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2016.11.26

きっこの「おでん論」

だんだん寒くなってきて、お鍋が恋しい季節になってきたと思ったのもトコノマ、野菜の高騰でオイソレとはお鍋が楽しめない。スーパーに行くと、4分の1にカットした白菜が250円、長ネギが2本で250円、春菊が1袋250円、シイタケが6個入ったパックが250円‥‥って、お野菜だけで1000円じゃん!これじゃあメインの魚介類とかが買えないじゃん!‥‥なんて思ってる人も多いと思う。

でも、おでんなら例年通りの予算で楽しめる。大根だけは例年より高くて1本200円とか250円とかしてるけど、スーパーが、その日の目玉商品として、1人1本限りで「大根98円」とかをやってる日を狙えば、他のおでんの具材は例年通りの値段だ。それでも、おでんの具材って、ごぼう巻やゲソ巻の4本入りが250円だったり、揚げボールが1袋200円だったりと、そこそこの値段なので、好きな具材をカタッパシからカゴに入れてたら大変な金額になっちゃう。

そこで、今日は、おでんを安上がりに楽しめる「きっこ方式」をご紹介しようと思う。ふだんの食事を「1食100円」の予算に設定して節約生活を続けてるあたしにとって、おでんは特別の贅沢メニューだけど、少しでも安上がりに楽しむために、あたしはスーパーに行くたびに具材のコーナーをチェキするようにしてる。そして、賞味期限がギリギリで半額シールの貼ってある具材を見つけたら、それを買って来て冷凍庫で凍らせておく。買うたびに具材をケータイのメモ機能にメモしておけば、あと何が足りないのかがすぐに分かる。

そして、すべての具材が揃ったら、いよいよ「今夜はおでんだよ♪」と母さんに報告する。単純な方式だけど、これなら半額でおでんを楽しむことができるのだ。ちなみに、スーパーは開店時間から1時間以内に行くと、おでんの具材に限らず、半額シールの貼ってある商品が手に入りやすい。遅い時間に行くと、すでに売れちゃってるからだ。そのスーパーで作ってるお弁当やお惣菜なら、夜の決まった時間に割引シールを貼るけど、それ以外の商品は開店時から割引シールが貼られてる今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?


‥‥そんなワケで、全国にはいろんなおでんがあるけど、あたしは東京生まれ東京育ちなので、おでんと言えば東京のおでんだ。子どものころは、「スジ、ちくわぶ、玉子、大根、昆布」が、大好きな聖域5品目だったけど、今は、お肉とともに玉子を食べるのもやめたので、「スジ、ちくわぶ、大根、昆布」の4種類だけは絶対に揃えるようにしてる。

とにかく、あたしは、スジとちくわぶが大好物で、東京のおでんの具材としては定番中の定番だから、専門学校時代に関西から来た友達から「スジって牛スジのこと?」とか「ちくわぶって何?」と聞かれた時は、ホントに驚いた。そして、関西のおでんにはスジやちくわぶが入ってなくて、代わりに牛スジが入ってることを知ったのだ。

東京のおでんのスジは、牛スジじゃなくて、サメの軟骨を細かく刻んだものが入ってる白身魚の練り物のことで、コリコリしたサメの軟骨の食感がたまらない。最近はボール状になってるものが多いけど、あたしは、直径5センチくらい、長さ12センチくらいの大きいのを買って来て、好きな厚さに切って煮込むのが好きだ。1本250円くらいなので、半額シールが貼ってあるのしか買ったことないけど(笑)

それから、ちくわぶは、漢字で「竹輪麩」、ふつうの竹輪は魚のすり身だけど、ちくわぶは小麦粉を練って茹でて作った「竹輪の形をした麩」だ。長いのが1本100円から120円くらいなので、具材の中では安いほうだ。あたしは、これを4つに切って、それぞれをナナメに切って、1本を8つにする。こうすると、母さんと4つずつ食べることができる。ちくわぶは何の味もしないから、煮込むとおでんのスープの味を純粋に楽しむことができる。ちょっと煮過ぎて周りがトロトロになったちくわぶは、まさに「東京のおでんの醍醐味」と言えるほど、最高の美味しさだ。


‥‥そんなワケで、あたしは子どものころから東京のおでんを食べて来たから、定番の具材であるスジやちくわぶが大好きだけど、関西など他の地域で生まれ育って、それぞれの地元のおでんを食べて来た人たちの中には、大人になってから初めて東京のおでんを食べると、ちくわぶを好きになれない人も多いらしい。スジは魚のすり身の練り物だから、他のおでんの具材とあまり変わらないため、どの地方の人にも受け入れられやすい。でも、ちくわぶに関しては、あたしの大好きなトロトロ加減が、どうも馴染まないようだ。

だけど、あたしは断固として言いたい!ちくわぶは、おでんにとって必要不可欠な存在なのだ!なのだったら、なのなのだ!‥‥ってなワケで、ここからは、あたしの「おでん論」に入るけど、まず、「おでんは果たしてお鍋料理なのか?」という問題だ。あたしは、おでんは鍋料理だとは思ってないけど、しばらく前に、ネットのランキングの「好きな鍋料理は?」で、寄せ鍋やキムチ鍋やすき焼きとともに、おでんもランクインしてたのだ。

鍋料理というのは、食卓の真ん中にコンロを置いて、土鍋や金属の鍋を乗せて、肉や魚介類や野菜を生のまま大皿に用意して、食卓で作りながら食べる料理の総称だ。一方、おでんは、台所で大きなお鍋で作るのだから、鍋料理とは呼べない。お店に食べに行った場合でも、すき焼きや寄せ鍋、ちゃんこ鍋やキムチ鍋はテーブルの上のコンロで調理するけど、おでんは違う。おでんは、おでん用の大きな四角い鍋に、縦横に仕切りがしてあって、それぞれの具材が煮込まれてる。そして、注文した具だけがお皿で出て来る。これのどこが鍋料理なのか?

だから、あたしは、おでんは鍋料理じゃないと思ってる。だけど、鍋料理との共通点もある。それは、「基本的には一緒にご飯を食べない」という点だ。もちろん、すき焼きをおかずにしてご飯を食べる人はたくさんいるだろうし、他のお鍋でも同様だろう。でも、あたし的には、お鍋はお酒を飲みながらお鍋だけを食べて、最後にご飯を入れて雑炊にしたり、最後にうどんを入れて煮込みうどんにしたり‥‥という流れこそが「お鍋道」の作法だと思ってる。

特に、てっちり(ふぐ鍋)の場合は、シメの雑炊のためにお鍋をやってるようなもので、ふぐの身をおかずにしてご飯を食べるなんて考えられない。カニ鍋だって、もちろんカニは美味しいけど、たっぷりとカニの出汁が出たスープで作った雑炊は最高だ。つまり、お鍋を食べながらご飯を食べるのは、あたし的には「邪道」ということになる。そして、あたしは、鍋料理と同じように、おでんを食べながらご飯を食べることもない。たまに、定食屋さんとかで、「おでん定食」というメニューを見かけるけど、これは、関西の「お好み焼き定食」と同じで、あたしには考えられない組み合わせだ。

だから、我が家でおでんを食べる日は、おでんだけを食べる。もちろん、お酒を飲みながらなので、正確には「液体のお米」は一緒に摂取してることになるけど、おでんをおかずにして白いご飯は食べない。そして、他の鍋料理と違って、シメもない。残ったおでんスープにご飯を入れて雑炊にしたり、うどんを入れて煮込むこともない。「じゃあ副食ばかりで主食がないじゃないか!」と思ったそこのアナタ、ここで、ついに、あたしの「おでん論」、「ちくわぶはおでんにとって必要不可欠な存在なのだ!」という自論が登場するのだ。

さっき説明したように、ちくわぶは小麦粉を練って茹でたものだから、大きく分類すれば、うどんのようなものなのだ。つまり、ちくわぶとは、おでんおける主食なのだ。おでんに入ってる練り物は、すべて魚のすり身がベースになってるから、純粋に主食と呼べる具材は、ちくわぶだけなのだ。ちくわぶが入ってる東京のおでんは、それだけで副食と主食を採ることができるパーフェクトなおでんと言える。秋田のお鍋には、お米で作った「きりたんぽ」が入ってるけど、ちくわぶも同じような位置づけだと考えられる。


‥‥そんなワケで、ちくわぶは、西日本のスーパーとかではメッタにお目に掛かれないけど、今は通販で普通に買えるし、冷凍して保存しておけるので、日本のどこに住んでても食べることができる。冷凍しておいたちくわぶは、凍ったまま包丁で切ってお鍋に入れ、20分ほど煮込むだけで、あの素晴らしいモチモチ感が目覚めてくれる。そして、さらに10分ほど煮込むと、ナナメに切ったエッジの部分からトロトロになって来て、これまた最高の食感を楽しませてくれる。だから、あたしは、スーパーに行くたびに、おでんの具材のコーナーをチェキして、半額シールの貼ってある具材とケータイのメモ欄とを見比べながら、好きな具材のコンプリートを目指してる今日この頃なのだ♪


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