今年の漢字
ちょっと「遅ればせながら」の話題になっちゃうけど、毎年、この時期に発表される「今年の漢字」が、今回も「金」に決まったと聞いて、あたしは驚いた。だって、シドニーオリンピックがあった2000年の漢字も「金」だったし、ロンドンオリンピックがあった2012年も「金」だったからだ。オリンピックがあるたびに「金」だなんて、あまりにも芸がない。
あたし的には、今年の漢字は絶対に「黒」だと思ってた。今年は、なんと言っても「広島カープを25年ぶりのリーグ優勝に導いた黒田博樹投手」がヒーローだし、「春の天皇賞とジャパンカップを勝って年末の有馬記念に向かうキタサンブラック」がヒーロー馬だし、他にも、年明け早々には「日銀の黒田総裁によるマイナス金利」という無謀な政策があったし、海苔弁と呼ばれた「真っ黒に塗りつぶされたTPP文書」もあったし、「広告最大手の電通がブラック企業大賞にノミネート」もあったし、嬉しい面でも残念な面でも「黒」が活躍した一年だったからだ。
それなのに、嗚呼それなのに、それなのに‥‥って、久しぶりに五七五の俳句調で嘆いちゃうけど、いくらリオデジャネイロ・オリンピックがあったからって、またまた「金」だなんて、なんか脱力しちゃう。これじゃ完全にネタの使い廻しじゃん。別に「黒」じゃなくてもいいから、もうちょっと気の利いた漢字を選べなかったのかな?‥‥なんて思った今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、今年の漢字は「金」に決まったワケだけど、その前の20年間はどんな漢字だったのか、ザックリと見てみよう。
2015年は、安保関連法の強行やテロなどの不安から「安」
2014年は、17年ぶりに消費税が引き上げられたことから「税」
2013年は、東京五輪招致から「輪」
2012年は、ロンドンオリンピックから「金」
2011年は、東日本大震災から「絆」
2010年は、夏が記録的猛暑だったことから「暑」
2009年は、政権交代が実現したことから「新」
2008年は、リーマンショックによる株価の暴落などから「変」
2007年は、耐震偽装、食品の産地偽装、消えた年金問題などから「偽」
2006年は、悠仁様のご誕生、虐めによる子どもの自殺などから「命」
2005年は、紀宮様のご成婚、「愛・地球博」の開催などから「愛」
2004年は、新潟中越地震、大型台風、猛暑などから「災」
2003年は、阪神タイガースの18年ぶりのリーグ優勝から「虎」
2002年は、拉致被害者の帰国から「帰」
2001年は、アメリカの同時多発テロから「戦」
2000年は、シドニーオリンピックから「金」
1999年は、東海村の臨界事故など「世も末」の事件、世紀末などから「末」
1998年は、和歌山の毒カレー事件などから「毒」
1997年は、山一證券など大型倒産の続出から「倒」
1996年は、狂牛病の発症やO-157食中毒事件などから「食」
1995年は、阪神・淡路大震災から「震」
こうして過去にさかのぼって「今年の漢字」を見てみると、わずか20年の間に、ホントにいろんなことがあったんだと、改めて感じる。ちなみに、この「わずか20年」という表現は、あたしが、その2倍以上も生きてるBBAだからであって、20歳以下の人なら、「自分が生まれる前から」なんだから、すごく長い年月に感じるだろう。
とにかく、こうして過去20年の「今年の漢字」を見てみると、それぞれの年に起こった大災害や大事件などから選ばれた漢字が多くて、それなりに納得できる。それなのに、熊本地震や、安倍政権によるトンデモ法案の強行採決の連発や、数々の社会問題が巻き起こった今年は、それらをすべてスルーして、オリンピックの「金」、やっぱり納得できない。ま、これはオリンピックだけじゃなくて、「舛添都知事の税金の私的流用」や「イチローの金字塔」など、複数の理由があるそうだけど、こういうのってアトヅケの理由にしか思えない。
ところで、この「今年の漢字」って、あたしは、あの清水寺のお坊さんが考えて書いてるもんだと思ってたけど、実はそうじゃなくて、公募で決まるんだってね。全国から応募されてきた漢字の中で、一番多かったものが選ばれるんだって。でも、それなら、「過去に選ばれた漢字は除外する」って規定にしないと、また4年後に「金」が選ばれちゃいそうな予感がする。
‥‥そんなワケで、「今年の漢字」と同じく年末の風物詩の「新語・流行語大賞」のほうは、過去にノミネートされた言葉は除外される。たとえば、今年は、どうしても自衛隊を戦争に参加させたい安倍政権が、南スーダンの内戦を「戦闘ではなく衝突だ」などと詭弁を弄して「駆け付け警護」の付帯を強行したけど、なんでこの「駆け付け警護」が流行語大賞にノミネートされなかったのか?それは、すでに去年、ノミネートされてたからだ。
「新語・流行語大賞」のほうは、たとえ大賞に選ばれなくても、ノミネートされただけでも翌年は除外されるのに、「今年の漢字」は何度でも同じ漢字が選ばれるなんて、ちょっと規定が緩すぎると思う。あたし的には、公募した漢字を集計して、もしも1位の漢字が過去にも選ばれてるものだったら、それを除外して、2位の漢字を繰り上げ当選にしてもいいと思う。そこで、「今年の漢字」の10位までを見てみよう。
1位 「金」 6655票
2位 「選」 4723票
3位 「変」 4619票
4位 「震」 4606票
5位 「驚」 3746票
6位 「米」 3616票
7位 「輪」 3327票
8位 「不」 3171票
9位 「倫」 2769票
10位 「乱」 2642票
今年の応募総数は15万3562票なので、1位の「金」の6655票は全体の4.3%にしか過ぎない。たとえば、1位だけが圧倒的な得票数で、2位以下は数人しか選んでないのなら繰り上げ当選は問題だけど、この得票数を見る限りでは、1位を除外して2位の「選」を繰り上げ当選にしても問題ないと思う。
それにしても、1位の「金」だけでなく、3位の「変」、4位の「震」、7位の「輪」と、トップ10のうち4つも過去20年間に選ばれてる漢字と重複してるなんて、みんな考えることは同じなんだね。ただ、8位、9位、10位の漢字をつなげると「不倫で乱れる」になったから、思わず噴いちゃった(笑)
‥‥そんなワケで、あたしの選んだ「黒」は、トップ10どころかトップ20にも入ってなかったけど、これほど同じ思考回路の人がいるということは、逆に、他の人たちと発想がかぶらなくて良かったと思った。こういうことって、やっぱり、オリジナリティーが大切だもんね。でも、世の中は広いから、上には上がいるもんで、どんなにあたしが苦労して「今年の漢字」を選んだとしても、安倍晋三首相にだけは絶対にかなわない。何しろ安倍首相は、2006年の第1次安倍政権の年末に、記者から「総理にとって今年を漢字一文字で表現すると何になりますか?」と質問されたら、「責任」と答え、記者が「一文字でお願いします」と再度質問したら、しばらく考えてから、今度は「変化」と答えたのだ。相手の質問内容を無視して言いたいことを言う。現在の国会答弁にも通じる、この「我が道を行くスタイル」こそが、憲法の内容までをも自分勝手に変えてしまう狂気のオリジナリティーであり、あたしのような普通の人間には、決してマネできないウルトラCだと思った今日この頃なのだ(笑)
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