎ、10万年間、掘削を制限する」だなんて言われても、あたしの耳には「あとは野となれ山となれ」と言っているようにしか聞こえない今日この頃なのだ。


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