モリの次はカケ、天ぷら総理の学園天国
「森友学園問題」の次は「加計(かけ)学園問題」というワケで、チマタでは「モリの次にカケって、安倍晋三は蕎麦屋かよ!」なんていうツッコミが炸裂してるけど、さすがは天ぷら総理だけのことはあるよね。実際、「加計学園問題」は、「森友学園問題」の何倍もの規模である上に、「私人」の昭恵夫人ではなく「公人」の安倍晋三首相がすべてを主導して進めてきたもので、文科省も深く関与している。だから、この問題の全貌が明らかになれば、「森友学園問題」のように、籠池泰典前理事長に罪をかぶせ、近畿財務局が勝手に「忖度(そんたく)」したなどと大嘘をつき、自分だけ逃げ切れるという話ではない。
あたしは、約2カ月前、4月5日に配信したメルマガ『ゆっこ&きっこの言いたい放題 MAX!』で「加計学園問題」を特集して、関係者の名前を実名で挙げて徹底追及した。だけど、メルマガを購読していない人には読むことができなかったので、ようやく文科省の内部文書も公表され始めたことだし、こちらの『きっこのブログ』でも取り上げておこうと思った今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、この「加計学園問題」の概要がイマイチ分かっていない人たちのために、まずはザックリと説明しようと思う。これは、安倍晋三首相の40年来の親友で、現在でも頻繁に会食やゴルフをともにしている加計孝太郎氏が理事長をつとめる学校法人「加計学園」が、愛媛県今冶市の国家戦略特区に新設される獣医学部の事業主体に選定され、東京ドーム4個分の土地、市価で36億7500万円もする約17万平方メートルもの広大な敷地が無償提供される上、校舎やグラウンドなどの建設費の半額にあたる96億円が市と県から提供されるという、まさに「濡れ手に粟」という美味しい話なのだ。
で、何が問題なのかと言うと、この獣医学部の事業主体が加計学園に決まった経緯がおかしすぎるという点だ。事業主体が加計学園に決まったのは、今年1月20日、安倍首相が議長をつとめる国家戦略特区の諮問会議で、満場一致で決められた。だけど、建設関係の専門紙である『建設通信新聞』の2017年1月10日付の「中国・四国・九州面」の記事には、次のような記述がある。
「獣医学部を新設・運営する事業主体は、岡山理科大学などを運営する加計学園(岡山市)が有力候補となっている。市は意欲を見せる同学園に対し、建設予定地でのボーリング調査実施を許可、既に調査を終えている。」
これって、おかしいと思わない?事業主体が加計学園に決まったのは今年の1月20日の国家戦略特区の諮問会議なのに、その10日も前の新聞で、加計学園に現地のボーリング調査が許可されて既に実施されていると報じられているんだよ?これは誰が見たって、会議の前から加計学園に内定していたということの動かぬ証拠じゃないか。さらには、内閣府が行なった事業者の公募は1月10日から11日までのわずか2日間だけ。つまり、まだ事業者の公募も行なわれていない段階で、加計学園によるボーリング調査が実施されていたことになる。
ここで不思議に思うのは、事業主体が決まる前に加計学園にボーリング調査を許可したのが今冶市だということだ。これは、あくまでも市の事業なのだから、いくら安倍首相の親友が理事長をつとめる学園だとしても、まだ公募も行なわれていない時点で、どうして市はボーリング調査を許可したのだろうか?もしも公募後に他の事業主体に決まってしまったら、この費用はどうするつもりだったのだろうか?そう考えると、市側でも最初から「加計学園ありき」で計画を進めてきたとしか思えない。そこで、いったん安倍首相から離れて、今冶市と加計学園との関係について調べてみたら、これがピンポンだった。
この「加計学園問題」は、映画にできそうなほど壮大なストーリーなので、ちょっと離れたところからスタートするけど、今から12年前、2005年に社会保険庁が年金保険料を流用して豪華な保養施設を林立させていたことが発覚し、世間の批判を浴びたため、全国の302もの施設が閉鎖・売却されることになった。この中の1つ、岡山県のスポーツ複合施設「ウェルサンピア倉敷」を2008年に買い取ったのが加計学園で、2010年11月に「ヘルスピア倉敷」として生まれ変わった。そして、2010年11月3日にリニューアルオープンの祝賀会がひらかれたんだけど、この祝賀会に出席した自民党の愛媛県議、本宮勇(ほんぐう いさむ)氏の活動日記には、次のような記載がある。
「祝賀会には加計孝太郎理事長はじめ、理事長の友人でもある安倍晋三元首相家族、前横浜市長中田広氏などもかけつけたほか岡山県内の政財界から約300人が出席しました。私もご案内をいただき出席をさせていただきました。(加計学園法人事務局長が高校の同級生)」
この本宮勇県議は、もともとは今治市を地盤とする自民党の村上誠一郎衆議院議員の公設秘書をやっていて、それから今冶市議になり、愛媛県議になった人だ。今冶市議時代には「今治市土地開発公社理事」をつとめていたこともあり、ここ数年の愛媛県議会の議事録をチェックしてみたところ、とても熱心に獣医学部誘致を進めてきたことが分かった。そして、さらに本宮勇県議の活動日記の過去ログを調べてみたら、2014年6月18日付のページに次の記述が見つかった。
「岡山市内に本部を構える加計学園に到着しました。学園理事で法人事務局長を務めている高校の同級生と打ち合わせを行います。同学園グループは岡山理科大学、吉備国際大学を中心として全国で5大学を運営している他、短大、専門学校、高校など多くの学校法人も運営しています。今から9年前、同級生に大学誘致の話を持ちかけたところ獣医学部であれば検討するとの返事が返ってきました。当時、加戸知事に相談したところ「何処の学園ですか?」との話があり「岡山の加計学園ですと申し上げたところ‥‥」、それならばということで獣医学部誘致に向けた活動がスタートしました。」
この本宮勇県議の活動日記によると、2014年6月の9年前、つまり、2005年ごろには「加計学園ありき」で獣医学部誘致の計画がスタートしていたことになる。それも、当時の加戸守行愛媛県知事が「加計学園ならOK」ということでスタートしていたということになる。これなら、事業主体を公募する前に、市が加計学園にボーリング調査を許可していたこともツジツマが合うよね。何しろ県知事のお墨付きだったんだから。つーか、今回の今冶市の獣医学部誘致の計画そのものが、最初から「加計学園ありき」でスタートしていたということまで分かっちゃった。
こうした背景を踏まえた上で、あたしは、本宮勇県議と加計学園との間で獣医学部新設の計画がまとまったのに、何度も申請しても文科省の許可が得られずに難儀していて、そこに第2次安倍政権が誕生したので、これを最大のチャンスと見て加計学園も本腰を入れ、それに呼応するかのように安倍首相も「腹心の友」のために便宜を図ったのだと思った。だけど、さらに調べてみると、安倍首相自身も、何年も前から加計学園が獣医学部の新設を切望していたことを知っていた疑いが濃厚になってきた。本宮勇県議のHPには、今から10年前の2007年、第1次安倍政権の時に、安倍首相と笑顔で握手しているツーショット写真が掲載されていて、そこには次のように書かれていたのだ。
「自民党愛媛県連青年部長時代から親しくおつきあいをさせていただいている安倍晋三総理大臣と固く握手」
つまり、本宮勇県議は安倍首相と最低でも20年以上の付き合いということになる。そして、本宮勇県議は高校時代の同級生が加計学園の理事と法人事務局長をつとめていて、安倍首相は加計孝太郎理事長と40年来の親友なのだ。これで完全にトライアングルが完成したね。これで、少なくとも今年1月10日から11日にかけての「事業主体の公募」が「公平性をアピールするための形だけの公募」であり、事業主体は何年も前から加計学園に決定していた、ということが明白になった。そして、今回、今冶市を国家戦略特区に選定したのも、獣医学部新設の除外規定を作ったのも、事業主体を加計学園に選定したのも、すべて安倍首相なんだから、これはどう見たって「忖度」じゃなくて「便宜」だよね。
安倍首相が議長をつとめる国家戦略特区の諮問会議の議事録を調べてみて驚いたんだけど、今回の加計学園の計画は、森友学園の「安倍晋三小学院」以上の異例の速さで計画が進んでいたのだ。今回の計画が今治市議会で明らかにされたのが昨年2016年11月で、翌12月には用地に関する手続きがスピード可決され、翌1月20日には安倍首相が議長をつとめる諮問会議で加計学園が認定、つまり、わずか3カ月で決定していたのだ。同様の大学誘致のケースを調べてみると、通常では最低でも1年以上は掛かっているから、この異例の速さは、今回、公表された文科省の内部文書に明記されていた内容とも合致する。
安倍首相は「公人」だから、日々、どこで誰と会ったのかが「首相動静」として公開されてるけど、昨年1年間の「首相動静」を見てみると、安倍首相が加計孝太郎理事長と会食をしたのは、3月18日、10月2日、12月24日の3回で、その他にも7月22日には一緒にゴルフを楽しんでいて、8月10日の安倍首相の夏休みには別荘の近くの料理屋で食事とお酒を楽しみ、別荘に泊り、翌日は仲良くゴルフをプレーしている。
加計学園が運営する千葉科学大学では、2014年5月24日に開校10周年の記念式典が行なわれたけど、来賓として出席した安倍首相は祝辞の中で「どんな時も心の奥でつながっている友人、私と加計さんもまさに腹心の友だ」と、大好きな「まさに」という言葉を使って加計孝太郎理事長のことを絶賛している。自ら「腹心の友」と呼ぶほどの親友だから、昨年は12月24日のクリスマスイブにも仲良くディナーを楽しんだんだろうけど、この日の「首相動静」を見てみると、とっても面白いことが分かる。
「午前11時53分、東京・永田町のザ・キャピトルホテル東急着。同ホテル内のレストラン「ORIGAMI」で橋下徹前大阪市長、日本維新の会代表の松井一郎大阪府知事と会食。菅義偉官房長官同席。午後2時26分、同ホテル発。」
「午後6時2分、東京・丸の内の鉄鋼ビルディング着。南館内のエグゼクティブラウンジで高橋精一郎三井住友銀行副頭取、加計孝太郎学校法人加計学園理事長、昭恵夫人らと食事。午後9時52分、同所発。」
お昼は橋下徹氏と松井一郎氏と2時間半も会食、夜は昭恵夫人を伴って加計孝太郎理事長らと4時間近くも会食、この顔ぶれを見ると、昼間は「森友学園の打ち合わせ」をして、夜は「加計学園の打ち合わせ」をしたんじゃないかと勘ぐってしまう。ちなみに、この日のディナーに同席した昭恵夫人は、加計学園が神戸市で運営する認可外保育施設「御影インターナショナルこども園」の「名誉園長」をつとめている。昭恵夫人は合計で30前後の「名誉校長」や「名誉会長」に就任しているけど、学校関係で分かっているのは、辞任した森友学園の小学校と、この保育園だけなので、安倍家にとって加計学園がどれほど特別なのかということがよく分かると思う。
‥‥そんなワケで、今冶市に新設される岡山理科大学の獣医学部の学部長には、同じく加計学園が運営する千葉科学大学の吉川泰弘教授の就任が決まっているけど、この千葉科学大学は、かつて萩生田光一官房副長官が客員教授をつとめていたこともある。昨年9月26日の衆院の所信表明演説で、安倍首相が自衛隊を讃えた時に、自民党の議員たちがスタンディングオベーションをして多くの国民を呆れさせたけど、あの厚顔無恥なパフォーマンスを画策したのが萩生田官房副長官だ。そんな人物が2009年の総選挙で落選して収入が絶たれた直後から、誰かのハカライで千葉科学大学の危機管理学部で客員教授として収入を得ていたのだ。あまりにも分かりやすい構図だよね。さらには、昨年4月、文部科学省の高等教育局私学部私学行政課長だった木曽功氏が加計学園に天下りして、ソッコーで千葉科学大学の学長に就任したけど、この人物は2014年の第2次安倍内閣で内閣官房参与をつとめていた安倍首相のお友だちだ。文科省の天下り問題には厳しい姿勢を見せてるクセに、自分のお友だちは特別みたいだね。さらに詳しいことはメルマガ『ゆっこ&きっこの言いたい放題 MAX!』に書いているけど、今回、このブログにピックアップした内容を読んだだけでも、文科省の内部文書の記載の真偽が分かると思う今日この頃なのだ。
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